4月29日 CA州:不法移民医療法案再審議 
Source :Will Covered California Sell Health Coverage To The Undocumented? (Kaiser Health News)
CA州議会は、不法移民にMedicaid、Exchangeを開放しようという法案(SB 10)を再審議している。

昨年も同様の法案を審議していたが、今回は、Exchangeのtax creditsは適用しないということで、連邦政府の特例を得ようとしている(「Topics2015年4月14日 不法移民医療保険提供法案」参照)。Tax creditsの適用を受けなくてもExchangeで保険プランを購入できるというのは、不法移民の中では稀なケースであろう。従って、多くのCA州在住不法移民にとっては福音とはならないが、硬い扉に穴が開くことになる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「移民/外国人労働者」、「無保険者対策/連邦レベル」」

4月28日 保険料引き上げムード 
Source :ObamaCare premiums expected to rise sharply amid insurer losses (The Hill)
UnitedHealthの全面撤退により、全米に衝撃が走ることはないとされている(「Topics2016年4月21日 UnitedHealth全面撤退」参照)。それでも、影響を受ける地域にとっては深刻である(Kaiser Health News)。

右表は、UnitedHealthの撤退により、保険プランを提供している保険会社が一つとなってしまう可能性のある郡である。このうち、*印が付けられている郡は、UnitedHealthが最も安い保険料を提供していたところである。こういった地域では間違いなく保険料が上昇することが見込まれる。

一方、全米で見ても、保険料引き上げムードが高まっている。間もなく、2017年の保険料申請と審査が開始されるが、保険会社は一斉にExchangeの保険プランについては大幅引き上げが必要と主張し始めている。その根拠は次の2点。
  1. 初年度の2014年保険料の設定が低すぎた。

  2. Exchange市場が、想定よりも加入者が少なく、疾病が多く、コストがかかっている(「Topics2016年4月2日 新規加入者の医療費」参照)。
保険会社側は、Exchangeでロスが生じていること、実際にUnitedHealthが撤退していることから、今年は相当強気で申請に臨んでくると思われる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

4月27日 Medicaid規則変更 
Source :85% medical-loss ratio in final managed Medicaid rule (Modern Healthcare)
CMSは、Medicaidに関する規則変更を内定した。正式公表は5月6日。

大きな変更点(変更しなかった点)は次の2点。
  1. MLR(Medical Loss Ratio)を85%とする。

  2. ネットワークの適正性に関する数値基準の設定を州政府に委ねる。
1.については、州政府レベルで既に85%以上に設定しているところが多く、あまり大きな影響は出てこないものと見られている。

2.については、アグレッシブな提案をしていたものの、結局は諦め、州政府に基準設定を委ねることにしたそうだ。これはExchange(個人保険プラン)におけるネットワーク数値基準についても同様なことが起きていて、結局、2月に連邦政府は放棄している(「Topics2015年11月24日 CMS:アクセス制限に規制案」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

4月25日 世代区分 
Source :Think Gen Z Isn't That Different? Think Again (SHRM)
アメリカ人は世代区分が大好きだ。やたらとレッテルを貼りたがる。世代区分の定義を理解していないと、職場での会話も理解できないような状況が生まれる。

そんな状況をNHKの実践ビジネス英語が話題にしている(5/11〜21 "Generation Gaps in the Workplace")。そこで示されている世代区分(Veterans〜Generation Y)は次の通り。
世代名生 年特 徴
Veterans〜終戦 ・強固で伝統的な価値観
・会社の下からキャリアを積み上げ
・愛社精神が強い
Baby boomers終戦〜60年代半ば ・強い労働倫理
・一社に忠実な訳ではない
・チームプレー重視
Generation X
Baby busters
60年代半ば〜70年代末 ・自由なライフスタイル
・教育と創造性を重視
・ワークライフバランス重視
Generation Y
Millennials
80年代〜2000年 ・自分の好きなことをしたい
・自宅勤務も厭わない
・通信手段は携帯メール
・デジタルネイティブ
・強い社会的良心
・所有よりも共有
Genelation Z
Globals
21世紀 ・物事に対して懐疑的で何でも自分で確認する
・協働を重視する
・リーマンショック、住宅市場崩壊を経験している
・両親と共に暮らしているのは1/5しかない。
・ボランティア活動に熱心
・海外旅行の経験が豊富
・技術革新の中で育ってきた
上表最後の"Genelation Z"は上記sourceによるものである。こうした世代がこれから企業に入ってくる。企業の人事担当者達は、相当身構えているようだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

4月22日 第4控訴裁が学校トイレで判決 
Source : Appeals Court Favors Transgender Student in Virginia Restroom Case (New York Times)
Federal appeals court sides with transgender teen, says bathroom case can go forward (Washington Post)
4月19日、第4控訴裁判所は、トランスジェンダーのトイレ使用に関する一定の考え方を示す判決を下した。本件の経緯は次の通り。
  1. Gloucester High School(VA州)の生徒(現在は3年生)が、2年生の時、カミングアウト(誕生時は女性だったがidentityは男性)して、男子トイレを使用し始めた。

  2. 当初、学校運営委員会は、生徒の男子トイレの使用を認めていた。

  3. ところが7週間後に怒った父母たちが学校運営委員会に訴え、委員会は新たに校則を定めた。

    • 生徒は誕生時の性別に合わせたトイレを使う。

    • 性転換をした生徒は、別途作るユニセックス用トイレを使用する。

  4. 生徒は、差別を禁止した憲法違反であるとして、学校運営委員会を連邦地方裁に訴えた。同時に、係争中でも男子トイレの使用を認める仮処分を求めた。

  5. 2015年6月、連邦司法省は本事件に関心を寄せている旨を表明した。

  6. 2015年9月、連邦地方裁判所は、憲法違反であるとの生徒の主張を退けた。

  7. 2016年4月19日、第4控訴裁判所は、次のような判決を下した。

    • 連邦地方裁判所に対して、生徒が求めている仮処分について再審を命じる。

    • 連邦政府の差別禁止政策に関する解釈は、政治家に委ねるべきである。

    • 生徒は、連邦教育省が示したガイドライン(『一般的に、トランスジェンダーの生徒に対しては自ら主張するidentityに合わせて接する』)に則って、学校運営委員会が生徒の権利を侵害したと主張することができる。
上記からもわかるように、第4控訴裁判所は、直接憲法違反があったかどうかの判断は示していない。しかし、連邦地方裁へのやり直し命令からわかるように、明らかにこの生徒の主張を支持しているのである。

このように、間接的な判決ではあるが、そのもたらす影響力は計り知れない。第4控訴裁判所の管轄区域は、MD, VA, WV, NC, SCの5州である。そう、あのNC州が含まれているのである。ここから、NC州法が連邦憲法に違反しているとの訴えは、間違いなく第4控訴裁判所で認められることになる。

一方、Obama政権は、このようなトランスジェンダーの主張を認めない州に対して、学校、住宅、高速道路などの建設費用の連邦負担分を差し止める措置ができないか、検討に入ったとされている。資金面でも締め付けようという訳である。

※ 参考テーマ「LGBT

4月21日 UnitedHealth全面撤退 
Source :UnitedHealth Group to exit Obamacare exchanges in all but a ‘handful’ of states (Washington Post)
予て2州からの撤退を表明していたUnitedHealth Groupが、19日、2017年に34州のExchangeからほぼ全面撤退することを明らかにした(「Topics2016年4月12日 2州のExchangeから退出」参照)。理由としては、 ことを挙げている。

これに伴い想定されている影響は次の通り。
  1. 保険会社の選択肢が一つしかない加入者が110万人増える。

  2. しかしながら、大半の加入者は3社以上の選択肢を有する。

  3. ベンチマークとなっている保険プランの保険料(Silverの下から2番目)は約1%上昇する。
ということで、衝撃的な影響が全米で生じるというわけではない。

むしろ、注目すべきは他の保険会社がこれに追随するのかどうか、である。UnitedHealthは、個人保険プランからの収入割合が他の大手保険会社よりもかなり低いために今回の決断につながったとみられているが、加入者一人当たりコストが高いのはどの保険会社にとっても共通である。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般