Source : | Are Relocation Incentives Overlooked as a Recruiting Tool? (GovExec.com) |
連邦政府各機関の人事担当管理職達が、もっと引越しサービスを充実させるべき、との提言を公表した。一方、景気の反転を機に、民間企業ではその利用が活発になっている(「Topics2011年6月5日 引越しサービス」参照)。賃金凍結と相俟って、連邦政府の人材獲得は厳しいものとなっていくことだろう(「Topics2013年3月24日 連邦職員給与凍結3年目へ」参照)。
- 引越しサービスは、有能な人材の獲得、引き留めに有効なツールである。
- 2005年の諮問委員会で、連邦政府が提供する引越しサービスの問題点、改善策は指摘済みである。
- ところが、法律改正等が必要で、その支援をしてくれる議員達もいないため、問題が放置されている。
- 現在は、どうしても利用しなければ求人が埋まらない場合のみ、引越しサービスが利用されている。
- 2009年、引越しサービスを提供された職員数は、わずか4,605人。そのうちの91%が、司法省、国防総省、退役軍人省で占められている。
- こうした現状から、民間の引越しサービス会社も連邦政府との提携から撤退しており、ノウハウも蓄積できていない。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働市場」
Source : | Worries Mount About Enrolling Consumers In Federally Run Insurance Exchanges (Kaiser Health News) |
やはり、文化が違うというか、異なる歴史を経てきた社会では考え方が異なる。アメリカ社会では、無保険者は自ら進んで無保険状態を選択している場合が多く、PPACAのような法律をもってしても、保険に加入させるのはなかなか難しいという。
これまで、医療保険加入のためのキャンペーンを行ってきた経験から、次のようなことが言えるそうだ(NCPA)。ところが、である。こうした広告と語りかけを行うための費用は、雀の涙("pittance")ほどしか準備されていないという。
- 多くの無保険者は、保険は必要ないと信じている。
- Exchangeを通じて、若者、健康者が保険加入しなければ、保険料は跳ね上がる。
- 無保険者に保険加入してもらうためには、大量の広告と(教会、職場、コミュニティ等での)直接の語りかけが必要である。
- 彼らへの説得の方が保険料の水準よりも重要である。
そもそものボタンの掛け違いは、Exchangeの設立主体にある。PPACAは、州政府がExchangeの設立・運営主体になるとの想定であったが、現実には、自ら設立・運営する州はたった17州+D.C.しかない。自ら設立・運営する州、例えばCA州は、今年と来年にかけての「働きかけ」に$5,000万を予算化している。また、宣伝・教育のために、別途$200Mを用意している。しかし、17州+D.C.以外の州では、Exchangeの設立・運営について、連邦政府が積極的な役割を果たさなければならない。CMSはこうした費用の予算については公開を拒否している。加えて、連邦政府は、財政赤字のための強制歳出削減を執行中である。
こうした環境の中、関係者は、無保険者を保険加入させることがどんどん難しくなっていると感じている。そこで、もっとObama大統領に活躍してもらいたいという声が高まっているそうだ。大統領自らキャンペーンに動いて、無保険者を説得してもらいたい、というのだ。前民主党政権の時代、SCHIP拡充を施行するため、クリントン大統領夫妻、ゴア副大統領は全州をくまなく回ったという。
要するに、PPACAを通したObama大統領が、まるで他人事のようによそよそしく見えるというのだ。政治生命をかけて通した法律なのだから、魂が入るまで責任を持って動いてほしい、という訳である。確かに、今のObama大統領の頭の中は、銃規制、同性婚、北朝鮮が最優先のようである。
そう言われてみれば、州政府がExchangeの設立主体になるのかどうかを検討している際、連邦政府の立場で動いていたのはHHS長官であり、Obama大統領が先頭に立って州知事達を説得していたという報道はみられない。むしろ、どうせPPACAに反対なのだろう、と突き放していたような印象さえある。
そうした大統領のクールさが、現在のExchangeの難しい環境を作ってしまったかもしれない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Hospitals Question Medicare Rules on Readmissions (New York Times) |
医療保険改革法(PPACA)では、『過剰な再入院に対してMedicare診療報酬の一定割合を削減する』というペナルティが規定されている。基本的な仕組みは、「Topics2012年8月26日 Medicare病院にペナルティ」を参照されたい。
この規定によるのかどうかは明確ではないものの、Medicare患者の再入院率は、2011年の19%から2012年は17.8%に下落した。
しかし、Medicareを扱う医療機関や学者からは、徐々に批判が高まっているという。上記sourceで紹介されている主な論点は次の通り。確かに、1つの指標だけでペナルティを課すことは難しいかもしれない。しかし、再入院率という指標を政策課題として位置づけ、診療報酬で誘導する政策もわかりやすい。医療政策は試行錯誤の連続である。
- 重篤な症状を持つ患者を重点的に扱う医療機関にとって不利になる。
- 再入院率は、医療の質を計測するには不十分な指標である。例えば、死亡率が高ければ再入院率は下がる。
- セーフティーネットの役割を果たしている医療機関にとって、社会的問題を抱えている患者の退院後の生活全般を監督することは難しい。例えば、Medicaidで入院した患者への指導で成功しているとしても、そのプログラムをMedicare患者にまで広げるには多大な労力がさらに必要となり、対応できない場合がある。
- 実際に再入院を防ぐ有効な手立てが確立していない。
- 退役軍人省は、2011年に患者自ら行うケアを推進するプログラムを提供していたが、そのうち28人が死亡した。他方、通常の医療サービスを受けていたグループでは10人しか死亡しなかった。このため、退役軍人省は、2012年にこのプログラムの実施を見送ってしまった。
※ 参考テーマ「Medicare」
Source : | The Multi-State Plan Program (Health Policy Briefs) |
PPACAでは、複数州、最終的には全州で保険プランを提供できる"Multi-State Plan Program (MSP)"を規定している。保険市場の競争を促すことが、最大の政策目的である。以前、その大まかな姿を紹介したことがあるが、上記sourceでは、もう少し詳しく述べており、またその政策課題についても論じている(「Topics2012年5月4日 MSPの姿とは」参照)。前回の記述を上書きする形でまとめておきたい。ところが、関係者の間では、MSPを巡って様々な懸念が表明されているという。
- MSPは、OPMが運営、監督する。OPMは、連邦職員のためのFEHBPを運営している。ただし、保険料収入、保険給付、リスク管理など、MSPとFEHBPは別建てで管理・運営する。
- OPMは、保険加入申請が始まる2013年10月1日時点で、最低2つの保険会社を指定しなければならない。そのうちの一つは、非営利組織でなければならない。また、一つは人工中絶を保険給付対象としない保険プランを提供する保険会社でなければならない。
- 指定を受けた保険会社は、段階を追ってMSPを全米に提供しなければならない。
- 2014年1月1日:60%の州
- 2015年:70%の州
- 2016年:85%の州
- 2017年:全 州
- 当初は、州内全域ではなく、一部の地域での保険プラン提供となっても構わない。さらにた、個人保険プランのみで、その後、小規模企業向け保険プラン提供を提供することでも構わない。
- 指定保険会社は、Exchangeを通じて、少なくとも2種類の保険プランを提供しなければならない(「Topics2012年5月5日 Silver Planの負担感」参照)。
- "Silver"レベル
- "Gold"レベル
- MSPは、プランを提供する州で、州政府の認可を受けなければならない。また、連邦政府による法制上の要請に反しない限り、各州法の要請に適合しなければならない。
- OPMが承認したMPSは、自動的に全州で提供可能となり、各州政府から個別に認定を受ける必要はない。
- PPACAは、MSPと州政府が認可する保険プランとの間の"level playing field"を求めている。
共和党が主張する競争原理を体現するのが、このMSPの筈だが、本当にその政策目的が達成できるのかどうか、厳しい局面にあるようだ。
- 保険市場の競争を促すことが目的なのに、それとはまったく反対に、寡占・独占状況を強めてしまうのではないか。それは、OPMから指定を受けるだけの力を持っている保険会社が限られているからである。現在でも、FEHBPを提供できている保険会社は限られており、中でもBlue Cross Blue Shield (BCBS)が65%のシェアを占めている。しかも、BCBSは各州における個人保険プラン市場でも大きなシェアを占めている。こうした環境の中でBCBSがMSPの指定を受けてしまえば、ますますBCBSによる寡占が進んでしまうのではないか。
- OPMが意図する保険運営、監督方針と、各州政府が意図するそれらとの間で、齟齬が生じる可能性がある。
- MSPが保険プランを提供する地域が一部でも構わないということになると、有利な地域のみで提供を始めてしまい、コストの高い地域が置き去りにされる、地元の保険会社との公平が保てない、などの問題が生じる。
- MSPに参入する保険会社がどれだけあるのか。OPMは楽観視しているようだが、少なくとも現時点では参入を表明している保険会社はない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Calif. Health Premiums For Individual Buyers Will Rise (Sacramento Bee) Study: Some health premiums to rise by 14 percent (SFGate) |
CA州の2014年の個人保険プランの保険料は、平均14%上昇する見込み、との調査推計が公表された。CA州の個人保険プラン加入人数は、現在、500万人程度である。
『平均14%』といっても、所得水準によって、その上昇率、負担額は大きく異なる。PPACAにより、Exchangeを通じた低所得者の個人保険プラン加入には、補助金が支給されるからだ。
Exchangeで"bronze"個人保険プランを購入した場合を想定する。何もなければ月額保険料は$385と見込まれている。実は、PPACAがなければ、平均9%の上昇率で済んでいたところであるが、PPACAにより、既往症に伴う保険加入拒否が禁止されたことから、これだけの上昇率となるそうだ。今まで排除してきた既往症の人々に保険が及ぶことになるので、当然の負担ともいえるが、PPACA本格始動により、30%もの保険料上昇に直面する中間層にとっては厳しいものとなる。
- 年間所得$17,000以下 ⇒ 月額保険料:$ 0
- 年間所得$23,000以下 ⇒ 月額保険料:$ 56
- 年間所得$46,000程度 ⇒ 月額保険料:$300
- 年間所得$46,000超 ⇒ 月額保険料:30%アップ
※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Talk of Medicare Changes Could Open Way to Budget Pact (New York Times) |
Obama大統領と民主党、共和党の幹部の間で、Medicareの制度改正の方向性が共有されているらしい。共和党が目指したような抜本的な改革ではないし、民主党が死守しようとしている給付レベルは維持できない。それでも、自己負担の割合を増やすことで、政府の負担を減らそうとの試みは前進する。
- 免責額を統一する(Medicare Part A, B, D?)。これにより、自己負担を増やす。
- 個人負担に上限(cap)を設ける。これにより、Medigap購入の必要性を低める。
上記sourceでは、4月10日公表予定の予算教書でもこのような方針が示されると見ている。ただし、共和党がさらなる増税を認めることが前提条件であることは変わらないようだ(「Topics2013年3月16日 社会保障給付削減の条件」参照)。
※ 参考テーマ「Medicare」
Source : | Vt. first state to post health care exchange rates (AP) |
全米で初めて、Exchangeにおける保険料の提案がVT州でなされた。大まかな給付内容は既にVT州が提示していたが、それに見合う保険料を保険会社が提示した、ということである(「Topics2012年9月10日 Exchangeの4プラン:VT州」参照)。
上記sourceでは、"Platinum"の家族プランで、約 $1,700/Mとされている。一覧表は次の通り。 今後は、政府の審査を受けた後、正式承認となる。VT州のExchangeはタイムスケジュール通りに稼働しそうである。
※ 参考テーマ「無保険者対策/VT州」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Ruling Sets Up Pension Battle in Bankrupt City (New York Times) |
1日、破産裁判所は、Stockton市は真に財政破綻状態に陥っており、Chapter 9を継続して再建を図る必要があるとの判決を下した。機関投資家等の債権者が起こしていた『Stockton市は年金給付の削減など、財政破綻回避のための努力を行っており、Chapter 9に基づく保護は不要である』との訴えを退けることとなった。
これで、Stockton市のChapter 9に基づく財政再建策の模索は続くこととなった。いよいよ、債権者間、この案件では、年金債券保有者とCalPERSの間の資産の取り合いが本格化することとなる。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Same-sex Marriage: What's at Stake for Corporate America (Knowledge@Wharton) |
同性婚の合憲性を巡る2つの連邦最高裁事案について、先週意見陳述が行われ、全米が注目している。その中でも注目されたのが、企業の同性婚支持(=DOMAは違憲)表明だという。
最高裁に提出された同性婚支持意見書には、超大企業から小規模企業まで、278人の経営者の署名が連なっていた。同性カップルを巡る司法判決に関して、これほど多数の支持が表明されたことは、関係者に驚きをもって迎えられている。
企業の論理は単純明快だ。二重基準はわずらわしい、ということである。手続きが面倒くさい、という意味ではなく、DOMAがあることで従業員を同等に扱えない、という問題意識である。それほど、企業内では同性カップルの存在が一般的になりつつあるということの反映であろう。
ただ、ここでも法律上の公平性と社会の中での公平性は異なる、との見解が示されている。黒人への差別意識と同じである(「Topics2013年3月31日 無意識の差別」参照)。同性婚支持者のリーダーは次のように語っている。"[Y]ou can't legislate water-cooler conversation. We found that 50% of LGBT Americans are closeted on the job."連邦最高裁判決は、6月末に示される。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Guest Workers Are at Crux of Groups’ Deal on Immigration (New York Times) |
移民制度抜本改革の議論の中で、労使間で衝突していたゲストワーカー制度の見直しで、合意が近付いてきたとの見通しが示されている(「Topics2013年2月17日 移民制度改革で労使協調」参照)。
他方、移民制度改革法案のドラフト作りに携わっている8人の上院議員のうちの一人、Rubio上院議員(R-FL)は、『議論の進展はあるが、法案が合意に近づいていると評価するのは早計だ。それに、法案作りは改革議論の第一幕に過ぎない』とのコメントを公表し、楽観的なムードの引き締めに回っている(New York Times)。 上記sourceで紹介されている妥協案は次の通り。移民制度改革法案は、4月第2週に上院に提出される見込みである。
- ゲストワーカーの入国数は、当初年間2万人からスタートし、最大年間20万人まで拡大できるようにする。
- 全米の失業率が低下し、求人数が増えた場合、ゲストワーカーの入国許可数を増やす。
- 賃金水準は、ゲストワーカープログラムで入国した労働者の平均的な賃金を適用する。
- 実際のゲストワーカー入国数が入国許可数に達してしまった後でも、まだ人手不足に直面した企業は、特別許可を得てゲストワーカーを(入国させて)雇うことができるようにする。ただし、その場合の賃金水準は、前出の賃金水準を上回るものとする。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」