9月8日 個人プラン加入増加続く
Source :As ACA Marketplace Enrollment Reaches Record High, Fewer Are Buying Individual Market Coverage Elsewhere (KFF)
KFFが2023年第1四半期の個人保険プラン加入者数の推計を公表した。ポイントは次の通り。
  1. 第1四半期の個人保険プラン加入者数は約18.2M人と、2017年以来の規模となった。加入者数の増加は3年連続となった。これは、アメリカ救済法による補助金の増加が大きく貢献している。
  2. 2022年8月に成立したインフレ抑制法では、上記補助金の2025年までの延長が定められた(「Topics2022年8月8日 インフレ抑制法案:上院可決」「Topics2022年8月17日(1) インフレ抑制法成立」参照)。これにより、2023年第1四半期の個人保険加入者のうち、4/5は補助金を受け取っている。
  3. PPACA適格の医療保険プランに加入している人の割合は、徐々に上昇しており、2022年第2四半期で93%に達した。それでも、約120万人が不適格プランに加入している。バイデン政権の提案が成立すれば、こうした不適格プラン加入者も減少していくとみられる(「Topics2023年7月12日(2) 短期保険プラン規制強化案」参照)。
  4. 2024年については、保険料の上昇が見込まれるが、保険料補助金を受け取る人が多いため、それほど影響は受けないのではないかと見られている。(「Topics2023年8月8日(2) 2024年Exchange保険料」参照)
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「医療保険プラン

9月7日 2032年の労働市場
Source :EmploymentProjections 2022-2032 (BLS)
9月6日、BLSは、2032年の労働市場予測を公表した。ポイントは次の通り。
  1. Civilian noninstitutional population(DOL-FAQ)は、1,870万人増の2億8,260万人。2022-2032年の年間平均伸び率は0.7%。2012-2022年の10年間の増加数は2,070万人、平均伸び率は0.8%だった。
  2. 年齢別にみると、65歳以上人口が増えていく。
  3. Civilian labor forceは、2022年1億6,430万人から、2032年1億7,070万人に増加する。増加幅は650万人、年間平均増加率は0.4%と若干低下する(2012-2022:0.6%)。

  4. 労働市場参加率は、2022年62.2%から2032年60.4%に低下する。高齢化の影響である。

  5. 現役世代(25-54歳)女性の労働市場参加率は、2022年76.4%から2032年76.7%に若干上昇する。一方で、同世代男性の参加率は、88.6%から86.7%に低下する。

  6. 実質GDPは、2022-2032年の平均年間伸び率1.9%と推計している。前の10年間の2.1%から若干低下する。
  7. 雇用者数(Total employment)は、2022年1億6,450万人から2032年1億6,910万人へと、470万人増、年平均0.3%増加率となる。増加率の鈍化は明白である。
  8. 医療・介護分野の増加が最も多く、10年間の全体の増加幅の45%を占める。これも人口の高齢化の影響である。次いで、e-commerceの広がりを受けて運輸・配送センターの増加幅が大きい。コンピューター関係も大きく増加する。
  9. 伸び率が高い職種は、次の通り。
※ 参考テーマ「労働市場

9月3日(1) 依然サービス需要強い
Source :The job market continues to expand at a healthy clip as U.S. heads into Labor Day (NPR)
9月1日、雇用統計が公表された(BLS)。8月の雇用増は18.7万人となった。また、6月、7月については、合計で11.0万人の下方修正となった(「Topics2023年8月7日 労働供給が限界か?」参照)。下方修正幅はかなり大きい。
雇用者数は156.4M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。若干勢いは弱まったものの、相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は再び3.8%に上昇した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.8%と、若干の上昇だが依然として、コロナ禍以前と比べて低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率も83.5%と若干回復した(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、若干増加した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、20.3%に上昇した。
※ 参考テーマ「労働市場

9月3日(2) 出勤が求められ始める
Source :Remote work is harder to come by as companies push for return to office (NPR)
在宅勤務だけで働き続けることがだんだん難しくなっている。 上記sourceによれば、Zoomでさえ、職員に出勤を求め始めたそうだ。

ここでいくつかの定点観測。 7月の在宅勤務率は30.9%。祝日の関係で少し上昇したそうだ。

The Working From Home Research Project
2023年第2四半期オフィスの空室率は19.2%と上昇し続けている。

CUSHMAN & WAKEFIELD
大都市で見てみると、オフィスビルの稼働率は47.2%と、こちらは緩やかに低下し続けている。

KASTLE
オフィス需要にはまだまだ結びついていないようだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work

9月1日(1) 2024年ACA企業ペナルティ(2)
Source :Compliance Alert: IRS Issues Affordability Percentage Adjustment for 2024 (Barrow Weatherhead Lent LLP)
2024年のACA企業ペナルティの最後のピースが発表された(IRS)。全体像は次のようになる(「Topics2023年3月14日(2) 2024年ACA企業ペナルティ」参照)。
 A penaltyB penalty
概 要 従業員50人以上の企業で保険プランを提供していない場合、フルタイム従業員がExchangeで保険料補助金を受け取ると、その人数分のペナルティ(ただし最初の30人分は免除)が課される。 保険プランを提供していても、従業員の保険料負担が所得の一定割合以上になっている場合または企業が保険プラン費用の60%未満しか負担していない場合、Exchangeで保険料補助金を受け取ったフルタイム従業員の人数分のペナルティが課される。
2014年(初年)フルタイム従業員一人当たり$2,000/Y所得の9.50%以上
フルタイム従業員一人当たり$3,000/Y
2021年フルタイム従業員一人当たり$2,700/Y所得の9.83%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,060/Y
2022年フルタイム従業員一人当たり$2,750/Y所得の9.61%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,120/Y
2023年フルタイム従業員一人当たり$2,880/Y所得の9.12%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,320/Y
2024年フルタイム従業員一人当たり$2,970/Y所得の8.39%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,460/Y
上表のB penaltyの「所得の一定割合」については、"affordability threshold"と呼ばれ、毎年変動する。これは、保険料の伸びと所得の伸びを比較考量して決定するためである。
上記sourceでも確認できる通り、"affordability threshold"(従業員保険料負担の所得に対する割合の指標)が、従来になく大きく引き下げられ、初の8%台前半となった。企業の従業員の負担抑制策としては効果を発揮することだろう。大統領選のキャンペーンとしても有効であろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

9月1日(2) NC州:Medicaid拡充できず
Source :North Carolina Medicaid expansion delayed (AP)
North Carolina州(NC)のMedicaid拡充法案は、2023年3月27日に知事が署名して成立していた(「Topics2023年3月29日 NC州:Medicaid拡充」参照)。しかし、施行に必要な予算が未だ成立していない。9月1日までに成立しなければ、施行予定日の10月1日に施行できないそうだ。

NC州知事は民主党なのに対し、NC州議会は両院とも共和党が握っている。この上下両院共和党が予算案を可決しないままきているのだ。

現状では、拡充施行は、早くても12月、遅ければ2024年にずれ込んでしまいかねない見通しだ。当分、下図の青は消えることはない。

Status of State Medicaid Expansion Decisions: Interactive Map (Kaiser Family Foundation)
※ 参考テーマ「無保険者対策/NC州

9月1日(3) Thomas判事のプライベートジェット利用
Source :Justices Thomas, Alito file 2022 financial disclosure forms with new trips and gifts (NPR)
8月31日、収入に関する開示が遅れていた2人の最高裁判事が、2022年分を提出した(「Topics2023年6月9日 最高裁判事の収入開示」参照)。その他収入の総額は上記sourceには示されていないが、Thomas判事についてはCrow氏からの饗応、特にプライベートジェットの利用提供が甚だしいようだ(「Topics2023年4月7日 最高裁判事に饗応」参照)。

※ 参考テーマ「司 法

9月1日(4) 労組認定新スキーム
Source :NLRB: Unions can represent workers without an election (HR Dive)
8月25日、NLRBは、労働組合の結成に関する新たな枠組みを示す判決を下した。その要諦は、次の文章に現れている。
"Under the new framework, when a union requests recognition on the basis that a majority of employees in an appropriate bargaining unit have designated the union as their representative, an employer must either recognize and bargain with the union or promptly file an RM petition seeking an election. However, if an employer who seeks an election commits any unfair labor practice that would require setting aside the election, the petition will be dismissed, and?rather than re-running the election?the Board will order the employer to recognize and bargain with the union." (News Release
企業側が不公正な投票妨害活動をするようなら、従業員による選挙を省略して代表と認知することができる、ということだ。今回の事案の対象となった企業は、全部で20以上の違反を繰り返していたそうだ。

こういうことなら、Starbucksにも適用できるのかなあ(「Topics2022年6月23日 NLRBがSB社を提訴」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合

9月1日(5) ICHRAの転換点
Source :Insurers, startups see opportunity in exchange-based HRAs (Modern Healthcare)
Exchangeに保険プランを提供している保険会社は、Individual Coverage Health Reimbursement Arrangements(ICHRA)に熱い視線を注いでいる(医療貯蓄勘定 比較表(2020年6月))。ICHRAは、トランプ政権時代に設計され、2020年1月1日より施行されている(「Topics2018年10月30日 トランプ政権のExchange改定案」「Topics2019年9月10日 2つの新型HRA」参照)。2020年時点で10~20万人しか利用していないと推計されている(healthinsurance.org)。

ところが、2024年には保険市場の環境が変わってくるとみられている。 その中で、Exchange参入保険会社は、ICHRA付き保険プランを企画している。企業側も、財政リスクと保険プラン運営コストを回避することができる。新しいトレンドが生まれるかもしれない。

※ 参考テーマ「HSAs」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/州レベル全般