1月20日 下院で廃止法案可決 
Source :House Votes for Repeal of Health Law in Symbolic Act (New York Times)
19日、下院で医療保険改革法廃止法案(H.R.2)が可決された。投票内容は、民主党から3人が賛成に回り、他は党派別ということで、245対189であった。

上院民主党は、何の対応も取らず、放置する方針のようである。

一方、法案を可決したにも拘わらず、ボールを持たされた形になっている下院共和党は、"replace"のための法案を検討するとしている。しかし、その内容もスケジュールも目処は立っていない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

1月19日 医療保険改革:再論議 
Source :"Before We are Democrats or Republicans, We are Americans" (Weekly Address: President Obama)
Gabrielle Giffords (D-Ariz.)下院議員銃撃事件を受け、Obama大統領は超党派での議論と"civility"を求めている(Washington Post)。そうした空気の中、今週から連邦議会は議論を再開するが、医療保険改革を巡っては、民主・共和両党ともなかなか鉾を収めるような雰囲気にはなっていないようだ。

下院共和党は、"Repealing the Job-Killing Health Care Law Act"(H.R.2)の今週中の採決を狙っている(Los Angeles Times)。一方の民主党は、ディフェンスの構えを強化している(New York Times)。

そうした言わば三すくみ状況の中で、下院共和党を取り巻く環境が変わりつつある。当初はパフォーマンス狙いが見え見えであったが、ここに来て、代替案を模索すべきなのではないか、との考えに傾きつつあるようだ。Obama大統領も、共和党からの代替案を求めるとの姿勢を示している。

しかし、共和党の方は、医療保険改革法成立以前の提案しかなく、この時点における制度変更案を持ち合わせてはいない。新たに代替案を提案するには、少し時間が必要となる。

本当に超党派での議論を行うのであれば、医療保険改革は再び政策論議の中心的課題となっていきそうである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

1月17日 雇用の自由度 
Source :The 2011 Index of Economic Freedom (Heritage Foundation)
上記sourceでは、経済活動の自由度について国際比較を行っている。次の世界地図は、そのダイジェストである。
これを見ると、北大西洋周辺国、オセアニア、東アジアの自由度が高いことがわかる(世界ランキング)。

これら自由度の尺度の一つとして、雇用の自由度(ただし、あくまでも「事業主側」にとっての雇用自由度)が含まれている。その構成要素は次のようになっている。 こうした要素で比較した雇用の自由度のランキングを作ってみた。カッコ内はその評点である。
  1. Singapore (98.0)
  2. Bahrain (97.0)
  3. United States (95.7)
  4. Montenegro (92.3)
  5. Australia (92.2)
  6. Denmark (92.1) …
やはり、先進大国の中で、アメリカの自由度はトップクラスのようである。ちなみに、日本のランクは30位 (81.1)、中国の評点は54.9、韓国の評点は46.5であった。また、全般的に欧州諸国の自由度は日本よりは低位となっている。

アメリカと当websiteとして関心を持っているカナダの比較も面白い。アメリカの経済活動の自由度は全体で9位なのに対し、カナダは6位となっている。つまり、カナダの方が自由に経済活動ができるというわけである。ところが、雇用自由度を見てみると、アメリカは3位 (95.7)、カナダは28位 (81.7)と大きく逆転するのである。国境を接しているにも関わらず、カナダがこうしたプリンシプルを守っているところに社会の意思と安定性を感じる。

※ 参考テーマ「労働市場」、「カナダ事情

1月14日 失業と経済成長 
Source :In U.S., Jobs Are Top Problem, While New High Cite Deficit (Gallup)
アメリカ国民が経済面で問題だと感じている政策課題は、@失業、A経済全般、B連邦政府の財政赤字という順番になっている。さすがに経済全般には明るさが見えてきて、A経済全般に対する問題意識が低下してきた。代わって、@失業問題がトップとなり、B財政赤字が急浮上してきている。
実は、当方にとって、このアメリカ人の感覚がよく理解できないでいる。失業が大きな問題となっていれば、経済全般も同じように問題なのではないか、と思ってしまう。失業問題が深刻化しているのに経済全般はよくなっていると認識できる感覚が不思議なのである。

これは、エコノミストの予測でもいえることである。Blue Chip Economic Indicatorsによれば、アメリカ・エコノミストの2011年予測は、失業率が9.4%と高止まりするにもかかわらず、実質成長率は3%台で推移するというのが平均像となっている。

また、冒頭の連邦政府の財政赤字以上に、州政府等の自治体の財政赤字問題はより深刻であり、直接州民・住民の生活と雇用を脅かしかねない。そうした中で、経済が好転していくという予想が成り立つのかどうか、とても興味のあるところである。

※ 参考テーマ「労働市場

1月13日 投票延期 
Source :GOP in a bind over healthcare repeal vote (Los Angeles Times)
12日に予定されていた、"Repealing the Job-Killing Health Care Law Act"(H.R.2)に関する投票が延期された。Gabrielle Giffords (D-Ariz.)下院議員銃撃事件の影響である。

下院共和党は、13日にも投票日時は決定するようだ。Tea Partyの中には投票延期を批判する声もあるそうだが、所詮はデモンストレーションが目的の投票であり、まさに党派間抗争の結果と見られているような銃撃事件の真っ只中で、党派争いを煽るような投票をすることもあるまい。

ところで、下院議長に就任したJohn A. Boehner (R- Ohio)下院議員は、相当に涙もろいようである。下院議長就任時にも涙し、今回の短いスピーチでも涙を拭っていたそうだ。まさか演技ではあるまい。

こうした側面が、今後吉と出るか、凶とでるか、ちょっと気になる所である。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

1月12日 HSAは増えたけれど 
Source :Health Savings Accounts and Health Reimbursement Arrangements (EBRI)
HSA/HRAは順調に普及しているようだ(「Topics2004年1月7日(1) 医療貯蓄勘定」参照)。上記sourceは、2006年から2010年にかけてのトレンドを調査・分析し、まとめたものである。そのポイントは次の通り。
  1. HSA/HRAの残高・口座数は順調に伸びている。
  2. ただし、一口座当たりの平均残高は2010年に若干減少した。
  3. 健康意識の高い人ほど残高も多い。
  4. 医療情報(価格、診療の質)に関心の高い人ほど残高も高い。
  5. ただし、実際の価格選択行為に結び付いているかどうかは明確ではない。


※ 参考テーマ「HSA