Source : | California rejects UnitedHealth's bid to sell Obamacare statewide (Los Angeles Times) |
1月15日、Covered California理事会は、全米で事業を展開するUnitedHealth GroupのCA州Exchangeへの参入申請を拒否することを決定した。その理由は次の通り。この決定により、UnitedHealthがCA州全地域で市場参入できるようになるのは、2017年以降となる。2016年の参入は認められたとしても5地域のみになるからだ。
- UnitedHealthは、PPACAに基づくExchangeが本格始動する直前の2013年秋に、CA州個人保険市場から退出した。
- 既存の大規模保険会社は、勝手に市場の出入りを決めることはできない責任のある立場にある。
- 突然、大規模保険会社が市場に参入してくれば、Exchange発足当初から参加した保険会社の初期投資などを無駄にすることになる。
- Exchange設立以前に営業していた保険会社の市場参入は、保険プランの選択肢が3つ未満の地域に限定されるべきである。そのような地域は州内19地域のうち、5地域のみである。
また、消費者団体、労働組合もこの見解を支持している。その背景には、UnitedHealthが企業向けにbare-borns保険プランを提供していることに対する批判もあるようだ(「Topics2013年8月29日 Bare Bones Health Plans」参照)。
一方、この理事会決定に対して、CA州政府保険監督官は、『今回の決定は、消費者を犠牲にして既存参入者を保護している。Exchangeは新規参入を奨励しなければならない』と批判している。CA州Exchange市場占有率は、初年度、上位4社で94%となっている。寡占が進んでいる一方で、郊外地域では保険プランの選択肢が少なくなっているし、保険プランがカバーする医療機関のネットワークは限定されたものとなっている。
保険監督官としては、大規模保険会社であるUnitedHealthがCA州Exchange全域で保険プランを提供してくれるのであれば、郊外地域の制約が緩和されることになり、歓迎だという訳だが、Covered Californiaとしては、一番大変だった初年度をスキップしておいて今頃なんだ、という感情論が強く出ている。
Exchange優等生であるCA州ならではの議論であるかもしれない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」
Source : | Supreme Court to Decide Marriage Rights for Gay Couples Nationwide (New York Times) |
1月16日、連邦最高裁は、4州の同性婚禁止法を支持した第6控訴裁判所の判決(2014年11月)を不服とする上告を審理すると発表した。今後の予定は、4月下旬に双方の意見聴取、6月中に判決ということだ。
今回の判決の対象となっている4州は、Kentucky, Michigan, Ohio, Tennesseeである(「Topics2014年10月9日 同性婚:最高裁が上告不受理」参照)。
今回の連邦最高裁の意見聴取のポイントは次の2点。第1ポイントが"Yes"であれば、第2ポイントは回答不要である。
- 連邦憲法は、各州政府に対して同姓カップルに対する結婚証明書の発行を要請しているのか。
- 州政府は、他の州政府が合法的に発行した同姓カップルに対する結婚証明書を受容しなければならないか。
この2点に連邦最高裁が独自の意見を以って判決を示せば、同性婚に関する問題は決着することになる。
※ 参考テーマ「同姓カップル」
Source : | Premium Rates (PBGC) |
2015年以降のPBGC保険料を整理した資料が公表された。
根拠法は次の2つ。保険料の一覧表は次の通り。
- 2013年修正予算決議(「Topics2013年12月15日 2年間の予算決議案」参照)
- 複数事業主プラン給付削減法(「Topics2014年12月12日(2) 複数事業主プラン給付削減法案(2)」参照)
この表で奇しくも表れている通り、PBGC保険料負担は急増している。取りも直さずDBプランの運営コストが急増していることを意味しており、DBプランの見直しはますます加速されるものと思われる。
Plan years beginning in
Single-Employer Plans
Multiemployer Plans
Per Participant Rate for Flat-Rate Premium
Variable-Rate Premium
Per Participant Rate for
Flat-Rate PremiumRate per $1,000 UVBs
Per Participant Cap
2016 $64 $29 $500 $26 2015
$57 $24 $418 $26 2014
$49 $14 $412 $12 2013
$42 $9 $400 $12 2012
$35 $9 N/A $9 2011
$35 $9 N/A $9 2010
$35 $9 N/A $9 2009
$34 $9 N/A $9 2008
$33 $9 N/A $9 Amounts shown in red are subject to indexing and therefore might be higher than what's shown above. After 2016 all rates will be subject to indexing. There are no scheduled increases (other than indexing) after 2016. 2007
$31 $9 N/A $8
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | Coming Soon to a Workplace Near You: 'Wellness or Else' (REUTERS) |
先に健康管理策のインセンティブを紹介した(「Topics2015年1月15日 健康管理策のインセンティブ」参照)。PPACAで認められる金銭的インセンティブは、保険料や免責額等の30%の範囲まで拡大されたため、企業も注目しているところである。
このインセンティブは、rewardsでもpenaltyでも構わないそうで、上記sourceによると、企業の2/3はなんらかのインセンティブを用意しており、そのうちの1/4が健康管理策に参加しない従業員にペナルティを課しているそうだ(右図)。
企業側は『こうしたインセンティブは健康管理策の効果を上げるためには重要である』と主張しているが、健康管理策が医療コストの削減に本当につながるのかという点は実証できていない。それなのに、どうして企業側はインセンティブ、とりわけ健康管理策不参加へのペナルティに拘るのか。
理由の一つに挙げられているのが、ほとんどの大企業が"self-insured" planを採用していることである。自ら保険者となって医療コストを負担することになるため、医療費を少しでも減らすことができるなら健康管理策を徹底して、従業員の大きな病気を防ぎたいと考えているというのである。
しかし、これは建前で、本音はペナルティを大きなものにすることにより、収入を増やしたいということなのではないか、と学者は見ているという。実際、健康管理策にかかる一人当たりコストを大きく上回るペナルティが用意されているのが普通のようである。
もっと悪い見方をすれば、医療に係る従業員負担を増やそうとしているとも言える。健康管理策に参加しないという理由で、従業員の保険料負担、免責額負担が増えているのだから。
医療費の負担構造を巡る労使のせめぎ合いが行われているようだ。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」
Source : | Health Insurance Startup Collapses In Iowa (National Public Radio) |
昨年12月23日、Iowa州(IA州)の保険監督官は、CoOportunity Healthの破綻を宣言した。ここはIA州で活動する唯一の"Consumer-Oriented and -Operated Plan (CO-OP)"で、そのプロフィールは次の通り。これだけ見ても、その破綻の影響が大きいことは想像につく。破綻の理由として挙げられているのは次の3点。
- 全米で2番目の規模のCO-OP
- 連邦から最大の補助金を受け取っていたCO-OPの一つ
- IA州Exchangeで保険プランを提供していた2つの機関のうちの一つ
IA州はもともと年齢層が高く、不健康な人の割合が高い。そこにObama大統領令が加わって、CO-OPの財政を思いの外悪化させることとなった。
- IA州最大の保険会社であるWellmark社の保険プラン加入者が、Obama大統領令により、Exchange外のPPACA不適格保険プランにとどまった(「Topics2013年11月15日 Obama大統領の弥縫策」参照)。
- そのため、低所得者を中心に、ExchangeのCO-OPへの加入が殺到した。
- 同機関の加入者が、予想よりも多く、しかも予想よりも病気がちだった。
IA州保険監督官は、事実上CoOportunity Healthを指揮監督下に置くとともに、加入者に対して保険会社・プランの変更を求めている。しかし、保険料補助金を期待する低所得者層にとっては、Exchangeの保険会社は1社しか残されていない。今年はいいとしても、2016年の保険料負担は暴騰するのではないかと危惧される。
この事態を受けて、全米CO-OP連盟(National Alliance of State Health Co-Ops)は、『CO-OPの置かれている状況はそれぞれの州毎に異なっており、今回のIA州での状況とは異なる』とのコメントを公表している。
しかしながら、Obama大統領令によりCO-OPの苦戦はより厳しいものとなったことが明らかになり、当面は要注視である(「Topics2014年7月18日 CO-OPsは正念場」参照)。
※ 参考テーマ「CO-OP」、「無保険者対策/IA州」
Source : | Current Trends in Wellness—How Does Your Program Compare? (HR Daily Advisor) |
上記sourceは、今話題の健康管理策に関するアドバイスを列記している。その内容はともかく、ちょっと興味を惹かれたのは、どのような健康管理策が行われているのか、またそのための従業員へのインセンティブは何なのか、ということである。
まず、健康管理策の具体的なメニューについてだが、3番目に多いものとして、職場間の健康管理コンペが挙げられている。健康の度合いを競うのか、改善の度合いを競うのか、詳しいところはわからないが、日本の職場では考えにくいメニューである。 次に、インセンティブについてだが、ギフトのように現金ではないものが半分を超えているものの、直接金銭的に損得が発生するようなインセンティブが多くあり、こちらもアメリカならではのものだな、との印象である。 ※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」
連邦最高裁は、今年の半ばまでに『連邦立Exchangeで保険料補助金(tax credits)を出すことは認められるか』について判決を下す見込みである(「Topics2014年11月11日 最高裁が保険料補助金を審議」参照)。連邦立Exchangeは、34州で運営されており、最高裁判決が保険料補助金を出すことは認められないという判決を下した場合には、その影響は甚大となることが予想される。
上記sourcesは、その影響を推計したものであり、そのポイントは次の通り。シンクタンクの右も左も本当に大きな影響、いやPPACAにとっては壊滅的な影響をもたらすことを予見している。本来であれば、現行制度にこんなに大きな打撃を与えるような判決を連邦最高裁が下すはずがないと思うのだが、最高裁長官がObama大統領に対して不信感を抱いているとの見方もある(「Topics2014年12月8日 最高裁も反転攻勢か」参照)。しばらく気の抜けない状況が続きそうである。
- Urban Institute
- 34州の無保険者は820万人増加(44%増)
- 34州のExchange個人保険プラン加入者(65歳未満)は1,420万人から450万人に減少(69%減)
- 34州のExchange個人保険プラン保険料は35%上昇
- RAND Corporation
- 34州の個人保険加入者(Exchange外も含む)は960万人減少(70%減)
- 34州の個人保険料は47%上昇
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Brown plan to eliminate retiree health care debt (Calpensions) |
California州知事は、州政府予算案の中で、州政府職員退職者医療プランの積立不足を解消する案を提示した。何も手を打たなければ積立不足は2047年度に$300Bにまで膨れ上がるが、今回の提案を実現できれば2044年度にはゼロになるという。
提案のポイントは次の通り。これまで退職者医療プランについて、州政府職員はまったく負担してこなかったことから、反発は大きいと思われる。しかし、退職者医療プランの給付債務がCA州政府にとっては重要な課題になることは間違いない(「Topics2014年12月24日 州OPEBの積立不足」参照)。
- 州政府職員は、将来の退職者医療のコストの半分を負担する。⇒ 年間$600M
- 州政府は、将来の退職者医療のコストの半分を負担する。⇒ 年間$600M
- 州政府は、退職者医療プランの保険料を負担する。⇒ $1.9B
- 州政府は、州政府職員に対して、低保険料+高免責額+HSAプランの選択肢を提供する。
※ 参考テーマ「自治体退職者医療/GAS 45」
Source : | THE EMPLOYMENT SITUATION .DECEMBER 2014 (Department of Labor) |
昨年12月の労働市場は、明るい数字となった。失業率は0.2%低下して5.6%、雇用も25.2万人増となった。 失業率は、2013年12月の6.7%から1.1%低下した。また、雇用増は58ヵ月連続の増加となり、2014年一年間で295万人(月平均24.6万人)増加したことになる(Center on Budget and Policy Priorities)。 一方、実感失業率も低下してきているが、その乖離幅はほぼ一定のままである。つまり、不本意なパートタイマーや労働市場から退出したままの人達が取り残されているということである。 また、労働参加率は0.2%低下して62.7%となったものの、2014年の1年間、ほとんど改善が見られないままであった。 経済の回復が続いて労働市場に戻ってこられるようになった人達と、その外に置いていかれたままの人達が大きく分かれてきているのである。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | House Fires Shot at Health Care Law, Seeking to Alter Critical Coverage Rule (New York Times) |
1月8日、連邦議会下院は、フルタイム週40時間法案(H.R. 30)を可決した。票数は252 vs 172だったが、共和党議員全員に加えて民主党からも12人が賛成に回った。
上院の法案(S.30)では、共同提案者の中に民主党議員が2人含まれている。上記sourceによれば、民主党のfilibusterを阻止するのに必要な60票を集められる可能性があるという。共和党議員が54人なので、共同提案者に加えてさらに4人の民主党議員が賛成に回る可能性があるということになる。
Obama大統領が拒否権の発動を示唆し、下院民主党長老のPelosi院内総務もこれを支持すると表明しているにも拘わらず、である。これは、企業の同法案に対する支持が強いことに起因しているものと思われる。特に、中堅・中小企業からは強く支持されている模様だ。
この法案だけで判断するわけにはいかないが、民主党内の企業寄り、中道派とリベラル派の間にある溝はかなり深そうな印象だ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「政治/外交」