Source : | BLS revision shows annual hiring was overstated by 911,000 jobs (NPR) |
9月9日、BLSは、2025年3月時点での暫定基準値を公表した(News Release)。ポイントは次の通り。毎年決められた見直し(精査)とはいえ、大きな下方修正である。トランプ大統領、バンス副大統領は怒り狂っているらしい。ただし、上記sourceで紹介されているように、ベッセント財務長官は、『80万人くらいの下方修正になるだろう』との見通しを示していた。そのうえで、『トランプ大統領は、見かけよりは相当悪い状況の経済を継承した。連邦準備委員会が政策金利を高止まりさせていることで経済を悪化させているという主張は正しい』と、冷静な判断を示している。ベッセントが大統領になればいいのに。
- 2025年3月の暫定基準値は、既公表値よりも91.1万人(-0.6%pt)少ない。
- 今回の暫定値は、主に各州の失業保険関係の統計から算出された。
- 最終値は、2026年2月に「1月の雇用統計」とともに公表する。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Why some longtime gerrymandering opponents are reconsidering their strategies (NPR) |
中間選挙に向けて選挙区見直しが活発になっていることは、既に言及した(「Topics2025年8月24日 TX州 vs CA州」参照)。上記sourceでは、これまで公平な選挙区見直しを訴えてきた団体が、その戦術を変更しつつあることを紹介している。それぞれのシンクタンクの立場がバラバラな方向に向かっているような印象である。
- Common Cause
- 2019年6月のの連邦最高裁判決が諸悪の根源、と主張してきた(「Topics2025年6月29日 最高裁:ゲリマンダリング判断不能」参照)。
- ところが、トランプ大統領が選挙区見直しを訴え始めた頃から、そのスタンスを変え始めた。
- これまでの党派色の強い選挙区見直しに一律に反対するのではなく、公平性の基準に見合った選挙区見直しには必ずしも反対しない(Position Paper)。
- League of Women Voters
- これまで、司法が選挙区見直しの基準を定めるべきだと主張してきた。
- 党派色の強い選挙区見直しには反対するものの、今回のCA州の選挙区見直し案については、立場を明らかにすることはしないと決定した(Press Release)。
- 次の中間選挙前の選挙区見直しにおいては、マイノリティへの権利が侵害されないよう、各州に訴えていくことに集中する。
- Center for American Progress
- これまで、選挙区見直しのために独立した超党派委員会の設立を主張してきた(Report)。
- しかし、今年8月、州内の党派支持割合に可能な限り近い議席数割合になるよう連邦一律の基準を連邦議会が定めることが先決、との意見を公表した(Article)。
- FairVote
- 連邦議会下院選挙において、勝者総取りシステムから、一つの選挙区から複数人を選出する(中選挙区制)システムに移行すべき。
連邦議会民主党は、上記にあるような選挙区見直しに関する基準作りを試みてきたが、いずれも失敗している。 一方、共和党は、長期的な戦略(REDMAP, or the "REDistricting Majority Project")の下、着々と成果を挙げてきた。州知事、州議会選挙に注力することで、選挙区見直しで主導権を握ろうとするものである(「Topics2010年12月23日 Redistricting開始」、「Topics2018年8月8日 共和党の長期戦略」参照)。 バラバラな民主党、長期戦略の下で突き進む共和党。現状で優劣は明白だ。
※ 参考テーマ「政治/外交」
Source : | Under Trump, the Federal Trade Commission is abandoning its ban on noncompetes (NPR) |
9月5日、FTCは、自ら定めた「競業転職禁止規定廃止」ルールを廃止するとの方針を開示した(FTC Press Release)(「Topics2024年4月24日(2) FTC:競業転職禁止規定廃止を決定」参照)。同ルールを巡っては、企業が大反発しており、司法闘争が続いていた(「Topics2024年7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決」、「Topics2024年7月26日(1) PA州連邦地方裁はFTCを支持」参照)。今回のFTCの決定は、この司法闘争をやめ、ルール廃止の検討を行なうというものであった。
このFTCの方針転換は、FTCメンバー構成の変化によるもので、投票結果(3 vs 1)は、党派別にそったものであった。
今後、FTCがどのような理由でルール廃止を決めるのか、『競業他社転職禁止は、NLRA Sec.7違反である』との通知を出したNLRBはどうするのか、が注目点となる(「Topics2023年6月7日 NLRB:転職禁止はNLRA違反」参照)。もっとも、NLRB委員の指名審査は連邦議会上院で止まったままであり、これが承認されない限り、何もアクションは取れない(「Topics2025年7月22日 NLRB委員2名指名」参照)。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働組合」
Source : | Cracks in the U.S. economy: Job growth slows 75% from a year ago (NPR) |
9月5日、8月の雇用統計が公表された(BLS)。8月の雇用増はわずか2.2万人(「Topics2025年8月3日(1) 雇用増3ヵ月大幅減」参照)。6月の雇用者数はマイナスに下方修正された。
雇用者数は170.7M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。さすがのサービス業もゼロ近傍に近づいてきた。連邦政府職員数の減少は、年初からの合計で9.7万人に達した。製造業、建設業でもマイナスを記録した。失業率は4.3%に上昇(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。労働市場参加率は今月も62.3%に上昇したが、低下傾向は続いている。25~54歳の労働市場参加率は83.7%に上昇した(BLS)。労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は急上昇した。労働市場の需給が緩和し、就職が厳しくなると見始めている。長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、25.7%と、こちらも急上昇している。一方、外国人雇用者数は、わずかに上昇した。労働市場は買い手市場になりつつあるようだ(「Topics2025年9月4日 企業の採用意欲低下」参照)。![]()
FRED
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Executive compensation: 5 trends in 2025 to consider (HR Dive) |
上記sourceによると、S&P500社のCEOの報酬は、平均$17.7M(2023年)。1978~2023年の45年間に1,085%以上の増加(年平均6.26%増!)になっている。加えて、最近の幹部役員報酬の傾向を5点紹介している。※ 参考テーマ「経営者報酬」
- 株式報酬は広まっているものの、従業員にも普及しているため、かつてのような魅力とはなっていない。
- 受給権の賦与に必要な勤務年数が短縮化している。
- マクロ経済の不確実性が高まっているため、報酬に関わる成果を計測しにくくなっている。
- 報酬とESG進展の関係性が強まっている(ただし、これはトランプ政権復活後の状況は含まれていないものと考えられる)。
- 役員報酬に関する透明性の一層の強化と、報酬の受け手への教育が必要。
Source : | UNEMPLOYMENT INSURANCE WEEKLY CLAIMS (DOL News Release) |
9月4日、労働省は、8月30日の週の新規失業保険申請件数を公表した(「Topics2025年8月22日(3) 失業保険申請増勢続」参照)。やはり、労働市場の緩和が進んでいるようだ。
- 週末が8月30日の週の新規失業保険申請件数:23.7万人。上昇トレンドが続いていることが確認できる。
Federal Reserve Bank of St. Louis- 週末が8月9日の週の継続失業保険申請件数:194.0万人。こちらは少し伸び悩んでいる感じ。
Federal Reserve Bank of St. Louis
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Employers say their employees are prepared for retirement, but workers aren’t so sure (HR Dive) |
8月27日、金融に関する企業、従業員を対象とした金融に関するアンケート調査(PNC Bank's third annual Financial Wellness)の結果が公表された。その中で、退職後所得に関する項目があったので、まとめておく。※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「公的年金改革」
- 従業員が退職後所得を充分に備えているかどうかを聞いてみると、多くの企業側が「備えている」との感触を持っている一方、従業員側はそれほどまで自信を持っているとは言い難い。
- このギャップが生じる理由として、コミュニケーションの室の問題が挙げられる。
- 従業員が考える退職年齢は、「65歳以上」がほぼ半分に迫っている。
Source : | Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS) |
9月3日、BLSが、7月末の求人数を発表した。7月末の求人数は718.1万人で、前月比2.7%の減少となった(「Topics2025年7月30日(1) 労働需給は緩和方向」参照)。労働力人口に占める求人数の割合は4.3%に低下。新規雇用数は530.8万人と前月比若干の増加となった。失業者数/求人数は、1.0に回復している。7月の自発的失業(Quits)は320.8万人とほぼ横ばい。Quits level, Total nonfarm - 2019~2025年アトランタ連銀による時間給のデータは、4月も前年比4%台ぎりぎりで概ね収束しており、低下傾向が続いている。
Quits level, Total nonfarm - 2007~2025年
転職しても職に留まっても報酬の伸び率が同じということは、企業側の雇用意欲が強くなく、労働者もそれを感じ取って積極的に動こうとしていないことを示している。
Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | What HR pros need to know about AI in the workplace (HR Dive) |
上記sourceは、人事部門とAIを巡る課題をテーマとしたレポートを集めたものである。アメリカ企業でAI、生成AIの導入は進んでいるものの、その活用方法、特に人事部門における活用については、まだ手探りの状況のようである。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
労働組合は、とっくに目覚めていた(「Topics2025年9月1日(1) 団体交渉権剥奪対象追加」参照)。次は、最近のAFL-CIOのPresidentによる発言である。少なくともAFL-CIOは、トランプ大統領とは訣別したようだ。
- "The State of the Unions - the State of Working People in this country - is under attack."
- Labor Dayに向けたコメント
- "This is how President Trump is commemorating Labor Day: continuing his administration’s all-out attack on workers and unions. This new executive order once again distorts the law by ripping away the collective bargaining rights of federal workers in an attempt to silence their voices on the job."
- 団体交渉権大統領令に関するコメント
- "By every measure, this has been the most hostile administration to workers in our lifetimes," AFL-CIO President Liz Shuler told me in an interview ahead of Labor Day. "Working people are really not feeling secure in this economy."
NPRインタビューを受けて
※ 参考テーマ「労働組合」、「政治/外交」
Source : | A fresh executive order aims to ban unions at more federal agencies (Government Executive) |
8月28日、トランプ大統領は、団体交渉権剥奪の対象となる連邦政府機関を追加する大統領令に署名した(「Topics2025年3月29日 連邦職員の団体交渉権除外」参照)。今回の追加対象となったのは、全部で6機関。今回の大統領署名は、Labor Day(9月1日)の前の週というタイミング。やはり、トランプ政権はアンチ労働組合なのだろう。労働組合側もそろそろ目覚めた方がよいのではないか(「Topics2024年8月20日 候補者達の労働政策スタンス」、「Topics2025年4月3日 団体交渉権大統領令への抗議」参照)。
- Department of Commerce
- International Trade Administration
- Patent and Trademark Office
- National Oceanic and Atmospheric Administration
- National Environmental Satellite, Data
- Information Service and the National Weather Service
- NASA
- U.S. Agency for Global Media
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | Half of workers say they got a job through a connection (HR Dive) |
アメリカ社会における職探しは、個人的なコネクション("コネ")が最重要ツールとなっている。上記sourceで紹介されているレポート(myperfectresume)のポイントは次の通り。コネは強力なツールであるものの、相互信頼がなければ実ることはない、ということか。
- 54%の労働者が、個人的または職業的なコネを通じて職に就いている。
- 職探しの際に最も役立つツールがコネであると考えている。
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- ただし、コネに頼る頻度はかなり低い。
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- コネを頼られた方も、信頼できる知り合いしか会社に紹介しようとしない。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」