2月29日 高免責額プランは徐々に 
Source :52% of Employers Offer High-Deductible Health Insurance Plans (Health Payer Intelligence)
上記sourceでは、大企業500社が提供している医療保険プランの調査結果が紹介されている。 こうした数字を見ていると、企業側は慎重を期しながら徐々にHDHPのウェイトを高めていこうとしていることがわかる。実際、上記sourceでも、HDHP導入にあたっては従業員教育が重要であると述べている。

従業員にとっても関心の高い医療保険プランの大幅変更は、ゆっくりと進んでいく。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

2月28日 アメよりムチが効果的? 
Source :Employee Wellness Motivated More by Loss than Gain (PLANSPONSOR)
健康管理策により多くの従業員が参加してもらえるよう、企業側では様々なインセンティブを試行している。その際、アメでいくのか、ムチでいくのか、考え方が分かれるところである(「Topics2015年1月15日 健康管理策のインセンティブ」「Topics2015年1月17日 健康管理策のペナルティ」参照)。

上記sourceでは、大学が行なった実験結果を紹介している。 ここから導き出される結論は、
  1. インセンティブがある方が目標達成率が高まる。

  2. インセンティブの中でも「ムチ」の方が効果がある。
ただ、この実験の「ムチ」が、いわゆるペナルティになっているのかどうか、少し疑問だ。企業が考えるペナルティとは、一般的にはゼロからスタートするからだ。しかし、上記の実験は、「ムチ」といえども、まずはファンドを受け取っており、プラスのもらい方で比較する実験になっている。

結論を出すには、もう少し綿密な設計が必要だと思う。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

2月27日 医療情報の共有 
Source :LARGE COMPANIES FORM ALLIANCE TO REIN IN HEALTH COSTS (Bloomberg)
大企業20社が協力し、従業員の医療情報を集積して、効率的、効果的な診療、治療、処方薬について分析を進めるという。主体となるのはHealth Transformation Allianceという団体だ。

今までは、個社の中での集積は行ってきているところはあっても、企業の壁を越えてデータを集積することはなかったようだ。手始めに、まずは処方薬に集中してデータ収集、分析を進める方針とのことだ。

医療機関側でもこうした分析が進んでいるが、医療の購入側でもこうした分析が進めば交渉力が高まり、効率的な医療、ひいては医療コストの抑制につながっていくものと思われる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

2月26日 IA州:Medicaid民営化承認
Source :Feds OK Medicaid privatization, with another delay (Des Moines Register)
Iowa州が申請したMedicaid民営化について、2月23日、ようやく連邦政府からの承認が出された(「Topics2016年1月29日 IA州:Medicaid民営化」参照)。ただし、施行日は、IA州が希望していた3月1日ではなく、1ヵ月遅らせた4月1日付けである。

この1ヵ月遅れをとらえて、州議会民主党は、移行に伴う手続きについてさらに立法を行うことにより、Medicaid加入者の確実な移行を期すべきと主張している。一方の州議会共和党は、連邦政府の承認を歓迎している。

州議会上院は民主党、下院は共和党が多数を握っており、この移行手続きの立法化を巡るせめぎ合いが続きそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/IA州」、「無保険者対策/州レベル全般

2月25日 OR州最低賃金引き上げ 
Source :Oregon's Minimum Wage Will Become Highest in Nation (SHRM)
2月18日、Oregon州議会は、最低賃金引き上げ法案(SB 1532)を可決した。州知事も署名する意向を表明している。

ポイントは次の通り。
  1. 2016年7月1日から段階的に引き上げる。引き上げ額が決まっているのは2022年7月1日までで、その後はインフレ率をかけていく。

  2. 州内を3地域に分けて最低賃金(高、中、低)を設定する。2023年7月1日以降は、地域間格差の最小値のみを定めている。

  3. 最低賃金適用地域の決定方法や、異なる地域で就業する場合の適用方法など、詳細についてはこれから審議会を立ち上げて決定する。

     

    Employers Located Within Portland’s Urban Growth Boundary

    Parts of Multnomah, Washington, and Clackamas Counties (see map here)

    Employers Located In Frontier Counties

    Baker, Coos, Crook, Curry, Douglas, Gilliam, Grant, Harney, Jefferson, Klamath, Lake, Malheur, Morrow, Sherman, Umatilla, Union, Wallowa and Wheeler Counties

    Employers Located In Remaining Areas

    Such as Eugene, Salem, Bend, Medford, Springfield, Corvallis, Albany, etc.

    Current

    $9.25

    $9.25

    $9.25

    July 1, 2016

    $9.75

    $9.50

    $9.75

    July 1, 2017

    $11.25

    $10.00

    $10.25

    July 1, 2018

    $12.00

    $10.50

    $10.75

    July 1, 2019

    $12.50

    $11.00

    $11.25

    July 1, 2020

    $13.25

    $11.50

    $12.00

    July 1, 2021

    $14.00

    $12.00

    $12.75

    July 1, 2022

    $14.75

    $12.50

    $13.50

    July 1, 2023 and beyond

    A rate annually adjusted for inflation, but must be no less than $1.25/hour more than rest of state

    A rate no less than $1.00/hour less than rest of state

    A rate annually adjusted for inflation

今回の最低賃金法の特徴は、何といっても地域別の最低賃金を設定したことである。これはおそらく全米初の試みであろう。これを機会に、州内で異なる最低賃金を設定しているケースを拾ってみた。 このほかに、チップ制度に対応した最低賃金を設けている州もある(「Topics2015年2月8日 Tipped Minimum Wage」参照)。

今でも結構複雑な制度になっているが、これに今回のOregon州のような地域別最低賃金が入ってくると、かなり複雑である。州際業務を行っている企業にとっての事務負担は大変なものになろう。

※ 参考テーマ「最低賃金

2月24日 提供義務逃れは訴訟リスク 
Source :Reducing Employees’ Hours Could Lead to Discrimination Claims Under ERISA (Andrews Kurth LLP)
Dave & Buster'sという企業が、従業員から訴えられている(Marin v. Dave & Buster's, Inc. et al)。PPACAのプラン提供義務を回避するために週労働時間を減らすシフトに変更したとして、ERISA(§510)に違反しているとの訴えである。

企業側は、医療費負担を回避するための適正化であるとの主張をしていたが、2月9日、NY州南地区連邦地方裁判所は、企業側の主張を認めないとの判決を下した。
  1. シフト変更により、当該従業員の医療保険加入が認められなくなった

  2. PPACAに基づくプラン提供義務に伴うコストを回避するためにシフト変更を行った
ことから、企業側に当該従業員をベネフィットプランに加入させないとの意図が明確であり、ERISA違反であるとしたのである。

これまでも、週30時間以上の従業員に関してプラン提供義務を負わせると、企業側がこれを回避するために就業時間を30時間未満になるようにアレンジするのではないか、との議論が行われてきた。しかし、現実に、そのような露骨なシフトはほとんど見られいていない(「Topics2016年2月7日 PPACAの悪影響は小さい?」参照)。

企業側もそんなことは現実には難しいと理解していたし、訴訟リスクも充分認識していたのだろう。まして、雇用の需給が引き締まる局面ではできなかったとの側面もあろう。

今回の判決で、提供義務逃れのシフト変更は差別行為と看做される可能性が高まったので、ますますこうした対応をとる企業は少なくなることが見込まれる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「人事政策/労働法制

2月23日 有給休暇普及率に格差 
Source :Paid Sick Days Access and Usage Rates Vary by Race/Ethnicity, Occupation, and Earnings (Institute for Women’s Policy Research)
上記sourceでは、職場に有給療養休暇制度があるかどうかについて、National Health Interview Surveyの調査結果を加工して分析している。
  1. 全体では6割の被用者が有給療養休暇を利用することができる。ただし、ヒスパニック系については明らかに割合が低い。そのような制度が整備されている職場に就くことが少ないということなのだろう。
  2. 公民別では、公的部門の方が圧倒的に普及率が高い。また、民間部門では従業員規模の大きい方が普及率が高い。
  3. 週勤務時間別に見ると、短時間勤務の場合の普及率は低い。
  4. また、高所得者ほど普及率が高い。
  5. 職業別に見ると、普及率の格差は大きい。
  6. 実際に療養休暇を取得した日数は次の通り。
  7. これを、有給療養休暇制度があるところとないところを比較してみると、明らかに有給休暇制度があるところの方が休暇を取りやすいことが分かる。
本当なら連邦レベルでの制度の法制化が必要なのだろうけれど、経営者と従業員の間に信頼関係がないと、制度運用がうまくいかない面もあろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

2月22日 Private Exchangeが伸びる背景 
Source :Four Reasons Why Private Exchanges Will Grow (H&HN Daily)
上記sourceでは、Private Exchangeがまだまだ伸びる理由として、4点を挙げている。
  1. 支出が抑制できる

  2. DCタイプに移行できる

  3. Cadillac Taxの回避が容易

  4. 従業員にプラン選択肢を提供できる
支出抑制では、Private Exchange移行初年度では、15%もの支出減となり、その後も伸び率をその他の1/3に抑えられているという。本当にそんなに経費節約ができるのだろうか。

※ 参考テーマ「Private "Exchange"