2月5日に予算教書が公表される。そこに、Medicareの見直しが盛り込まれるとの見込みである。
見直しのポイントは、という、極めて現実的な提案である。
- ミーンズテストの強化
- 処方薬コストの予測見直し(下方修正)
ではなぜ予算教書かというと、先にBush大統領が打ち出した、2012年の財政赤字ゼロ目標と減税措置の恒久化を手当するための財源を捻出するためである。上記sourceによれば、これらの見直しにより、年間数100億ドルが浮いてくると見られている。
施行細則の詰めが遅れているMA皆保険法(「Topics2006年11月6日(2) MA皆保険法適用が半年遅れ」参照)だが、保険に加入していることを証明する書類のフォームが決定、公表された。
フォームは2種類あり、一つは事業主提出分、もう一つは、従業員で事業主が提供する医療保険プランに加入していない場合の提出分(フォーム)である。
今後は、9月30日時点での現状把握、11月15日までのフォーム提出というスケジュールで流れていくことになる。
特別扱いとなるのは、"Employee Leasing Companies"である。定義を見ている限り、日本では請負業に当たると思われる。請負業で契約先の代わりにフォームを提出する場合には、契約先ごとにフォームを提出しなければならないとしている。また、短期の派遣業については、この特別扱いは適用されないこととなっている。
先進諸国の医療支出の状況を、OECD統計で比較したものである。ざっくり言って、アメリカの一人当たり医療支出は、他の先進諸国と比較して、水準は抜群に高いものの、伸びはかなり抑制されている、とみてよいだろう。
8日、上記sourceの通り、シュワ知事が皆保険制度の提案を行った(オリジナルはここ)。もちろん、これは長い議論の始まりであり、シュワ知事も認めている通り、これらに対する様々な意見表明が行われ、議会での法案審議につながっていく起点である。
シュワ知事の提案概要は、次の通り。
- 全州民の義務
- 最低限の保険に加入する。
- 健康を保つ。州知事は、総合的な健康予防策のガイドラインを提供する。
- 政府の役割
- Medi-Calに対する連邦政府の償還額を増額し、医師、医療機関に対する支払いを$10-15B増額する。
- 新たな保険プールを創設し、低所得家族でも医療保険を加入できるよう、補助する。
- Medi-Calの適用を貧困成人に拡大するとともに、所得$60,000未満の家庭のすべての子供たちが保険に加入できるよう、Healthy Families/Medi-Calを拡大する。
FEIとは、アメリカ企業のCEO、CFOが集まった団体である。その団体が、2007年の財務関係の課題として、上位10項目をまとめたのが上記sourceである。
当websiteでも紹介している事項として、第1位「内部統制」(「Topics2006年11月22日(1) Principle-base会計基準へ」参照)、第3位「XBRL」(「Topics2006年12月12日 XBRLがもたらす影響」参照)、第8位「退職給付会計」(「Topics2006年10月3日 FAS 158」参照)が挙げられている。
2007年は、やはりこうした事項に注目していかざるを得ないようである。
参考までに、ここ3年間の10大事項の変遷をまとめておく(「Topics2005年1月6日 CFOの10大関心事」、「Topics2006年1月11日(1) 2006年CFOの10大関心事」参照)。
− 2005 2006 2007 1 Stock Options Stock Options Internal Controls 2 Internal Controls Uncertain Tax Positions Uncertain Tax Positions 3 Revenue recognition Business Combinations XBRL 4 Uncertain tax positions Fair Value Fair Value 5 Unremitted foreign earnings Materiality Servicing Assets and Liabilities 6 Business Combinations XBRL Complexity 7 Inventory costs Earnings Per Share Derivatives 8 Off-balance-sheet arrangements disclosures Conceptual Framework Pension 9 XBRL Complexity Earnings per Share 10 MD&A guidance Pension Business Combinations
こうしてみると、内部統制(再登場)、XBRL、公正価値(Fair Value)、複雑な会計処理、年金といった事項への関心が高まってきているようである。他方で、Stock Optionsについては、一応の決着がついたとして、関心度合いが一気に低下したようだ。
シュワ知事の医療保険改革提案は、正式には来週行われる。上記sourceは、その提案内容について、側近からの情報をまとめたものである。いずれも正確な内容までは明らかになっていないようだが、「子供の無保険者をなくす」ことが含まれていることは間違いないようだ。
その際、焦点になるのが、不法入国者の子供達まで対象とするかどうかだが、どうもシュワ知事は、そこまで含めて対象にしようということらしい。これまでの経緯からいけば、加州議会共和党は、不法入国者の子供に対して公的保障プログラムを適用する反対のはずである。
加州議会共和党は、上下院ともminorityだが、新たな公的財源が必要となる場合には、議会の3分の2の賛成が必要となるため、共和党のサポートの有無が重要なポイントとなる。シュワ知事としては、不法入国者の子供に対して公的保障プログラムを適用することに関して、予め共和党の支持を取り付けておくか、それができないのであれば、新たな公的財源が必要とならないような制度設計を用意しておく必要がある。その場合には、他のプログラムの財源を回すか、州民の税金以外の負担(例えば免責額、自己負担の引き上げなど)を求めることが必要になる。
シュワ知事の政治決断が求められているようだ。