Source : | Early Exchange Outlook 2015 (The Health Care Blog) |
EXchange保険料に関する速報第2弾である(「Topics2014年7月16日 2015年保険料・免責額速報」参照)。
上記sourceは、27州+D.C.の申請ベースでの保険料を集計している(PwC)。 当然のことながら、上昇率も様々なら保険料水準も様々である。ポイントは次の通り。Coverd Californiaが公表した通り、CA州の保険料上昇率が平均4.2%になるとすると、やはりCA州はPPACAの優等生ということになろう(「Topics2014年8月3日(1) CA州:無保険者減少は予想以上に」参照)。
- 全体で保険プラン数は176プラン。うち、新規が37プラン。
- 保険料伸び率は、全平均で7.5%
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」
Sources : |
IRS Increases Affordability Percentage Under Employer Mandate for 2015 (Benefit Revolution) When Does 9.5% Equal 9.56%? (Spencer Fane Britt & Browne) |
"Affordability"は、PPACAの大事なキーワードである。"Patient Protection and Affordable Care Act"と法律名にも刻まれているからである。
では、具体的に企業が提供する医療保険プランの"Affordability"をどのように判断するのか。鍵となるのは「9.5%」である。従業員が単身で加入した場合に負担する保険料がその家計所得に占める割合を計算し、「9.5%」以下であればその保険プランは"Affordable"と判断される。
なぜこれが重要になるかというと、企業へのペナルティと従業員のTax Creditの受給資格に関わるからである。従業員50人以上の企業が保険プラン提供義務に違反した場合のペナルティは、2014年から施行されるはずであったが、さらなる準備期間が必要との判断で、1年先送りされ、2015年からの施行となっている(「Topics2013年7月3日 企業ペナルティ:一年先延ばし」参照)。そのせいか、"Affordability"の判断基準が変更されたことについて、あまり注目が集まっていない。
- 企業がペナルティを回避する要件(「Topics2013年7月17日(2) 企業ペナルティのフローチャート」参照)
- 企業が提供する医療保険プランはあるか
- 保険給付が診療費の60%以上となっているか
- 従業員が単身で加入した場合に負担する保険料が、その家計所得の9.5%以下になっているか
この3つの要件をクリアすれば、企業は"Affordable"な医療保険プランを提供していると看做され、ペナルティを課されることはない。ただし、企業は従業員の家計所得を把握することはできないので、次のいずれかの指標を家計所得と看做して判断することが認められている(safe harbors)。
- W-2(源泉徴収票)に記載される賃金
- 時間給×130時間(月)
- 単身者FPL(1ヵ月分)
- 従業員のTax Credit受給資格(「Topics2010年9月19日 Tax Creditsと"Exchange"」参照)
最も費用の安い保険プランに単身(家族)で加入した場合に負担する保険料が、その家計所得の「8%」を超えている場合、勤務先に"Affordable"な医療保険プランが存在しないと判断される。その場合、Exchangeで保険加入が可能となり、FPLに応じてTax Creditを受け取ることができる。
同時に、個人の保険加入義務も免責となり、ペナルティを課されることはない。
IRSが7月24日に公表したガイダンスでは、2015年の"Affordability"の判断基準を「9.5%」から「9.56%」に引き上げることが示された。合わせて、「8%」も「8.05%」に引き上げられた。
この調整式は予め定められていて、前年の保険料伸び率 − 前年の所得伸び率を調整項目として足していくことになっている。保険料の伸び率が高いと"Affordability"の基準が高まる仕組みになっている。
ただ、マクロとしてはこれでいいと思うが、業績悪化などで給与水準が下がっている企業の場合、保険料が世間並みに上がってしまうと、その企業は"Affordable"な医療保険プランを提供しているとは看做されなくなってしまう。そうした場合、企業としては、ペナルティを回避するためには保険プランの給付内容を下げざるを得なくなる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」
Source : | Job lock : Hanging on for health insurance (Securian Financial Group) |
上記sourceで、転職の意向と企業提供医療保険プランとの関係に関するアンケート調査結果を紹介している。企業側から見ると、医療保険プランが従業員の離職防止策(Job Lock)として一定の効果があるといえよう。しかし、PPACAで保険プラン提供義務が広まると、その効果は減殺されることになる。よほど質の高い保険プランを提供しない限り、離職防止策としての効果は見込めないだろう。
- 今の職場で提供されている保険プランと同様の保険に加入できるのなら、離職するか? ⇒ 40%
- 離職したいと考えたことはあるが、職場の医療保険プランが必要と考えて思いとどまったことがあるか ⇒ 56%
一方、PPACAは、働く側の労働インセンティブを削ぐとの推計も公表されている(「Topics2014年2月7日 PPACAで労働供給減少」参照)。
企業としては、医療保険プランに代わる離職防止策を検討しなければいけないかもしれない。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「労働市場」
Source : | Many Part-Time Feds Will Soon Be Eligible for Federal Health Benefits (Government Exective) |
7月29日、OPMから連邦政府職員が加入する医療保険制度"FEHBP"の加入資格を緩和する案が公表され、8月28日までパブリック・コメントに付されている。
現在は勤務期間6ヵ月未満の一時雇用は加入資格を与えられなかったが、提案では、2015年1月以降、月130時間以上勤務(または勤務予定)すれば、FEHBP加入資格が付与されることになる。これに要する費用は、年間$21〜42Mと推計されている。意外に少額なのは、おそらくこうした働き方をする一時雇用職員は、配偶者等の医療保険プランに加入済みの者が多いということなのだろう。
この措置は、連邦政府版の適用拡大である。PPACAが企業に求める医療保険提供義務は、週30時間以上の従業員に対して適用となる。時間数だけからみると、今回の提案とPPACAの規定はほぼ同程度と言うこともできる。しかし、PPACAの場合、いくつかの縛りがあって、ある程度継続した期間中に週30時間以上となっていないと提供義務の対象にならない。一方、今回のOPM案は、単純に月130時間と規定されているだけなので、おそらく対象となる人数はPPACAの規定より増えると思われる。
連邦政府でやったことを民間にも拡げようとするのが、Obama政権の手法である。やがて民間企業にも適用拡大の要請が来るかもしれない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | 6 States, D.C. Extending Medicaid Pay Raise Next Year To Primary Care Doctors (Kaiser Health News) |
これまで充分に認識してこなかったが、PPACAでは、Medicaidにおけるプライマリーケア医に対する診療報酬を引き上げるよう促している。つまり、州政府は診療報酬引き上げに要する財源の半分を負担すればいい、ということである。
- Medicaidにおけるプライマリーケア医に対する診療報酬を、Medicare (Part B) 並みに引き上げることを奨励する。
- 対象期間は2013〜2014年。
- 必要となる財源は、連邦政府が100%マッチングする。
Medicaid対象者拡大ばかり注目していて、診療報酬の方はわかっていなかった。要するに、Medicaid対象者拡大(量)については、連邦政府が100%(2020年までに90%)負担、診療報酬(質)の改善は州主導で州・連邦折半、ということだ(「Topics2012年12月4日 Medicaid拡充:州政府最大の課題」参照)。
上記sourceは、上記の2.について、問題提起をしている。各州の担当部署に質問したところ、2015年についても診療報酬を高い水準で維持すると回答したのは、次の州のみであった。なお、Alaska州とNorth Dakota州は、PPACAが施行になる以前から、Medicare診療報酬を上回っていた。(赤は共和党知事、青は民主党知事)
Medicaid対象者拡大 Alabama × Colorado ○ Iowa ○ Maryland ○ Mississippi × New Mexico ○ District of Columbia ○
他の42州は、すべて2012年水準に戻すということになる。
Medicaid診療報酬は州によって大きく異なるため、なかなか一括りにはできないが、PPACAの規定により、全国平均で73%(2012年)の引き上げ率となったといわれている。これが42州で元に戻るということになれば、大幅な引き下げとなることは間違いない。
しかしながら、悩ましいのは、診療報酬を上げたらMedicaid加入者を診療する医師・医療機関が増えるとは限らないところである。全米では69%の医師がMedicaid加入者を診療しているが、New Jersey州は最低の40%、Wyoming州は最高の99%となっている。連邦政府も州政府も、両者の因果関係について調査していないらしい。
それでは、なぜPPACAで診療報酬引き上げを盛り込んだのか、と突っ込みたくなる。多くの州政府は、因果関係を感じていないということなのかもしれない。
こうした事態に危機感を抱いた連邦上院議員2名(いずれも民主党)が、7月30日、Medicaidにおけるプライマリーケア医に対する診療報酬引き上げを2年間延長するための法案を提出した(Medscape)。しかし、下院で可決される見込みは低く、厳しい見通しとなっている。
Medicaid対象者を拡充しておきながら、診療報酬を引き下げてしまったら、一体どういう状況になるのだろうか。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | IRS Explains That Employer-Provided “Free” Parking May Be Taxable (EBIA Weekly) |
さる6月27日、IRSは、従業員に通勤用の駐車場を提供する場合、連邦所得税の課税対象になり得るとの見解を示した。ポイントは次の通り。例えば、自社敷地内に従業員通勤用駐車場を設けて無料で提供した場合、近隣の駐車料金の相場が$300/Mであれば、$50/M(=300-250)が課税対象所得となる。
- 従業員に提供する通勤用の駐車場として適格と認定されるためには、
ことが要件となる。
- 事業所の敷地内または敷地の近くにあり、
- 従業員の自宅または近くにはない
- 適格駐車場と認定された場合、その(市場価格でみた)駐車料金分は課税対象所得とはならない。
- ただし、その上限は、$250/M(2014年)である。
上限額である$250/Mは、連邦政府職員に対する駐車料補助金と同額である(「Topics2013年12月21日 通勤は自家用車優先」参照)。つまり、連邦政府職員に対する補助レベル以上のベネフィットは過剰と看做して課税する、ということである。
※ 参考テーマ「ベネフィット」
Source : | January 2014 Census Shows 17.4 Million Enrollees in Health Savings Account - Eligible High Deductible Health Plans (HSA/HDHPs) (AHIP Center for Policy and Research) |
上記sourceでは、高免責額プランに適用されるHSA(HSA/HDHPs)について、センサス調査結果(2014年1月)からの分析を紹介している。ポイントは次の通り。HSAが伸びているといっても、加入率は全米平均で7.0%と意外にも低い。
- HSA/HDHPsを持つ加入者数は、17.4Mに達した。65歳未満の民間保険加入者全体の7.0%に相当する。
- 中でも50人以上の従業員を持つ企業の保険プランのシェアが急増している。
- 州別に見ると、加入者数の多い順は、Illinois, Texas, Ohioとなっている。
- 州別の加入者割合をみると、Minnesota, Illinois, Washingtonの順になっている。
- HSAを伴う高免責額プランの保険料は、全米平均で$370.84/M(単身)、$835.41/M(家族)となっている。ただし、州によるばらつきは大きい。
※ 参考テーマ「HSA」、「医療保険プラン」
Source : | The Recent Decline in Long-Term Unemployment(FRB) |
失業率が低下しているにも拘らず、労働市場の力強さが欠けているとの指摘が相次いでいる(NCPA)。いずれも、FEDが金融超緩和策を継続する要因となっている「労働市場は依然脆弱である」説の論拠となっている。
- 6月の雇用者増加数は28.8万人だが、フルタイムが▲52.3万人、パートタイムが+80.0万人で、低賃金のパートタイマーの増加が貢献している(「Topics2014年7月6日 労働市場の改善進む」参照)。これにはPPACAの本格施行も影響している(「Topics2014年7月9日 勤務時間調整拡大」参照)。
- フルタイマーは雇用労働者の半分にも満たない(47.7%)。
- 2007年以降、高額所得産業の雇用は100万人減少している(「Topics2014年8月4日(1) CA州:プロサービス職が急増」参照)。
- 2010年2月以降の雇用増のうち、低所得職種が44%を占めている。
- 長期失業者が300万人以上に達している。
- 労働参加率が低下し続けており、6月は62.8%と36年ぶりの低水準となっている(「Topics2014年7月6日 労働市場の改善進む」参照)。
- 2007年央以降、アメリカの人口は1,720万人増加している。一方、雇用者は、2007年11月のピーク以降、37.4万人減少している。
- 16歳以上で働いていないアメリカ人は、史上最高の9,100万人に達している。
そのFRBが、7月21日、長期失業に明るさが見え始めた、との分析結果を公表した(上記source)。ポイントは次の4点。ようやく底打ちが見えてきた、というレベルだろうが、超緩和政策解除への地ならしと受け止めることもできる。
- 2014年前半の長期失業率は0.5%pt低下している。これは全体の失業率の低下ppt(2013年12月:6.7%⇒2014年6月:6.1%)のほとんどを説明している。
Figure 1: Change in Unemployment Rate by Duration since December 2007同時に、労働参加率はほとんど変化しておらず(2013年12月:62.8%⇒2014年6月:62.8%)、雇用人口率は0.4%改善している。
- 月単位でみると長期失業者の就職率が改善している。
Figure 2: Probability of Transitioning from Unemployment in a Month一方で、その倍以上の割合が労働市場から退出している。おそらく、長期失業者は労働市場からの退出と参入を繰り返しているものと思われる。
- 年単位でみると、長期失業者の就職率の改善は、短期失業者のそれと同期している。
Figure 3: Probability of Transitioning from Unemployment in a Year- 長期失業者が安定した職に就ける確率は、短期失業者よりも低位だが、最近半年間の改善は著しい。しかも、長期失業者でも就職を完全に諦めきっている割合はまだまだ小さい。
Figure 4: Probability of Stable Employment or Persistent Withdrawal in a Year
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Paid Leave Encourages Female Employees to Stay (New York Times) |
上記soourceは、先月公表された"The Labor Force Participation Rate Since 2007: Causes and Policy Implications"(Council of Economic Advisers)の内容を紹介している。
まずは、2007年以降の労働参加率低下の要因を3つ挙げている。また、男女別の労働参加率をみると、先の景気後退期、2007年4Q以降、女性の労働参加率が低下しているのが目立つ(「Topics2014年7月14日 中堅女性の労働市場退出」参照)。 女性の労働参加率を引き上げるための政策は、既にいろいろと挙げられている(「Topics2014年5月6日 労働参加率引上げ策」参照)。ただし、上記sourceは、女性の労働参加率を引き上げるために有給産休制度が必要だとの主張を紹介している。
- 2007年4Qの労働参加率は65.9%だったが、2014年2Qは62.8%と、3.1%pt低下している。そのうち、約半分(1.6%pt)は、高齢者の退出によるものである。
- 約1/6(0.5%pt)は、景気後退によるものである。
- 残り約1/3(1.0%pt)は、先の景気後退の大きさ等その他の要因による。
まさしく、多様な働き方への対応が求められている。
- アメリカは、国の制度としての有給産休制度がない唯一の先進国である。
- 59%の被用者は、勤め先の企業に有給産休制度があるとしている。
- 州レベルでは、最初にCA州が有給産休制度を導入し、母親の職場復帰を容易にすることができたと評価されている。
- 企業では、Googleが、それまで3ヵ月間の一部給付だった産休制度を、5ヵ月間のフルペイ制度に変更した。これにより、女性の退職は50%減らすことができた。新たな人材を採用するコストを考えれば安上がりな制度といえる。
- 他方、低技術でもこなせる職種の場合は、こうした恵まれた産休制度が提供されないため、高技術職との格差が拡大する惧れがある。
- 有給休暇制度は、親のケアのためにやめていく女性を引き止めるためにも有効である。
ところで、冒頭の分析を読んでいると、こんな図表が掲載されていた。 意外とアメリカ女性の労働市場参加率は低く、日本と大差なく見える。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | American Workers Are Older Than Ever (Businessweek) |
BLSの発表によると、労働市場における55歳以上が占める割合が22.2%となり、1948年の統計発表以降、最高値を更新し続けている。 アメリカのBaby boomersは1946〜1964年生まれで、ピークは1957年である。1957年生まれは2012年に55歳に達しているので、今後は徐々に増え方が緩くなってくるはずである。
しかしながら、55歳以上で労働市場に留まる割合が、1990年以降、急激に高まっている。ベビーブーマーの最初の世代は、2001年に55歳に達しているので、ベビーブーマーが労働市場に居残っている割合が高まっていることが見て取れる。 2001年といえば、Enron事件でDCプランが消滅してしまった年でもある。ベビーブーマー達が退職してしまうことに不安を持ったということもあるだろう。
一方で、大卒をはじめとした若者の雇用が高まらない(「Topics2014年8月5日(1) 大卒の給与が伸びない」参照)、女性の労働市場参加率が低下している(「Topics2014年8月6日(1) 女性労働参加率の低下」参照)、といった事態は、こうしたベビーブーマー達がいつまでも労働市場に残ろうとすることの煽りを受けてのことではないだろうか。特に、"Seniority"という考え方の強いアメリカでは、高齢者が女性や若者をはじき出してしまっているということが起きているのではないだろうか。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Pay raises for recent college grads far below average (Los Angeles Times) |
上記sourceは、Federal Reserve Bank of San Franciscoが7月21日に公表した、卒業したばかりの大卒生の給与に関する分析結果("The Wage Growth Gap for Recent College Grads")を紹介している。ポイントは次の通り。これは偏に労働市場における需要が高くなっていないことに因る。こんなところにも、失業率だけでは計れない労働市場の弱さが表れている。
- 卒業したばかりの大卒生(フルタイマー)の給与所得(中位数)は、2006〜2013年の間に5.9%しか増えていない。一方、労働者全体では同時期15%増えている。過去にもそうした傾向はあったが、今回はその差が大きく、しかも長引いている。
- しかも、大卒生の就職先が給与の低い産業へシフトしている訳ではなく、ほぼ同じ分野に就職しているのに、給与が伸びていない。
- さらに、パートタイマーの割合が増えているばかりか、労働市場に参加していない割合が増え続け、17.5%にも達している。
たまらないのは大卒者である。多額のローンを抱えているので、就職できても給与水準が低く、しかもなかなか上昇しないということであれば、返済が長期化してしまう。若い世代の消費を抑制してしまうことになってしまう。
アメリカ経済はまだまだ順風満帆には程遠いようだ。
※ 参考テーマ「労働市場」、「教育」
Source : | Wisconsin Justices Uphold Union Limits, a Victory for the Governor (New York Times) |
7月31日、WI州最高裁は、労組権限を制約する州法は違憲であるとの労組の訴えを退ける判決を下した。これにより、2011年に成立したAct 10は有効となった(「Topics2011年3月21日 WI州法公報差し止め」参照)。ちなみに、労組権限制約の内容は、「Topics2011年2月13日 WI州:労組に圧力」を参照。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | State sees surge in high-paying white-collar jobs (Los Angeles Times) |
California州(CA州)では、プロサービス職への需要が急増している。プロサービス職には、engineers、architects、lawyers、accountants、consultantsなどが含まれる。
プロサービス職の就業者は、前回の景気後退期から17%も伸びている。雇用全体の伸びが8%だから、それを大きく上回っている。こうした職種への需要が高まっているということは、景気がよくなっていることの証左であると言われている。
また、こうした職種は、全米から需要を取り込んでくることが期待されており、地域経済(CA州経済)にとっても福音である。
アウトソーシングを有効に使うアメリカ企業、アメリカ社会の特徴であろう。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Straight Business Students Are Crashing Gay Job Fairs (Businessweek) |
ビジネススクール卒業生のうち、LGBTを対象にした就職説明会というのがあるそうだ。最近、そのLGBT就職説明会に、"straight"の学生が参加してくることが話題になっている。実は、LBGTだけでなく、黒人向け、アジア人向け、ヒスパニック向けなど、マイノリティ向けの就職説明会でも、そうした対象外の学生の参加が増えているという。
理由は、就職難である。就職活動のためであれば、何処にでも出向いて機会をつかみたい、ということらしい。
マイノリティ向け就職説明会の主催者側は、こうした傾向に懸念を抱きつつも、明確に断ることが難しい。どのような性向、生まれであっても、能力のある人材を企業は求めているはずだから、と言われればそれまでである。
アメリカ企業は、従業員の多様性を確保するためにそうした説明会に参加するのだろうが、多様性を確保しようとすることは、まだまだ差別意識が残っていることの証左でもある。
多様性を認める社会は、あらゆるプレーヤーが努力しなければ実現できない。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | California Makes Significant Progress In Enrolling Previously Uninsured, Survey Finds (Kaiser Health News) |
上記sourceは、Exchange初年度に無保険者がどのように減少しているのかを調査した結果を紹介している。
調査名は、"Where are California’s Uninsured Now?"(Kaiser Family Foundation)で、昨年夏の時点での無保険者2001名(CA州、65歳未満)について、Exchange加入期間後の状況を調査した。ポイントは次の通り。こんなところにも、不法移民問題が深刻な影を落としている。
- 昨夏の無保険者のうち、58%が新たに保険加入した。仮にCA州全体に当てはめた場合、340万人が新たに保険加入した可能性がある。
- 新たに保険加入した者で、Medi-Cal加入者が25%、企業提供プラン加入者が12%、Exchange(Covered California)が9%に相当する。
- 42%が引き続き無保険者のままになっているが、加入資格があるのに無保険者となっているのが29%、不法移民であるために加入資格そのものがないのが13%となっている。
- 加入資格があるのに保険加入しない理由として、@負担が重い、A家族の中に不法移民がいることが判明してしまう、などが挙げられている。
一方、別の推計では、無保険者率が、2013年6月の22%から今年6月には11%にまで低下したと見られている(Los Angeles Tiems)。
さらに、7月31日、CA州のExchangeであるCoverd Californiaは、2015年の保険料上昇率は平均4.2%になると公表した(Los Angeles Tiems)。
もちろん、物価上昇率よりも高く、決して伸びが収まったとは言えないが、それでも他州で2桁増の申請が報じられている中、ある程度抑制に成功したと言えるのではないだろうか(「Topics2014年7月16日 2015年保険料・免責額速報」参照)。
CA州は、PPACA優等生の地位を着々と築きつつあるようだ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」
上記sourcesは、いずれもGoldman Sachsエコノミストが公表した"Labor Market Dynamism Tracker"に関するコメントである。
最近5ヵ月連続で、雇用者増加数が20万人を上回り、労働市場の改善が進んでいるとの評価になっている(「Topics2014年7月6日 労働市場の改善進む」参照)。しかし、これはあくまでネットの数字であり、労働市場が活発に動いているのかどうか、企業・労働者が積極的に雇用を求めて活動しているのかどうか、ということはわからない。
そこで、上記の指標で労働市場のダイナミズムを確認してみようという訳である。指標作成に利用されている統計は次の通り。その指標の長期の動きは次のようになっている。 明らかに、2000年以降、労働市場のダイナミズムは低下し、今回の景気回復期においてもほとんど改善が見られていない。その理由として、次のような事項が挙げられている。
- Job Openings and Labor Turnover Survey:job hiring rate, job separation rate
- Business Employment Dynamics:job gain rate, job loss rate
- Current Population Survey:share of workers making job-to-job transitions
最後の3点目が最も重要だとGoldman Sachsは指摘している。まだまだアメリカ労働市場の課題は重いようである。
- 企業は、従業員が他の会社で簡単に利用できないようなスキルを伝えている。
- 起業が減って、労働者の移動が減っている。
- 経済成長に力強さがない。労働者の方で転職のリスクが取りにくい。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Obamacare Help Was In High Demand, Survey Shows (Kaiser Health News) |
Exchangeの運用においては、"Navigator"が重要な役割を果たすと言われてきたが、初年度加入を終えたところで浮かび上がってきた現実は、相当に厳しいものがあることがわかったようだ(「Topics2013年2月9日 "Navigator"の課題」、「Topics2013年5月23日 "Navigator"の課題(2)」参照)。
上記sourceは、Kaiser Family Foundationが全米4,445の加入支援プログラムを対象に行なった調査で、843から得た回答を集計した結果の概要である。ポイントは次の通り。
加入時にこういう状況であったとすると、1年間の加入期間に、様々なトラブルが発生しているかもしれない。それを踏まえた2年目の手続き期間(本年11月15日〜)も、"Navigator"にとってしんどい日々かもしれない。
- 初年度の加入手続きの間に、約1,060万人が"Navigator"等の支援を受けた。
- 加入手続きに一人当たり1〜2時間を要したと回答したのが64%。
- 州立Exchangeを創設した州の支援員数(無保険者1万人あたり)は、連邦立Exchange州のそれの約2倍用意されていた。
- Exchange手続きで、インターネット接続も問題になったが、それよりも、PPACAの基本的な理解がほとんど進んでいなかったことが最大の問題であった。例えば『免責額って何?』
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Senate passes House version of highway bill (Pensions & Investments) |
上院が修正を加えた"Federal Highway Trust Fund"関連法案(H.R.5021)は、結局、下院の拒否にあい、最後は上院側が時間切れで折れ、下院案をそのまま飲むことで可決した(7/31)。
結局、上院も年金受給権を護るとのパフォーマンスをしたに過ぎなかった(「Topics2014年8月1日 上院:MAP-21延長幅短縮案」参照)。
※ 参考テーマ「企業年金関連法制」
Sources : |
Senate reduces pension smoothing measures for highway bill (Pensions & Investments) Senate Passes Highway Bill, Sends It Back to House (AP/ABC) |
7月29日、連邦議会上院は、"Federal Highway Trust Fund"関連法案(H.R.5021)に修正を加え、可決した(「Topics2014年7月17日 MAP-21延長を議論」参照)。主な修正点は次の2点。上院議員達は、一応、『年金積立割合を低下させる危険な措置』との認識を示してくれたようだ。
- 財源手当てを9ヵ月分のみとする。本格的な議論を中間選挙後に先送りするため。
- 必要となる財源が縮小することから、給付債務認識額の縮小措置の適用期間を短縮する。
しかし、下院は、上院の修正案を拒否する構えであり、送り返されてきた場合の上院の姿勢はどうなるか。ことの性格上、夏休み休会に入る前に議会での決着をつけて、大統領に送付する必要がある。
※ 参考テーマ「企業年金関連法制」