Source : | How Employer-Sponsored Health Insurance Differs at Big and Small Businesses (Small Business Trends) |
上記sourceは、2013年の中小企業(従業員50人未満)と大企業(従業員50人以上)における医療保険プランの提供状況を比較調査した結果を紹介している。中小企業の方がジェネラスな部分があるというのは意外だ。待機期間なんていいよ、というのはわかるが、家族プランの保険料が低いのはちょっと理解が難しい。これはまったくのあてずっぽうだが、中小企業が提供する家族保険プランは、加入対象者が配偶者に限られているのではないだろうか。
中小企業(従業員50人未満) 大企業(従業員50人以上) 医療保険プランを提供している企業の割合 34.8% 95.7% 65歳未満の退職者に医療保険プランを提供している企業の割合 1.3% 23.5% 65歳以上の退職者に医療保険プランを提供している企業の割合 2.3% 19.5% パートタイマーに医療保険プランを提供している企業の割合 21% 32% 企業提供プランのうちSelf-insuranceが占める割合 13.2% 64.6% 複数プランの選択肢を提供している企業の割合 20.2% 68.9% 新規採用者が保険プランに加入できるまで待機期間を設けている企業の割合 62.7% 86.1% 個人プランの保険料 $5,628 $5,556 家族プランの保険料 $14,787 $16,224 窓口負担を求める企業の割合 70.6% 63.6% 窓口負担料 $26.75 $23.77 従業員負担保険料の割合 21.3% 18.9%
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | Study sought on privatizing Kansas public pensions (The Sedgwick County Post) |
Kansas州(KS州)は、州政府職員年金の運営管理を民間企業に委託することを検討するとしている。2012年に成立した州法では、といった事項を検討するよう要請している。
- 2033年までに州政府年金プランの積立比率を100%にする(現在は60%)。
- そのためには、州政府、政府職員の拠出額を引き上げる。
- $1.5Bの新規州債を発行し、年金プランに充てる。
- 新規採用者をDCプランに移行する。
管理運営を民営化することに州議会議員達は懐疑的だそうだが、KS州では昨年、Medicaidの運営管理を民間保険会社に移管している。まんざら絵空事ともいえないのだ。
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「無保険者対策/その他州」
Source : | As Medicaid Rolls Swell, Cuts in Payments to Doctors Threaten Access to Care (New York Times) |
PPACAでは、Medicaidの対象者を拡充することに合わせて、primary careの診療報酬を2013〜2014年の間だけ一時的に引き上げてきた(「Topics2010年3月31日 医療保険改革法案比較表」参照)。
Obama政権は、その一時的引き上げをさらに1年間延長するよう連邦議会に要請してきたが、議会では審議するには至らず、今のところ、2015年に入ったとたんにMedicaidのprimary care診療報酬は大幅に引き下げられることになる。
上記sourceによると、になるとみられている。
- 全米平均で43%の引き下げ率
- CA, FL, NY, PA州では、50%以上の引き下げ率
こうなると、医師や医療機関の方で、Medicaidのprimary careの診療を抑制しようという動きになる。実際、OH州では40%の医師がMedicaid加入者の診療を抑制すると答えている。
PPACAの本格執行、各州のMedicaid対象者の拡充に伴い、Medicaid加入者は大幅に増加している。2013年10月以降、Medicaid加入者は970万人増加し、加入者総数は6,850万人に達している。なんと5人に1人以上がMedicaidに加入している。
これだけ増えたMedicaid加入者の医療へのアクセスが担保できないということになると、大きな社会問題になりかねない。Obama政権は共和党が多数派を握る新連邦議会とどのように折り合いをつけていくのだろうか。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Affordable Care Act’s Tax Effects Now Loom for Filers (New York Times) |
来年の納税申告は大変な混乱をきたすのではないかと見られている。それは、納税者側も、税務当局も同様だという(「Topics2013年11月3日 IRSの懸念」参照)。
大きな混乱の要素は次の5点。せっかく順調な滑り出しとなった2015年保険加入だが、来年4月15日の納税申告期限まで混乱が続きそうである。ただし、企業保険プラン加入者は蚊帳の「内」のままである。
- Exchangeを通じて保険加入した人は、新しい納税申告書で納税額計算をしなければならない。対象者は670万人。
- 保険料補助金(tax credits)を受け取った人は、所得の修正申告をしなければならない。保険料補助金額は、2012年の所得に基づいて支払われているため、2013年の所得を申告し、保険料補助金額を算出して、実際に受け取った分との差額を調整しなければならない。
- 州立Exchange、連邦立Exchange、IRSその他連邦政府機関との間で、納税者に関する情報を共有しなければならない。
- 無保険者はペナルティ税を支払わなければならない。しかし、無保険者がペナルティ税を申告しなかった場合でも、IRSは通常の追徴手段を講じることができない(「Topics2012年7月8日 ペナルティにならない」参照)。還付金からの差し引きしかできず、複雑になる。
- さらにペナルティには免除規定が14も用意されている(「Topics2014年3月31日 ペナルティ免除規定」参照)。これらに該当するかどうかの判断によって、ペナルティ額は異なってくる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | So Far, 6.4 Million Obtain Health Care Coverage for 2015 in Federal Marketplace (New York Times) |
昨年の連邦立Exchangeの加入手続きは、様々な躓きや混乱で大変な状況であった(「Topics2013年12月13日 Exchange加入者数速報」参照)。その反省に立った準備のおかげか、2年目の加入手続きは順調な滑り出しとなっている。
上記sourceで紹介されている加入状況をタイムラインでまとめると次のようになる。目標加入者数の2/3強が連邦立だけで既に達成できている訳で、昨年の今頃の混乱振りとは大きな違いである。
- 10月半ば:Exchange(連邦立+州立)加入者は670万人
- 11月15日:2015年分の加入手続き開始
- 12月15日:
・2015年1月1日から医療保険が有効になる最終加入日。
・2014年の加入者は、この日までに何も手続きを採らないと、2015年も同じ保険プランへ自動加入(「Topics2014年6月30日 Exchange自動加入制」参照)。
- 12月23日:HHSが2015年加入手続き者数の推計値を公表。
- 連邦立Exchangeで640万人。
- うち190万人(約30%)が新規加入。
- 自動加入延長者は270〜300万人。
- 2015年
2月15日:
・加入手続き最終日。
・Exchange(連邦立+州立)加入者目標は910万人。
- 3月4日:連邦最高裁で保険料補助金の合法性に関する口頭弁論。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Analysis Finds No Nationwide Increase in Health Insurance Marketplace Premiums (The Commonwealth Fund) |
全米の州毎に、保険料、免責額、プラン提供保険会社を調査した結果が公表された。ただし、ここで紹介したのはあくまで全米平均の姿であり、個別の州毎に見ると、保険料、免責額ともに、伸び率、絶対額ともに区々である(「Topics2014年12月17日 2015年Exchangeの保険料」参照)。
- 保険料上昇率(Exhibit 1)
- 全米での保険料上昇率は0%。
- 州ごとに見ていくと、2桁の伸び率になったのは、10州+D.C.。
- 反対に引き下げられたのは14州。
- どちらも最低、最高の保険料を提供していた保険会社が退出したことが原因の一つとなっている。
- 全米平均保険料
- bronze plan—$256
- silver plan—$314
- gold plan—$369
- platinum plan—$441
- Silverプラン保険料上昇率
- Exchangeプラン加入者の65%がSilverプランに加入している。
- 全米での保険料上昇率は0%。
- 州ごとに見ていくと、2桁の伸び率になったのは、7州。
- 反対に引き下げられたのは17州。
- どちらも最低、最高の保険料を提供していた保険会社が退出したことが原因の一つとなっている。
- Silverプラン保険料
- 最高はAlaska州で、$583。
- 最低はHawaii州で、$206。
- 基準Silverプラン保険料(Exhibit 2)
- 全米での保険料上昇率は0%。
- 州ごとに見ていくと、2桁の伸び率になったのは、2州。
- 反対に引き下げられたのは20州。うち6州では2桁の引き下げ率。
- 免責額(Exhibit 3)
- 全米での免責額上昇率は1%。
- 州ごとに見ていくと、上昇したのは26州。
- 反対に引き下げられたのは19州。
- 全米平均免責額
- bronze plan—$5,203
- silver plan—$2,965
- gold plan—$1,215
- platinum plan—$552
- 保険プラン数(Exhibit 4)
- 全米で保険プラン数は25%増加した。
- 都市部:提供されたプラン数は7.17プラン。
- 郊外部:6.17プラン
- 田舎部:5.49プラン
このように、Exchangeプランの保険料の伸びが大きく抑制された背景には、次の3つの要素が指摘できるとされている。Exchange推進派のシンクタンクの分析ではあるものの、Exchangeの政策目的に適う方向に向かっているとの印象を持つことができる。分析の最後に、こうした負担抑制が継続するかどうかは、効率的な医療提供と、質を評価する診療報酬システムを開発できるかどうかにかかっていると結んでいる。
- Exchangeに保険プランを提供する保険会社数が増えた。
- Exchange保険プランに関する情報が開示され、消費者にとって比較可能となった。実際、2014年Exchange加入者の64%が各メタルカテゴリーの最低または最低から2番目の保険料のプランを選択している。
- 保険プラン間のリスク分散、再保険制度が導入されて、保険料を抑えることができるようになった。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | 'Dreamer' immigrants in Arizona get driver's licenses after legal fight (Los Angeles Times) |
12月22日、AZ州政府は退去猶予措置を受けている不法移民に対し、運転免許証の発行を開始した(「Topics2014年12月21日 AZ州:退去猶予者に免許証発行へ」参照)。
12月17日の連邦最高裁の判決を受けて、22日、連邦地方裁判事が運転免許証発行の仮命令を下したことに基づく発行である。司法サイドでは、といったイベントが予定されている。
- 2015年1月に連邦地方裁が、今回の仮命令を恒久化すべきかどうかの口頭弁論を開催する
- 2015年2月22日までに、AZ州政府は連邦最高裁大法廷の開催を求めるかどうかを決断する
また、AZ州知事は、連邦最高裁の判決を不満とし、在任中は徹底抗戦するとのステートメントを発表している。
しかし、AZ州知事の任期は2015年1月に終了する。例えAZ州政府が大法廷の開催を求めても連邦最高裁が受理する可能性は低いと見られている。
これで事実上、AZ州での免許証発行は解禁されたとみなされる。残るはNebraska州のみである。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Retiree Health Care Benefits for State and Local Employees in 2014 (National Association of State Retirement Administrators) |
上記sourceは、州政府のOPEB(Other PostEmployment Benefits)の推計を公表している。"Other"というのは、「年金以外の」という意味で、主に退職者医療保険プランの給付債務がメインとなる。
ポイントは次の2点。退職者医療保険プランのインパクトは相当大きなものとなりそうである。
- OPEBの積立不足額は、州全体で$500B弱(GDPの3%弱)に達する。
- 積立不足総額の75%は、10州に集中している。
※ 参考テーマ「自治体退職者医療/GAS 45」
Source : | The year in exchanges: Where private exchanges go from here (Employee Benefit Adviser) |
Private Exchange(PE)の増勢が続いている。上記sourceで紹介されている事例は次の通り。また、PE運営会社同士の企業買収も盛んなようだ。
- Aon Hewitt
今年10月時点での参加企業数は100社以上。加入者は120万人以上。当初の予想は、70社、75万人程度であった。
- Mercer
今年10月時点での参加企業数は247社以上。加入者は100万人近く。当初の予想は、52社、33万人程度であった。
ただし、企業側が本当に積極的に採用しようという気運が広がっているかというとそうでもない。PEの機能が経営に役立つという意識はそれほどなく、基本的には業界内の横並び意識が強く、自社から最初に採り入れるのは回避し、どこか他の社が導入したらやろう、という感じらしい。従業員の目が気になるそうだ。
こういう所がアメリカ社会らしい。
※ 参考テーマ「Private Exchange」
Source : | Treasury Releases Regulations Governing Retirement Savings Bonds (Bloomberg BNA) |
12月15日、財務省(DOT)は、"myRA"の制度設計案を公表した。これは、今年2月の一般教書でObama大統領が提案した個人貯蓄制度で、今年一杯に財務省が制度設計案を作成することとなっていた(「Topics2014年2月2日 "MyRA"提案」参照)。 ポイントは次の通り。規模が小さく、投資対象も限定されているが、退職後所得プランを持たない国民向けの第一歩が示された。しかし、所得税の関係で議会の承認が必要なのではないか、との疑問は残されている。
- 財務省指定の金融機関で、Roth IRA勘定を設定する。
- 投資対象は、新規の政府貯蓄証券のみ。利率は、連邦政府職員向けの貯蓄制度(Thrift Savings Plan)にある"G Fund"と同じに設定する。
- 勘定の設定、維持に関するコストはゼロ。
- 勘定の残高が$15,000に達するか、勘定開設から30年経つか、どちらかが実現した段階で拠出はできなくなる。
- 中途引き出しに伴うペナルティ課税は、Roth IRAと同じ10%。
- 拠出は事業主の天引きによるが、ERISA対象プランではない(労働省通知)。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | Supreme Court says Arizona must issue driver's licenses to immigrant 'Dreamers' (Los Angeles Times) |
12月17日、連邦最高裁は、Arizona州(AZ州)に対し、大統領令に基づき退去猶予となった不法移民に運転免許証を発行するよう命じる判決を下した。第9控訴裁判所の判決を支持する内容だ。
AZ州は、不法移民なのだから免許証は発行できないという主張だが、連邦最高裁・第9控訴裁判所は、不法移民保護大統領令の対象者は合法的に居住し、就労許可も受けているのだから、州政府は運転免許証を発行しなければならないという判断だ。実は、大統領令対象者に運転免許証を発行しないとしているのは、AZ州とNebraska州だけだそうだ。
次のステップは、連邦地方裁判事がどのような指令をいつ出すかだ。
最高裁判所の判決は6対3で、反対に回ったのはAntonin Scalia, Clarence Thomas, Samuel A. Alito Jr.である。
最高裁がこうした判決を下す背景には、『不法移民に関する法的権限は連邦政府が優先する』との考えがある(「Topics2012年6月26日 AZ州移民法を一部支持:連邦最高裁」参照)。従って、連邦政府が認めている移民には免許証を発行しなければならない、ということになる。
AZ州は不法移民問題で再び最高裁に"No"を突きつけられたことになる。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」