Source : | Medical Loss Ratio Guidance Requires Insurers to Pay Employee Rebates to Policyholders for Employer-Sponsored Group Health Plans (EBIA Weekly) |
償還割合規制(Medical Loss Ratio; MLR)に関する規制の最終決定が公表された。そこで明らかになった点をまとめておく。一方、MLRに関する特例申請とそれに対するHHSの決定にも少し進展があったようだ(CCH® BENEFITS)。現時点までの決定状況は次の通り。
- 返還先は加入者個人
MLRを下回ってしまった場合、保険会社は規制割合までの差額を返還しなければならない。その際、返還先は、プラン加入者個人にする、とされた。保険会社は加入者個人に直接返還しなければならない。これにより、課税関係で意図せざる結果をもたらす可能性がある。
- "Mini-med"は2014年までに廃止
これは既定方針通り(「Topics2010年10月9日 Mini-medは例外扱い」参照)。(Quarles & Brady LLP)※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
州・地域 申請内容 HHS決定 2011年 2012年 2013年 2011年 2012年 2013年 Maine 65% 65% 65% 65% 65% 65% New Hampshire 70% 70% 70% 72% 75% 80% Nevada 72% - - 75% - - Kentucky 65% 70% 75% 75% 80% Florida 保険会社65%
HMO 70%保険会社65%
HMO 70%保険会社65%
HMO 70%(審査中) Georgia 65% 70% 75% 80%(特例申請却下) North Dakota 65% 70% 75% 80%(特例申請却下) Iowa 60% 70% 75% 67% 75% 80% Louisiana 70% 75% - 80%(特例申請却下) Guam 65% 65% 65% (審査中) Kansas 70% 73% 76% (審査中) Delaware 65% 70% 75% 80%(特例申請却下) Indiana 65% 68.75% 72.5% 80%(特例申請却下) 2014年:76.25% 2015年:80% - Michigan 65% 70% 75% (審査中) Texas 71% 74% 77% (審査中) Oklahoma 65% 70% 75% (審査中) North Carolina 72% 74% 76% (審査中) Wisconsin 71% 74% 77% (審査中)
Source : | US companies blame unemployment on skills gap (Financial Times) |
高水準の失業率が続く一方、相当の求人も行なわれている。その辺りの要因説明は、当websiteでも紹介したことがある(「Topics2011年11月12日 失業率と求人数」参照)。
その一つとして、企業側はハイスキル、特にIT分野での高技術を持つ人材を求めているのに対し、それに見合うだけの技能を持った求職者がなかなか現れない、という問題が挙げられている。上記sourceで示されている事例では、『年収80万ドル+時間外手当+医療・年金プラン給付』という好条件を提示しているが、なかなか欲しいと思える人材にめぐり合えないという。
今のアメリカ企業では、よほどの大企業でない限り、社内教育で必要な人材を育成するという機能は持ち合わせていない。たいがいは、引き抜きか、外部労働市場か、教育機関に依存するか、である。
こうしたミスマッチをすぐに解消できるスキームは、普及していないのが現実である。
こうした事態に対応するため、Brookings Institutionが中心になって推進しているのが、"Hamilton Project"である(Financial Times)。
主なプログラムの柱は次の4点。いずれにしても、連邦政府からの拠出を要することになり、財政状況からみて難しいことは容易に理解できる。しかし、長期にわたり失業者が存続することは、社会的なコストをどんどん高めることになる。こうした未来指向の政策が実施されるかどうかが、将来のアメリカ労働市場の活力を左右することになる。
- ワンストップ職業紹介機能
既に労働省に設置されている職業紹介センターを利用して、技術を習得した人材と求人している企業を結びつける。
- 職業訓練所・Community collegesへの報奨金
職業訓練を終了した卒業者の年収に応じて、報奨金を提供する。より高い給与が得られる職種へ誘導することが目的である。
- 連邦政府からの補助金
職業訓練中の収入と離職する前の収入の差額を補助する。これにより、安心して職業訓練を継続できる。一種の所得保障機能を持っている。
- Community collegesへの特別給付金
高水準の技能訓練を行なうためには通常以上のコストを要する。そのために、特別な給付金を提供する。
※ 参考テーマ「教育」、「労働市場」
Source : | Disagreement Over Payroll Tax Cut’s Impact on Social Security (New York Times) |
議論は2ヵ月延長となったが、公的年金保険料に関する懸念は根強く残っている。誰がどのように心配しているのか、上記sourceはまとめている。※ 参考テーマ「公的年金改革」
- 共和党議員
- 保険料引き下げを補う形で一般財源(税)が投入され続けることにより、福祉制度に変質してしまうのではないか。
- さらに、連邦政府の財政赤字を拡大することにつながるのではないか。実際、2%ポイント引き下げることで、年間$105Bもの一般財源を必要としている。
- 民主党議員
- 引き下げが継続することで、年金財源を確保しておくという仕組みが揺らいでしまう。
- 従業員負担分を引き下げたことにより、公的年金の民営化への道を開くことにつながるのではないか。
- Public Trustees for Social Security
(「Topics2010年10月27日 Public Trustees就任」参照)
- Charles Blahous (R) (Research Fellow, New America Foundation)
- 年金保険料収入が大幅に減少する。
- 従来の負担と給付の関係が崩れ、福祉制度に近くなる。
- Robert Reischauer (D) (President, Urban Institute)
- 景気対策、雇用対策で保険料引き下げを継続していると、大幅に失業率が改善しない限り、再び元の保険料水準に戻すことが難しくなる。
- 引き下げされている2%分の保険料を個人勘定に振り込むよう、将来、保守派が提案してくるのではないか。
- 専門家の立場
会計上、財政計算上、健全性が失われる。
Source : | Senate Leaders Agree on 2-Month Extension of Payroll Tax Cut (New York Times) |
16日、上院両党幹部は、年金保険料の引き下げ等に関する暫定措置について、合意に至った。クリスマスを1週間後に控え、上院での議論を先延ばしすることとしたのである。内容的には、下院共和党にかなり配慮したものとなっている。
- 次の3項目について、2ヶ月間延長する。
- 現行の従業員保険料率(4.2%)を維持する。
- 失業保険の最長給付期間(99週)を維持する。
- "Doc Fix"を継続する。
- カナダからの原油パイプラインの建設に関する検討を加速する。
上院では17日に投票を行なう予定である。一方、下院は来週になってから投票を行なう予定だが、下院共和党の中には、保険料引き下げの短期延長に反対する声が強いようである。また、Obama大統領自身は、カナダからのパイプライン建設に慎重で、どのような姿勢を示すかわからない。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | Lawmakers Offer Bipartisan Plan to Overhaul Medicare (New York Times) |
Medicare抜本改革について、超党派の提案がなされた。上記sourceによれば、提案のポイントは次の通り。内容的には、共和党にすり寄ったとの色合いが強い提案である。
- Medicareは、Medicare保険プランの保険料を補助する仕組みに切り替える。
- Medicare加入者が保険プランを選択するために、"Exchange"(Medicare版)を創設する
- 民間保険会社は、伝統的なMedicareプランと競合するために、それらと同等またはそれ以上の給付を提供することになる。
- 連邦政府の拠出金は、その地域で提供されているプランの中で、保険料が下から2番目のプランのコストに準拠して算出する。
- Medicare総支出の年間伸び率を、『経済成長率+1%』以内に抑制する。
- この上限を遵守するため、診療側への支払い超過分を削減する、または高額所得者の保険料を引き上げる。
この超党派提案のスポンサーは次の二人である。両院のMajority同士が話し合って提案している所に、これまでとの違いがある。
上院 民主党 Ron Wyden 下院 予算委員長 共和党 Paul D. Ryan
※ 参考テーマ「Medicare」
Source : | House Passes Extension of Cut to Payroll Taxes (New York Times) |
13日、予定通り、共和党が提出した年金保険料引き下げ法案(HR 3630)が下院で可決された。投票結果は次の通り。ほぼ党派別通りの結果だが、共和党から反対票が14票も入っているのは注目しておくべきだろう。下院共和党といえども一枚岩になっていない内容、ということである。
賛成 反対 無投票 共和党 224 14 3 民主党 10 179 3 独 立 - - - 合 計 234 193 6
同法案に対し、上院民主党、Obama大統領は、強く反対しており、このまま成立に向かうことはまずない。要するに、法案は出てくるけれども、両党の間で歩み寄る作業は行われておらず、無為な時間が過ぎているだけ、ということである。
年金保険料引き下げ、"Doc Fix"、失業給付について、年末ぎりぎりまで調整が続くことになりそうである。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | US Supreme Court to rule on immigration (Financial Times) |
12日、連邦最高裁は、AZ州の不法移民規制法について、審議を行うことを決定、公表した。不法移民対策を巡る議論を盛んにした切っ掛けとなったAZ州法で、当websiteではこれまでの経緯を追っかけて来ている。
医療保険改革法と同様、不法移民対策も連邦政府と州政府の権限の問題が横たわる。それだけでも、連邦政府にとっては厄介な問題なのだが、Obama政権にとって、今回の連邦最高裁の決断は二重の意味で厄介なのである。
- 控訴裁判所レベルでは、同州の不法移民規制法は連邦憲法違反である、との判決を勝ち取っている。せっかく勝っていたのに、連邦最高裁が取り上げることで、また一から論争しなければならない。
- 結審は来年7月頃になりそうである。大統領選の真っ只中であり、医療保険改革法に関する結審と並んで、国民的な議論が沸騰すること間違いなしである。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「大統領選(2012年)」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | House Plan Would Give Temporary Relief To Docs, Draws Hospital Concern (Kaiser Health News) |
下院共和党が提出した年金保険料引き下げ法案には、"Doc Fix"の延長が盛り込まれている(「Topics2011年12月10日 下院共和党の年金保険料引き下げ法案」参照)。"Doc Fix"関連のポイントは次の通り(Kaiser Health News)。全米病院連盟は戦闘モードに入っているそうだが、下院での投票は13日にも行われるとみられている。
- "Doc Fix"を2年間継続する(これがなければ、Medicareの診療報酬は自動的に27.4%カットされる)。
- それだけでなく、医師への診療報酬を2年間にわたり、1%ずつ引き上げる。
- そのための主な財源は次の通り。
@所得の高いMedicare加入者の保険料を引き上げる。
A医療保険改革法で手当てした予防医療、公衆医療の予算から回すなど、病院への支払いを削減する。
※ 参考テーマ「Medicare」
Source : | Job growth strengthens but insufficient to cure sick labor market (Economic Policy Institute) Why the drop in the unemployment rate isn’t what you think (Economic Policy Institute) |
11月の失業率が8.6%と大幅に低下した。また、民間就業者数は12万人増と、まあまあの伸びを示した。 アメリカの労働市場は好転したのだろうか。上記sourcesは、そうではない要因をいくつも挙げている。まだまだ厳しい状況が続きそうである。
- 6ヵ月以上の長期失業者が高水準で推移している。
- 労働市場への参加率が低下している。
- 平均週労働時間が低位で推移している。
- 時間当たり賃金が低下している。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Closing the gap (The Economist) |
上記sourceは、女性の労働市場参加率に関する記事である。その中で、気付いた点をまとめておく。※ 参考テーマ「労働市場」
- アメリカの女性の労働市場参加率は、60%を切っており、意外と低い。(上図 左上)
- それでも、この40年間で女性の労働市場参加率が上昇したことにより、GDPは約25%大きくなった。また、今の男女の参加率の差が解消されれば、アメリカは9%、Euro圏は13%、日本は16%、GDPを大きくすることができる、との試算が紹介されている。これだけの雇用がそっくり国内で創出できれば、結構な話である。
- OECD諸国の平均を見ると、女性の参加率は16%ポイントも上昇しているのに対し、男性が5%も落ちているのが気になる。(上図 右上)
- アメリカといえども、CEOともなると、かなり低い水準にとどまる。ちなみに、Fortune 500では、女性のCEOはわずか3%である。(上図 左下)
ちなみに、起業が盛んなカリフォルニア州の企業を対象にした調査結果でも、女性がCEOに就いている上場企業は13社しかない(Sacramento Bee)。