Source : | House Approves Bill on Changes to Medicare (New York Times) |
3月26日、連邦議会下院は、SGR廃止法案(H.R. 2)を圧倒的多数(392 v 37)で可決した。
しかしながら、先に紹介した通り、上院民主党幹部(もう引退表明をしてしまったのに)が懸念を表明しており、上院での採決は2週間以上先になる見込みである(「Topics2014年3月26日 上院民主党幹部の反乱」参照)。技術的には、HHSが2週間ほど現在の診療報酬を延長できるそうだが、それでもぎりぎりにしかならず、再度のパッチが必要になるかもしれない。またまた綱渡りになりそうだ。
一方、その前日の25日、下院は、共和党色の濃い予算決議を可決した。その中にはなど、共和党提案が満載となっている(New York Times)。こんな予算決議の翌日に、よく超党派法案であるSGR廃止法案を可決したものである。
- PPACAの廃止案の検討
- Medicaid連邦負担分の包括払い化
- Medicareのバウチャー化(=市場メカニズムの活用)
※ 参考テーマ「Medicare」、「無保険者対策/連邦レベル」「無保険者対策/州レベル全般」、
Source : | 121 Employee Wellness Program Ideas For Your Office (Nutrition Without Borders) |
食品のベンダーマシンの会社が提案している健康管理策なので、かなり偏りがあるものの、アメリカの職場ではこんなことが可能なのか、というものがいくつもあり、参考になるので記録しておくこととする。ちょっとした骨休め(=健康管理策)になるかも・・・。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」
Source : | Bipartisan Deal on Health Care Issues Hits a Snag Among Senate Democrats (New York Times) |
SGR廃止法案(H.R. 1470)は、26日に下院本会議で審議、採決される予定だ(「Topics2015年3月24日 SGR廃止法案」参照)。当websiteでは、『John A. Boehner下院議長とNancy Pelosi院内総務との間の歴史的合意に基づくもの』と評価したが、上記sourceでも、"It was cobbled together by none other than House Speaker John A. Boehner and Representative Nancy Pelosi, the leader of House Democrats, who rarely agree on anything, with the apparent blessing of a majority of their respective members."と表現している。
ところが、この超党派法案に対して、上院民主党院内総務(Minority Leader)であるHarry Reid上院議員が反対する意向を表明した。それも、『妊娠中絶が制限されるおそれがある』とPelosi下院議員の向こうを張ったリベラル派のポジションを取っている。
この構図は、昨年末の歳出法案の時と立場が逆転した形になっている(「Topics2014年12月12日(1) 2人の女性議員の反乱」参照)。当時は、Reid上院議員がホワイトハウス、共和党幹部と合意形成した法案に対し、Pelosi議員が猛烈に反対した。今回は、そのしっぺ返しだ。
これで、下院民主党の反対勢力は勢いづくし、上院での採決の行方は不透明になってしまった。再び"doc fix"法案を用意しなければならないかもしれない。
※ 参考テーマ「Medicare」、「政治/外交」
Source : | EEOC Sends Notice of Proposed Rulemaking on ADA and Wellness Programs to OMB for Clearance (EEOC) |
PPACAの健康管理策奨励と障がい者差別禁止法との間の関係を整理するため、EEOCが新ルールの制定作業に入った。上記sourceでは、EEOCが作成した新ルール案をOMBに送付したとのことで、今後、といった順序で作業が進んでいく。さあ、Obama大統領をサポートするような新ルール案となっているのかどうか。
- OMBによる承認
- 新ルール案の公表、パブリックコメントの募集
- 新ルール案の見直し
- 新ルールの確定、施行
なお、健康管理策実施の合法性を確保する法案は、上下両院に提出されたものの、審議されないまま店晒しになっている模様だ(「Topics2015年3月7日 健康管理策確保法案」参照)。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Congress to Weigh a Plan to Protect Medicare Fees and Children’s Insurance (New York Times) |
SGR廃止法案(H.R. 1470)が、下院関係委員会において超党派で合意に至ったようだ。要するに"doc fix"回避法案である(「Topics2015年2月6日 19回目の"doc fix"?」参照)。
下院委員会が公表した法案要約版によると、ポイントは次の通り。法案の広報の常だが、都合の悪いことは要約版に含まれない。上記sourceで、法案の問題点として挙げているのは、次の3点。
- SGRを廃止し、質、価値、責任に重点を置いた制度に変更する。
- 今後5年間、毎年、Medicareの診療報酬を0.5%ずつ引き上げ、その後、新制度に移行する。
- 診療の高い質を達成した医療機関にはボーナスを提供する。
共和党の小さな政府を目指す考え方の議員達は、『こんなことで妥協を繰り返すから財政赤字が減らないんだ』と文句を言い、子どもの医療が大事だとする民主党リベラル派議員達は『SCHIP財源を4年間分は確保すべきだ』と難色を示している。
- 財源が10年間で$200B必要となるが、手当てができているのは$70Bのみである。そのうち約半分はMedicare加入者による負担増、残りの半分は医療機関への償還の削減で賄うことになっている。残りの$130Bは、財政赤字となる。
- 高額所得者の保険料を引き上げる。
- 新規加入者の窓口負担を増やす。
- SCHIP拡充に充てる財源を2年間分だけ確保する。
しかし、本法案は、John A. Boehner下院議長とNancy Pelosi院内総務との間の歴史的合意に基づくものであり、これが成立せずして何が成立するのか。連邦議会の機能不全が問いただされることになるだろう。
下院は今週中にも投票が行われる見通しだが、上院の投票は4月に入るかもしれないとみられている。そうなると、暫定"doc fix"法案を緊急可決しなければ、Medicare診療報酬の21%カットが実施されてしまう。
※ 参考テーマ「Medicare」
Source : | Affordable Care Act initiative builds on success of ACOs (HHS Press Release) |
3月10日、HHSは次世代ACOの提案を公表した。Pioneer ACO、Shared Savings Programに次ぐ、3代目ACOとなる(「Topics2013年7月26日 Pioneer ACOsの成果」参照)。
提案概要は次の通り。Obama政権は、ACOs普及、診療報酬の見直しに注力している。なお、関連情報のwebsiteは、"Next Generation ACO Model"。
- 予見可能な財政目標を設定し、医療機関や加入者にインセンティブを提供するとともに、高い質の基準を満たすようにする。
- ACOは、質に関するリスクを採るとともに、高い利益率をあげられるようにする。
- ACO、医療機関、加入者の間の連携を密にする。
- ACO契約医療機関で受診した場合、入院ではなく専門の訓練を受けた看護士に診てもらった場合、電話での診療、退院後の在宅診療などを受けた場合には、加入者のメリットが大きい仕組みとする。
- 加入者中心の医療提供を行う。
- Medicare診療報酬の出来高払いからの脱却を促進する(「Topics2014年2月1日 Medicare:出来高払いを半分に」参照)。
- 募集は2015、2016年に行う。参加したACOは5年間は継続する。
- 参加ACOは、15〜20機関を想定している。
※ 参考テーマ「ACO」
Source : | Milliman: Multiemployer pension funding ratios drop slightly in 2014 (Pensions & Investments) |
上記sourceによると、複数事業主プランの積立比率が低下している。ポイントは次の通り。低金利が続く中で、これだけの高利回りを10年間を維持するのはとても難しい。PBGCの支払保証機能も著しく低下しており、複数事業主プランの将来は厳しい(「Topics2015年3月17日 複数事業主プランの支払い保証機能」参照)。
- 給付債務の伸びが大きいため、積立比率は1%pt低下した。
2013年 2014年 (伸び率) 資 産 - $480 1.5% 給付債務 - $597 2.1% 積立比率 81% 80% - - リーマンショック前の積立比率は85%を超えていた。株式市場が回復しても、積立比率は回復していない。この間、成熟化が進み、給付債務の伸びが高まっていることが主因である。
- 積立比率を10年後に100%に持っていくためには、毎年の投資利回りを8%以上で維持しなければならない。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | Employer costs for union workers averaged $46.50 per hour worked in December 2014 (BLS) |
上記sourceは、2014年12月時点での労働コストの内訳を示している。
労組メンバーと非労組メンバーとの差は、でついている。労組の組織率は10%程度しかなく、少数の労組メンバーの待遇は恵まれたものとなっていることが明らかである。逆に言えば、企業側として、労組を抱えるかどうかは大きな分かれ目となる。
- 賃金・報酬
- 医療保険
- 年金プラン
※ 参考テーマ「労働市場」、「労働組合」