Source : | Numberholders Age 112 or Older Who Did Not Have a Death Entry on the Numident (The Office of the Inspector General (OIG) , Social Security Administration) |
3月4日、SSAのOIGは、Social Security Numberのデータに関する調査結果を公表した。
まず、表題にある"Numident"だが、Wikipediaによれば、"Numident is an acronym for "Numerical Identification System,"[1] the Social Security Administration's computer database file of an abstract of the information contained in an application for a United States Social Security number (Form SS-5). It contains the name of the applicant, place and date of birth, and other information. The Numident file contains all Social Security numbers since they first were issued in 1936."と説明されている。簡単に言えば、Social Security Number(SSN)に関するデータベースである。
上記sourceは、SSAが管理する"Numident"に関する監査報告である。初めて知ることばかりなので、少し詳しくポイントをまとめておきたい。
監査結果として、『SSAは適切に死亡情報を記録できていない』との結論が出されている。SSNは、連邦行政情報の基礎であるはずなのに、その基礎への信頼が揺らいでいる。
- 監査の目的
異常なほど長生きとなっているSSN保持者の記録に、SSAは死亡情報を適切に書き込むことができているか?
- 背 景
- 死亡情報の公開手順
SSAは、様々な経路で入手したSSN保持者の死亡情報と年金支払い記録を付き合わせ、"Numident"に死亡情報を書き込む。
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それらの記録を基に、SSAは"Death Master File (DMF)"を作成する。
↓
SSAはDMFをDepartment of Commerce (DOC) に提供する。
↓
DOCはDMFデータを公的機関、民間企業に販売する。
- 把握された不具合事例
- 一人の者がある金融機関で複数のSSNを利用して口座を開設した。そのうちの2つのSSNの誕生年を"Numident"に照会すると、1886年、1893年となった。当然、死亡情報はDMFに記録されていない。
- 2013年9月、世界最高齢と言われていた男性が112歳で死亡した。2013年10月時点で、世界で112歳に達しているのはたった35人しかいなかった。ところが、"Numident"によると、1901年6月16日以前に生まれたSSN保持者は、約650万人いることになっている。
- 監査結果
2013年6月15日時点で、1901年6月16日以前に誕生したとの記録のあるSSN保持者650万人について調べた結果は次の通り。
- 640万人は、1972年3月以前に給付請求を行っている。
- 140万人については、支払い記録に死亡日時が記録されているのに、"Numident"に死亡情報が記載されていない。
- 41万人については、支払い記録に死亡日時が記録され、支払いが停止されているのに、"Numident"に死亡情報が記載されていない。
- 実際に支払いを受けているのは266人。うち、253人は、1901年6月16日以前に誕生したのではないとみられる。
- 71人は、2008〜2012年の間に所得が$1,000以上あることになっているが、そのうち34人は、就労するために誰かが死亡した者の名前とSSNを不正利用した疑いがある。残り37人は、誕生日が間違っている疑いがある。
- 2008〜2011年の間に、SSAは3,873のSSN(4,024人分)について、"E-Verify"経由で照会があった。
※ 参考テーマ「社会保障全般」
Source : | Health Insurance Coverage and the Affordable Care Act (HSS) |
3月16日、HHSはPPACAによる保険加入者数並びに無保険者割合の低下に関する推計値を公表した。やはり、PPACAは一定の成果を挙げたと評価すべきだろう。
- PPACAの本格施行により、保険加入者数は1,410万人増加した。
- 無保険者割合は、20.3%から13.2%へと、7%pt低下した。
- 19〜25歳の若年者は、本人加入が340万人増、親の保険への加入が230万人増と、合計570万人増となった。その結果、無保険者割合も、26.7%に低下している。
- Medicaidを拡充した州では、低所得層の加入増が顕著となっている。また、拡充した州でも拡充していない州でも、FPL139〜400%の層の加入が増えている。これは、保険料補助金(tax credit)の効果であろう。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | The Retirement Savings Gap Between Haves and Have-Nots Is Getting Bigger (Bloomberg Business) |
上記sourceは、National Institute on Retirement Security(NIRS)が公表したレポート("The Continuing Retirement Savings Crisis")を紹介している。ポイントは次の通り。以上を受けて、同レポートでは、次の3つの政策提言をしている。
- 401(k)やIRAなどの個人勘定退職プランを持っている家計は、家計全体の45.3%でしかない。4,000万人近くが個人勘定退職プランを持っていない。
- 全家計の個人退職勘定の残高の中位数は$2,500だが、個人勘定を持っている家計の年間所得は、持っていない家計の2.4倍もある。
- 退職近い年代(55〜64歳)の家計の差は、ぐんと大きく開いている。完全に一桁違っている。
2010年 2014年 個人勘定を持っている家計の勘定残高(中位数) $100,000 $104,000 個人勘定を持っていない家計の貯蓄残高(中位数) $12,000 $14,500 - Fidelity Investmentsは、55歳までに現在の所得の5倍を貯蓄するよう奨励している。ところが、その要件を満たす家計は、退職近い年代(55〜64歳)でも10%しかない。
実現可能なのは、3番目くらいか。
- 中低所得層の公的年金受取額を厚くする。
- 企業がDBプランを提供しやすくする。
- DCプランへの自動加入制度を広める。
- DCプラン拠出金に対する税制優遇を低所得者層に厚くする。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | PBGC's Multiemployer Guarantee (PBGC) |
3月11日、PBGCは、複数事業主プランの支払い保証機能に関する推計を公表した。
ここで分析対象としているのは、と分類している。 主なポイントは次の通り。
- 持続可能性が揺らぎ、PBGCから資金援助を受けているプラン ⇒ "Current Plan"
- 既に閉鎖され、将来PBGCから資金援助を受けると思われるプラン ⇒ "Future Plan"
PBGCの複数事業主プランの支払い保証機能は、債務超過がこれからどんどん膨らんでいくうえに、その保証機能はどんどん低下していく(「Topics2014年7月5日 PBGC債務超過の見通し」参照)。はやく制度自体を廃止することが望ましい。
- 複数事業主プランに対する支払い保証機能は、単独事業主プランのそれに較べて極めて限定されている。
- "Future Plan"の方が、給付を削減される割合が大きくなる。これは、プラン設計上給付額が大きくなっているためである。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | 5 myths about daylight saving time (Washington Post) |
実は、英語で"Summer Time"と言っても、ただ「季節としての夏」を意味するだけで、日本語の夏時間とは理解してもらえない(英会話番組の受け売り)。夏時間は、"Daylight Saving Time"(DST)と呼ぶ。
日本では、サマータイムの議論が浮上しては消え、を繰り返している。ちなみに、総理大臣は、今通常国会における施政方針演説(2月12日)では、『サマータイム』という言葉そのものは使っていないものの、柔軟かつ多様な働き方の文脈の中で、「昼が長い夏は、朝早くから働き、夕方からは家族や友人との時間を楽しむ。夏の生活スタイルを変革する新たな国民運動を展開します。」と宣言している。
さて、世界及びアメリカのDSTの変遷はどうだったのか。上記sourceならびにWikipedia(DST, DST in US)からまとめてみると、次のようになる。さて、上記sourceで、DSTにまつわる5つの神話を紹介している。ポイントは次の通り。
- 1916年4月
ドイツ、オーストリア、ハンガリーが世界で最初に導入。第1次大戦中の石炭消費を抑制することが目的。その後、イギリス、欧州諸国も導入。
- 1917年
ロシアが導入。
- 1918年3月31日
アメリカが初めて導入。
- 第1次大戦終結後
アメリカを含めて多くの国が廃止。イギリス、フランス、アイルランドは継続。
アメリカでは、いくつかの州が選択的に採用。
- 1942年2月9日
アメリカが"War Time"として採用。多くの国でも復活。
アメリカは1945年9月最終日曜日まで継続。その後、多くの州が選択的に採用。
- 1967年
アメリカ連邦法として規定。4月の最終日曜日午前2時に1時間時計を早める。10月の最終日曜日午前2時に1時間時計を遅らせる。
Arizona、Michigan州が採用せず。
- 石油危機(1970年代)に多くの国で復活。
- 1974年1月6日
アメリカは、1975年4月27日までの全期間、DSTを試行したが、不評により、1974年10月27日に標準時間に復帰。
- 1986年:アメリカは法改正により、4月第1日曜日〜10月最終日曜日までDSTを適用。
- 2007年:アメリカは法改正により、3月第2日曜日〜11月第1日曜日までDSTを適用(4週間延長)。
- 現在の国別採用状況はここ。アメリカでは、Arizona, Hawaii州が採用せず。
やっぱりDSTは面倒くさい、というのが本音のところだろうか。
- DSTは農家のため?
実際には、農家はDST導入に強く反対していた。
- DSTで健康になる?
より長く日光を浴びることでビタミンDが多く摂取できるという説だが、逆に、DST開始時期に職場での事故が増えるという実証研究がある。これは睡眠のサイクルが壊されるからだという。
- エネルギーを節約できる?
実証研究では、エネルギーをわずかに節約できるという結果もあるが、むしろ、夏場のエアコンの使用量が増えてエネルギーをより多く消費してしまうという調査結果もある。
- ビジネスに役立つ?
石炭産業はDSTが伸びたことで売上高が増えたということもある。また、ハロウィンがDSTの期間中となったため、キャンディの売上が伸びたとも言われている。しかし、DSTの期間中、テレビの視聴率は落ち、航空機や長距離列車は、DST切り替え時に時間調整をしなければならなくなり、コストが嵩む。また、DST切り替え時に、従業員の生産性が落ちるとも言われている。
- 標準時間が標準?
DSTはすでに1年間のうち8ヵ月間も適用されている。DSTの方が標準時間になっている。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」
Source : | Blue Cross vastly expands quality-based payment systems (Boston Globe) |
Massachusetts州(MA州)の民間保険市場の40%を占めるBlue Cross Blue Shield of Massachusettsが、診療報酬を出来高払いから包括払いに大きく転換しようとしている。
BCBSは、2009年から" Alternative Quality Contract"と呼ぶ診療報酬体系を提供している。そこでは、患者一人当たりの予算に加え、医療の質の評価による加減算を用意している。既にこの保険プランの加入者は、68万人に達している。
また、20数の医療機関、保険会社は、今年1月に推進機関を立ち上げ、医療の質の評価に基づく診療報酬の割合を今後10年間で75%にまで引き上げることを目指している。
合わせてMedicareも、2018年までに包括払いを50%にするとの計画である(「Topics2015年2月1日 Medicare:出来高払いを半分に」参照)。
大勢は決したようだ。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/MA州」
Source : | 2014 Pension Buy-out Sales More than Double Previous Year (LIMRA) |
2014年、DBプランの売却が急増したそうだ。DBプランの売却が大きく伸びた理由として、上記sourceは、@利子率が長年低迷している、APBGC保険料負担が高まっている、の2点を挙げている。
- プラン売却数:217プラン(2013年)⇒277プラン(2014年)
- プラン売却額:$3.8B(2013年)⇒$8.5B(2014年)
2013年には様子見の傾向が見られたが(「Topics2013年10月21日 年金buyoutはタイミング待ち」参照)、@の状況は今もそれほど大きく変わっていない。むしろ、第3の要因として、株高(S&P 500)等により積立比率が改善し、売却条件が改善していることが挙げられると思う。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | Nationwide nearly 11.7 million consumers are enrolled in 2015 Health Insurance Marketplace coverage (HHS) |
3月10日、HHSは2015年のExchange加入者に関する統計を発表した。ポイントは次の通り。連邦立Exchange加入者の87%が保険料補助金を受け取っているというのは大きな意味を持つ。もしも連邦最高裁が連邦立Exchangeの保険料補助金は違法との判決を下した場合、その影響は計り知れない。
- 加入者数総計は、1,170万人。連邦立は884万人、州立は285万人。
- 連邦立Exchnage加入者のうち、保険料補助金(tax credits)の利用者は770万人(87%)で、平均補助金額は$263/M。
- 連邦立Exchnage加入者のうち、実質保険料負担額が$100以下となったのは半分以上。
- 18〜34歳の加入者は約330万人で、加入者全体の28%。2014年とほぼ同じ水準。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
3月11日 WIが25番目のRight to Work州に
source : The National Right to Work Legal Defense Foundation
Source : | Wisconsin Votes to Limit Collection of Fees by Unions (New York Times) |
州政府職員の労働組合に対する制約を強めてきたWisconsin州(WI州)だが(「Topics2014年8月5日(2) WI州:労組権限制約に合憲判断」参照)、今度は民間労組に対する制約を強化する法案(S.44)を可決、成立させた。これで、WI州は25番目の"Right to Work"州となった(「Topics2012年1月27日 "Right to Work" State」参照)。州の数としては半分に達した訳だが、面積的には2/3程度に広がった感じだ。
- 2月25日:州議会上院可決
- 3月5日:州議会下院可決
- 3月9日:州知事署名
- 3月10日:公布、執行(2015 WISCONSIN ACT 1)
※ 参考テーマ「労働組合」