2月20日 従業員の子育て支援策 
Source :8 workplace perks for new parents (Chicago Tribune)
上記sourceでは、子育てに入った、または入ろうとする従業員への支援策としてかなり一般的になっているベネフィットを紹介している。
  1. 事業所内保育所

  2. 6週間以上の産休

  3. 父親への子育て休暇

  4. 食事・クリーニング代としてのバウチャー

  5. 不妊治療費の補助

  6. フレックス・タイム、在宅勤務

  7. 養子縁組支援

  8. 有給休暇の日数制限撤廃

中でも、7.はアメリカらしい。

※ 参考テーマ「ベネフィット

2月19日 MD州議会 同性婚で最終段階 
Source :Md. Senate - largest remaining hurdle to same-sex marriage - likely to approve bill (Washington Post)
同性婚の認可に向けて、MD州議会が大詰め迎えている(「Topics2010年12月12日 MD州:同性婚承認を検討」参照)。上記sourceによれば、来週にも州議会上院で同性婚を認可する法案について採決が行われ、賛成票が過半数を超える見込みという。州議会下院はよりリベラルの色彩が強く、州知事も署名すると明言している。

この見込み通りとなれば、おそらく反対派が「州民投票にかけろ」と請求し、それが認められれば、2012年11月に州民投票が行われ、決着がつくものと思われる。

※ 参考テーマ「同性カップル

2月18日(1) WI州政府職員の猛反発 
Source :Public Workers in Wisconsin Protest Plan to Cut Benefits (New York Times)
WI州知事の歳出削減案に対し、州政府職員や教師たちは猛反発している(「Topics2011年2月13日 WI州:労組に圧力」参照)。アメリカにしては珍しく(?)、大規模な団体行動が展開されている(New York Times)。

実は、1959年に、WI州は初めて州政府職員に団体交渉権を賦与した。その後、この動きが広がり、現在では団体交渉権を賦与していないのは、わずか12州だけという(Los Angeles Times)。同紙によれば、州議会は、州法により、州政府に職員との団体賃金交渉を認めている。従って、それを剥奪するのも法律を変えれば済むことになる。民間企業や連邦政府職員は連邦法により交渉権を認められているため、州法により否定されることはない。

州議会共和党は、週末にも採決を決行する構えを見せていたが、これに反発した民主党議員達は、17日午後、一斉に州外に出て審議を拒否し、何も議論できないままに州議会は散会となった。

一方、同様の法案が、Ohio、Iowa、Michiganなどの州で検討されているそうだ。

こうした動きに対し、我慢できなくなったのがObama大統領である。Obama大統領は、WI州知事を批判し、組合側を支持する姿勢を明確にしたのである(Washington Post)。これは大統領にとっては賭けといえる。確かに大統領の支持層である労組には願ってもない支援である。しかし、
  1. 州政府職員のベネフィットは民間企業に比べればかなり手厚く、州政府が大幅な赤字を抱えている中で、批判の対象となっている

  2. せっかく、企業活動にも理解を示すことで、スタンスを中道寄りに修正したばかりなのに、これでは台無しとなる(「Topics2011年1月26日 雇用獲得競争」参照)
といったリスクを負ってしまったのである。

労組の扱いについて、再び国を二分する議論が続けられる可能性がある。

※ 参考テーマ「労働組合」、「地方政府年金

2月18日(2) 少額プラン例外措置:4州 
Source :Four States Given Waivers for Rules in Health Care Law (New York Times)
16日、HHSは、Florida, New Jersey, Ohio, Tennesseeの4州に対し、少額プランの存続を認める例外措置を認めた。これは、"mini-med"に対する例外措置に続くものである(「Topics2010年10月9日 Mini-medは例外扱い」参照)。

理由は、その少額プランしかアクセスがないから、ということである。

共和党は、『こうした例外措置が講じられて、どんどん医療保険改革法の規定が後退している。医療保険改革法自体に問題がある証拠だ』と批判しているが、2014年に本格施行されるまでの経過措置という受け止めが一般的であろう。

それにしても、あと3年で、少額プランや"mini-med"を廃止できるような環境になっているのかどうか。懸念は拭えないところである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

2月18日(3) Medicaid対象者縮小を承認 
Source :Sebelius Clears the Way for Arizona to Shed Adults From Medicaid (New York Times)
17日、HHSは、AZ州から申請されていたMedicaid対象者の縮小案を承認した(「Topics2011年1月25日 AZ州:Medicaid例外措置を申請」参照)。いままで対象にしていたのは、法規制を超える対応であり、その対応期限が切れることをもって対象にすることをやめるのは、法律違反にはならない、という判断である。

これにより、今年9月30日をもって、子供のいない成人25万人、PL50%以上の親3万人のMedicaid加入資格は停止される。

おそらく、このAZ州政府の例にならって、特例的に対象を拡大していた州は、順次対象を絞り込む方向で動くことになろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

2月17日(1) "Doc Fix" 2年延長提案 
Source :Obama’s Medicare 'Doc Fix' Under Fire (Kaiser Health News)
Obama大統領は、先の予算教書により、"Doc Fix"の2年延長を提案した。

"Doc Fix"は、昨年末、連邦議会終盤で1年間延長されている。大統領提案は、これをさらに2年間延長しようというものである。そのための財源は、あちこちからかき集めて辻褄を合わせる予定だ。

しかし、この延長提案は、これまでの接木接木で凌いできた応急措置の固定化であり、制度の持続性確保のための抜本改革とはほど遠いものである。当然、評判は悪い。

ところが、全米医師会(AMA)からは大いに評価されている。Medicare診療報酬が大幅削減になれば、Medicareから退出する医師が続出する、と脅していたのだから、大統領提案は歓迎だ。Obama大統領は、医療保険改革法の本格執行まで、医師会の支持を取り付けておくことで、何かと批判が多い医療保険改革法を守っていこうとしているのである。

※ 参考テーマ「Medicare

2月17日(2) PBGCに保険料決定権 
Source :President’s Budget Strengthens Pensions by Giving PBGC New Premium Authority (PBGC)
同じく予算教書で、Obama大統領は、PBGC保険料を議会による承認から、PBGC自身に決定権を賦与することを提案した。その際、保険料決定の要因となるのは、@スポンサーである企業の財政状況と、A個別年金プランの財政状況である。

これまでは、Aは保険料に反映されていたが、新たに@が反映されるようになる。

PBGCの財政状況改善に役立つことが期待されているが、そもそもPBGC保険料の対象となるDBプランが次々と凍結されている現状では、さほど効果があがるとは思えない。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

2月15日 2012年度予算教書 
Source :The President's Budget (OMB)
昨日14日、2012年度大統領予算教書が公表された。最大の課題は財政赤字の削減である。具体的な政策変更やその評価はこれからだが、全体に踏み込みが足りないという批判が出ている。その大きな理由は、Social Security、Medicare、Medicaidといった費用のかかるプログラムの改革に着手しようという姿勢が見られないからである。批判の声を上げているのは、次の3つの勢力である(BusinessWeekWashington Post)。

  1. Paul Ryan下院議員(予算委員長)(R)

  2. Ken Conrad上院議員(予算委員長)(D)

  3. Erskine Bowles氏(D)

最初のRyan下院議員は当然(「Topics2011年1月28日 下院共和党の財政健全化策」参照)としても、2番目の上院民主党幹部であるConrad上院議員からも批判を受けているのは痛い。最後のBowles氏は、Obama大統領自らが設置した超党派財政健全化諮問会議(NCFRR)の民主党側共同議長である(「Topics2010年12月5日 NCFRR報告書」参照)。

実は、この3人ともNCFRRに参加しており、民主党サイドの二人は最終報告書案に対して賛成票を投じているのである(「Topics2010年12月4日(1) 11対7」参照)。二人からしてみれば、「大統領の要請だったから、せっかく苦労して財政健全化案を作ったのに、無視かよ」という訳である。

こうした批判を予想してか、Obama大統領は、「たたき台で踏み込み不足なんだから、もっといい案があればどうぞ提案してくれ」と言っている。これには既視感がある。医療保険改革法案を議論していた時、大統領は肝心な課題でははっきりと方向性を示さず、議会で議論してくれ、と突き放し、あちこちで溝がどんどん広がっていったのと同じ構図である。

こうした大統領の政治姿勢に、連邦議会議員はもううんざりなのではないだろうか。

※ 参考テーマ「一般教書演説

2月13日 WI州:労組に圧力 
Source :Governor Walker Introduces Budget Repair (Press Release)
どこの州政府も予算編成の中で歳出カットをしなければならなくなっている。特に、州政府職員の年金、医療保険プランについては、給付抑制や負担増を求めざるを得なくなっている。

そうした環境下、Wisconsin州のWalker知事は、歳出抑制策とともに、州政府職員の労組に対しても圧力をかけようとしている。概要は次の通り。
  1. 職員報酬

    1. 職員年金
      1. 年金給付額の半分について、職員の負担を求める。これは給与の約5.8%に相当する。
      2. 特別職、政治任用の職員の給付乗率を、一般職員と同じにする。

    2. 医療保険プラン
      1. 州政府職員の保険料負担を、現在の保険料総額の約6%から、最低12.6%にまで引き上げる。
      2. 保険給付総額を5%抑制する。

    3. 検討課題
      1. 州職員年金(Wisconsin Retirement System)について、確定拠出型の導入、受給権賦与のための勤務期間の長期化の可能性を検討する。
      2. 医療保険について、"exchange"の創設、高額免責制の導入を検討する。

    4. これらの措置により、今年度$137Mの財政赤字を、約$30M縮小できる。

  2. 労使関係

    1. 労使協約
      1. 給与総額の伸びをCPI以内に抑える。
      2. 労使協約を毎年更新し、新協議が整うまで凍結する。
      3. 労使協議に参加する労組は、毎年労組存続のための承認投票を義務付ける。
      4. 州政府等による組合費の代理徴収を禁じる。
      5. 組合員には組合費納付を義務付けない。

    2. 有期契約職員の医療保険プラン、年金プランへの加入を禁じる。

    3. 州政府が緊急事態を宣言した場合、上司の許可なく3日間欠勤した者、スト活動に参加した者を解雇する。

    4. Medicaidの訪問看護職員、家庭における幼児看護職員、Wisconsin大学の病院・診療所職員、Wisconsin大学職員を、労使協議から除外する。

  3. Medicaidの赤字($153M)を解消する。
WI州議会は、上下両院とも共和党が多数を握っており、同じく共和党の州知事提案は議会で可決される可能性が高い(比較表)。当然のことながら、労組は『やり過ぎだ』と反発している(New York Times)。

州政府の財政健全化を進めなければならないという政策課題を達成するために、自治体職員の権限をどこまで制約できるのか。全米の州政府が注目することになろう。

※ 参考テーマ「労働組合」、「地方政府年金

2月12日 医療保険の歴史 
Source :The History of Health Insurance in America: The Ultimate Web Guide (The Health Hut)
上記sourceでは、アメリカの医療保険について などに関するリンクを紹介している。

※ 参考テーマ「社会保障全般

2月11日 VT州:単一プランへの挑戦 
Source :Governor Shumlin Introduces Healthcare Reform Bill (VT Governor's Newsroom)
VT州のShumlin知事が、単一診療報酬を目指した医療保険改革案を提出した。選挙公約を踏まえ、具体的な制度改革を一歩進めた形である(「Topics2011年1月6日 VT州の挑戦:single-payer」参照)。

そのプランは壮大であり、連邦政府の医療保険改革法を利用しながら、適用除外も必要となるなど、複雑な調整が必要となる。

そのポイントは次の通り。 なお、単一診療報酬制度とは言いながら、"Self-insured"や退役軍人向け医療保障など、既得権を有するグループについては対象外としている。

MA州ならびに連邦政府が保険プランへの加入義務付けに重点を置いたのに対し、VT州は、連邦医療保険改革を踏まえながら、さらに一歩進めて医療費抑制に重点を置いて改革を進める考えである。

また新たな社会実験が試みられようとしている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/VT州