12月10日 雇用市場依然強い
Source :The labor market stays robust, with employers adding 199,000 jobs last month (NPR)
12月8日、雇用統計が公表された(BLS)。11月の雇用増は19.9万人となった(「Topics2023年11月4日 ストが雇用統計に影響」参照)。
雇用者数は157.1M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。若干勢いは弱まったものの、相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は3.7%で0.2ppt低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.8%とわずかに上昇。依然として、コロナ禍以前と比べて低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率は83.3%で横ばい(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は引き続き減少した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、18.3%に低下した。
※ 参考テーマ「労働市場

12月8日(1) インフレが企業プランに影響
Sources : WTW: Cost of US healthcare benefits expected to rise 8.9% in 2024 (HR Dive)
Erosion of Job-Based Insurance to Defined Contribution (Health Justice Monitor)
WTW’s Global Medical Trends Surveyによれば、アメリカの医療コストの上昇率は、2023年8.2%、2024年8.9%と見込まれている。大きく上昇する要因は、 とされている。

こうした状況を反映し、企業のベネフィット戦略は影響を受けそうである(「Topics2023年12月1日 家族プランは中小無理」「Topics2023年12月5日 ベネフィット取捨選択」参照)。

上記sourceで紹介されているのは、企業提供医療保険プランへの影響である。

注目しているのは、Individual Coverage Health Reimbursement Arrangements(ICHRA)である。この仕組みが注目されていることについては、既に紹介した(「Topics2023年9月1日(5) ICHRAの転換点」参照)。

HRA Counci調査によれば、2022年から2023年にかけて、ICHRAの提供を受けた従業員は171%伸びている。
従業員50人以上の企業でICHRAを提供している企業は、144%伸びている。
Exchangeを利用した医療貯蓄勘定だが、医療コストの増嵩に耐えられなくなった企業が、規模に関わらず利用しようとしていると指摘している。この動きが広がれば、企業が提供する医療保険プランの規模が縮小すると懸念しているのである。

確かに、一定額をICHRAに拠出してしまえば、後は従業員個人の選択ということで、企業にとってのリスク回避も一定程度可能となる。いわば医療版のDCプランである。

なお、上記sourceでは、大企業によるICHRAの利用を「Level-Funded Plans」と呼んでいるが、「Level-Funded Plans」は"stop-loss coverage"を内包しているので、ICHRAの仕組みとは性格が異なるのではないかと思う(「Topics2023年7月13日(1) Level-funded insurance」参照)。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

12月8日(2) NLRB共同経営者新定義延期
Source :NLRB Delays Effective Date of Joint-Employer Standard (HR Daily Advisor)
11月16日、NLRBは、共同経営者新定義の適用を12月26日から2024年2月26日に延期する旨公表した(「Topics2023年 10月31日 NLRB共同経営者新定義公表」参照)。法廷闘争を回避するための工夫を検討するためとしている。

実際、International Franchise Associationは、訴訟を検討していると報じられている。

また、連邦議会上院でも、超党派(Joe Manchin (D-WV) and Bill Cassidy, M.D. (R-LA) )で、NLRB新定義を差し止めるための決議案が検討されている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

12月7日 労働市場は落ち着きへ
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
12月5日、BLSが、10月末の求人数を発表した。10月末の求人数は873.3万人で、前月比61.7万人の大幅減となった(「Topics2023年11月2日(1) 求人数は依然高水準(2)」参照)。水準は高いものの、減少傾向は明確になっている。
労働力人口に占める求人数の割合は5.3%と低下した。
新規雇用数は588.6万人と、微減となった。
失業者数/求人数は、0.7で横ばいだった。
10月の自発的失業(Quits)は362.8万人と、微減となった。コロナ禍前の水準に戻った感じだ。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2023年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、10月の時間給をみると、引き続き5%前後の伸びが続いているが、転職者と職に留まった者の伸び率差が広がった。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場

12月5日 ベネフィット取捨選択
Source :Companies are cutting worker benefits to offset the sting of high inflation (FOXBusiness)
アメリカ経済の成長が鈍化し、労働市場に緩和の兆しが見え始めたことから、企業は賃金等は相変わらず高い水準を提示しているものの、採用、引き留めに効果薄と見られるベネフィットについて、削減を始めている。GLASSDOOR調査によれば、いくつかの項目で、2023年に減少に転じていることがわかる。
その最も大きな要因は、インフレである。賃金もベネフィットも大盤振る舞いという訳にはいかないということだろう。

上図をよく見てみると、子供関係とメンタルヘルス関係が大きく伸びているとの印象だ。しっかりと世相を反映していると思う。

※ 参考テーマ「ベネフィット

12月1日 家族プランは中小無理
Source :2023 Employer Health Benefits Survey (KFF)
だいぶ遅くなってしまったが、10月18日、KFFは企業が提供する医療保険プランの実情調査結果を公表した(2023 Employer Health Benefits Survey)。当方の関心事項は次の通り。
  1. 年間保険料は、個人プランで$8,435、家族プランで$23,968。家族プランは、日本円に直す(12/1時点で1$=\148)と\3,547,264にも達する!
  2. どちらのプランも、昨年に較べて7%増加している。これは賃金上昇率(5.2%)、インフレ率(5.8%)を上回る増加率である。

  3. 最近5年間で見ると、家族プラン保険料は22%も上昇している。
  4. 従業員負担分の伸び率は、保険料、物価、賃金の伸び率よりは抑えられてきた。
  5. こうした状況を反映して、中小企業(従業員3~199人)が提供している家族プランでは、従業員負担が25%以上となっている割合が6割に達している。50%以上だと32%となり、これでは企業が提供しているメリットはほとんど感じられないだろう。中小企業では、もはや家族プランを提供することが不可能になりつつある。
※ 参考テーマ「医療保険プラン