4月9日 怠け者が組織を強くする? 
Source :Before You Judge Lazy Workers, Consider They Might Serve A Purpose (NPR)
職場でしょっちゅう席をはずしたり、私用メールをやったり、スマホいじりをしている奴がいても、簡単に『怠け者』と判断して切ってしまうようなことはしない方がいいとの主張を、上記sourceでは紹介している。

そこで引用されているのが、北海道大学の長谷川英祐教授によるアリの生態研究の結果である。難しい話はわからないので、教授自身が簡単に説明した対談がウェブに掲載されていたのを読んでみた。要するに、 だから、働かない個体がある程度いる組織の方が強固で長続きするというのである。

これは実生活でも感じるところである。家族の中でも気になる程度が異なるのである。床の汚れ具合、洗濯物のたまり具合、食器や調理器具のたまり具合など。反応閾値が低い者から手を付け始める。閾値の高い者はまったく掃除や片づけをしない。でも、長谷川教授の理論ではきっとどこかで片付け始めるのだろう(・・・期待をこめて)。私は間違いなく早死にだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月8日 NC州への投資取り止め 
Source :Anti-Gay Laws Bring Backlash in Mississippi and North Carolina (New York Times)
Mississippi州(MS州)は、、「宗教・信条に合わない場合は同性カップルに対してサービス提供を提供しなくてよい」との法律を成立させた。日産、トヨタなどの日系企業も含めて、企業側は反対を表明している。

また、先に自治体がLGBT差別禁止条例を定めることを禁止したNorth Carolina州(NC州)では、企業側が反発して実際の行動に出始めている。

こうした企業の動きが広がってくると、州知事・州議会も苦しい立場に追い込まれる。

※ 参考テーマ「LGBT

4月7日(1) CA州:最低賃金$15 
Source :Jerry Brown signs $15 minimum wage in California (The Sacramento Bee)
4月4日、CA州知事は最低賃金引上げ法案に署名した(「Topics2016年3月28日 CA州:最低賃金$15へ」参照)。これにより、CA州では2022年に最低賃金が$15/hとなる。

州知事は最低賃金には慎重であったが、労働組合、民主党議員達に押された格好で署名した。
  1. 2022年までに最低賃金を$15/hまで引き上げる。
    現  在$10.00/h
    2017年1月$10.50/h
    2018年1月$11.00/h
    2019年1月$12.00/h
    2020年1月$13.00/h
    2021年1月$14.00/h
    2022年1月$15.00/h
    2023年~CPI-W上昇率で引き上げ
  2. 従業員25人以下の企業は、一年遅れのスケジュール。

  3. 景気後退局面で州知事はスケジュールの一旦停止を命じることができる。

  4. 最低賃金を$15に引き上げることで、州政府の負担は年間$4Bとなる。

  5. 今年11月に行なわれる予定の州民投票を取り下げる。
※ 参考テーマ「最低賃金

4月7日(2) NY州も最低賃金$15 
Source :Governor Cuomo Signs $15 Minimum Wage Plan and 12 Week Paid Family Leave Policy into Law (Press Release)
CA州と同じく4月4日、NY州知事が最低賃金引上げ法案に署名した。これで、CA州、NY州が州レベルの最低賃金では全米の先頭に立ったことになる。引き上げスケジュールは次の通り。
  1. NY市については従業員規模別にスケジュールが異なる。また、州内を3つに分けて、順次$15/hに引き上げる。
     NY市(従業員11人以上)NY市(従業員10人未満)Nassau, Suffolk, Westchesterその他地域
    現  在$ 9.00/h$ 9.00/h$ 9.00/h$ 9.00/h
    2016年末$11.00/h$10.50/h$10.00/h$ 9.70/h
    2017年末$13.00/h$12.00/h$11.00/h$10.40/h
    2018年末$15.00/h$13.50/h$12.00/h$11.10/h
    2019年末$15.00/h$13.00/h$11.80/h
    2020年末$14.00/h$12.50/h
    2021年末$15.00/h定められた指標により
    $15/hまで引き上げ
  2. 2019年以降、景気分析の結果によっては引き上げスケジュールの一旦停止を命じることができる。

  3. 引き上げ対象は230万人と推計。
NY市の引き上げペースは、CA州よりもかなり早く、スケジュール通りにいけば、2019年から$15/hが実現する。また、地域別というのも斬新で、OR州に次ぐアイディアである(「Topics2016年2月25日 OR州最低賃金引き上げ」参照)。

ただ、CA州知事とは異なり、NY州知事はむしろ全体をリードした形で、大きな改革を成し遂げたという構図になっている(「Topics2015年2月28日 NY州:Tipped Minimum Wage引上げ決定」参照)。

※ 参考テーマ「最低賃金

4月7日(3) NY州:最長の有給病気休暇 
Source :Governor Cuomo Signs $15 Minimum Wage Plan and 12 Week Paid Family Leave Policy into Law (Press Release)
NY州知事は、最低賃金引き上げと同時に、12週間の有給病気休暇提供を義務付ける法案にも署名した。これは全米でも最も長い期間の有給病気休暇となる。
  1. 対象者:勤務期間が6ヵ月以上

  2. 休暇補償額:

    2018年~ (該当者の)平均週賃金の50%

    2021年~ 平均週賃金の67%

  3. 必要な財源は従業員からの天引き($1/w)徴収(企業側負担はなし)(ELLE

  4. 休暇取得後は、取得前の職に復帰する。
NY州は6番目の有給病気休暇法制定州となる(「Topics2016年3月20日(2) VT州:有給病気休暇法5番目」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月6日 医療保険の財政コスト 
Source :CBO's New One-Stop Shop for Federal Spending on Health Insurance Coverage (Committee for a Responsible Federal Budget)
上記sourceは、CBOが公表した医療保険制度にかかわる連邦政府の財政コストについての分析及び予測("Federal Subsidies for Health Insurance Coverage for People Under Age 65 : 2016 to 2026")をまとめたものである。

  1. 現在も10年後も、保険加入者の過半は企業が提供する医療保険プランでカバーされる。また、PPACAに基づく加入者は、現在2,300万人だが、10年後には3,300万人にまで増加すると見られている。これは、Medicaid拡充による増分が大きいのではないかと見られる。
  2. これを連邦政府の財政負担という面から見てみると、やはり企業提供医療保険プランが大きな割合を占めている。それに次ぐのがMedicaid, CHIPへの連邦助成である。
  3. これを加入者一人当たりのコストで見ると、企業保険プランが最も安上がりで、それは10年後も同様と見られている。企業提供プランは連邦負担という面から見ても安上がりの制度になっている。裏を返せば企業がそれだけ医療コストを負担しているということである。
PPACAは医療保険制度の大変革だったような感覚があるが、全体から見れば1割程度の部分変革であったということなのだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

4月5日 無制限休暇の限界 
Source :The Limits of Unlimited Vacation (SHRM)
休暇取得について、日数制限などを設けない企業が出てきている。しかし、なんでもあり、という訳にはいかないようだ。 最後のコメントは、小規模な企業、お互いの顔がわかる者同士では通用するだろうが、大規模企業ではなかなか難しい。また、無制限にすることにより、企業側は記録を保持や、未消化休日分の支払い等がなくなることで、経費を節減できるというメリットもあるという。

これからどこまで普及するのか、注目していきたい。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月4日 NC州法に経済界猛反対 
Source :North Carolina Businesses Protest Anti-LGBT Law (SHRM)
自治体がLGBT差別禁止条例を定めることを禁止したNorth Carolina州法に対し、経済界が猛反発している(「Topics2016年3月30日 トイレ問題を巡る攻防」参照)。このNC州法の即刻廃止を州知事、州議会に対して要請するレターには、企業のトップ80人以上が名を連ねているそうだ。

そのレターでは、『NC州の経済すら危うくさせるもの』と訴えている。実は、同時期にGeorgia州(GA州)でも同様の法案が審議され、州議会は可決してしまったのだが、GA州知事が拒否権を発動し、成案には至らなかった。その際も、企業経営者達が『GA州での事業活動を停止する』と訴えていた。

NC州、GA州とも州知事、州議会両院を共和党が押さえている。しかし、州知事が拒否権を発動したかどうかは大きな違いとなってくる。

経済界は、本件では、人材の確保、混乱の回避という両面から、LGBT対応を進めていこうという考え方のようだ。

※ 参考テーマ「LGBT

4月2日 新規加入者の医療費 
Source :Newest Policyholders Under Health Law Are Sicker and Costlier to Insurers (New York Times)
『PPACAのもとでの新規加入者は、病気がちでコストもかかっている。』ある意味分かっていたことではあるが、Blue Cross and Blue Shield Associationの分析結果でそのような姿が明らかになった。

主なポイントは次の通り。
  1. 2014年よりも前から加入していた被保険者と2014~2015年に加入した被保険者の中で、特定疾患を保有している割合を比較してみると、2014~2015年加入者での割合が圧倒的に高くなっている。PPACAにより既往者の加入を拒否できなくなったことが大きな要因である。
  2. 医療機関の利用頻度も2014~2015年新規加入者の方が高い。
  3. 処方薬、救急医療の利用についても同様である。
BCBSは、全米で最大の個人保険プラン提供機関であり、そこがこれだけコストがかかっているとアピールしたということは、これから保険料を上げざるを得ませんよ、というメッセージと受け止められている。加入者負担の増加は止まりそうもない。

ちょっと意外だったのが、企業提供医療保険プランのコストは現在の個人保険プランよりわずかに低い水準になっていることである。企業提供プランには、既往者が普通に含まれているということなのだろう。企業が従業員の健康管理に関心を持つのは当然である。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル

4月1日 CA州退職貯蓄プラン実現へ 
Source :California proposal for state-run retirement plan for private-sector workers moves forward (LA Times)
3月28日、CA州退職貯蓄プランの制度設計を検討していたSecure Choice Retirement Savings Investment Boardは、CA州議会関係委員長宛に提案書を提出した(Overtune Financial Final Reort)。主なポイントは次の通り(「Topics2016年1月22日 CA州:成案まであと一歩」参照)。 まだまだ検討事項が多く、制度設計のための時間はかかりそうだが、全米で初の州立退職貯蓄プランの実現に一歩近づいたことは間違いない。

※ 参考テーマ「地方政府年金