1月30日 TX州のMLR特例申請却下 
Source :Medical Loss Ratio (CCIIO)
27日、HHSは、TX州のMLR特例申請を却下する決定を下した。これで、まだ結論が出ていないのは、North CarolinaWisconsinの2州だけとなった。
州・地域申請内容HHS決定
2011年2012年2013年2011年2012年2013年
Maine 65%65%65%65%65%65%
New Hampshire 70%70%70%72%75%80%
Nevada 72%--75%--
Kentucky 65%70%75%75%80%
Florida 保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
80%(特例申請却下)
Georgia 65%70%75%80%(特例申請却下)
North Dakota 65%70%75%80%(特例申請却下)
Iowa 60%70%75%67%75%80%
Louisiana 70%75%-80%(特例申請却下)
Guam 65%65%65%80%(特例申請却下)
Kansas 70%73%76%80%(特例申請却下)
Delaware 65%70%75%80%(特例申請却下)
Indiana 65%68.75%72.5%80%(特例申請却下)
2014年:76.25% 2015年:80%-
Michigan 65%70%75%80%(特例申請却下)
Texas 71%74%77%80%(特例申請却下)
Oklahoma 65%70%75%80%(特例申請却下)
North Carolina 72%74%76%(審査中)
Wisconsin 71%74%77%(審査中)
結論は想定通りである(「Topics2011年12月24日 TX州のMLR特例交渉」参照)。本件については、ほぼ決着がついた模様だ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

1月28日 労働組合組織率低下 
Source :UNION MEMBERS -- 2011 (BLS)
27日、BLSは2011年の労働組合関係の統計を公表した。
全体の参加率 加入率は11.8%。2010年の11.9%から微減。長期的には低落傾向を継続。
組織率は13.9%。こちらも2010年の13.1%から微減。
民間部門の参加率 加入率は6.9%で、2010年と同水準。長期的には低落傾向を継続。
組織率は7.6%で、2010年の7.7%から微減。
公的部門の参加率 全体の加入率は37.0%で、2010年の36.2%から上昇。
全体の組織率は40.7%で、2010年の40.0%から上昇。
連邦政府職員の加入率は28.1%で、2010年の26.8%から大幅上昇。
連邦政府職員の組織率は33.2%で、2010年の31.4%から大幅上昇。
州政府職員の加入率は31.5%で、2010年の31.1%から上昇。長期的にも上昇基調。
州政府職員の組織率は35.0%で、2010年の34.6%から上昇。長期的にも上昇基調。
自治体職員の加入率は43.2%で、2010年の42.3%から上昇。長期的にも上昇基調。
自治体職員の組織率は46.6%で、2010年の45.9%から上昇。長期的にも回復基調。
民間部門では、既に参加率は一桁となっており、とても代表性を有しているとは思えない。一方、政府部門では相変わらず加入率、組織率ともに高い。特に、州政府、自治体レベルになると、ここ数年は上昇傾向にある。様々なベネフィットを巡って労使関係が対立していることが、その背景にあるものと思われる。最早、労働組合は公的部門の労働者の代表といってもよいかもしれない。

ところで、昨日紹介した"Right to Work" Stateと、州別の労働組合加入率を比較してみると、思いの外、同様の傾向が見受けられる。
       



やはり、"Right to Work" Stateでは労働組合加入率が低くなっているのである。

※ 参考テーマ「労働組合

1月27日 "Right to Work" State 
Source :Indiana House Passes a Bill on Union Fees (New York Times)
25日、Indiana州議会下院は、"right -to-work"条項(Right-to-work law)を盛り込む法案(Indiana House Bill 1001 (HB 1001))を可決した。投票結果は 54 vs 44。共和党議員5人が反対に回ったものの、共和党の賛成多数で可決、直ちに上院に送付された。上院でも共和党が圧倒的多数を占めており、Daniels州知事も共和党出身であることから、同法案成立の可能性は極めて高くなった。

ここで、労働組合の分類を簡単にまとめてみると、次のようになる。
closed shopemployees at unionized workplaces must be members of the union as a condition of employmentTaft-Hartley法により禁止
union shopall new employees are reqyured to join the union after a minimum period after their hireTaft-Hartley法により禁止
同法により州法で禁止することが可能
agency shopemployees must pay the equivalent of union dues, but need not formally join such unionTaft-Hartley法により州法で禁止することが可能
open shopan employee cannot be compelled to join or pay the equivalent of dues to a union, nor can the employee be fired if he joins the union. In other words, the employee has the right to work, regardless of whether or not he is a member or financial contributor to such a union-
この表からもわかるように、今回のHB1001は、"agency shop"を禁じるものである。これで、同州では、"open shop"、即ち労働組合に全く貢献していなくても働く権利を与える形式の労働組合しか認められなくなるのである。

このような州を"Right to Work State"(The National Right to Work Legal Defense Foundation)と呼び、これまで22州がそうなっている。これにIndiana州が加われば、23番目の州となる。ちなみに、1998年時点では、21州であった(拙稿「アメリカの労働組合の現状」(2002年12月12日) P.6 注13参照)。

現時点で、Indiana州法案の行方が注目されている背景には、次のような2点がある。
  1. これまで"right to work"を認めてきた州は、南部、西部が多い。

    (The National Right to Work Legal Defense Foundation)
    もしIndiana州が法案を可決すれば、中西部(Midwestern)では最初の州となる。Michigan、Maine、New Hampkshire、Missouriなど、中西部から東部にかけての州でも同様の法制化を検討しており、Indianaの動向を注視するとともに、後れを取らないように検討を進めている。Right to work Statesは、労働組合の力がかなり制約されることになり、企業にとっての事業環境は好ましいものであり、企業誘致合戦ではプラス要素となるからである。

  2. Right to work Statesが広がれば、労働組合離れ、組織率低下は一段と進むことになる。これに伴い、労働組合の政治力も大きな影響を受けることになる。
こうして、州レベルでは、労働組合への制約が徐々に強まっている。

※ 参考テーマ「労働組合

1月26日 保険加入義務の効果 
Source :Eliminating the Individual Mandate: Effects on Premiums, Coverage, and Uncompensated Care (Urban Institute)
いよいよ、今年前半は、医療保険改革を巡る議論、特に連邦最高裁における保険加入義務に関する判決が注目される。そうしたこともあってか、上記sourceでは、保険加入義務の効果を推計している。 ポイントは次の2点。
  1. 無保険者割合は、現行制度のもとでは18.7%だが、医療保険改革法の施行により、9.8%と半減する。しかし、保険加入義務が外されれば、15%前後となってしまい、無保険者割合を減少させる効果は半減する。
  2. 保険料については、加入義務がなくなると、10〜25%増額となる。
以前に紹介した分析と共通するのは、保険料の上昇であり、無保険者対策としての効果については評価が分かれている(「Topics2011年11月4日 保険加入義務の効果は?」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

1月25日 現職大統領選挙戦開始 
Source :Remarks by the President in State of the Union Address (The White House)
今年の一般教書演説の内容は、当websiteの関心事項が少ない。
  1. 雇用を海外に移した企業には増税、雇用を国内にもたらした企業には減税を。

  2. 生産拠点が移出したために雇用情勢が厳しくなっている地域に新たな生産拠点を移した場合には、様々な支援措置を行う。

  3. Community collageを支援し、地域のキャリア形成センターにする。

  4. 移民政策の抜本改革を行う。少なくとも有望な若者を放逐することはやめ、市民権を与えるようにしたい。
余り迫力がないのである。特に1点目は既に予告済みの政策提案であり、特に大きな話題を呼ぶことはなかったと思われる(「Topics2012年1月13日 "Insourcing"」参照)。

それよりも、今回の一般教書演説は、現職大統領として再選に臨む際のスタートラインとなる。万遍なく国民に政策を訴えることが優先されているのだろう。

※ 参考テーマ「一般教書演説」、「大統領選(2012年)

1月24日 年金を巡る緊張感? 
Source :The pension clock is ticking (Los Angeles Times)
昨日紹介したように、連邦職員年金を巡る議論が進むことが予想される中、連邦政府職員の間での緊張感が高まっている(GovExec.com)。一方で、連邦政府年金はそんなに恵まれているのか、との反論も試みている。しかし、民間企業のサラリーマンからすれば、公的年金の上にDBプランが提供されていること自体、相当恵まれているというのが本音だろう。

また、財政収支均衡がより厳しく求められる州政府等自治体政府においては、職員年金改革は喫緊の課題となっている・・・はずである。ところが、上記sourceで紹介されているCA州では、 とのことである。州知事も州議会も民主党が握っているため、政治的な緊迫感はほとんどない。加えて、州憲法により、州政府職員年金の受給権が保護されているため、改革を進めて給付を減額しようとしても訴訟が頻発する可能性が高い。

こうした事態が今年前半に続くようなことがあれば、国民、州民から相当な批判が上がるのではないだろうか。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「地方政府年金

1月23日 連邦職員年金も大穴 
Source :Congress’s Six-Figure Benefits Add to $674 Billion Pension Gap (Bloomberg)
これはBloombergの特ダネのようである。約15,000人が、6桁の年金を連邦政府から受け取っているという。 また、上記sourceでは、連邦政府職員の年金プランをCA州政府職員年金と比較して説明している。
項  目 連邦政府職員年金 CA州政府職員年金
受給者数 1.8M 536,234
平均受給額(年) $31,633 $27,984
加入者拠出率 1/14 5〜11%
基準報酬額 年収の上から3年分 年収の上から3年分
勤続25年超の場合は最高年収額
積立不足額 $674.2B $51.2B
連邦政府プランの受給者数はCA州の3倍程度なのに、積立不足額は10倍以上となっている。その最も大きな理由は、1984年以前に採用された加入者について拠出が余りにも不十分であったことにあるという。1986年に制度改正が行われ、1984年以降に採用された職員については、 などの変更を加えた。これにより、積立不足となる要素はだいぶ縮小されたことは間違いない。しかし、1984年採用ということは、大卒であれば49歳、高卒であれば45歳と、まだ50歳にも到達していない。それ以上の年齢の人達はまだまだ受給者、加入者として多数存在しており、給付債務はまだ膨らんでいる可能性が高い。

連邦政府職員プランは、州政府職員年金以上に大きく痛んでいる。民間の企業年金プランでDBプランがどんどんなくなりつつある中で、公務員だけが優遇されているとの国民感情も広がっており、財政赤字削減のための重要なメニューとしても認識されつつある。

※ 参考テーマ「公的年金改革

1月22日 MA州ペナルティ引き上げ 
Source :Individual Mandate Penalties for Tax Year 2012 (Department of Revenue)
今月9日、医療保険プラン加入義務化の先端を行くMA州で、無保険者に対する2012年のペナルティが公表された。
FPL 150.1〜200 FPL 200.1〜250 FPL 250.1〜300 FPL 300.1〜 (18-26歳) FPL 300.1〜 (27歳以上)
2008 $17.5/M ($210/Y) $35/M ($420/Y) $52.5/M ($630/Y) $56/M ($672/Y) $76/M ($912/Y)
2010 $19/M ($228/Y) $38/M ($456/Y) $58/M ($696/Y) $66/M ($792/Y) $93/M ($1,116/Y)
2011 $19/M ($228/Y) $38/M ($456/Y) $58/M ($696/Y) $72/M ($864/Y) $101/M ($1,212/Y)
2012 $19/M ($228/Y) $38/M ($456/Y) $58/M ($696/Y) $83/M ($996/Y) $105/M ($1,260/Y)
ここ3年、FPL300以下は固定、300超は徐々に引き上げ、という傾向が続いている。負担能力があると思われる州民には保険を購入してもらいますよ、というメッセージを発しているのだろう。妥当な政策だと思う。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

1月21日 CalPERSの不動産業 
Source :CalPERS discloses $250 million realty loss (Sacramento Bee)
CalPERSが住宅街開発プロジェクトを、積水化学のアメリカ子会社に売却した。この売却により、$250Mの損失を計上したという。不動産業に伴う損失は、これだけでは済まない。損失全体は$9Bに達し、単独プロジェクトで$900Mの損失を計上したものもある。

こうした状況から、CalPERSは、不動産投資を住宅街開発プロジェクトから、ショッピングセンターやオフィスビルのリースに重点を移しているそうだ。この年金基金はまるで不動産業を営んでいるようだ。それほど、積極的にリスクを取りに行くとことで収益を稼いでいるということなのだろう。

※ 参考テーマ「地方政府年金