4月17日 SGR廃止法案上院可決 
Source :Senate Approves a Bill on Changes to Medicare (New York Times)
デッドラインぎりぎりの4月14日、連邦議会上院はSGR廃止法案(H.R. 2)を圧倒的多数(92 v 8)で可決した(「Topics2015年4月3日 Doc fixのデッドライン」参照)。反対票はすべて共和党議員である。Obama大統領は歓迎のステートメントを発表しており、法案の成立は間違いない。(⇒4月16日に大統領署名、法案成立)

ちなみに、一度は反旗を翻して法案審議に待ったをかけた上院民主党院内総務(Minority Leader)のHarry Reid上院議員は、この投票で賛成票を投じた(「Topics2015年3月26日 上院民主党幹部の反乱」参照)。ガス抜きのために待ったをかけたのか、本気で待ったをかけたが既に引退表明をしているために影響力がなかったのか、はわからない。少なくとも、多くの守勢法案が提出され、否決されることでガス抜きが図られたことは事実である。

さて、上記sourceによると、法案成立に伴う財政赤字の増加額に変更があったようだ(「Topics2015年3月24日 SGR廃止法案」参照)。
  1. 今後10年間で$211Bの財源が必要となる。

  2. 高額所得者の保険料を引き上げることで、$35Bの増収を図る。

  3. 医療機関、養護老人ホーム等への支払いを合理化することで、同じく$35Bの歳出減を図る。

  4. 残りの$141Bは財政赤字の増額となる。
このように、財政赤字の増額に寛容になれれば、超党派での合意は可能となる。そんな意味で、共和党の8議員は反対に回ったのだろう。

※ 参考テーマ「Medicare

4月15日 2014年の大企業DBプラン 
Source :TW Pension 100: Year-End 2014 Disclosures of Funding, Discount Rates, Asset Allocations and Contributions (Towers Watson)
上場している大企業100社のDBプランについて、SECへの提出資料をもとに、Towers Watsonが経年分析を行っている。2014年の分析結果のポイントは次の通り。
  1. プラン資産は増えているものの、給付債務(PBO)が大きく増加したために、積立比率は2013年から8%ポイント低下して81%となった。リーマンショック以降の積立比率低迷状態からなかなか脱出できない状況が続いている。
    Figure 1. Aggregate year-end funded status for TW Pension 100 ($ billions), 2007 – 2014


    Figure 2. Funded status (%) for TW Pension 100, 2007 – 2014
  2. 給付債務が大きく増加した要因の一つが、割引率の低下である。
    Figure 5. Average year-end discount rate assumptions for TW Pension 100, 2007 – 2014
  3. もう一つの要因は、生存率の上昇である。2014年10月に、数理人協会が生存率の更新を発表したため、多くのプランで2014年末にその更新を反映させたため、給付債務が膨らんだ。対象100社で4.3%、約$55Bの増加となった。

  4. 中期的にみると、運用対象のうち株式は減少、債券は増加というトレンドが顕著になっている。
    Figure 6. Average target asset allocation percentages for TW Pension 100, 2009 – 2015
  5. MAP-21および延長法により、企業拠出は低く抑えられている(「Topics2012年7月5日 PBGC保険料大幅引上げ」「Topics2014年8月2日(2) MAP-21延長法案可決」参照)。
    Figure 9. Plan contributions from TW Pension 100 ($ billions), 2008 – 2014
大企業のDBプランでさえ、未だにリーマンショックの傷は癒えていない。DBプラン全体で見れば、まだまだ深い傷跡が残されていることだろう。

※ 参考テーマ「 DB/DCプラン

4月14日 不法移民医療保険提供法案 
Source :California Bill Would Extend Health Insurance to Undocumented Immigrants (GovExec.com)
CA州上院で、不法移民に対して医療保険を提供するよう制度変更を求める法案が提出された。昨年12月からの議論が成案としてまとまってきたようだ(「Topics2014年12月6日 CA州:不法移民を医療給付対象に」参照)。

法案のポイントは次の2点。
  1. 不法移民に"Medi-Cal"(CA州のMedicaid)への加入を認める。

  2. 不法移民に"Covered California"(CA州立Exchange)への加入を認めるよう、連邦政府の特例措置を求める。
同法案が成立すると、$350Mが必要になるという。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「移民/外国人労働者」、「無保険者対策/連邦レベル

4月13日 Pay Gap拡大 
Source :Despite Federal Regulation, C.E.O.-Worker Pay Gap Data Remains Hidden (New York Times)
2010年に成立した"Dodd-Frank"法では、最高経営責任者の報酬と一般の従業員の報酬の比率を開示するよう求めている。具体的な開示手法の規定はSECに任されているが、多くの反対に会って、未だに定まっていない。この状況は、SECが2013年に案を示してからも一向に動かない(「Topics2013年5月12日 Pay Gap」参照)。

そうして法律が施行されないうちに、Pay Gapはどんどん広がっている模様だ。 こうした数字をみると、従業員達はやるせなくなるだろうな。しかし、これがアメリカ社会の現実だ。

なお、上の表を見ていて、Microsoft社のように、従業員報酬も高くてPay Gapが大きいならまだいいか、と思う。

※ 参考テーマ「経営者報酬

4月12日 FMLA"State of Celebration"施行停止 
Source :Federal Judge Blocks FMLA’s Expanded Definition of Spouse (Buck Consultants LLC)
案の定、労働省(DOL)が公表した『Family and Medical Leave Act (FMLA)の適用原則を"State of Residence"(「居住地原則」)から"State of Celebration"(「挙式地原則」)に変更する』との改正案に対し、4つの州で施行停止訴訟が起こされた(「Topics2015年2月26日 FMLA"State of Celebration"確定」参照)。

4つの州とは、Texas, Arkansas, Louisiana, Nebraskaで、Texasの連邦地方裁判所に対して、 という反論を掲げている。

Texas州連邦地方裁判所は、施行予定日(3月27日)の前日(3月26日)、4州における施行を仮停止する判決を下し、4月10日に論告を行うとした。

労働に関連するベネフィットについては州政府の権限との考え方が強い。連邦税において"State of Celebration"を認めることはできても、州税においてその規定を強制することができないのと同じである(「Topics2013年8月31日 同性婚:連邦税でも認める」「Topics2013年9月7日 "State of Celebration" Standard」参照)。この問題は、連邦政府と州政府の権限の問題であり、連邦最高裁の同性婚禁止に対する判決が出るまでは解決できないだろう。

※ 参考テーマ「同性カップル」、「人事政策/労働法制