9月10日 加州知事が拒否権発動 Source : Governor Schwarzenegger Announces Veto of Government-Run Health Care System

加州議会が可決した皆保険法案(「Topics2006年9月7日 加州皆医療保険法案の行方」参照)に対し、5日、シュワ知事は、あっさり拒否権を発動した。

拒否権発動自体は、予想通りなのだが、上記statementで、州政府が運営する皆保険プランに対して反対する理由がいくつか述べられているので、まとめておきたい。
  1. 官僚主義的な保険プランとなり、州政府、個人、企業に新たな負担を求めることになる。それは、企業に医療保険プランの提供を義務付けようとした法案(SB2)(「Topics2004年2月3日(2) カリフォルニアの医療保険法」参照)と同様である。

  2. 医師、医療機関を選択する権利を抑制する。待ち時間が長くなる。負担も重くなる。
こうした主張は、共和党支持者によく見られるものである。しかし、私がアメリカで経験した限り、アメリカの方が予約をしなければならない分待ち時間は長いし、コストも高いと思う。また、医療機関の選択も、アメリカの保険会社の制約は厳しく、そうそう勝手には選べない。ここら辺の感覚の違いが解消されない限り、州政府が単一の保険プランを運営するという構想は、理解を得られないであろう。

9月7日 加州皆医療保険法案の行方 Source : California lawmakers pass single-payer system (Business Insurance)

以前紹介した加州皆医療保険法案(SB 840, Single-payer health care coverage)(「Topics2005年6月2日 加州皆医療保険法案 」参照)は、その後、改訂が重ねられ、8月28日州下院(45 vs 33)、8月31日州上院(24 vs 13)で可決された。

同法案は、州内の民間保険プランを廃止するとともに、公的医療保障制度(Medicare、Medicaid)を統合して、州政府が運営する単一保険プランを施行するというものである。保険業界は、「こんな法案が州議会で通るわけない」と、たかをくくっていたようで、かなり狼狽しているようである。

州議会は、1年あまりをかけて修正を重ねてきたことになる。それほど、州議会には、成立にかける執念があると言えるだろう。このままシュワ知事が何もしなければ、9月中の自然成立となる。しかし、上記sourceによれば、シュワ知事は、「政府による単一保険制度には反対」との意向を持っていると言われており、いずれかの段階で、拒否権が発動されるものとみられている。

ここでも、皆保険構想を巡って、共和党(シュワ知事)対民主党(州議会)の構図ができあがっている。9月中の州知事拒否権発動の影響は、当然、中間選挙にも及ぶものと思われる。

9月4日 2007年はDB凍結続出? Source : Blount International announces changes to U.S. Retirement Plans (Blount International)

当websiteで紹介した、Tenneco社(「Topics2006年8月24日(3) PPAへの最初の反応」参照)、DuPont社(「Topics2006年8月29日 DuPontも・・・」参照)より以前に、Blount International社が、DBプランの凍結、DCプランへの移行を公表していた。

大統領署名(「Topics2006年8月18日(4) PPAに大統領署名」参照)以前ではあるものの、両院可決、大統領署名意向表明後(「Topics2006年8月8日(1) Bush大統領は署名の意向」参照)であることから、PPA成立への対応とみておいてよいだろう。

こうした企業側の初期反応に対して、専門家はどうみているのか。

主に大企業の意見を代表するABCは、『これらの反応は、氷山の一角であり、2007年にはDBプランを凍結する企業が続出するだろう』としている。また、従業員サイドに立つPRCも、『PPAは、企業がDBプランを停止するのを喰い止める、またはDBプランにとどまるよう誘導するには、何の役にも立たない』と酷評している(LA Times)。

もちろん、PPAの内容が厳しいと言うこともあるが、それに加えて、FASBが年金会計の見直しを進めつつあることが大きな影響を及ぼしている(「Topics2006年7月14日 PBOで決定」参照)。

9月1日 FDAからの警告 
Source : FDA Warns Consumers Not to Buy or Use Prescription Drugs from Various Canadian Websites that Apparently Sell Counterfeit Products (FDA)

FDAからの警告内容は、ずばり、上記sourceのタイトル通りである。FDAは、水際で没収したカナダからの輸入処方薬を検査したところ、内容物に問題があることがわかったとしている。しかも、どのwebsite経由で発注された処方薬なのかまで明らかにしている。

これはもう、連邦議会に喧嘩を売っているとしか思えない。連邦議会は、「税関で輸入処方薬を没収することを禁止する」法律を可決している(「Topics2006年7月13日(2) 処方薬輸入解禁?」参照)。国民の間で輸入処方薬の人気が高まっていることに対応したものである。

実際、輸入処方薬解禁に対する国民の支持率は高い。ある世論調査結果は、次のようになっている(Kaisernetwork)。

  1. 3分の2が、輸入処方薬禁止策を、製薬会社の利益擁護のためと考えている。安全管理のためと考えているのは9%。

  2. 4分の3以上が、税関での輸入処方薬の没収は、国民の健康に悪影響を及ぼすと考えている。

  3. 84%が、カナダ政府当局の認可を受けていることを条件に、カナダからの処方薬輸入を認めるべきと考えている。