6月8日 労働需給はまだ強い
Source :Hiring jumped in May but so did unemployment (NPR)
6月7日、雇用統計が公表された(BLS)。5月の雇用増は27.2万人と、市場の予測を大幅に上回る増加となった(「Topics2024年5月4日 労働需給は緩やかに緩和」参照)。
雇用者数は158.5M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率はさらに上昇して、4.0%となった(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月62.5%に低下した。
25~54歳の労働市場参加率は83.6%上昇し、上昇傾向が続いている(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、増加傾向が続いている。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、20.7%と上昇した。
雇用需要はまだまだ強いようである。

※ 参考テーマ「労働市場

6月7日(1) CA州:医療費総額目標設定
Source :California Becomes Latest State To Try Capping Health Care Spending (KFF Health News)
California州(CA)は、医療費総額の伸び率を抑制するため、目標値を設定することとした。所管するOffice of Health Care Affordability (OHCA)は、2024年4月、年間の一人当たり医療費の伸び率を3%にすることを検討していた。これに対して、CA州病院協会は、 などからなる意見書を公表した。

これを受けて、OHCAは、2025年3.5%、その後徐々に低下させ、2029年までに3%にすることを決定した。 CA州医師会(California Medical Association)も、病院会と同様の懸念を表明しており、医療関係者の理解を得られないまま、見切り発車となった形だ。

CA州のように医療費を総額管理しようとする試みは、他の州でも既に実施されている。National Academy for State Health Policy(NASHP)によれば、CA州を含めて10州にのぼる。

その先頭を切ったのが、Massachusetts(MA)州であった(「Topics2012年8月4日 MA州:医療費抑制法案」参照)。しかし、2022年のMA州一人当たり医療費の目標伸び率は3.1%であったが、実績は5.8%と大きく上回った。処方薬価格の伸びが大きかったためとのことだが、目標値設定だけではあまり効果がないような気がする。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「無保険者対策/MA州」、「無保険者対策/州レベル全般

6月7日(2) MLRは安定
Source :2024 Medical Loss Ratio Rebates (KFF)
上記sourceは、Medical Loss Ratioに基づく2024年の医療費返還額を推計したものである。2024年の医療費返還額の総額は、およそ$1.1Bとのことである。2012年以来2024年までの返還総額は、約$13Bに達しそうである。
2020年には$2.5Bに達したが、規模別市場の各保険グループのMLRは、このところ安定している。
つまりは、保険各社とも市場の特性を踏まえて、決してMLRのベンチマーク(個人保険・小規模グループは80%、企業保険は85%)を下回らないように保険商品を設計するようになったということだ(「Topics2020年3月20日 MLR規制は逆効果」参照)。

簡単に言ってしまえば、保険会社によるぼったくりはなくなったが、保険料抑制効果はなくなったということだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

6月5日 求人数低下傾向
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
6月4日、BLSが、4月末の求人数を発表した。4月末の求人数は859万人で、前月比3.5%減となった(「Topics2024年5月2日(2) 依然として売り手市場く」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合はさらに低下して、4.8%となった。
新規雇用数は564.0万人と、ほぼ横ばい水準であった。
失業者数/求人数は、0.8で横ばいであった。
4月の自発的失業(Quits)は350.7万人と増加した。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2024年
こうした中、4月の時間給のデータ公表は遅れている(Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker)。

求人数、自発的失業ともに減少傾向にあり、政策金利の高止まりはそれなりの効果を生み出していると思われる(「Topics2024年5月2日(3) 政策金利据え置き6回目」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

6月3日 在宅勤務率WA州が最高
Source :Washington has one of the highest work-from-home rates (Axios Seattle)
Washington州(WA)の勤労者のうち、週一回以上在宅勤務している割合(在宅勤務率)は37%と、全米で最も高くなっている。そのため、オフィスビルの空室率の上昇が続いており、それらを住居に転換することもうまくいっていない。都市部の様相が一変してしまっている。

この在宅勤務率を全米対象に調査したのが、FRB of Minneapolisである。その報告書によれば、全米の在宅勤務率は29%、WA州は37%となっている。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work