Source : | Supreme Court allows California to grant in-state tuition to illegal immigrants (Los Angeles Times) |
6日、連邦最高裁は、CA州が不法移民の子弟に州民授業料で入学させていることは連邦政府の移民政策に反しない、との判断を下した。同じ主旨の判決は、昨年11月に、CA州最高裁で示されており、これでCA州における州民授業料論争は終結したとみてよい(「Topics2010年11月16日 不法移民子弟の大学授業料」参照)。
今後は、各州レベルでの議論ということになろう(「Topics2011年5月17日 MD州:不法移民に州民授業料(2)」参照)。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | States slow to adopt health-care transition (The Washington Post) |
医療保険改革法の本格施行に関して、2つの黄信号が灯っている。いずれも同法の無保険者対策として重要な役割を果たすことが期待されている施策である。2012年の選挙イヤーに医療保険改革法の導入を成果として訴えたいObama大統領&民主党にとってみれば、これらの事態は赤信号と映っているかもしれない。
- Exchange
タイムスケジュールは次のように定められている。もし、2013年1月1日までに充分な準備が整っていないと判断されれば、連邦政府がその州でExchangeを運営することになる。
2012年6月 : Exchangeを所管する機関を設立する 2013年1月1日 : 州自身が運営するかどうかを決定 2014年1月1日 : Exchange運営開始
一方、足許の各州の準備状況をみると、Center on Budget and Policy Prioritiesのまとめによれば、次のようになっている。 Exchangeの創設を具体的に決めた州はたった7州しかない。しかも、何もアクションを採っていない州は13にものぼる。もちろん、州政府がexchangeを創設しなければ、連邦政府が運営することになるが、そのためのコストはおそらく膨大なものとなろう。しかも、ある意味、他所者が運営することになり、地元医療機関との調整は難しくなろう。
- Medicaid
National Governors AssociationとNational Association of State Budget Officersのレポートによれば、現行年度において、43州がMedicaid支出の抑制策を採り入れた。また、来年度においても、45の州知事がさらなる歳出削減策を提案している。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「大統領選(2012年)」
Source : | Price tag of official time spent on union activities grows (Government Executive) |
2009年の間に連邦職員が勤務時間中に労働組合活動に使ったコストは、7%近く増加したそうだ。具体的には、勤務時間中の組合活動時間は300万時間近く。コストに換算すると$129Mで、2008年よりも$8M増えている。
上記sourceによれば、"Civil Service Reform Act of 1978"により、労組代表者は勤務時間中に組合活動に従事することができる。ただし、従事できる『組合活動』には制限がある。下院共和党は、厳しい経済環境、大幅な財政赤字の中で、勤務時間中に参加できる組合活動をもっと制約すべきとの法案(H.R. 122)を提出している。審議そのものはあまり進んでいないようだが、Obama大統領を批判するネタとしては、いつか動き出す可能性もある。州政府で行われている州政府職員労組の権限縮小と呼応した動きかもしれない。
従事できる活動 従事できない活動 ・労働条件に関する話し合い
・労使協議
・組合員の葬儀等・労組内部の作業
・新人教育
・政治活動
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | US job relocation activity picks up sharply (Financial Times) |
企業向けに従業員の引越しを手伝うサービスがある。そのサービスを利用が急増しているという。半分以上は新規採用者を対象にしたものだが、企業活動の回復を裏付けるものとみられている。
そうした引越しサービスの中で注目されているのが、不動産関連である。新しい職場での住居探しは当たり前だが、現在の住居に関するサービスである。不動産バブルがはじけた影響で、資産価値とローン残高を比較して負になっている場合、今の住居を手放して新しい職場に移動することを拒否してしまうケースが多いという。そうした人のために、現在の住居を賃貸に出すなどのサービスを行っている。
バランスシート調整は、企業の人事政策にも影響を与えているようだ。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Employment Data May Be the Key to the President’s Job (New York Times) |
5月の失業率が若干上昇した。相変わらず、民間企業の雇用増は勢いがなく、公的部門も減少が続いている。労働市場の状況に関する読み方は難しい局面を迎えている。いずれにしても、失業率が高止まりしていることに変わりはない。景気後退に入る直前の5%前後の水準にまで下がるには、まだまだ相当な時間がかかりそうである。そうこうしているうちに、2012年の大統領選に向けて、共和党の大統領候補者選への関心が高まりつつある。中でも、Mitt Romney元MA州知事は、6月2日、大統領候補者選への出馬を正式に表明した。
- 失業率、民間企業雇用者数は、景気の減速を類推させる。
- 一方、不本意な就労や労働市場からの退出が減っているともみられ、企業側の雇用意欲の底堅さも感じられる。
再選を目指すObama大統領にとって、民主党内で競う相手は出ないであろう。また、共和党の中でも、有力な対抗馬となりそうな候補者は、今のところ不在だ。
しかし、Obama大統領にとって最大の難敵となりそうなのが、この失業率だというのである。上記sourceは、と伝えている。
- ルーズベルト大統領以降、10人の大統領が再選に臨んだ。
- そのうち、選挙日当日に失業率が6%を超えていたのは、4人である。
- うち、勝利したのは、レーガン大統領のみである。当時の失業率は7.2%と高かったが、1期目の間に顕著に低下していたことが幸いしていた。
- その他の、フォード、カーター、パパブッシュの3人は敗退している。
もし、このジンクスが活きているとすれば、Obama大統領が4人目の敗退者とならないためには、失業率が顕著に下がっていることを国民が実感していなければならない。ちなみに、現時点でのObama大統領に対する評価は次のようになっている。 ※ 参考テーマ「労働市場」、「大統領選(2012年)」
既往症があるために保険加入を拒否される人達のために、先の医療保険改革法では、2014年の本格施行(保険会社による加入申請拒否の禁止)までの間、特別な保険プラン(Pre-Existting Condition Insurance Plan (以下"PCIP"))を用意することとなっている。PCIPの運営は、州毎に選択できるようになっている。医療保険改革法が議論された際、CBOは、PCIP加入資格者で無保険者は400万人おり、そのうち20万人は2013年までにPCIPに加入するものと推計していた(Kaiser Health News)。昨夏以降、各州で順次導入されているが、全国の加入者はたった18,000人、各州でも0から数千人というレベルで、PCIPの普及はまったく進んでいない(3月31日時点での加入者数)。
連邦政府直営 : 23州 + D.C. 連邦政府の補助金により州独自に運営 : 27州
そこで、HHSは、次のような対策を採ることとした。こうした繋ぎの施策が効果を生まないと、"Exchange"や保険加入拒否禁止などの本格施行の効果にも疑念が出てきてしまう。HHSとしては必死に取り組んでいるところであろう。
- 連邦政府直営の州のうち、17州 + D.C.については、保険料を最大40%引き下げる(上記sources下段参照)。他の6州については、既に低いレベルにある。
- 7月1日より、加入申請の手続きを簡素化する。具体的には、これまで保険会社の加入拒否証明書が必要であったのをやめ、医師等の健康状態証明書があればよいこととする。
- 今秋以降、保険代理店等に対し、HHSが成功報酬を支払う。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | NLRB Sues Not-for-Profit in Firing of Workers for Facebook Posts (Workforce Management) |
非営利団体の職員が、職場環境や労働条件について批判するコメントをFacebookに書き込んだことを理由に解雇された。これに対して、NLRBが不当解雇だとして摘発している。当のNLRBのサイトを見ると、その数日後にも、Facebookに伴うトラブルで、BMW販売店を不当解雇として摘発している。
NLRBは、『従業員のFacebookへの書き込みは、National Labor Relations Actで保護されている』との立場を取っている。Facebookは、アメリカ社会では既に定着したインフラであり、こうした労使間のトラブルはこれからも頻発するだろう。
リベラル色を強めるNLRBが、ますます活発に活動することになろう(「Topics2011年4月25日 リベラル色を強めるNLRB」参照)。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Under an Arizona Plan, Smokers and the Obese Would Pay Medicaid Fee (New York Times) |
AZ州政府は、Medicaidの財政収支を改善させるため、いろいろな方策を提案している。上記sourceは、その担当者とのインタビューの模様を伝えている。担当者が示した提案は、次の3点。厳しい制度となりそうだが、肥満の定義は難しく、下手をすると差別ということになりかねない。また、喫煙もどうやって識別するのか、月に何本までならいいのか、など、実務的にはいろいろと課題がありそうだ。
- いったん制度を凍結し、新たな財源を確保したうえで、その範囲内で加入者を改めて規定する。
- Medicaid診療報酬を質の改善につながるようにする(=包括払い?)。
- 子供のいない成人のMedicaid加入者に対して、喫煙もしくは肥満の場合には$50(月額?)を課金する。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」