12月20日 NM州:17番目の同性婚認可州 
Source :New Mexico Supreme Court legalizes gay marriage (Washington Post)
12月19日、NM州最高裁は、同性カップルに結婚証明書を発行しないのは憲法違反であり、NM州では同性婚は合法である、との判決を下した。

NM州では、同性婚に関する法規定はなく、事実上、同性婚を容認して結婚証明書を発行しているcountyは多いそうだ。今回の州最高裁の判決は、この実態を追認するとともに、同性婚は合法であることを明確にした、ということになる。

これで、NM州は17番目の同性婚認可州、南西部の州としては初となる。
同性カップルの法的ステータス
MarriageCivil UnionDomestic Partnership他州の法的ステータスの承認
施行日州 法州最高裁判決
Massachusetts2004.5.17A@Same-sex marriage
Connecticut2008.11.10A@Same-sex marriage
Iowa2009.4.24Same-sex marriage
Vermont2009.9.1Same-sex marriage
New Hampshire2010.1.1Same-sex marriage
Washington, D.C.2010.3.3○ (1992.6.11)Same-sex marriage
New York2011.7.24Same-sex marriage
Maine2012.12.29○→×→○**○ (2004.7.30)Same-sex marriage
Maryland2013.1.1Same-sex marriage
Washington2013.6.12009.7.26〜2014.6.30:異性間は62歳以上のみ
2014.7.1〜:同性間、異性間とも62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
Delaware2013.7.1Same-sex marriage
Rhode Island2013.8.1Same-sex marriage
Minnesota2013.8.1Same-sex marriage
California2008.6.17〜11.4,
2013.6.28〜
○→×→○*○ (2005.1.1)
異性間は62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
New Jersey2014.10.21○ (2007.2.19)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
○ (2004.7.10)
同性間、異性間とも62歳以上のみ
Same-sex marriage
Hawaii2013.12.2○ (2012.1.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
Illinois2014.6.1○ (2011.6.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
New Mexico2013.12.19Same-sex marriage
Oregon○ (2008.2.4)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriag
Wisconsin○ (2009.8.3)(同性間のみ)認知しない
Nevada○ (2009.10.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知

* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○→ 連邦最高裁判所上告棄却、控訴審確定(2013.6.26)
**ME州議会可決(2009.5)○ → 州民投票(2009.11)× → 州民投票(2012.11)○
※ 参考テーマ「同性カップル

12月19日 Medicaidのデータ送付開始 
Source :States to get Medicaid cases from federal website (AP)
連邦立ExchangeからMedicaid加入申請を行なっても、システムトラブルにより、当該州政府にその情報が伝わらない状態が続いていた(「Topics2013年10月7日 Medicaidに繋がらない」参照)。それがようやく改善され、連邦政府は州政府へのデータ送付を開始したと公表した。

ところが、その実態は、正常な状態とは程遠い。 極めてお寒い状況が続いている。先に紹介したExchange加入者速報で、10〜11月の2ヵ月間に、連邦立ExchangeでMedicaid加入資格があると判定された者は26.9万人となっている(「Topics2013年12月13日 Exchange加入者数速報」参照)。しかし、有資格と判定されても、それが州政府のMedicaid制度に送付されていないため、加入手続きが終了していることにはならないのである。

Medicaid加入のデッドラインはないとはいうものの、有資格なのに無保険状態が続く、未加入状況が長く続けばペナルティの対象となる、など、加入希望者にとってのリスクもある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル

12月18日 Sea Tac市:最低賃金引き上げ決定 
Source :Businesses Stung by $15-an-Hour Pay (Wall Street Journal)
Washington州のCity of SeaTacで行なわれた市民投票の結果が確定し、市の最低賃金は$15/hに引き上げられることが決定した。11月5日の投票結果が僅差となったため、数え直しが行なわれたそうだ(「Topics2013年10月16日 SeaTac市:最低賃金大幅引上げ案」参照)。これで、Sea Tac市の最低賃金は全米一高い水準になる。

その内容は次の通り。
  1. 最低賃金:$15/h

  2. 実施時期:2014年1月1日〜

  3. 対象業種:Hospitality, Transportation

  4. 対象免除:Airlines, 従業員25人未満の小規模企業
上記sourceでは、事業者が抱く不安感、他の地域での最低賃金引き上げ要求などが紹介されている。

ただし、昨日の議論を踏まえると、やはり気になるのが、上記の3., 4.のところである。最低賃金が適用される業種、適用されない業種、企業規模が存在している点だ。

基本的に賃金は労働の対価であり、分配論だ。これを規制によって特定の業種、企業規模の分配を変えさせようとするのだから、当然のことながら、歪みが生じる。例えば、同じような事務職を務めている者同士でも、勤務先の業種によって最低賃金が異なることになる。

また、本当は一番給与水準が低いはずの小規模企業は対象からはずれ、取り残されることになる。これこそ、昨日の議論の通り、貧困対策の目的からはずれることになる(「Topics2013年12月17日 最低賃金の政策目的」参照)。

本来であれば、民間部門の分配論に直接公権力を行使して介入することは避けるべきである。社会全体の効用を高めるために所得政策を講じるのであれば、政策目的を明確にして、『所得再分配』政策で対応すべきだろう。ちゃんと直接税を事業所、市民から徴収し、これを所得保証が必要な対象に再分配する。こうした方がよほど効率性が高く、納得感も高い。

ここからは余談だが、分配の一つである『賃金』に最低基準を設けるのであれば、資本や借入金に関する分配である『配当』、『利子』にも最低基準を設けることで、企業活動に高い生産性を求めるのはどうだろうか。もちろん法体系上は別々のものだが、経済的には、分配という意味で3つとも同列なんだけどな・・・。

※ 参考テーマ「最低賃金

12月17日 最低賃金の政策目的 
Source :Minimum Wage And Combating Poverty (American Action Forum)
最低賃金の議論が盛んである(「Topics2013年12月12日 最低賃金引き上げ要請」参照)。では、その政策目的は何なのか。通常は『貧困の解消』と答えるだろう。管理人もそう思っていた。

ところが、上記sourceは、最低賃金の引き上げは貧困の解消につながらないばかりか、格差の拡大をもたらす、と主張している。そのポイントは次の通り。
  1. 時間給で働いているのは、全被用者の58.9%しかない。そのうち、連邦政府が定める最低賃金($7.25/h)以下で働く人は、たったの3.2%しかない。全被用者の中で最低賃金で働く人はわずか1.9%である。

  2. FPL以下の収入しかない家計で、時間給の最低賃金($7.25/h)で働く者の割合は0.3%しかない。同様に、最低賃金を$9.00/hに引き上げたとしても1.2%、$10.10/hでも1.5%にしかならない。

    Table 1: Minimum Wage Earners

    Family Member

    Percent of Minimum Wage Earners

    Average Family Income

    Teenager

    36.6

    103,964.30

    Head of Household

    21.3

    48,660.49

    Spouse

    10.3

    64,815.38

    Single

    13.7

    22,998.29

    Other

    18.4

    40,000.03

    National Average

    n/a

    75,203.78

  3. 最低賃金で働いている労働者の属性をみると、10代の若者が最も多く、しかも彼らが所属する家計の収入はかなり高い。その他の属性の者でも、その平均収入はFPLよりもかなり高いものとなっている(Table 1)。

  4. 最低賃金で働いている労働者の家計の78.7%が、FPL以上の収入を得ている。

  5. FPL以下の収入しかない家計で働く者のうち、就職しているのがわずか6.6%なのに対し、失業中が27.5%に達する。この数字には、求職活動を止めてしまった者、労働市場から退出した者は含まれていない。

  6. 研究論文をサーベイしたところ、約2/3の論文が、『最低賃金は雇用にマイナスの影響をもたらす』と結論付けている。

  7. 最新の調査研究では、次のような推計が示されている。
    • 最低賃金を10%引き上げると、雇用の伸び率が0.53%ポイント低下する。
    • 連邦最低賃金を$9/h、$10/hに引き上げると、全国でそれぞれ140万人、230万人の雇用減となる。
こんなに的外れな政策論議なのであれば、皆気付きそうなものだが、民主党・共和党両党の間では既に神学論争になってしまっていて、どちらも一歩退いて客観的な議論に立ち戻ることができないのだろう。もし本当にこのようなことになっているのであれば、国民にとって不幸である。

※ 参考テーマ「最低賃金

12月16日 DBに致命的な打撃 
Source :Why the latest PBGC premium increases may well speed the DB system to its death bed (Russell Investment Group)
単独事業主プラン2012年2013年
 資 産$ 82,973M$83,227M
 給付債務$ 112,115M$110,608M
 積立不足$ 29,142M$ 27,381M
 積立比率74.0%75.2%
複数事業主プラン2012年2013年
 資 産$ 1,807M$ 1,719M
 給付債務$ 7,044M$ 9,977M
 積立不足$ 5,237$ 8,258
 積立比率25.7%17.2%
PBGC Annual Report 2013
MAP-21と今回の修正予算決議により、PBGC保険料が大幅に引き上げられることになる。これに伴い、企業は、受給権を持つ従業員や退職者への給付を一時金に変更し、DBプランを廃止する方向に動くだろう、と上記sourceは予測している(「Topics2013年12月15日 2年間の予算決議案」参照)。

その理由は、次の2点。
  1. PBGC保険料の引き上げ幅が大きすぎて、プラン継続の可否を問わざるを得なくなる。

  2. PBGC保険料の引き上げの対象が、単独事業主プランのみであり、複数事業主企業プランには触れていない。積立比率でみれば、複数事業主プランの方が圧倒的に状況が悪いにもかかわらず、だ(右表参照)。それは、今回の修正予算決議が政治的な産物であり、DBプランのためでもなく、加入者のためでもなく、ましてやPBGCのためでもなく、要するに財政赤字を少しでも塞いだように見せるためだけのものだからである。
2点目の指摘は手厳しい。確かに、保証を強化するのであれば、複数事業主プランこそ手当てするべきなのだが、単独事業主プラン=大企業、複数事業主プラン=中小企業、という構図の中で、負担増を求める先は限られてくる、というのが本音だろう。つまり、支払い保証事業の理念が貫かれていない、ということだ。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

12月15日 2年間の予算決議案 
Source :Capitol Leaders Agree to a Deal on the Budget (New York Times)
10日、政府機関の閉鎖をもたらした予算案について、連邦議会両党派が今後2年間の大枠に合意した(Press Release)。12日に下院で修正予算決議案可決され、間もなく上院でも採決される予定だ。

その中で、当websiteの関心事項は次の通り。 失業給付の延長については、議論されたものの、最終合意には盛り込まれなかったそうだ(「Topics2013年12月14日 失業給付を失う失業者」参照)。民主党は、別途、延長の可能性を模索するとのことである。

PBGC保険料引き上げについては、プランスポンサーの反対の声は届かなかった。これでますますDBプランからの逃避が増えることになるだろう。

(12月19日 追記)
12月18日、上院が64 vs 36で修正予算決議案を可決した。

(12月30日 追記)
12月26日、Obama大統領が署名し、成立した。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「PBGC/Chapter 11」、「Medicare」、「医療保険プラン」、「解雇事情/失業対策」「

12月14日 失業給付を失う失業者 
Source :Failure to Extend Emergency Unemployment Benefits Will Hurt Jobless Workers in Every State (Center on Budget and Policy Priorities)
いよいよ年末が迫り来る中、失業給付期間の短縮が現実味を帯びてきた(「Topics2013年10月8日 失業保険の効力低下」参照)。

DOLの推計によれば、今から2014年末にかけて、累積で約500万人が失業給付を断ち切られることになる。
また、州別にみると、CA州の83.6万人を筆頭に、11州で10万人以上が失業給付を失う。長期失業者が多数残っている中で、これは相当大きな社会的インパクトをもたらすのではないだろうか。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

12月13日 Exchange加入者数速報 
Source :Nearly 365,000 Americans selected plans in the Health Insurance Marketplace in October and November (CMS)
様々な躓きを見せているExchangeについて、10-11月のプラン加入状況が公表された。エッセンスは次の表の通り。
Medicaid/CHIPへの加入者数が80万人となった一方、民間保険プランへの加入者数はたったの36.5万人しかいない。しかも、連邦立Exchangeを通じた加入者は、そのまた1/3程度にとどまっている。あれだけトラブルがあればそういう結果になろうかとは思う。

1月1日からの保険加入となるためには、12月23日までに手続きを終えなければならない。3週間余りでこの加入者数はどこまで伸びるのか。

また、最終的に2014年の保険加入を確保するためには、来年の3月31日までに加入手続きを終えなければならない。これらの進捗状況が注目される。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

12月12日 最低賃金引き上げ要請 
Source :Progressive Dems to Obama: Raise Minimum Wage for Federal Contractors (Government Executive)
2人の民主党下院議員が、Obama大統領に対し、『連邦政府と契約している企業の最低賃金を、$10.10/h(現行$7.25/h)に引き上げる』よう、要請文を送付した。連邦議会で最低賃金引き上げ法案の目途が立たないので、連邦政府との契約企業ならば大統領令で変えられるだろう、というわけだ。

民主党下院議員達は、PPACAの躓きに焦っており、来年の中間選挙でアピールできる成果が欲しいのだろう。

ところが、大統領府は曖昧な返答しかしていないようだ。『最低賃金は、連邦議会により法定されてきたものであり、両派からの支持があって成立してきた』と報道官は述べている。

確かに、Obama大統領は今年の一般教書演説で、最低賃金を$9.00/hに引き上げるよう提案している(「Topics2013年2月13日 一般教書演説(2013年)」参照)。しかし、その時にもコメントした通り、現実味がない。しかも、当時よりもレームダック状況はひどくなっており、とても大統領令で引き上げるだけの政治的パワーが残されていない。

同性婚ではあれだけ大統領令で状況を変えていったのに、この最低賃金や移民制度改革ではリーダーシップを発揮しようという気配は見られない。民主党の同志に対する配慮も感じられない。Obama大統領は、本当に冷徹なプラグマティストなのかもしれない(「Topics2009年3月26日 Obama vs Pelosi」参照)。

※ 参考テーマ「最低賃金

12月11日 PBGC保険料引き上げ反対 
Source :Opposing any additional premium increases
DBプランを運営している企業、関係団体が、連名で『これ以上PBGC保険料を引き上げないでくれ』との請願書を、連邦議会議員達宛に送付した。

PBGC保険料は、MAP-21で規定された通り、大幅な引き上げの最中である(「Topics2012年7月5日 PBGC保険料大幅引上げ」参照)。財政健全化の議論の中で、これ以上、PBGC保険料を引き上げられては困ることから、こうしたレターの発出に至っている。

『これ以上の引き上げは実質課税だ』と述べているものの、PBGCの財政状況に対する認識が『危機的状況にある訳ではない』と、PBGC自身の持続可能性に関する主張をそのまま受け容れている。

これは明らかにおかしい。債務超過幅は拡大し続けており、給付を保険料収入で賄えていない状況がずっと続いている(「Topics2013年11月17日 PBGCは持続不可能」参照)。事実上あり得ない選択肢だが、連邦議会が税投入を決断しない限り、保険料の引き上げで財政状況を改善するしか道はない。

DBプランを運営している企業や関連団体であれば、『これ以上、PBGCの給付債務を増やさない(=保証引き受けの停止)』という主張をすべきであろう。DBプランも、DCプランと同様、企業と従業員の自己責任の下に運営される年金プランとして位置付けることが大事なのだ。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11