12月31日 幸福度10大ニュース 
Source :Gallup's Top 10 U.S. Wellbeing Discoveries in 2011 (Gallup)
Gallupが選んだアメリカ人の幸福度に関する2011年の10大ニュースである。
  1. 職探しが長くなると幸福度は低下した。

  2. 体重に関する問題は少しだけ改善した。

  3. 多くの若者が保険プランに加入できるようになった(医療保険改革法の効果)。

  4. 相変わらずコロラド州民が最も痩せている。逆はウェスト・ヴァージニア州民。

  5. 食料が購入できないほど貧しい人は減少した。

  6. 企業が提供する保険プランに加入しているアメリカ人は減少した。

  7. 自ら「苦しんでいる」と考えている人の数は不変。

  8. 家族等に介護を行っている国民が増えた。

  9. 病気により、総額$153Bの生産が失われた。

  10. 自ら離職した場合の方が(解雇された場合よりも)幸福度は低い。
1番、3番は、当websiteでも何度か紹介している事象である。今年を象徴する出来事であったと思う。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

12月31日(番外編) 寂しい大統領 
Source :Bipartisan Agreement: Obama Isn’t Schmoozing (New York Times)
当websiteとしては特にどう、ということではないのだが、政治家、特に大統領としての性格としてはどうなのだろうか。"プラグマティック"ということなのだろうが、リーダーには"情熱"や"正義感"が必要ではないかと思う。そのためには、自らの言葉で語りかけることが重要だろう。

上記sourceを読んでいて、どこかの国の某大臣とよく似ているな、との感想を持った。

※ 参考テーマ「政治/外交

12月28日 最低賃金の実質引き上げ法案:NY市 
Source :A Living Wage, Long Overdue (New York Times)
NY市では、Living Wageによる実質的な最低賃金引き上げ法案が議論されているという。内容は、NY市が推進する開発プロジェクトについて受注した企業は、その賃金を、
  1. フルタイムでベネフィットが提供される場合は$10/h
  2. ベネフィットが提供されない場合は$11.50/h
という水準で、最低10年間にわたって維持しなければならない、というものである。

連邦政府が定める最低賃金は$7.25/hであり、NY州のそれは、連邦政府の定めに従うこととしている。しかし、NY市では、こうした手法により、最低賃金の実質的な底上げを図ろうとしているのである。

Cuomo市長は、@新たな開発プロジェクトが滞る、A市財政の負担が急増する、といった理由から、反対している。

実は、当websiteでは、こうした手法("Living Wage")については、既にこれまでにも紹介してきている(「Topics2010年2月28日 政府調達による賃上げ策」「Topics2002年5月22日 Living Wage Law」参照)。

しかし、今の雇用情勢、特に高止まりしている失業率の中で、こうした手法がどこまで有効なのか、疑問に感じざるを得ない。ちなみに、NY州の失業率は8.0%(11月)である。

※ 参考テーマ「最低賃金

12月27日 両院協議会メンバーのミッション 
Source :Political Struggle in Congress Delayed, Not Resolved (New York Times)
年金保険料引き下げ2ヵ月延長法案の成立(「Topics2011年12月23日 年金保険料2ヵ月間引き下げ決定」参照)を受け、年明けから、両院協議会において、さらなる延長の審議が行われる。最大の課題は、延長のための財源をどうやって捻出するかである。上記sourceによれば、10ヵ月で$100Bを要するという。

この財源を巡っては、民主党は"millionares' tax"を主張し、共和党が反対している。

また、主要案件についても民主・共和両党の間で対立が鮮明になっている。そこで、民主党は、強硬に同党の主張を展開できる議員を指名している。
年金保険料引き下げの10ヵ月延長下院共和党は、そもそも効果があるのか疑問としているうえに、どうしても実施するなら、連邦職員の昇給を2013年9月まで凍結して捻出すべき、と主張している。Sen. Benjamin L. Cardin (D-MD)連邦職員の利益を守るべきとの立場をわきまえている。なにせ、275,000人以上の連邦職員がMD州に住んでいるのだから。
失業保険の最長給付期間(99週)下院共和党は、これを59週に短縮すべきとの主張をしている。Sen. Jack Reed (D-RI)RI州の失業率は高水準になっている(11月:10.5%)。
"Doc Fix"の延長延長しなければ、Medicareの償還額は27%カットされる。Rep. Allyson Y. Schwartz (D-PA)そもそもMedicare償還額の削減を規定する法律の廃止を求めている。
民主党も、完全に対決姿勢で臨むための布陣を張っているのである。選挙イヤーに両院協議会で合意が得られるのかどうか、ますます厳しい見通しとなりつつある。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策

12月24日 TX州のMLR特例交渉 
Source :Texas Insurers Could Send Out $160 Million In Rebates Next Year - Maybe (Kaiser Health News)
2012年の執行を間近に控え、償還割合規制(MLR)の特例措置を巡る議論が活発になっている。上記sourceでは、まだ決定が下されていないTX州について報じている。ポイントは次の通り。 こうした状況を見ると、州政府の特例申請については厳しい見通しとなっている。 ちなみに、HHSのwebsiteに基づく、現在の申請認可状況は次の通り。
州・地域申請内容HHS決定
2011年2012年2013年2011年2012年2013年
Maine 65%65%65%65%65%65%
New Hampshire 70%70%70%72%75%80%
Nevada 72%--75%--
Kentucky 65%70%75%75%80%
Florida 保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
80%(特例申請却下)
Georgia 65%70%75%80%(特例申請却下)
North Dakota 65%70%75%80%(特例申請却下)
Iowa 60%70%75%67%75%80%
Louisiana 70%75%-80%(特例申請却下)
Guam 65%65%65%(審査中)
Kansas 70%73%76%(審査中)
Delaware 65%70%75%80%(特例申請却下)
Indiana 65%68.75%72.5%80%(特例申請却下)
2014年:76.25% 2015年:80%-
Michigan 65%70%75%80%(特例申請却下)
Texas 71%74%77%(審査中)
Oklahoma 65%70%75%(審査中)
North Carolina 72%74%76%(審査中)
Wisconsin 71%74%77%(審査中)
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

12月23日 年金保険料2ヵ月間引き下げ決定 
Source :Congress agrees to payroll tax deal; Obama to sign (Los Angeles Times)
すったもんだの末、結局、上院案通り、年金保険料引き下げ、失業保険特別給付、"Doc fix"の2ヵ月延長が決まった。これを書いている時点で、White Houseのカウント・ダウンは継続しているが、大統領はすぐにも署名して、クリスマス休暇に入る予定である。

年明け後、両院協議会で、1年間延長について議論することになる。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策

12月21日 年金保険料引き下げ法案:下院否決 
Source :Extension of Tax Cut Stalls in House as G.O.P. Objects (New York Times)
17日、上院は両党合意のもと、上記法案を可決した(「Topics2011年12月17日 年金保険料引き下げ2ヶ月延長へ」参照)。同法案は、既に下院で可決したもの(HR 3630)に、修正提案を追加したものである(「Topics2011年12月14日 年金保険料引き下げ法案:下院可決」参照)。投票結果は次の通り。
賛成反対無投票
民主党492-
共和党3971
独 立11-
合 計89101
一方の下院は、再審議という形で、19日に投票を行う予定であったが、それが一旦は延期された。それというのも、18日(日)になって、Boehner下院議長(R)が、『下院では否決することになりそうだ』と発言した。どうもこれは本気らしいということになり、下院共和党は、19日の投票予定を延期した(CNN News)。

これに対して収まらないのが、上院民主党である。Reid院内総務(D)は、『両院協議会を開催する考えはない。上院の圧倒的多数による可決の重みを考えろ』と息巻いている(CNN News)。また、Schumer上院議員(D)も、『下院が否決するなら、年金保険料が元に戻ることにも責任を持て』と突き放している。

20日、こうした紆余曲折を経て行われた投票の結果は、次の通り。
賛成反対無投票
共和党22345
民主党18147
独 立---
合 計18323812
下院議長の警告通り、共和党の多数で否決された。下院共和党の主張は、『2ヵ月なんて不安定なことをしないで、しっかり1年延長すべき』というものである。これは、もともと下院が可決した法案の内容通りであり、自分達の主張を通した格好だが、もちろん、建前である。

そして、形式的に、上院に対して両院協議会を開催するよう呼びかける決議を行った。上院民主党がこれに応じるはずもなく、下院も早々に解散し、年内の連邦議会の業務はこれで終了した(CNN News)。再協議のめどはまったく立っていないようだ。

年金保険料の引き下げ、失業保険特別給付、"Doc Fix"は、風前の灯となってしまったのである(White House)。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策