2月25日(2) 加州年金改革がヒートアップ Source : Schwarzenegger, Unions Clash Over Pension (Washington Post)

シュワ知事は、加州年金改革に本格的に乗り出す決意を表明している(「Topics2005年1月25日 加州医療・年金改革案」参照)。これに対して、CalPERSCalSTRSを中心に、州政府、自治体職員の間に反発が高まっているようだ。

こうした反発は、当然想定の範囲内であり、シュワ知事がそれで手綱を緩めることはないようだ。

上記sourceを読んで、備忘録的にまとめておきたいことを列記する。

  1. 1月初めに行った世論調査で、60%がシュワ知事の提案への支持を表明してる。これは、アイディア段階としては、かなり高い支持率と思われる。今後の州民の支持の動向も、重要な鍵となろう。

  2. 他州でも、州政府職員等の年金プランについて、確定拠出型の導入が試みられている。

    1. 新規採用者から確定拠出プランを強制適用
      West Virginia、Michigan、Nebraska (ただし、Nebraskaは、加入者の投資行動が保守的過ぎるとの理由から加入を中止している)

    2. 任意加入の確定拠出プランを用意
      Colorado、Florida、Montana、North Dakota、Ohio、South Carolina

    3. ハイブリッド型に移行
      Oregon:州政府拠出は確定給付へ、職員拠出は確定拠出へ。

  3. シュワ知事は、確定拠出への拠出額を給与の2%にすることを目標にしている。

2月25日(1) EEOCの反論 Source : DEFENDANT’S OPPOSITION TO PLAINTIFFS’ MOTION FOR PRELIMINARY INJUNCTION

Erie事件の解決施策について、AARPから待ったをかけられたEEOCが、上記sourceのような反論を、裁判所に提出した(「Topics2005年2月16日 Erie事件は依然未決着」参照)。特にコメントはないが、事件の概要からEEOCの提案に至るまでの経緯、議論の背景がまとめられているので、参考になる。

2月24日 ワシントン州下院がカナダからの輸入を承認 Source : Washington State House Approves Prescription Drug Reimportation Legislation (Kaisernetwork)

以前から、ワシントン州は、カナダからの処方薬再輸入に積極的であった(「Topics 2003年2月21日 製薬会社へのボイコット運動」参照)が、その方針を州法レベルでも確立しようという動きである。上記sourceによれば、同州下院が可決した法案のポイントは、次の2点。
  1. Uniform Medical Planに加入している州政府職員等が、カナダから処方薬を購入した場合、金銭的なインセンティブ(例えば、所得控除、自己負担の減額)を提供する。

  2. 州政府が昨年立ち上げたwebsiteに法的な認可を与え、州民がオンラインによりカナダから処方薬を購入することを奨励する。ただし、これについては、FDAの認可を条件とする。
Bush政権、連邦議会は、処方薬の再輸入については、完全に冷え切ってしまっている(「Topics 2004年12月10日(1) 処方薬再輸入議論は沈静化」参照)。こうした、州レベルでの地道な前進が必要なのだろう。

2月23日 これからの税財政・社会保障と企業の対応 Source : 「これからの税財政・社会保障と企業の対応」(PPT)

本日、長野県経営者協会というところで、講演してきました。上記sourceは、その際に使用した資料です。受益と負担のアンバランスと将来見込み、Bush大統領の公的年金改革案の意義などについて、説明しました。「考察・コメント」のコーナーにも掲載しています。

2月21日 AFL-CIOの行方 Sources : Unions Support Plan to Cut A.F.L.-C.I.O. Contributions (New York Times)Hotel Union Chief Eyes Bid to Lead AFL-CIO (Washington Post)

今年後半、AFL-CIOの4年に1回の総会が開催される。それに向けて、加盟労働組合が、大きな動きをしようとしている。
  1. AFL-CIOへの拠出金の半減

    各労働組合としては、拠出金を減らして、各自のメンバーを増やす活動に振り向けたいということらしい。逆に言えば、メンバーが減少して、各組合の活動の維持さえ覚束なくなってきており、センターにまで拠出する余裕はなくなっているということなのだろう。そうなれば、AFL-CIOもスタッフを削減したり、活動範囲を限定するなど、活動縮小に追い込まれる。労働組合がレイ・オフをしなければならなくなる。

  2. 会長の交代

    10年続いた現職のJohn J. Sweeney会長が、さらに4年の続投を狙っているとの話が浮上したため、Sweeney会長の調整型路線に反対する労働組合代表達が、反対の意向を示し始めた。

上記sourcesから、これら2つの動きについて、賛成の意向を示している労働組合をまとめておく。

労働組合名
拠出金の半減会長の交代
Teamsters
Service Employees International Union
Unite Here
United Food and Commercial Workers
 
Laborers' International Union
 
United Auto Workers
 


上から5つの労働組合だけで、AFL-CIO加盟労働者数は約500万人にのぼり、全体の40%近くを占めることになる。

ちなみに、2004年の労働組合加入率は、12.5%(民間部門7.9%、公的部門36.4%、労働省統計)であり、減退傾向はまだまだ続いている(拙稿「アメリカの労働組合の現状(未定稿)」(2002/12/12、PDF)参照)。