3月19日 労働長官にPerez氏を指名 
Source :Obama Nominates Justice Aide for Labor Post (New York Times)
18日、Obama大統領は、労働長官にThomas E. Perez氏を指名するとの意向を表明した。Perez氏は、司法省の市民権部局長を務めており、法律の専門家(弁護士)である。

労働長官に指名した理由として、大統領は2点挙げている。
  1. 閣僚内で唯一のヒスパニックである。

  2. アメリカ移民のサクセスストーリーを体現している。
Perez氏の両親はドミニカからの移民で、清掃員や倉庫での作業で家計を支え、子供達の教育費用を出していたそうだ。父親はPerez氏が12歳のときに亡くなったが、教育が大事だとの家族の信念に従い、他の4人の兄弟は皆医者になり、Perez氏本人は弁護士資格を取得した。 まさにアメリカンドリームである。そのようなPerez氏には、今期のObama政権の最優先課題である移民制度改革でリーダーシップを取ることが期待されている。

しかし、この人事案に、共和党は早速、ネガティブ反応を示している。Perez氏は、これまで不法移民に関して、就労支援、強制国外退去の回避や、社会保障プログラムの給付などで便宜を図ってきており、Jeff Sessions上院議員(R)は"needlessly divisive nomination"と表現している。

移民制度改革は、超党派での折衝が水面下で行われ、合意に近いのではないか、との憶測も出ているが、こうした表舞台でチャンバラを演じなければならなくなるのは不幸である。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

3月17日 HSAは順調に増加 
Source :Health Savings Accounts and Health Reimbursement Arrangements: Assets, Account Balances, and Rollovers, 2006?2012 (EBRI)
HSAの口座数、総額ともに順調に増加してきている。
一口座当たりの残高も、リーマンショック後の回復を背景に、増加傾向にある。
その要因の一つが、残高の繰越額が増えていることにある。制度発足後の普及期には、しばらくこうした傾向が続くものと思われる。
健康状態とHSA勘定の残高とは関連が薄い。タバコを吸う人の方が残高が多いが、肥満の人の方が残高が少ない。運動をするかどうかでは殆ど違いがない。
2年前の同じ調査では、喫煙者の方が残高が多かった(「Topics2011年1月12日 HSAは増えたけれど」参照)。何が違ってきたのだろうか。喫煙者は将来の病気に備えて貯めているのだろうか。

※ 参考テーマ「HSA

3月16日 社会保障給付削減の条件 
Source :Obama Tells Senate Dems Entitlement Programs May Have To Change (Kaiser Health News)
財政赤字削減問題で、連邦議会の決裂が決定的になっている。そうした中、12日、上院民主党議員との会談に臨んだ。クローズドのため、正確な情報はわからないが、報道によると、Obama大統領は次のような諸点に触れたらしい。
  1. 財政赤字削減策については、今後数カ月の間に合意に達する。楽観視している。

  2. 移民法改正法案についても合意に至るだろう。

  3. 共和党は増税案に合意しなければならない。

  4. そうすれば、社会保障給付についても変更していかなければならない。
民主党議員達は、社会保障給付の削減をテーブルの上に載せるわけにはいかない、と強く主張したようだが、Obama大統領は交渉の材料として使いたい意向のようだ。果たして、上院民主党がついて来れるかどうか。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare

3月15日 大統領が最高裁に上告 
Source :Recess Appointments Ruling to Be Appealed (New York Times)
今年の1月、D.C.の連邦控訴裁判所が、『1年前にObama大統領がNLRBの3人の委員を"recess appointment"で就任させたのは、憲法違反である』との厳しい判決を下した(「Topics2013年1月28日 NLRB:機能不全の危機」参照)。 これに対し、Obama政権は、連邦最高裁に上告することを決めたようである。

控訴裁判所の判決に従えば、間違いなくNLRBは実質機能停止となり、労働組合活動を支援する重要な手段が失われることになる。そんな状況を看過することはできない、というのはわかるが、果たして連邦最高裁が上告を受け入れるのか、また控訴裁判所の判決を覆すことができるのか。不透明な要素が山積している。

PPACAに関する判決でも示されたように、現在の連邦最高裁は、連邦政府の権限が膨張することを牽制する傾向がある(「Topics2012年6月30日 医療保険改革法に合憲判決」参照)。もしも連邦最高裁がObama政権の主張を認めないことになると、Obama政権のNLRBは、余命2年を残して完全に機能停止に陥る。

いや、それ以前に、NLRB委員長の任期が8月にやってくるので、その時点で活動は停止してしまうかもしれない。

※ 参考テーマ「労働組合

3月14日 労働省も一時帰休通知 
Source :Labor Department Sends 4,700 Furlough Notices (GovExec.com)
強制支出削減策に伴い、5日、労働省も職員4,700名に対して一時帰休命令を発する可能性のある旨を通知した(「Topics2013年3月8日(1) 一時帰休は国境業務から」参照)。通知内容は次の通り。 労働行政、特に安全確保のための業務には滞りが発生し、民間の各職場にも影響が及ぶものと思われる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

3月13日 レッドステーツでもMedicaid拡充? 
Source :G.O.P. in Arizona Is Pushed to Expand Medicaid (New York Times)
Exchange創設とMedicaid拡充について、少し動きがあったのでまとめておく。
Exchange & Medicaid (2013.3.11.現在)

State Health Insurance Marketplaces (CMS)
Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
前回紹介時との違いは次の2点。
  1. パートナーExchangeについて、すべて仮認可となった。

  2. New Jersey州がMedicaidの拡充に舵を切った。
そのNJ州は、知事は共和党だが州議会は上下院とも民主党が多数を占めている。そういう目で見ると、既にMedicaid拡充を決めているNevada州、New Mexico州は、どちらも州知事は共和党、州議会は上下院とも民主党が多数で、NJ州と状況は同じである。

ところが、上記sourceにもあるように、Arizona州、Florida州という、州知事、州議会上下院ともに共和党が握っているような州でも、Medicaid拡充に向けた動きが強まっているという。どちらも州知事がリードしているようだ。

低所得層の無保険者対策として、新規加入者分の全額をしばらくは連邦政府が面倒みるというのは魅力的なのだろう。また、2014年は選挙の年でもあり、政治的な得点が可能という読みもあろう。

そろそろ各州とも現実的な対応を真剣に考え始めている。

と、ここまで書いたところで、Florida州議会がMedicaid拡充案を否決した、とのニュースが入ってきてしまった(New York Times)。AZ州のMedicaid対象者は既にFPL100%に達しているのに対し、FL州の場合は極端に低い。違う言い方をすれば、FL州がMedicaidを拡充するには、多額の追加費用がかかる。従って、FL州議会もより慎重にならざるを得ない。

FL州知事は、Medicaidを拡充しないかわりに、連邦政府が用意している資金を使って、低所得層を民間保険に加入させる仕組みができないかを探っているそうだ。同様のアイディアは、Arkansas州、Indiana州、Ohio州でも検討されているとのことである。ただし、こうした仕組みに連邦政府が賛成して資金を提供してくれるかどうかは不明だ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル

3月12日 NY市のソーダ規制に無効判決 
Source :Judge Blocks New York City’s Limits on Big Sugary Drinks (New York Times)
3月12日に施行予定であったNY市のソーダ規制について、施行前日の11日、NY州最高裁が無効判決を下した(「Topics2012年9月17日 ソーダ規制は"nanny state"?」参照)。市が予定しているソーダ規制は恣意的であり、公平性を欠く、という判断だ。

NY市当局は早速、無効判決に反論していく、としているが、当面、NY市のソーダ規制は見送られることとなる。

反対派にとって、この判決は大きな成果である。NY市のソーダ課税の成否を見極めて導入を検討しようとしている州・自治体がたくさんあり、取り敢えず、そういう州・自治体の動きに歯止めをかけることができるからである。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

3月11日 州政府年金も積立比率悪化 
Source :State DB Plan Funding Fell 4% (PLANSPONSOR.com)
50州+D.C.が運営するDB型年金プラン134本の、2012年度の積立比率は73%となった。これは2011年度の77%から4%ポイント低下したものである。

主因は給付債務が膨らんだことだが、その背景には金利の低下があることは間違いない。民間企業のDBプランと同じ道を辿っている(「Topics2013年3月7日 MAP-21は効果なし」参照)。

連邦政府、州政府ともに財政危機を抱えており、アメリカ経済にとっての最大のリスク要因になりつつある。

※ 参考テーマ「地方政府年金