Source : | Detroit emergency manager files largest municipal bankruptcy in US history (AP) |
7月18日、Detroit City(MI州)は、破産裁判所に対してChapter 9に基づく申請を行なった。認められれば、史上最大規模の自治体破産となるそうだ。
以前から、破産申請回避のための方策が論じられていた(「Topics2013年7月5日(5) Exchangeは退職者医療の受け皿?」参照)が、年金プランを含む債権者間の折り合いがつかず、ついに申請に至った。
これで、間違いなく市職員年金、退職者医療保険の見直しをせざるを得なくなるだろう。アメリカでは公的部門のバランス調整が静かに進んでいる。
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「自治体退職者医療/GAS 45」
Source : | House Votes to Delay Two Requirements of the Health Care Overhaul (New York Times) |
7月17日、連邦議会下院は、企業が医療保険プランを提供する義務、個人が医療保険プランに加入する義務の両方を1年間先送りする法案を可決した(「Topics2013年7月17日(1) 企業提供義務先送りの余波」参照)。問題はその投票内容で、企業の提供義務の方 (H.R. 2667)は35人、個人加入義務の方は22人の民主党議員が賛成票を投じたそうだ。もちろん、両法案とも上院で可決される可能性は低いものの、民主党からこれだけの賛成票が入ったことは、深刻な事態であると認識せざるを得ない。
一方、White Houseは、企業提供義務先送りのための法案は不要であるとしているが、本当にそうだろうか。また、個人加入義務の先送りには、保険会社が強く反発している。既に義務化を前提にした加入者数を前提に、保険料の設定を終えているからである。
これに関連して、連邦政府機関がExchange始動の遅れの可能性を、公式に指摘し始めた(Reuters)。税務執行機関の監査官は、IRSが準備しているシステムが適正に稼動するかどうかのテストが終わらない可能性を指摘し、これを理由にExchangeの始動を遅らせる必要性が出てくる可能性に言及している。また、GAOの担当官も、Exchange始動のために連邦政府がやらなければいけない作業が遅れていることを指摘している(「Topics2013年6月24日(2) GAOがPPACA準備遅れを指摘」参照)。
企業の保険提供義務を遅らせることにより、企業の保険提供情報がExchange側で確認できないことになる。これを補うため、連邦政府は民間の信用情報提供会社と1年間の契約を結び、Medicaid、保険料補助金の受給資格を査定するための最新の所得情報の提供を受ける契約を結んだ(New York Times)。これで、所得情報の獲得から受給資格の審査までの一連の作業が、民間企業に委託されることになる(「Topics2013年7月5日(6) Exchangeの業務委託」参照)。
今の時点で大事な作業が民間に委託され、本当に間に合うのだろうか、懸念は心配に変わってきた。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | A Handful Of State Marketplaces Opt Not To Charge Smokers More For Premiums (Kaiser Health News) |
PPACAの規定では、各州のExchangeで販売される個人向け保険プラン、小規模企業向け保険プランでは、喫煙者の保険料を高く設定することが認められている。上限は50%増までである。喫煙者は発病のリスクが高いので当然だろう、というのがアメリカ社会の感覚である。
しかし、具体的な制度設計の中で、喫煙者に対する割増保険料を認めないという州が出てきている。具体的には、下表の色を付けたところである(CMS)。個人保険プランでは6州+D.C.、小規模企業プランでは7州+D.C.になる。上記sourceによると、割増保険料を認めない理由は、次の2点。State Specific Rating Variations - Centers for Medicare & Medicaid Services
Updated June 4, 2013
Individual Market Small Group Market State Age Rating Ratio State-Established Age Curve Tobacco Rating Ratio Uniform Family Tiers Age Rating Ratio State-Established Age Curve Tobacco Rating Ratio Uniform Family Tiers Average Enrollee Premiums Arkansas 1.2:1 1.2:1 California 1:1 1:1 Colorado 1.15:1 1.15:1 Connecticut 1.5:1 1:1 Delaware Yes District of Columbia Yes 1:1 Yes 1:1 Kentucky 1.4:1 1.4:1 Massachusetts 2.1 Yes 1:1 2.1 Yes 1:1 Minnesota Yes Yes New Jersey 1:1 1.824:1* Yes 1:1 New York 1:1 1:1 Yes 1:1 1:1 Yes Yes Oregon 3:1** 1.5:1** Yes Rhode Island 1:1 1:1 Yes Utah Yes Yes Vermont 1:1 1:1 Yes 1:1 1:1 Yes * Overall 2:1 variation for small groups: NJSA 17B:27A-25.
**Overall 3:1 variation for small groups: ORS 743.737(11).上記sourceでは、2点目について、具体的な例示を紹介している。
- 割増保険料を設定しても、喫煙者が禁煙するとの確証はない。
- 喫煙者には低所得層が多い。割増保険料を設定すると、保険加入へのディスインセンティブとして働く。保険給付に禁煙プログラムが含まれている場合が多く、このプログラムの利用が進まないことにつながる。
○40歳、年収$35,000、Silver Planを選択した場合上記の各州を見てみると、NJ州が連邦立Exchangeを設立することだけが例外で、あとは、州立ExchangeでMedicaid拡充を決めている州である。総じてリベラル色の強い州といってよいだろう。
保険料($) 保険料補助金($) 実質保険料負担($) Non-smoker 3,857 - 532 = 3,325 ↓x 1.5 Smoker 5,786 - 532 = 5,254
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」
Source : | No Veto: Fair Share Repeal Proceeds Despite ACA Delay (Seyfarth Shaw LLP) |
財務省(DOT)が7月2日に公表した、企業の医療保険プラン提供義務の1年先送りについて、余波が広がっている(「Topics2013年7月3日 企業ペナルティ:一年先延ばし」参照)。
まず、PPACAで法定された提供義務の施行を連邦政府が先送りする権限はあるのか、との批判に対し、やはりこれには耐え切れず、一応、連邦議会下院に連邦政府の決定を裏付けるための法案(H.R. 2667)が提出された(「Topics2013年7月11日(1) 個人加入義務の延期要請」参照)。法案提出者及び協賛者は、すべて共和党議員である。まずは法制化を求めていき、最終的に大統領に署名させることが目的であろう。
次に、CBOによる財政推計である。7月16日に発表されたアナウンスメントによると、との見解である。
- 次のベースライン推計時に織り込む
- 現時点では財政試算に影響なし
最後に、MA州の皆保険制度への影響である。7月12日、MA州知事は、MA州皆保険制度に盛り込まれている企業の保険提供義務(従業員10人以上、ペナルティは$295/人)を廃止する法案に署名してしまった。
もともとは、連邦法のPPACAと州法が異なるペナルティを課す規定を残しておくと、二重賦課が発生する可能性があるというのが立法主旨であった。PPACAの本格実施を前に州法での企業提供義務を外しておくため、今週議会で議論され、財務省の1年先送り宣言前までに、州議会下院で可決していた。そして、財務省宣言の一日後、州議会上院もまた可決した。
連邦法が1年先送りされるのに州法の義務規定を外してしまえば、MA州内で企業提供義務に少なくとも1年間の空白が生じてしまうことになる。それでも、州知事は、といった理由で、予定通り、法案に署名したのである。大人の判断だが、懸念を表明する向きも多いようだ。
- MA州の無保険者割合は極めて低い
- 既に保険を提供している企業がこの空白により保険提供を止めてしまう確率は低い
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/MA州」
Source : | Penalties for Employers not Offering Affordable Coverage under the Affordable Care Act (Kaiser Family Foundation) |
今話題の企業提供義務を怠った場合のペナルティについて、わかりやすいフローチャートがあったので、参考までに掲載しておく。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | NerdWallet Health Estimates 56 Million Americans under 65 will Struggle with Medical Bills in 2013 (NerdWallet Health) |
上記sourceでは、2013年の医療費負担が生活に及ぼす影響を推計している。アメリカ人の生活の中で、医療費がどれだけ問題になるのかがよくわかる。医療費に伴う個人破産が1,700万人にも達するというのは、日本人には理解しがたい。
- 医療費負担の支払いで何らかのトラブルに遭遇する ⇒ 5,600万人(65歳未満)
- 未払い医療費について、債権回収業者からの連絡を受ける ⇒ 3,500万人以上(19〜64歳)
- 医療費負担が大きいために、クレジットカードの信用度が下げられる ⇒ 1,700万人近く(19〜64歳)
- 医療費の支払いのために貯蓄を使い果たす ⇒ 1,500万人以上(19〜64歳)
- 入院費の支払いにより、クレジットカードに負債が生じる ⇒ 1,100万人以上(19〜64歳)
- 医療費支払いのために、生活必需品(家賃、食料、光熱費等)の支払いができない ⇒ 1,100万人近く(19〜64歳)
- 1年間保険加入しているにも拘わらず、医療費が支払えない ⇒ 1,000万人(19〜64歳)
- 医療費が支払えないために個人破産(Chapter 13)を宣告する ⇒ 170万人。これは、個人破産件数の約6割(57.1%)を占める。(7/18修正)
- 医療費負担を抑制するために処方薬の利用を減らす、またはやめる ⇒ 2,500万人以上(19〜64歳)
無保険者が病気にかかったり、事故にあったりして、医療費負担がのしかかってくることにより、医療費が払えない、破産してしまうという状況は想像できるが、保険加入していても医療費が払えない人が1,000万人に達するというのは、驚きである。これも自己負担、特に免責額が負担になっているためである。実際、医療費全体の23.6%は患者本人が負担しており、その割合はかなり大きい。
従って、無保険者対策をメインにしたPPACAが本格施行されたとしても、こうした医療費の支払いに伴うトラブル、破産が大きく減ることはないと見られている(American Medical News)。PPACAの下でも、保険料の更なる引き上げ、免責額の増額が見込まれているからだ。
PPACA本格実施後も、医療費・医療保険は重大な政策課題であり続けるものと思われる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」、「司法」、「人口/結婚/家庭/生活」
Source : | A few big Blue plans quietly skipping exchanges (HealthLeaders-InterStudy) |
以前、MS州の36のcountyで、Exchangeを通じた保険プラン提供が行われない見通しであることを紹介した(「Topics2013年7月5日(2) Exchangeの遅れ」参照)。上記sourceによると、同じような状況が、Oregon、Iowa、South Dakota、Lousiana、Alabama、South Carolinaで起こる可能性があるという。
理由は、従来、個人保険・グループ保険市場で最大シェアを有していた"Blue Cross Blue Shield (BCBS)"が、Exchangeに参入しない可能性が高いためである。実際、Oregon、Iowa、South Dakotaでは、BCBSは2014年にExchangeに参加しないことを決定している。BCBSが参加しない穴を埋めるほどの規模の参入がなければ、Exchangeを通じた保険プラン提供が行われなくない、または行われない地域が増えてしまう。
このような状況を、上記sourceは、"coverage deserts"(保険砂漠)と称している。
さらに、2014年になってExchangeへの参加人数、保険加入者数が明らかになり、想定したほど個人の加入がなかったということになると、この保険砂漠はますます広がっていく可能性が高くなる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/IA州」、「無保険者対策/OR州」、「無保険者対策/その他州」
Source : | National insurance plans slow to emerge under new health law (Washington Post) |
"Multi-State Plan Program (MSP)"の制度設計については、既に最新情報を紹介している(「Topics2013年4月7日 MSPの政策課題」参照)。上記sourceでは、保険加入申請が3ヵ月後に迫った今、MSPにとっての当面の課題について2点論じている。こうしたプラン提供の地理的・時間的情報がまったく示されていないため、国民が加入申請するにあたり、MSPという選択肢が増えるのかどうか、今のところよくわからない状況にある。
- 10月1日に販売となるのはどこの州なのか?
未だにMSPを提供する機関がどこになるのか判明していない。その中でも最有力候補が、既に全米でプラン提供の実績がある"Blue Cross Blue Shield (BCBS)"である。しかし、そのBCBSでさえ、当初の申請は31州での提供にとどまる、としている。現時点で、OPMは、その31州の名前を公表していない(FierceHealthPayer)。
- いつからExchangeで販売開始となるのか? 仮にBCBSの申請が認められたとして、残りの19州では、2014年にMSPの提供は行われないのか。2014年でないとすると、いつから販売されるのか。また、提供する31州の中でも、一部の区域で提供しないことも認められており、どの地域で提供されることになるのか。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Difficult Spot for Obama on Immigration Push (New York Times) |
移民改革法案の審議は、上院で可決された後、ぱったりと止まってしまっている(「Topics2013年6月29日 連邦議会上院:移民制度改革法案可決」参照)。
こうした状況に、推進派は苛立っており、すぐにもObama大統領は全米を遊説して、その必要性を説き、下院に圧力をかけてもらいたいと思っている。しかし、これから夏休みモードに入っていく中、多くの下院議員は選挙区に戻っており、連邦政府からの圧力を余り感じない環境にいる。そうした点を踏まえ、共和党のMcCain上院議員は、Obama大統領は慎重に振舞うべきだ、と助言している。選挙区で議論が盛り上がると、下院共和党議員達は強硬な姿勢を採らざるを得なくなる、と警告しているのである。
そうした助言が効いているのか、Obama大統領からの声はほとんど聞こえてこない。
一方、下院共和党は、どのような対応を採ろうとしているのか。Boehner下院議長は、11日、次のような発言をしている。圧力をかけられた形ではなく、自分達の頭で議論させてくれ、という訳である。もっともの主張のような気もするが、時間切れでお終い、という可能性も高い。Obama大統領の思案の為所である。
- 上院が可決した法案は審議しない。
- 制度改革全体を一括して審議するのではなく、移民制度に関連する個別制度(例えば国境警備、個人認証制度など)毎の見直しを重ねていく。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Senator proposes public/private pension reforms (Pensions & Investments) |
7月9日、Orrin Hatch上院議員(R-UT)が、地方政府年金とDCプラン(民間)の改革法案を提出した。法案名は、“The Secure Annuities for Employee (SAFE) Retirement Act of 2013”(S. 1270)で、要約版も公表されている。
ポイントは次の3点。2点目と3点目については、American Benefits Council(ABC)からも支持を得ているようだ。これは感想になるのだが、政治家は、よほどDOLが嫌いなのか、年金に関するDOLの権限を取り上げようと必死になっているように思える(「Topics2013年6月26日(1) DOL抑え込み法案」参照)。
- 地方政府年金を保険会社との契約に基づく年金プランとする。
- 小規模企業向けに、新たなDCプランである"Starter 401(k)"を創設する。このプランついては、規制や煩雑な手続きを大幅に省略する。
- 401(k)プランの受託者責任に関する監督権限をDOLからDOTに移管し、多くの金融アドバイザーから助言を受けられるようにする。
問題は、1点目である。Hatch上院議員は、annuity契約にすることで積立不足は発生しなくなる、としているが、本当にそんなことができるのだろうか、との疑問の声が上がっているそうだ。具体的には次のような指摘が示されている(The Bond Buyer)。当websiteのもっと根本的な疑問は、州政府等の地方政府年金プランについて、連邦議会が法定することが可能なのか、というものである。
- 地方政府年金は、既にそれ自体、地方政府が受託したannuity契約になっている。保険会社にわざわざ移管する意味がわからない。
- 地方政府年金は破綻しないが、民間の保険会社は破綻する。
- 民間保険会社に委託する方がコストがかかる。
- 今の地方政府年金の積立不足は、地方政府からの拠出が適正に行われていないだけ。受託者が保険会社に変わっても、その構造に変わりはない。
Hatch上院議員は、共同提案者を求めているようだが、どれだけ集まるかが当面の注目点である。
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「DB/DCプラン」
Source : | Gov. Quinn suspends lawmaker pay until Illinois pension reform finalized (ABCNews) |
IL州知事が州議会に対して州政府年金改革案をまとめるよう求めた期日は、7月9日であった(「Topics2013年6月24日(3) IL州議会:両院協議会を立ち上げ」参照)。
それでも州議会では成案が得られなかったため、州知事は仕事をしないのであれば、州議会議員の給与の支払いを差し止める、と宣言したそうだ。このままいってしまうと、7月末に支払われるべき8月分の議員給与が不払いとなる。ちなみに、IL州議会議員の8月分の給与は$5,653だそうだ。
法律の専門家は、『州憲法で議員給与の減額は認められておらず、州知事の州法は明らかに州憲法違反である』との見解を示している。しかし、これは州議会議員が裁判所に訴えた場合である。州議会議員達が、『州政府職員の年金改革案は作らないけど、自分達の給与は欲しい』と州民の前で公言できるだろうか。
IL州知事は、ずいぶんと思いきったアピールを始めたものである。それほど本気だ、ということなのだろう。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Louisiana Supreme Court: Cash balance plan law unconstitutional (Pensions & Investments) |
6月28日、LA州最高裁は、LA州議会が可決したCBプランへの移行を定めた法律は無効である、との判決を示した。理由は、2012年5月に州議会下院で行われた投票で、州憲法に定められた必要賛成数70票に満たないにもかかわらず可決として処理され、上院に送られた、とのことである(「Topics2012年6月5日 LA州はCBへ」参照)。つまり、手続き上の瑕疵を指摘されたのである。
同法では、2013年7月1日以降の新規採用者からCBプランを適用することになっていたが、これが一旦は頓挫することになった。
ただし、LA州知事は、州最高裁判決に対して「CBプランが最適だと考えている」とコメントして、方向性を変えないとの意向を明らかにし、今後の議会との協力関係を求めている。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Seeing Opening, House G.O.P. Pushes Delay on Individual Mandate in Health Law (New York Times) |
Obama政権が、企業の保険提供義務を1年先延ばしにしたことに対し、連邦議会下院共和党が激しく反発している(「Topics2013年7月3日 企業ペナルティ:一年先延ばし」、「Topics2013年7月4日(1) 先送りの理由と疑問」参照)。
主な主張は次の通り。1.と2.については、下院議長を筆頭に、11人の共和党議員の連名で、大統領あてに要請状を送付しているが、大統領府からの反応はまだない。
- 連邦政府には、法定されている2014年1月からの企業保険提供義務を先送りする権限があるのか。
- 先送りにした場合の医療保険制度に与える影響(計数)はどうなるのか。
- 本当に先送りするのであれば、改めて法定すべきではないのか。
- 個人加入義務も複雑で負担も大変なので、こちらも先送りすべきではないのか。
下院共和党による妨害工作は日常茶飯事となっているが、本件ばかりは尾を引きそうである。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Forty Hours Is Full Time Act of 2013 (S.1188) |
この法案は、6月19日に上院に上程されている。内容はずばり、『PPACAにおけるフルタイマーの定義を週40時間以上勤務している者とする』というものである(「Topics2012年5月1日 誰が"full-time worker"か」参照)。提案者は、Susan Collins上院議員 (R-ME) と Joe Donnelly上院議員(D-IN)であり、一応、超党派提案となっている。
この法案に対して、USCCは強く支持するとの声明を公表した。といったことを理由に挙げている。もちろん、50人未満企業への義務付け先送りも歓迎している(「Topics2013年7月3日 企業ペナルティ:一年先延ばし」参照)。
- 企業は伝統的にフルタイマーを週40時間以上と考えている
- 小規模企業で、雇用人数や就労時間を調整しようとする動きが出ており、PPACAの施行で混乱が生じる
今のところ、上記法案の審議が進んでいる様子はないが、PPACAの下での重要なファクターであるフルタイマーの定義を巡って議論が行われることになれば、PPACAのかなり根本的な見直しにつながりかねない(「Topics2013年5月24日 パートタイマーの医療保険」参照)。何やら連邦議会はきな臭くなってきたような気がする。
フルタイマーの定義(参考) 上記法案 PPACA BLS 週40時間以上 週30時間以上 週35時間以上
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」