3月10日 共同経営者新定義敗訴
Source :Texas judge vacates joint employer rule (HR Dive)
3月8日、Texas州連邦地方裁は、NLRBによる共同経営者新定義は無効との判決を下した(「Topics2024年2月27日 共同経営者新定義再延期」参照)。これでしばらく施行はできなくなった。原告である全米商工会議所は、歓迎のステートメントを公表している。

一方、労働省(DOL)の独立契約者新定義については、3月11日に施行日を迎えるが、同じく司法判断を待つことになっている(「Topics2024年1月10日 独立契約者新定義公表」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

3月9日 雇用増落ち着きか
Source :US adds a surprisingly strong 275,000 jobs in sign of continued economic strength (ABC News)
3月8日、雇用統計が公表された(BLS)。2月の雇用増は27.5万人と、市場の予測を大幅に上回る増加となった(「Topics2024年2月3日(1) 雇用大幅増」参照)。なお、12月、1月の増加幅は、合計で16.7万人分下方修正となった。
雇用者数は157.8M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。上記sourceによれば、医療6.7万人増、政府・自治体5.2万人増、レストラン・バー4.2万人増、建設2.3万人増、小売業1.9万人増となった。
失業率は3.9%で若干の高まり(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。25ヵ月連続して4.0%を下回っており、1960年代以来のことだそうだ。
労働市場参加率は今月62.7%に上昇。
25~54歳の労働市場参加率は83.5%とわずかに上昇(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は僅かに減少した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、18.7%と大きく減少した。
雇用増加が強いながらも少し落ち着いてきている一方、物価も落ち着きつつある(「Topics2024年2月15日(1) CPI3%近傍」参照)。安心して政策金利を引き下げられる環境になってきた。

※ 参考テーマ「労働市場

3月7日(1) IBM:DCからCBへ
Source :Why Did IBM Reopen Its Defined Benefit Plan? Will Others Follow? (Center for Retirement Research)
昨年11月、IBMは、2024年1月からDCプランへの拠出を停止し、Cash Balanceプラン(CB)である"Retirement Benefit Account(RBA)"に移行することを公表した(「Topics2006年1月10日(2) IBM DBに訣別宣言」参照)。

2023年までのDCプランへの拠出率は次の通り。 2024年1月以降の拠出額は次の通り。 RBAのCBプランとしての保証運用利率は、次の通り。 2023年、IBMは、凍結していたDBプランの年金債務を$16Bを保険会社に移行してしまった(CNBC)。債券利回りが急上昇し、年金債務を減額できたからだ(「Topics2023年2月3日(4) DB一時金払いの好機」参照)。お蔭で、IBMの手許には、DBプランの積立超過額$5Bが残った。一方、従来のDCプランへの拠出額は年間$530Mであった。IBMとしては、手許の$5Bを10年間にわたってRBAに拠出することにすれば、今後10年間はキャッシュフローを約500M分改善することができる。資金繰りに年間$500Mの余裕ができるということになる。

従業員側からすれば、少なくとも最初の3年間は高利回りが保証される。ただし、2027年以降は、今のDCプランでの運用よりも高い利回りになるかどうかは不明だ。むしろ、かなり保守的な運用となるため、利回りはかなり低下することになろう。

では、IBMに続いてDB/CBプランを復活させる企業が出てくるかどうか、上記sourceは分析している。必要な条件は、巨額の積立超過額があることと、DCプランへの年間拠出額が大きいことがポイントになるとしている。
上記sourceは、上表に掲載されている金融機関は、その可能性があるとしている。一方、GM、Fordは積立超過額が少なく、DB/CBプランに移行することはないだろうと判断している(「Topics2024年3月6日(2) 終身年金への憧れ」参照)。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン

3月7日(2) 転職組は依然強気
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
3月6日、BLSが、1月末の求人数を発表した。1月末の求人数は886.3万人で、前月比2.6万人減少、2ヵ月連続の微減となった(「Topics2024年1月31日 転職組強気続く」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は5.3%で横ばい。
新規雇用数は568.7万人の微減となった。
失業者数/求人数は、0.7で横ばいだった。
1月の自発的失業(Quits)は338.5万人と、減少が続いている。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、1月の時間給をみると、引き続き5%前後の伸びが続いている(全体で5.0%増)が、転職組は5.6%増となった。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
自発的失業の水準は低下しているものの、転職に伴う賃金上昇率は依然として高く、強気姿勢が続いていることが確認できる。

※ 参考テーマ「労働市場

3月6日(1) IA州:労働資格確認義務化法案
Source :Iowa Senate pass bill for Iowa employers to self-report unauthorized workers (KCRG)
Iowa州(IA)議会上院は、2月28日、州内企業にE-Verifyを使って従業員の法的地位を確認することを義務付ける法案(SF 108)を可決した。背景にあるのは、『不法移民の安い労働力を悪用することは公平な事業展開を妨げる』というものである。

ビジネス上の公平性を訴えてはいるものの、実質的には不法移民の排除が目的であることは明らかだ。

IA州は、州知事、州議会上下両院とも共和党が握っている。この法案が可決、成立する可能性は高い。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

3月6日(2) 終身年金への憧れ
Source :Many workers believe pensions are key to achieving the American Dream. But getting those plans back isn't easy (CNBC)
昨年、UAWがストライキに入った際、要求項目の一つに終身プラン(DBプラン)の再導入が掲げられていた(「Topics2023年10月21日(1) UAW退職後ベネフィットに固執」参照)。退職後所得プランについて、最終的にはDCプランへの企業側拠出率の引き上げで決着した(「Topics2023年10月30日(1) Ford, Stellantis暫定合意」参照)。

DBプラン再導入の要求は、DC拠出率引き上げのためのテコだと思っていたが、アメリカ人はDBプランがなければ夢の達成(幸せな退職生活)は叶わないと考えているそうだ("Retirement Insecurity 2024: Americans’ Views of Retirement" National Institute on Retirement Security)。
多くの企業がDBプランからDCプランへと移行してきた経緯を考えると、DBプラン復活はなかなか難しいと思う。

ところが、なんとあのIBMがキャッシュバランスプラン(CBプラン)に復帰するという(CNBC)。これについては、日を改めて内容をまとめておきたい。(⇒「Topics2024年3月7日(1) IBM:DCからCBへ」参照)

※ 参考テーマ「DB/DCプラン

3月3日 大谷翔平の結婚発表
Source :Shohei Ohtani's marriage announcement felt strange, but not if you know Japanese culture (Los Angeles Times)
大谷翔平が結婚したことを公表した(NHK)。ただ、大谷選手自身がInstabramで最初に伝え、その後の記者会見で結婚相手について明かさなかったことに、アメリカ人は違和感を持つそうだ。

上記コラムの筆者は、日米社会の違いを次のように説明している。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

3月2日 KS州:Medicaid拡充できず
Source :Kansas can’t expand Medicaid unless top Republicans support it. Here’s why they don’t (KMUW)
Medicaid拡充策を採用していない州は、10州しかない。しかも、それらの州でも拡充策を採用する方向で動いているところもある(「Topics2024年2月22日(3) Medicaid拡充に傾斜」参照)。ところが、Kansas州(KS)では、そうした見通しが立たない。

KS州は、知事が民主党、州議会は両院とも共和党が大差で握っている。その州議会下院議長(共和党)がまったく議論の余地を持たないそうだ。

KS州知事は、6度目のMedicaid拡大策提案で就労義務規定まで含めたが、効果がなかった。下院議長は、医療保険は自己責任だ、との信念を持っている。

ここでやきもきしているのが、共和党の州議会議員達である。彼らの中で半数以上はMedicaid拡充に賛成すべきと考えている。何しろ、州民の大多数がそれを望んでいて、今年は議会選挙が予定されているからだ。

ボスの意向なのか、民意なのか。結論は明らかだが、それを許さないのが政治だ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/KS州

3月1日 Walmart教育支援強化策
Source :Walmart revamps education benefit with an eye toward internal mobility (Walmart)
2月22日、Walmart社は、同社従業員について、短期大学履修資格取得支援プログラムの対象を倍増すると発表した(Walmart News)。その目的は、今後3年間に同社内で必要となる約10万の職に就いてもらうことにある。

Walmart社は、2021年に大幅に変更し、"Live Better U education program (LBU)"での履修を全額企業負担で推奨することとした(「Topics2021年7月28日 Walmart:大学教育全額支援」参照)。今回の発表は、同プログラムを強化するとともに、社内で登用するという目的を明確にしたことになる。

アメリカにおける従業員の獲得競争は、激化している。

※ 参考テーマ「教 育