7月9日(1) 企業と大学のコラボ
Source :College credit for working your job? Walmart and McDonald’s are trying it (NPR)
企業が、従業員へのネフィットとして、大学教育支援プログラムを提供する動きが広がっている。当websiteでも、そのような事例を紹介してきている。 上記sourceでは、WalmartとMcDonaldの例が紹介されているが、それらのプログラムでは、各企業内で受けた研修や実技習得を、対象大学での単位取得に繋げようとしている。読み返してみると、Walmartは、2010年から『これまでの就業経験によって、オンザジョブ単位を賦与する』との項目を設けていた。

こうした単位取得は、それぞれの関係者にメリットがある。 企業と大学が一体となって従業員のスキルを挙げようとすることが、このような仕組みを生み出したのだろう。

※ 参考テーマ「教 育」、「ベネフィット

7月9日(2) Roberts長官とBarrett判事
Source :Supreme Court's Roberts turns court to the right as Barrett emerges as a key player (NPR)
妊娠中絶の権利を認めたRoe v. Wade判決を連邦最高裁が覆したことから、民主党支持層を中心に、アメリカ社会の連邦最高裁に対する信認が低下している(「Topics2022年6月27日 Roe判決無効と企業対応」「Topics2024年6月24日 最高裁信任失墜」参照)。さらには、保守派の判事が共和党有力支持者から饗応を受けていたことが判明し、その信認は最低レベルとなっている(「Topics2024年6月11日(1) 最高裁判事の収入開示」参照)。

Supreme Court(GALLUP)
Roberts最高裁長官は、就任以来、連邦最高裁の判決において党派色で分裂することを回避しようと努力してきたことから、アメリカ社会からの信頼は厚いものがあった(「Topics2021年12月28日(1) Roberts長官への信頼」参照)。ところが、このRoe判決の結末でその努力を諦めてしまったのか、それ以降、右傾化が目立っている(「Topics2022年6月27日 Roe判決無効と企業対応」参照)。それに伴って、折角高まっていた長官への信頼感は大きく低下している。

Supreme Court(GALLUP)


No Top U.S. Government Official Earns Majority Job Approval(GALLUP)
そうした中、保守派とされながら、司法判断について独自性が目立っているのが、Barrett判事だと言われている。上記sourceで紹介されている法律学者の言葉によれば、『同判事は"a series of principles"を持っており、自らの政治的志向に合わない場合でもそれらを堅持しようとしている』と評されている。就任前の評判と通じるものがあるのかもしれない。その一方で、柔軟性も持ち合わせているとの評価もある(「Topics2021年7月8日 Barrett判事の評判」参照)。

Current Justices of the US Supreme Court (as of June 30, 2022)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
Amy Coney Barrett 01972-01-28 January 28, 1972 Donald Trump 02020-10-26 October 26, 2020 Notre Dame Law School
Katanji Brown Jackson 01970-09-14 September 14, 1970 Joe Biden June 30, 2022 Harvard
その最大の要因は、Barrett判事はワシントンDCでの経験が少ないからだとされている。他の判事は、若いころからWhite Houseや司法相での経験を積んでいる。一方、Barrett判事は、大学での仕事が長い。

彼女の最高裁判事としての将来は長い。どのような活躍をするのか、注目していきたい。

※ 参考テーマ「司 法

7月8日 労働需要は落ち着き
Source :US employers added a solid 206,000 jobs in June in a sign of continued economic strength (ABC News)
7月5日、雇用統計が公表された(BLS)。5月が21.8万人と大幅に下方修正されたため、6月の雇用増は20.6万人は若干減少ということになるものの、堅調さを示す結果となった。(「Topics2024年6月8日 労働需給はまだ強い」参照)。
雇用者数は158.6M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率はさらに上昇して、4.1%となった(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月62.6%と若干上昇した。
25~54歳の労働市場参加率は83.7%と、上昇傾向が続いている(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、大幅減少となった。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、22.2%と上昇した。
雇用需要はサービス業を除いて落ち着いてきたといえる。

※ 参考テーマ「労働市場

7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決
Source :A federal court temporarily blocks U.S. ban on noncompetes (NPR)
Federal Trade Commission(FTC)が定めて競業転職禁止規定廃止の施行日は、9月4日となっている(「Topics2024年4月24日(2) FTC:競業転職禁止規定廃止を決定」参照)。これに対して、FTCの越権行為であるとの訴えが出されていたが、7月3日、TX州連邦地方裁は執行差し止めを命じる判決を下した。これ以外にも、PA州で訴訟が起こされているという。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

7月4日(2) 医師会は競業転職禁止規定反対
Source :AMA backs effort to ban many physician noncompete provisions (American Medical Association)
全米医師会(American Medical Association)は、競業転職禁止規定廃止を支持している。競業転職禁止規定は、若い医師の技能改善に悪影響をもたらすばかりでなく、地域住民の医療アクセスをも阻害しかねない、というのがその理由である。

上記「Topics2024年7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決」のsourceでは、その事例が紹介されている。
  • 現在、競業転職禁止規定に署名している医師は、37~45%に達する。

  • 転職禁止先は、最大半径50マイル以内と定められている。

  • また、転職禁止期間は、1~2年間が一般的。

  • 仮に医師が現在の勤務先を離れたいと思った場合、現在の地域とは全く異なる地域に行かなければならなくなる。

  • そうなると、これまでその医師に診てもらっていた患者は、取り残されてしまうことになる。

  • こうして、地域住民の医療アクセスが制約されていく。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「人事政策/労働法制

7月4日(3) 処方薬高騰
Source :Prescription drug prices have surged almost 40% over the past decade (Fox Business)
処方薬の価格上昇が注目されている(「Topics2024年2月9日 医薬品を巡る状況」参照)。GoodRx社調査のポイントは、次の通り。
  1. 2014年からの10年間で、処方薬価格は37%上昇した。

  2. 2024年だけを見ても、処方薬に関わる自己負担は総額$21B、一人当たり$16.26にのぼる。

  3. 一人当たり免責額負担は、この10年間で、$917から$1,644へと、ほぼ倍増した。
※ 参考テーマ「医薬品

7月3日 求人数は若干増
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
7月2日、BLSが、5月末の求人数を発表した。5月末の求人数は814.0万人で、前月比2.8%増となった(「Topics2024年6月5日 求人数低下傾向」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は反転増となり、4.9%となった。
新規雇用数は575.6万人と、微増となった。
失業者数/求人数は、0.8で横ばいであった。
5月の自発的失業(Quits)は345.9万人と、ほぼ横ばいであった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2024年
こうした中、アトランタ連銀による時間給のデータ公表は止まってしまっている(Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker)。

雇用市場はパンデミック依然の姿に戻りつつあると言える。

※ 参考テーマ「労働市場

7月1日 LA County医療債務免除策
Source :Los Angeles County Approves Medical Debt Relief for Residents (KFF Health News)
Los Angeles County (CA)議会(Board of Supervisors)は、county住民の医療債務を買い取る方針を決定した。約80万人、$2.9Bの医療債務が買い取られ、消却される見込みとなっている。

実際には、かつて紹介したRIP Medical Debt(現在名:Undue Medical Debt)と提携して事業を進める予定だ(「Topics2022年8月19日(1) RIP Medical Debt」参照)。

この事業は、医療機関による医療費支援制度の拡充、医療機関による債権回収状況の確認(「Topics2022年12月22日(3) 医療機関の債権回収」参照)などと一緒に実施される。

地方自治体レベルでは、こうした医療債務買い取り策が広がりつつある(「Topics2024年2月16日(2) CT州医療債務免除提案」参照)。また、連邦レベルでも医療債務の実質軽減策が打ち出されている(「Topics2024年6月14日(1) 医療債務実質軽減案」参照)。

学費の次に、医療債務が国民の関心事項になりつつある。

まったく別の話だが、このLos Angeles County Board of Supervisorsのメンバーは全員女性だ。

※ 参考テーマ「医療保険プラン