1月10日 独立契約者新定義公表
Source :DOL independent contractor final rule announced, will take effect March 11 (HR Dive)
1月9日、労働省(DOL)は、独立契約者の新たな定義を公表した(News Release)。これは、2022年10月に公表した改正案を若干修正したものである(「Topics2022年10月12日 独立契約者定義漸く提案」参照)。独立契約者か雇用関係にある被用者かの判定には、次の6つの要素を総合勘案することとしている。 1月10日に正式に公表され、3月11日から施行とされている。

改正案が公表されてから最終ルールが公表されるまで、実に1年2ヵ月を要した。その背景は次の2点。
  1. 全国のギグワーカーに実情を聞いて回り、丁寧な対応をした。

  2. トランプ政権時代の定義を修正する過程で迷走した(「Topics2022年3月24日(2) 独立契約者定義迷走」参照)。
今回も、訴訟等により、修正を余儀なくされる可能性はゼロではない。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

1月9日 VT州:退職貯蓄プラン改正
Source :Everything You Need to Know About The Vermont Saves Program (OneDigital)
Vermont州は、2017年、任意加入の州立退職貯蓄プランを設立した(「Topics2017年5月24日 VT州:退職貯蓄プラン法成立へ」参照)。これを、2023年6月1日の立法により、企業が退職所得プランを提供していない従業員が自動的に加入できるように変更した(Auto-IRA)。上記sourceによれば、近隣のMaine州の退職貯蓄プランに類似しているという。制度概要は次の通り。
  1. 名称は、"VT Saves"。

  2. 加入者は、VT州勤労者で勤め先企業が退職所得プランを提供していない場合。自動的に加入できる。

  3. プラン形式は、Roth-IRA。

  4. 企業は、税引き後所得から一定割合を天引きし、指定された口座に入金する義務を負う。拠出義務はない。

  5. 制度施行予定日は次の通り。
    Employer Size Date
    25 or more employees July 1, 2025
    15 to 24 employees January 1, 2026
    5 to 14 employees July 1, 2026
  6. 加入当初の勤労者拠出金割合は5%。その後毎年1%ずつ引き上げ、最大8%とする。加入者は拠出金割合を変更することができる。また非加入を選択できる。

さらなる制度詳細は、これから施行までの間に詰めることになっているそうだ。

これで、2024年1月1日時点で、19州+2市が退職貯蓄プランを設立したことになる。そのうち、15州がAuto-IRAである。


Center for Retirement Initiatives, Georgetown University
※ 参考テーマ「地方政府年金

1月8日 FL州処方薬輸入申請承認
Source :FDA approves Florida's plan to import cheaper drugs from Canada (NPR)
1月5日、FDAは、カナダから処方薬を輸入したいというFlorida州(FL)申請を承認した(FDA News Rerease)(「Topics2022年4月27日(1) 州薬価抑制策トレンド」参照)。FDAの認可は初となる。

連邦法では、処方薬を大量に輸入しても 場合に限り、許可されることになっている。 ただし、上記sourceによると、今後の道筋は困難の連続である。

  1. 輸入する処方薬を特定する

  2. その処方薬がFDAの基準を満たす

  3. カナダ側に抵抗がある。カナダ国内での処方薬供給規模が小さく、既にアメリカの輸入を阻止しようとする動きが出ている。

  4. アメリカ国内の製薬業界が大反発している。PhRMAはあらゆる手段を講じるとしており、訴訟を起こすものとみられている(PRESS RELEASE)。
処方薬の輸入については、これまで数多くの挑戦がなされ、失敗に終わっている。FL州の挑戦はようやく緒に就いたところである。

※ 参考テーマ「処方薬輸入」、「無保険者対策/FL州

1月7日 雇用需要が堅調
Source :U.S. unemployment has been under 4% for the longest streak since the Vietnam War (NPR)
1月5日、雇用統計が公表された(BLS)。12月の雇用増は11.6万人となった(「Topics2023年12月10日 雇用市場依然強い」参照)。
雇用者数は157.2M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は3.7%で横ばい(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。ほぼ2年間4%を下回っており、ベトナム戦争時代以来の長さだそうだ。
労働市場参加率は今月も62.5%に低下した。依然として、コロナ禍以前と比べて低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率は83.2%と低下した(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は上昇した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、19.7%に上昇した。
※ 参考テーマ「労働市場

1月5日 州EITC/CTCの広がり
Source :To tackle poverty, more states will offer bigger child tax credits in 2024 (NPR)
州レベルで、EITC(Earned Income Tax Credits)またはChild Tax Credits(CTC)を拡張する動きが広がっている。民間団体の調査("Momentum Grows for State Tax Credit Programs with Key Legislative Wins" Economic Security Project)によれば、
  1. 2023年、18の州議会でEITC and/or CTCの創設、拡大に関する法案が可決された。

  2. 2021年には7州でCTCが恒久措置として採用されていたが、現時点では14州(CA, CO, ID, ME, MD, MA, MN, NJ, NM, NY, OK, OR, UT, VT)に拡大している。
その背景は次の通り。 当websiteでは、これまで州EITCとCTCを別物のように扱ってきた(「Topics2021年6月27日 州政府版EITC(4)」参照)。しかし、上記調査からわかるように、州政府レベルでは、 として、給付付き税額控除制度を見ている。今後はそのような意識で取り組んでいきたい(州EITC(Earned Income Tax Credits)/CTC(Child Tax Credits)参照)。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「解雇事情/失業対策

1月4日(1) 転職組の強気続く
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
1月3日、BLSが、11月末の求人数を発表した。11月末の求人数は879.0万人で、前月比6.2万人の小幅減となった(「Topics2023年12月7日 労働市場は落ち着きへ」参照)。減少傾向は明確だ。
労働力人口に占める求人数の割合は5.3%で横ばい。
新規雇用数は546.5万人と、減少が続いている。
失業者数/求人数は、0.7で横ばいだった。
11月の自発的失業(Quits)は347.1万人と、減少となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2023年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、11月の時間給をみると、引き続き5%前後の伸びが続いている(全体で5.2%増)が、転職者(5.7%増)と職に留まった者(4.6%増)の伸び率差が広がった。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
転職組の強気の姿勢が続いているように見える。

※ 参考テーマ「労働市場

1月4日(2) 不法移民にMedicaid提供
Source :More states extend health coverage to immigrants even as issue inflames GOP (NPR/KFF Health News)
州レベルで、不法移民にも医療保険プランを提供する動きが広まりつつある。最初は、California州で2016年から始まった(「Topics2016年4月29日 CA州:不法移民医療法案再審議」参照)。それが、今や、11州+D.C.にまで広がろうとしている。
こうした状況を後押しする要因は、次の2点。
  1. コロナ禍で、保険プラン加入が伝染病の拡大防止に効果的であったことが明らかになった。

  2. 医療機関等から、無保険者を取り扱うことに伴う負担を軽減してもらいたいとの要請が強まった。各州には"Emergency Medicaid"という制度があり、一定程度は州政府から医療機関への支払いが行なわれる。しかしながら、医療機関の負担は増加の一途を辿っている。
州によって対象が子供に限られていたり、年間の加入者数の上限が決まっていたりと区々だが、確実にそのカバレッジは拡大している。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「移民/外国人労働者