AFL-CIOが、医療制度改革、皆保険に関する考え方を公表した。概要は次の通りだが、AFL-CIOは、この考え方にそって大統領選候補者の医療政策提案を評価するとしている。民主党候補者はもちろん、共和党候補者も、かなり意識せざるを得なくなるのではないだろうか。
- 全国民の医療保険加入
- 『皆保険(universal health care)』とは、必ずしも全国民に医療保険の購入を法律で義務付けるとは限らない。
- 例外や罰則は設けずに、全国民が保険に加入できるようにすべき。
- 市場原理は重要な役割を担うが、規制、財源、医療サービス提供といった分野で政府がもっと役割を果たすべき。
- 性別、年齢、健康状態その他の条件にかかわらず保険加入を確保できるよう、可能な限り大きな集団でリスクをプールすべき。
- 総合的かつ安価な保険プラン
- 医療保険は、安価で総合的なプランであるべき。
- 労働組合と企業は、補足的な支援を行なうという役割を継続すべき。
処方薬の海外からの輸入は、かなり限定的な内容(「FDAが認めた処方薬について、個人が90日分に限ってカナダから輸入することを認める」)ではあるが、一応合法化されている(「Topics2006年10月5日 輸入処方薬合法化成立」参照)。上記sourceによれば、処方薬の輸入を本格的に認めようという法案("Pharmaceutical Market Access and Drug Safety Act")が議論されているそうだ。
法案の推進役は、次の通り。また、法案の概要は、次の通り。(Dorgan上院議員のwebsiteには、法案概要のほか、本文、FAQ、図表などが用意されている。)
民 主 党 共 和 党 上 院 Byron Dorgan (D-N.D.) Olympia Snowe (R-Maine) 下 院 Rahm Emanuel (D-Ill.) Jo Ann Emerson (R-Mo.)
上院では、Committee on Commerce, Science and Transportationで議論されている。Dorgan上院議員としては、委員会での可決までは自信があるとしているが、上院本会議にかけられるかどうかは不透明である。FDA、PhRMAが次のように反論しているからである。 連邦議会とFDA、製薬会社の闘いは、まだまだ続くようである。
- アメリカのライセンスを持った薬局、卸が、19ヵ国(カナダ、欧州、オーストラリア、ニュージーランド、日本)からFDA承認処方薬を輸入することを認める。
- アメリカ国民に、カナダからの処方薬の個人輸入を認める。
- 輸入処方薬を扱う薬局、卸は、FDAに登録するとともに、安全管理に関する査察を受ける。
- FDAは、外国にある処方薬の製造元を査察する。
- FDAは、カナダの処方薬輸出業者を、年12回査察する。
- 輸入処方薬を扱う責任者を明確にする。
- 偽処方薬を見分ける技術を利用するよう義務付ける。
- CBOの試算では、社会全体で今後10年間に$50Bのコスト削減ができる。また、連邦政府は$6.1Bの歳出削減ができる。
CA州の医療機関を評価・比較する新しいwebsiteが立ち上がった。CalHospitalCompare.orgである。作成に当たった関係者及び評価手法は次の通り。評価対象となっている医療機関は200以上にのぼり、全CA州の医療機関の70%をカバーする。しかも、これら医療機関が自主的にこのプロジェクトに参加しているという(California HealthCare Foundation)。
このプロジェクトの売りは、ということだ。確かに、他の評価サイトとして比較しているLeapfrogは、当websiteでも紹介したことがある(「Topics2002年3月27日 Leapfrog Group」参照)が、患者の安全性が評価対象の中心となっている。
- わかりやすい評価
- 評価基準の統一
- 無償のwebsiteとしては評価項目が多い
医療機関の評価結果は、例えば、Los Angelesの住民が心臓発作で病院にかかるとした場合、地域と病名を入力すると、の5段階で評価された病院リストが出てくる。 さらに、リストアップされた病院名をクリックすると、当該病院の評価の詳細が示される。
- Superior
- Above average
- Average
- Below average
- Poor
ちなみに、以前、当websiteで触れたことのあるSutter(「Topics2004年5月21日(2) CalPERS 38病院との契約見直し」参照)を見てみると、評価対象となっている14病院の内訳は、となっている。かなり良い方の評価を得ている。
Superior 9 Above average 1 Average 3 Below average 1
上記sourceは、アメリカ大統領選で、医療政策が注目されるだろうということで、候補者達の主張をおさらいしている。特に目新しいことはないが、気付きの点を2つ。
- 既に大統領選への出馬を表明している政治家は、こんなにたくさんいる。⇒Washington Post
お祭り騒ぎという見方もあるかもしれないが、壮大な無駄、空虚なイベントという感が拭えない。候補者を絞るための予備選ではあるが、もう少し、参戦のハードルを高めてはどうなのか。
- 医療政策の専門家が、『世間では、皆保険か否かを議論しているようだが、医療政策の本質的な課題はコスト抑制にある』と指摘している。もちろん、そうなれば無保険者も相当に減るだろうが、問題はその手段である。
管理人は、これまでの流れに鑑み、『医療コスト抑制に最も効果的なのが州政府による保険プランの運営である』との考え方が浸透しつつあるのではないかと考えている。その典型例が、昨日紹介したMA州(「Topics2007年3月6日 MA州Connector保険料固まる」参照)であり、何度も単一保険プランの導入を試みているCA州(「Topics2007年3月1日(3) 三たびSB 840(CA州皆保険法案)」参照)である。
また、先進国中アメリカだけが公的医療保険でカバーする分野を限定し、医療費の高騰に苦しんでいることも傍証となろう。
MA州皆保険法では、個人、小規模事業者(従業員50人未満)に保険プランを提供することなどを目的に、"Commonwealth Health Insurance Connector (以下"Connector")"を創設した(「Topics2006年4月10日 Massachusetts州の皆保険法案」参照)。上記sourceによれば、その保険料がほぼ固まったとのことである。この個人、小規模事業者の従業員は、無保険者の多い層であり、そこの保険料が低水準で固まったことにより、MA州皆保険制度は施行に向けて大きく前進したといえる。
保険料の概要は次の通り。管理人として注目したいのは、ここに至るまでのConnectorと保険会社の交渉過程である。
- プラン内容、提携医療機関、自己負担、年齢、地域によって、保険料は異なる。
- MA州の典型的な無保険者は37歳。その37歳の州民が、月額保険料$175で保険加入ができるようになる。これは、年収$50,000の人が課税前に購入したとすれば、実質$109の負担ということになる。
- また、19〜26歳の無保険の若者を対象にしたプランでは、さらに保険料を下げる予定にしている。
- 別途、コスト抑制を図るため、税引き前の給与天引きも可能となるよう、検討を進める。
- 保険会社10社が入札したが、そのうち7社に認可を与える(社名は上記sourceに掲載)。
- 各社は、3つのレベルのプランを提唱しており、いずれのプランも総合的なプラン内容となっている。入院、外来、救急治療、精神ケア、薬物乱用対策、リハビリ、ホスピス、眼科・視力などをカバーしている。ただし、自己負担、免責額、保険料負担の内容は区々になっている。
- Connectorとしては、パート、有期契約社員にも活用してもらいたいと考えている。
- 今後のスケジュール
March 8 正式決定
March 20 "Minimum Creditable Coverage Standards"(保険プランが満たすべき最低基準)を決定
May 1 保険プラン販売開始
July 1 皆保険法施行
上記sourceによれば、保険会社による最初のオファーは、かなり高い水準のものであったため、Connector及びPatrick州知事は、もっと保険料を抑えるように求めて、そのオファーを押し返したそうだ。そして、最近数週間の交渉により、今回の保険料水準で落ち着いた。その過程を、州当局は、『通常の調達過程と同様』と評している。
ここに皆保険制度のポイントがある。MA州の場合には、単一保険制度を追求しているわけではないので、当局側の交渉力は限られる。それでもこれだけの抑制効果があるのである。まして、加州のように、単一保険を導入しようとすれば、その交渉力は圧倒的となる(「Topics2007年3月1日(3) 三たびSB 840(CA州皆保険法案)」参照)。保険会社だけでなく、医療機関も警戒する所以である。
上記sourceは、New York TimesとCBSの電話による世論調査の結果である。簡単にまとめてしまうと、ということである。
- 多くの国民が、無保険者問題は重大な課題であり、全ての国民が医療保険に加入すべきと考えているものの、
- 連邦政府がその役割を負うべき、と考えている人は半分程度しかない。
相変わらず、自分の負担増は嫌だと考える国民が根強く残っている(「Topics2004年1月16日(2) 医療保険への選挙民の関心」参照)。州レベルであれば、皆保険(=負担増)は構わないと考えているのか、もう少し掘り下げた調査が欲しいところである。
こうした国民の意識に、民主党大統領選候補者達は、どのように訴えかけていくのだろう。
アメリカ企業の医療保険提供状況について、EBRIが長期分析を行なっている。結論として、「アメリカ社会において、企業が提供する医療保険プランは依然として最も一般的である」としているが・・・。
ポイントを丁寧に追ってみよう。特に断りのない限り、数字は18-64歳のもの。これらから気付いた点を3つ。
- 勤務先の保険プランに加入している加入者割合(Participation Rate)は、2005年で61.8%。
※1988年以降で最低。
- 医療保険プランを提供している企業に勤める勤労者の割合(Sponsor Rate)は、80.9%(2005年)。1988年以降、上下はあるものの、大きく下がっているわけではない。
※ただし、2005年は最低値。
- 加入資格者割合(Eligibility Rate)は、2005年で74%。1988年以降、74-78%の間で推移している。
※2005年は最低値に近い。
- 加入資格のある者で実際に医療保険プランに加入している割合(Take-up Rate)は、2005年で83.5%。1988年の87.9%から徐々に低下してきている。
- 加入資格を得られない最大の理由は、パート社員、契約社員というのが増えている。特に、パート社員が増えている。
- また、加入資格があるのに加入しない理由としては、@配偶者の医療保険等別のプランでカバーされている(62.2%)、A加入に伴うコストが高すぎる(22.7%)となっている。特に、Aは、近年高まっている。
- 総体として企業の医療保険プランが大きなウェイトを占めていることはわかるが、上記1.〜4.を見ればわかるように、その地位はかなり危うい。
- 上記5.〜6.は、無保険者の増加の一因となっていることは間違いない。
- このような状況にある中で皆保険に少しでも近づけるためには、企業が医療保険プランを提供するよう義務付けるだけでは足りない。従業員側、個人にも何らかの支援措置を設けなければならないだろう。その意味で、所得に応じた支援措置提案(「Topics2007年2月27日 全米病院協会の皆保険提案」参照)は、説得力があると思う。
先に、経営幹部報酬の是非を株主総会で投票に付すよう求める法案が提出されたことを紹介した(「Topics2007年3月4日 経営者報酬監視強化法案」参照)。これは民主党の人気取り政策で、それほど勢いがつくとは思えなかったのだが、実は、連邦議会が動き出す前から、もっと根深いところで要望が出されていたようだ。
そうした勢力の一つが、"activist shareholders"と呼ばれる個人投資家。彼らは、株主還元が少ないのに経営者は多額の報酬を得ているとして、経営者報酬の株主投票を求めている。最近は、このブログが有名だそうだ。
もう一つの勢力は、海外(米国外)の機関投資家である。特に、欧州では、経営者報酬の株主投票は当たり前、ということらしい。
上記sourceによると、アメリカでは、株主投票に付すべき事項は各州法により定められており、連邦政府、つまりSECは、株主投票に関連する手続きや開示に携わるのみである。ところが、昨年、連邦控訴裁判所が、株主投票に付すべきという訴えを支持したことから、この流れに勢いがついたようだ。
SECは、これまで明確な判断を避けてきたが、来週、Cox委員長が全米商工会議所で講演を行なう予定にしており、そこで何らかの方向性が示されるのではないか、との観測も出ている。
経営者側としては、@株主総会が混乱する、A"activist shareholders"との裏取引が横行する、などの理由を挙げて反対しているそうだ。
経営者の報酬について、株主投票に付すよう求める法案が提出された。"Shareholder Vote on Executive Compensation Act"(H.R. 1257)である。
ポイントは次の2点。どちらも投票結果に強制力はない。先に導入されたSECの開示強化をさらに一歩進めることを意図したものである(「Topics2007年2月18日(1) 開示強化に抜け穴」参照)。報酬開示強化の方向性は収まりそうもない。
- 経営者報酬について、株主投票に付す。
- 買収交渉中に新たに導入された"golden parachute"について、株主投票に付す。
1日、The Employee Free Choice Act (EFCA)(H.R. 800)が、下院で可決された。共和党から13人の賛成が出て、241vs185という結果であった。
同法案は、労働組合の結成をより容易にする、企業側の不当な妨害を排除する仕組みを強化することを目的としている。
当然、組合関係は歓迎しているが、全米商工会議所は、「却って従業員の権利を侵すことになる」として、強い反対を表明している。
また、組合の設立を回避しようとするのは、大企業よりもむしろ中小企業であることから、先の最低賃金引上法案(「Topics2007年2月18日(2) 最低賃金引き上げがほぼ確定」参照)と同様、中小企業への配慮が必要との政治判断が行なわれる可能性がある。
今後の見通しだが、上院で同様の法案が審議されておらず、下院から送付された時点から議論が始まると思われる。また、仮に上院で可決されたとしても、Bush大統領は拒否権を発動するとみられることから、成立には至らないと思われる。
ジェネリックの価格は、ブランド医薬品の価格の40%にまで下がる場合がある。従って、医療費を抑制したい連邦政府にとって、ジェネリックの普及は重要な課題となってくる。
しかし、ジェネリック・メーカーにとっての政策課題も大きい。
その第1が、新薬レビュー時の拠出金構想である(「Topics2006年11月22日(2) FDA改革第一弾」参照)。Bush大統領の予算教書によれば、2008年で約$16Bの収入を見込んでおり(「Topics2007年2月6日(1) 2008年度予算教書」参照)、ジェネリックを出せば出すほど、コスト増となる。
第2が、今日のお題である『ブランドメーカーのジェネリック』である。英語では、"authorized generic"と呼ばれている(以下『AG』)。ブランド品の特許が切れると同時に、ブランド品メーカーは、子会社等により、『AG』を市場に投入する。もともと特許を有していたメーカーの子会社が作ったジェネリックだから安心でしょ、という訳だ。しかも、当然、従来のブランド品よりは安くなるのだから、消費者にとってはお得感があり、競争力がある。
FDAは、
@オリジナルのブランド品の特許が切れた場合、または
Aジェネリックメーカーが特許が無効であることを証明した場合
に、ジェネリックを承認する。
最初にジェネリックを上市できれば大きな利益が得られるため、ジェネリックメーカーは、かなりの時間と資金を使って、特許の無効性を証明しようとする。しかも、それが成功すれば、6ヵ月間は独占的に販売できるのだから、インセンティブもある訳だ。仮に証明ができなくても、特許が切れればジェネリックは出せる。
ところが、ジェネリックメーカーがジェネリックを上市しようとすると、すぐさまブランドメーカーが『AG』を投入してくる。ある試算では、『AG』の投入により、ジェネリックメーカーの利益が59%も減ってしまうという。これでは、ジェネリックメーカーが特許に立ち向かおうというインセンティブがそがれてしまう。ジェネリックメーカーにとっては、目の上のたんこぶ以上に邪魔な存在ということになる。
こうした事情を受けて、民主党が中心となって、『AG』を禁止する法案を提出した。ジェネリックの促進、ブランド品の狙い撃ちは、まだまだ続くようだ(「Topics2007年2月15日(2) ブランド品メーカーを狙い撃ち」参照)。
Goodyearが大幅なベネフィットの見直しを行なう。工場労働者、ホワイトカラー両方にまたがるものであり、注目に値すると思う。同社プレスリリースより、概要をまとめておく。
- 工場労働者(2006年12月29日発表)
(交渉相手は、United Steelworkers, USW)
- 過剰設備の廃棄
- 2007年12月31日以降、テキサス州Tyler工場を閉鎖する。
- 2008年末までに1,500万〜2,000万本の生産能力を削減することとしているが、Tyler工場の閉鎖により、1,400万本の生産能力削減が実現する。
- レガシーコストの削減
- USW退職者の退職後医療プランをすべてVEBA信託に委託する。
- Goodyearの拠出額は$1B。少なくとも$700Mは現金で拠出し、残りは、企業側の選択により、現金または株により拠出する。
- これにより、Goodyearの支出は年間$110M削減できる。
- USW従業員に関する年金以外の退職給付債務は完全になくなる。この部分は、企業全体の退職給付債務の半分以上に相当する。
- 生産性の向上
- 新規採用者については、当初3年間、賃金・ベネフィットを抑制する。
- 生産性向上のインセンティブを設ける。
- 今後3年間で、北米工場の近代化に$550Mを投資する。
- その他
- 利益の中から、2009年に最大$25M、2010年に最大$30Mを分配する。
- 年金関係サービスの合理化、コスト抑制を図る。
ホワイトカラー(2007年2月28日発表)
- 医療・保険
(2008年1月1日以降)
- 退職者医療プラン加入者の負担を増加する。
- 保険料抑制のため、退職者医療プランを変更する。
- 退職者医療プラン新規加入者から、Medicare付加給付を廃止する。
- 退職者に関する生命保険(企業負担)を廃止する。
- これらにより、年金以外の給付債務を$525M削減できる。
- 年金プラン
- 2008年12月31日付けで、ホワイトカラー向けDBプランを凍結する。
- 2009年1月1日付けで、401(k)プランを拡充する。
- 2009年1月1日より、401(k)プランに、年俸の4%を上限として50%のマッチング拠出を導入する。
- これらにより、年金給付債務を$100M削減できる。
年金プラン見直しの主な理由
- 大企業が雪崩をうってDBからDCに移行している。
- PPAの成立により、伝統的なDBプランからの移行を余儀なくされている(「Topics2006年9月4日 2007年はDB凍結続出?」参照)。
収益への影響(収益の改善)
また一つ、DBプランの凍結企業が出てきたわけだ(Pension Rights Center)。
2007年 2008年 2009年 工場労働者関係 $70M $240M $300M ホワイトカラー関係 $80-90M $100-110M $80-90M
ここで注目しておきたいのは、USWとの交渉により、退職者医療プランをそっくりUSW運営の信託に移管したことである(上記1.A「レガシーコストの削減」)。これにより、企業側は給付債務に見合う資金を一時に拠出してしまい、将来の給付債務の発生を回避することができることになる。
レガシーコスト一掃の方策として、かなり有効である。実は、GMについても、同様の手法が検討された形跡がある。しかし、Fitchは、
@給付債務が莫大であること
A資金調達上の制約が大きいこと
から、同様の合意は得られないだろうと判断している(Detroit News)。
投資家からは、一定の評価を得ているようだ。 ⇒ Goodyear株価 (直近5日間)(最近1年間)
一度、アメリカの労働市場全体を俯瞰したレポートを書いてみたいな、と思いながら、年月が経ってしまっていた。上記sourceは、「最近の」と冠がついてはいるものの、かなり長いレンジで、雇用市場のマクロ的な変動を見事に描き出している。その中で、アメリカ企業がどういう雇用戦略をとってきたのか、また、その結果に関して問題視されている課題は何なのか、を丁寧に説明している。アメリカ労働市場についてマクロ的なイメージを持っていただくために、是非一度お読みいただきたいと思い、ここに掲載させていただいた。
当websiteへの掲載にあたって、土肥原様にはご快諾をいただき、誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
正直言って、本件は上記sourceを見るまで忘れていました。EEOCが「65歳に達した退職者に関するベネフィットを削減もしくはなくすことは合法である」というルールを打ち出そうとし、AARPがそれを阻止するために提訴したのがもう2年前である(「Topics2005年2月16日 Erie事件は依然未決着」、「Topics2005年2月25日(1) EEOCの反論」参照)。
いくら裁判社会だからといって、いくらなんでも決断が遅すぎないか。実社会は、どんどん変化していってしまう。
2月23日、CA州で、SB 840(加州皆保険法案)が再提出された。これで三度目である。この法案は、昨年、議会で可決したものの、シュワ知事が拒否権を発動して成立しなかった(「Topics2006年9月10日 加州知事が拒否権発動」参照)。
同法案の支持者の中には、シュワ知事が頼みとしている、上院majority leaderのSen. Don Perata(「Topics2006年12月26日(2) シュワ知事の最優先課題 」参照)と、下院議長Speaker Fabian Núñez(「Topics2007年1月9日 シュワ知事の提案」参照)も名を連ねている。
今回、SB 840が再提出された最大の要因は、シュワ知事提案が保険会社優遇になっているとの批判(「Topics2007年1月11日 シュワ知事提案への反発」参照)が強いことだ。SB 840の最大の特徴は、単一プランにすることであり、保険会社は一掃されてしまう可能性が高い(「Topics2006年9月7日 加州皆医療保険法案の行方」参照)。
つまり、加州議会を握る民主党は、『保険会社』を対立軸として浮かびあがらせ、今後の州知事との話し合いに臨もうということである。シュワ知事は、一度拒否権を発動しているだけに、議会との対話においてはかなり難しい状況に追い込まれたようにみえる。
2006年、CEO達が行使しなかったストック・オプション(SO)の価値が大きく上昇した。それも、株主への還元率でみて業績の高い企業ほど、CEOのSOの価値増加割合が高い。つまり、経営者報酬は業績連動の度合いを高めているということだ。
専門家のコメントを2つ紹介しておく。
- 経営者報酬の適正水準について議論の余地はあるが、業績連動報酬はうまく回っているといえる。
- 開示制度が変わったため、経営者報酬の変更が多いと思われる。その一環で、SOから制限条項付株式への移行が進むだろう。(Workforce.com)