8月31日 同性婚:連邦税でも認める 
Source :I.R.S. to Recognize All Gay Marriages, Regardless of State (New York Times)
8月29日、財務省とIRSは、『連邦税の取り扱いの上で、正式な同性婚は異性婚と同様に扱う』旨を発表した。

今年の6月26日、連邦最高裁はDOMAについて、『結婚の定義は州の権限であり、州が認めた同性婚者に対して連邦法によりベネフィットの提供を禁止することは違憲である』との判決を下した。しかし、同じ判決の中で、Scalia判事より、『NY州(同性婚認可)で結婚した同性カップルがAL州(同性婚を認可していないし、他州の認可も承認していない)に転居したら、彼らはJoint Tax Return(夫婦合算所得税申告書)を提出できるのか?』との疑問が呈示されていた(「Topics2013年6月27日 連邦最高裁:同性婚を認める判決」参照)。

今回の財務省・IRSの発表は、この疑問に答えるものである。ポイントは次の通り。
  1. 連邦税では、正式な同性婚は、異性婚と同様に扱う。今後、同性婚カップルは、共同納税申告書か個別納税申告書を選択して提出することになる。

  2. 上記のScalia判事の例示に倣えば、NY州で同性婚を認められた後にAL州に転居しても、連邦税上の扱いは変わらない。即ち、連邦税に関しては、異性婚と同様の扱いとなる。

  3. 外国で認められた同性婚も、連邦税上は国内の同性婚と同様に扱う。

  4. 連邦最高裁判決前に同性婚を認められていたカップルは、複数年にわたる修正納税申告書を提出できる(Washington Post)。
上記sourceは、これで同性婚は全国自由に動き回れるというが、それほど単純なのかどうか、今のところ判断できない。 もしこの推論が正しいとすると、全州において連邦納税上同性婚を認めますといっても、実質的に同性婚カップルが共同納税できるのは、やはり同性婚を認めている州に居住している場合だけであり、同性婚を認めていない州では共同納税できないことになる。もちろん、片方が完全に所得なしの被扶養者になってしまえばいいのかもしれないが。

そう考えると、今回の発表が持つ実質的な意味合いは、それほど大きくないように思える。

(9月7日修正)

『仮に、NY州の同性婚カップルが転居先のAL州で州納税申告書を提出する場合、両方に所得があると州税での共同納税申告はできず、単独納税申告書を提出することになる。』と記したが、Alabama州の州所得税計算は連邦納税申告書との連動がなく、不適切な例示であることが分かった("Table 3")。Scalia判事の例示に流されて、AL州の税法をよく調べていなかったのがいけなかった。

従って、「Topics2013年9月日 "State of Celebration" Standard」の例示に倣い、上述の関連箇所を次のように修正する。
  • MD州の同性婚カップルがVA州に転居すると、VA州税その他地方税では、依然として婚姻関係は認められない。

  • 州税についても納税申告書を提出する必要がある。例えば、MD州の納税申告書では、
    • 配偶者の名前、SSN
    • 共同納税か単独納税かの選択
    • 連邦納税申告書の所得額
    を記入する必要がある。仮に、MD州の同性婚カップルが転居先のVA州で州納税申告書を提出する場合、両方に所得があると州税での共同納税申告はできず、単独納税申告書を提出することになる。それぞれが提出する単独納税申告書に連邦納税申告書の所得額を記入しなければならないとしたら、やはり連邦納税申告書も単独でなければならなくなるのではないだろうか。
※ 参考テーマ「同性カップル

8月30日(1) MI州:Medicaid拡充へ 
Source :Medicaid Expansion Battle in Michigan Ends in Passage (New York Times)
Medicaid拡充の議論を継続しながらも否定の方向性との観測が出ていたMichigan州(MI)だが、一転、拡充に向けて大きな一歩が記された(「Topics2013年8月17日(1) Medicaid拡充の努力」参照)。

上記sourceによると、8月27日、共和党が多数を占めている州議会上院で、州知事の説得に応じた8人の共和党上院議員がMedicaid拡充法案に賛成票を投じ、20 vs 18 の僅差で同法案が可決された。下院では、同様の法案を一度可決しており、今回の上院案にも賛成する可能性が高い。

もし、下院が可決すれば、10月1日の保険加入申請開始の直前にMedicaid拡充が決まることになる。MI州のExchangeは、連邦政府と州政府が共同で創設・運営する"State-federal partnership"であり、これからの準備で大わらわとなろう。
Exchange & Medicaid (2013.7.1.現在)

State Health Insurance Marketplaces (CMS)
Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
※ 参考テーマ「無保険者対策/MI州

8月30日(2) CA州:Exchangeの広告映像 
Source :California unveils ads for new health insurance market (Los Angeles Timies)
8月29日、CA州のExchange "Covered California"のCFが、州都Sacramentoの映画館で放映された。来週から先行的に4つの地域で、10月1日から本格的に全CA州でTVで流されるそうだ。
Covered California ad video
また、同日、Coverd Californiaのサイトでは、自分の居住地域、年収、家族構成などを記入すると、Exchangeで選択できる保険プラン、Medi-Calへの加入資格の有無などが確認できるページが開設された。

CA州は、PPACAのbellwetherと目されている。こうしたCFやwebsiteが、無保険者をExchangeに誘導できるかどうか、全米が注視している。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州

8月29日 Bare Bones Health Plans 
Source :Bare Bones Health Plans Expected To Survive Health Law (Kaiser Health News)
"Bare bones"というと、パソコンの組み立てキットを思い出してしまうのは、世代が古いからだろう。

表題は、よく言えば「必要最低限の保険プラン」、悪く言えば「給付内容が不十分な保険プラン」とでも言えばよいのだろうか。その代表例は、これまで"mini-med"と呼ばれてきたものである。この"mini-med"は、年間の給付額に上限を設けることで保険料を抑制する仕組みであった。しかし、PPACAでは、給付額に上限を設けることは禁止され、2014年度には全面禁止となる(「Topics2010年10月9日 Mini-medは例外扱い」参照)。

しかし、保険料を抑えた保険プランに対するニーズは高く、連邦政府はPPACAの例外を認め続けてきた(「Topics2012年1月12日 Mini-med例外拡大」参照)。

そして、PPACAの本格実施、"mini-med"の全面廃止を目前にして、新たな形の"bare bones health plans"が作り出されようとしている。上記sourceのポイントは次の通り。
  1. 2014年以降、PPACAの規定に基づき、給付に関する上限設定が禁止される。

  2. 同じく、PPACAでは、給付内容に含めることを義務付ける主たるカテゴリーとして、10分野を規定している。つまり、次の10分野は必ず保険給付に含めなければならない。

    1. ambulatory patient services
    2. emergency services
    3. hospitalization
    4. maternity and newborn care
    5. mental health and substance use disorder services, including behavioral health treatment
    6. prescription drugs
    7. rehabilitative and habilitative services and devices
    8. laboratory services
    9. preventive and wellness services and chronic disease management
    10. pediatric services, including oral and vision care

  3. しかし、10分野規定が適用になるのは、Exchangeで提供される個人保険、小規模企業(従業員50人以下)向け保険である。

  4. PPACAでは、上記ix.のpreventive careは大企業の保険プランでも含めるよう義務付けているが、10項目すべてを含めることを義務付けてはいない。今春に示されたガイドラインでも、大企業の保険プランが特定のカテゴリー、例えば「入院」を丸ごと給付内容に含めないというプランを禁止することはなかった。

  5. これにより、例えば「入院」は保険給付しないという"bare bones health plans"は、Exchangeの外で提供可能となる。

  6. もちろん、充分な保険給付が行われていない、という理由でpenaltyの対象となる可能性はあるものの、フルスペックの保険給付プランにするよりは格段とコストを抑えることができるかもしれない。
抜け穴があると批判するのは簡単だが、保険料を大幅に抑えた医療保険プランに対する需要も根強いということであろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

8月28日 死別・離別時の選択肢 
Sources : State Retirement System Rules on “Spousal Consent” (Pension Rights Center)
State Retirement Plans and Divorce (Pension Rights Center)
地方政府年金では、州政府職員退職者が亡くなった場合の取り扱いについて、いくつかの選択肢が用意されていることがあるそうだ。上記sourceで紹介されている事例をまとめると、次のようになる。 また、州政府職員の離婚時にも、州毎に選択肢の違いがたくさんあるようだ。上記sourceで例示されているのは次の通り。 契約社会と言われるアメリカだが、州によって社会文化が異なることが、こうした地方政府年金の違いとなって表れてくるのであろう。それにしても、配偶者の同意のないまま"single-life annuity"を選択することはあり得ないな。

※ 参考テーマ「地方政府年金

8月27日 医療費の長期トレンド(2) 
Source :This is why controlling health-care costs is almost impossible (Washington Post)
またまた、医療費のトレンドについて、エッセイが公表された(「Topics2013年8月日 医療費の長期トレンド」参照)。ポイントは次の通り。
  1. 2000〜2007年の医療費の年平均伸び率は7.5%。2008〜2011年のそれは4.1%と低下している。

  2. 普通のアメリカ人は、医療費が伸び続けていると考えているが、この数字を見る限り、(保険プランを提供している)企業にとって医療費の伸びは低下している。

  3. しかし、従業員の方からすると、免責額が高まっている。

  4. つまり、医療費の伸びが低下している要因の一つが免責額の高まりであると同時に、従業員にとっては医療費がますます高くなっていることになる。

  5. これはObamacareにとっては課題となる。医療費を抑制するために、免責額の引き上げ、医療ネットワークの厳格化、包括払いの促進などを進めているが、これらは従業員、国民にとっては受診に関する制約が強くなることを意味する。
保険料を安くすることで無保険者を増やそうというのがPPACAの基本なのだから、こうした副作用がつきまとうこと自体は仕方がないことだと思う。本気で更に医療費を抑制しようと思えば、価格を公定にすること、MD州やVT州の試みを全米に広げるしかないだろう。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル

8月26日 Exchangeの情報不足/MO州・CA州 
Source :Missouri Consumers In The Dark As Health Insurance Exchange Nears (Kaiser Health News)
上記sourceのタイトルにある"in the dark"をLongmanで調べると、次のように記されている。
knowing nothing about something important, because you have not been told about it
まさしく、MO州民は、PPACAの重要な柱であるExchangeについて何も知らされていない、というのである。上記soruceで紹介されている挿話は次の通り。
  1. MO州議会は共和党が多数を占めており、州政府がExchangeを設立することを禁じる州法を成立させている。

  2. CMSのガイドラインでは、9月4日までにExchangeで提供される保険プランを決定し、その後、連邦政府のwebsite(HealthCare.gov)で公表しなければならない。

  3. MO選出の連邦上院議員(R)は、『連邦政府は、MO州その他の連邦立Exchangeで提供される保険プランの保険料に関する情報を、8月26日までに公表すべきだ』と要望している。

  4. MO州議会はMedicaid拡充策を拒否している。また、州政府は、個人が所得情報を記入してMedicaid加入資格があれば州政府のMedicaid関連サイトに自動的に飛べるようにするシステムを構築しようとしているが、州議会の支出許可が出たのが、10月1日の4ヵ月前であった。

  5. 非営利団体がExchangeの情報を州民に届けようとしているが、その非営利団体にもMO州のExchangeに関する情報は入ってきていない。まさに手探り状態で活動を続けている。
つまり、州政府は保険料に関する情報、Exchangeに関する情報提供は、連邦政府がやるべきだ、としているのである。これでは、州民がExchangeや保険料に関する情報をいつになったら得られることか。

一方、Exchange創設をはじめ、PPACAの本格実施に積極的なCA州でも、事態は厳しい。最近行われた世論調査では、次のような数字となっている(Sacramento Bee)。

  1. 65歳以下の有権者のうち、4分の3はExchangeのことをほとんど聞いたことがない。よく知っていると答えたのはたったの6%。

  2. 無保険者で保険料補助の受給資格者のうち、自分が受給資格を有していることを認識しているのは33%。

  3. 無保険者で拡充されたMedicaid(Medi-Cal)の受給資格者のうち、自分が受給資格を有していることを認識しているのは48%。

  4. 59%の有権者は、CA州のプライマリーケア医師は、拡大するニーズに対して不充分であると考えている。
2014年の保険加入受け付け開始(10月1日)まで1ヵ月余りとなった時点で、この状況は大変厳しいと言わざるを得ない。もしもこのような状況で受け付けが開始されれば、現場での混乱は必至であろう。

一番進んでいるCA州も、一番遅れているMS州も、Exchangeに関する情報不足という点では同じである。やはり、もう少し連邦政府が本腰を入れてキャンペーンをやらないといけないのではないだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MO州」、「無保険者対策/CA州」、「無保険者対策/州レベル全般

8月25日 医療費の長期トレンド 
Source :Controlling Health Care Spending, Revisited (New York Times)
上記sourceは、プリンストン大学のReinhardt教授による、アメリカの医療費の長期トレンドに関するエッセイである。ポイントは次の通り。
  1. 一人当たり医療費の伸び率は、長期的には低下傾向にある。
  2. 1965〜2012年の医療費の伸び率は、主に次の2つのマクロ経済変数で説明できる(t年=当該年)。

    1. t年とt-2, t-1年のGDPデフレーター上昇率
    2. t年とt-5〜t-1年の実質GDP伸び率

    これらだけで、変化率の85%は説明できる。
  3. しかし、最近10年だけを取り出した研究によると、2003〜2013年の医療費伸び率の低下は、2007〜2009年の景気後退で説明できるのは37%のみであり、55%は説明できない。この間、患者負担が増えたり、医療技術の進展が鈍っていたなどの要素が考えられる。

  4. また別の研究では、マクロ経済指標のみならず、所得格差の拡大、中間層の所得低下、企業提供プランの縮小、Medicaid加入者の増加、患者の自己負担増加などが要因として考えられるとしている。

  5. 90年代後半、給付を厳しく制限する"managed care"に対する反発から、伸び率は一気に高まっていった。今回の医療費伸び率低下の後に、同様の反動増があるかどうかが問題となるが、次の2つの理由から、それはないと見ている。

    1. 医療情報のICT化が飛躍的に進み、医療情報の透明性が高まった。これが供給サイドにおける価格競争を促すことにつながる。

    2. 企業提供プランが主流となっている中で医療費を抑制するためには、失業率が高くなければならない。職が継続できるかどうか、またどうしても職に就かなければならない状況では、給付の制約、自己負担の増加を受け入れやすい。
失業率が依然として高い水準にあることが医療費抑制に効果的、という訳である。正しい理屈ではあるが、なんだか寂しい気分になる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

8月24日 予防診療給付の範囲 
Source :Is your healthcare considered preventive? (Los Angeles Times)
PPACAでは、すべての医療保険プランに予防診療を対象とした給付を盛り込まなければならない、と規定している。しかし、上記sourceは、事前によく注意して予防診療を受けなければ、保険給付の対象とならない場合が出てくると警告している。

その実例を、White Houseのwebsiteで"Preventive Benefits"から順に追ってみよう。
連邦政府機関名Websiteでの記述コメント
White HousePreventive Benefits
All new health plans must now cover preventive services ranging from mammograms to FDA-approved birth control to vaccinations for your child, without making you pay a copay or deductible.
最後のところで自己負担がないことを強調している。しかし、既にここで一つ落とし穴が用意されている。冒頭の"all new health plans"である。PPACAが施行となった2010年3月23日時点で既に販売されていた保険プランは、PPACAの予防給付義務規定の免除になっている。従って、保険加入者は、予防診療が自己負担なしで受けられるかどうか、注意深く確認しておく必要がある。
HealthCare.gov(HHS)Free preventive services
All Marketplace plans and many other plans must cover the following list of preventive services without charging you a copayment or coinsurance. This is true even if you haven’t met your yearly deductible. This applies only when these services are delivered by a network provider.
ここで初めて予防診療のリストが示される。このリストに掲載されている予防診療のみが自己負担なしで受けられる項目である。
ここでも注意点が一つある。最後の"by a network provider"である。加入している保険プランが契約している医療機関で受けなければ、自己負担なしは適用にならない。
Get Tested for Colorectal CancerThe Basics
If you are age 50 or older, get tested regularly for colorectal (“koh-loh-REK-tuhl”) cancer. All it takes is a visit to the doctor to have a special exam (called a screening).You may need to get tested before age 50 if colorectal cancer runs in your family. Talk with your doctor.
大腸ガンの検査を受けようということだが、年齢制限が盛り込まれている。通常なら50歳以上、親族に既往症があれば50歳以下でもいい、となっている。親族に該当者がおらず、50歳未満で検査を受けると、自己負担が発生する。
当然と言えば当然なのだが、詳細に辿りついてみないと、本当に自己負担なしに予防診療を受けられるのかどうかがわからない。そして、結局は保険プランを提供している保険会社に照会しなければ、正確にはわからないのである。

原則と例外は何にでもあるものだが、予防給付はPPACAの「売り」にしているところだけに、「自己負担なし」だけが浸透していき、いざふたを開けてみると話が違う、ということになりかねない。本当に丁寧な事前説明が必要だ。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル

8月23日 PPACAの財源対策 
Source :Paying for Obamacare: Some feel singled out (USA TODAY)
上記sourceでは、PPACAの関係で税制が変更となることについてレポートしている。税制改正となる項目は、末尾に と例示されている。

未加入の場合のペナルティ以外は、PPACA成立当初に紹介しただけだが、実は、他にもたくさんの財源対策が講じられている。Kaiser Family FoundationのSUMMARY OF NEW HEALTH REFORM LAWのP.3〜4には、"Tax Changes Related to Health Insurance or Financing Health Reform"として、財源対策としての税制改正項目が列記されている。

上記sourceは、各税制改正項目について、課税された人達が「何故自分達だけが・・・」と不満を表明していることを伝えているが、それはある意味当然のことである。2010年のPPACA審議の中で、必要となる財源をあらゆるところから引っ張ってくる必要があり、その際、声が小さいところ、文句の言いにくいところから引っ張ってこようとするのが政治だからだ。

こういう記事が出るというところにも、PPACAへの理解が国民の間で広まっているとは言い難い状況が示されている。ちなみに、PPACAへの支持率下落も止まらない。

ここまで書いてからIRSのサイトを見ると、"Affordable Care Act (ACA) Tax Provisions"というページを立ち上げ、PPACAに関連する税制の解説を始めていた。IRSもようやく重い腰を上げざるを得なくなったようだ(「Topics2012年9月13日 IRSは関与せず」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

8月22日 FL州:保険料監督を2年間停止 
Source :Sebelius awards Obamacare funding, expresses concern for Florida consumers (Tampa Bay Times)
Florida州を訪れていたHHS長官は、15日、次のように発言した。
  1. FL州議会が保険料監督権限を2年間停止すると決めたことにより、FL州民は、市場の決定に従うしかなくなる。

  2. 保険会社同士の競争が保険料抑制に働くことを期待する。
PPACAでは、保険料の決定において、一義的には州政府が主な役割を担うことを期待しており、州政府による"rate review"プロセスを連邦政府が確認するという役割分担を想定している(「Topics2012年3月26日 HHSの保険料審査」「Topics2012年9月24日 Rate Reviewの効果」参照)。ところが、FL州議会は、『連邦政府がExchangeを創設・運営していくのだから、保険料の監督もできるだろう』と突き放し、FL州政府による保険料監督権限を2年間停止する決定をしてしまったのだ。連邦政府からすると、保険料監督権限は法的根拠がないためできない、ということになり、事実上、公的機関のチェックなしにExchangeにおける市場原理に委ねざるを得なくなっている。

こうした状態に対してHHS長官が懸念を表明したのだが、その結論はどうなるかわからない。まさにやってみないとわからないのである。

ちなみに、申請のあった2014年の個人保険プランの保険料は、一人当たり平均39%の上昇となっている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/FL州」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル

8月21日 MI州:従業員拠出は違憲 
Source :Appeals court: Michigan law requiring state employees to pay 4% to pension plan violates constitution (Detroit Free Press)
Michigan州政府は、州政府年金改革の一つとして、2012年4月より、次のような措置を採っている。
  1. 1997年以前に採用された職員については、
    1. 従来のDBプランへの加入を継続する場合には、給与の4%分を追加拠出する。
    2. 4%の追加拠出をしないのであれば、DCプランに移行する。
    のいずれかを選択させることとしている。

  2. 選択を求められた州政府職員は約18,000人、全体の約32%に相当する。

  3. 約600人が追加拠出せず、残りは4%の追加拠出をしてDBプランへの加入を継続している。追加拠出として集金された額は、これまでに$59.1Mに達する。

  4. ちなみに、1997年以降採用の職員は、すべてDCプランに加入している。
このような措置について、昨年10月、MI州地方裁判所は、こうした規定を定めた法律全体(Public Act 264 of 2011)が違憲であるとの判決を出していた。これに次いで、8月14日、MI州控訴裁判所は次のような判決を示した。 州政府は、結論が出るまでは4%の追加拠出を継続して求めていくこととしている。

ところで、"Civil Service Commission"というのは初めて目にした。どうも人事院のようなものらしい。検索してみると、各州に同様の機関が設けられているようだ。

しかし、州議会が法律で州政府年金を議論しているところばかりのように思っていたが、本筋はこの委員会なのか。他州の動向も確認してみたい。

※ 参考テーマ「地方政府年金