Source : | Delaware EARNS Act Awaits Governor's Nod (Association of Plan Advisors) |
6月21日、Delaware州(DE)議会上院は、州立退職貯蓄プラン創設法案(HB 205)を可決した。下院は、5月17日に可決済みである。両院とも圧倒的多数で可決されており、あとは州知事の署名を待つばかりである。
プラン名称は、Delaware Expanding Access for Retirement and Necessary Savings (EARNS) program。 5人以上の従業員を雇用し、前年に6ヵ月以上州内で営業した企業で、退職貯蓄プランを提供していない企業はすべて対象となる。企業の責務は、従業員への周知と、従業員拠出金の納付である。
対象となった企業の従業員は、同プランに加入して拠出金を負担するか、任意で加入を見送るかを選択できる。プランはIRA。
当初は、EARNSプログラム委員会がプラン設計、施行を担当するが、2025年12月31日までに「プラン運営委員会」に移行する。
プラン施行時期は、今後、州議会で検討することになっている。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | SCOTUS Overturns Roe: Understanding the Impact on Your Benefit Plans (Mercer) |
上記sourceでも、人工妊娠中絶に対する企業支援策について、現状を調査した結果を紹介している。調査時期は5月で、中絶手術に対する厳しい規制がある州に住む従業員に対して、州外で受ける手術に伴う旅費、宿泊費を支援しているかどうかを問うている。そして、州法の影響を受けるのは、"fully insured plans"であり、"self-funded plans"はERISAの適用を受けるため、より柔軟な制度設計が可能となる(「Topics2010年1月21日(2) 2つの企業提供保険プラン」参照)。
- 大企業(従業員20,000人以上)
- 既に支援している。⇒ 14%
- 支援を検討している。⇒ 25%
- 検討していない。⇒ 46%
- 対象となる従業員がいない。⇒ 11%
- 全企業(従業員500人以上)
- 既に支援している。⇒ 3%
- 支援を検討している。⇒ 18%
- 対象となる従業員がいない。⇒ 15%
※ 参考テーマ「ベネフィット」、「医療保険プラン」
Source : | Colorado first state to launch public option via federal waiver (HR Dive) |
6月23日、CMSは、Colorado州(CO)に対して、Section 1332に基づく特例措置を認めた(CMS Fact Sheet)。これにより、CO州は、連邦資金を利用して、public optionを州運営医療保険プランを運営することができるようになる。
制度概要は既にまとめてあるが、追加情報は次の通り(「Topics2021年6月21日 CO州:州運営保険法成立」参照)。今回の特例措置は、2027年に期限切れとなる。その間、CO州は、32,000人の加入を見込んでいる。一方、CMSは、連邦政府が負担する保険料補助金(tax credit)を2023年に$214M、5年間で$1.6Bの削減を見込んでいる。
- プラン名は、"Colorado Option"。
- プラン提供は、州Exchange上。
州運営医療保険プランを導入するのは、WA州に続いて、CO州が2番目となる(「Topics2019年12月23日 WA州のPublic Option」参照)。連邦政府資金を利用したプラン導入は、CO州が初めてとなる。
Public Option導入は、他の州でも検討されている(OR, VT, CT, NV)。連邦レベルでのpublic option導入は、PPACA法案検討中に落とされた(「Topics2010年3月31日(1) 医療保険改革法に署名」参照)。遅まきながら、州レベルでの自主的導入が始まった。
※ 参考テーマ「無保険者対策/CO州」、「無保険者対策/WA州」、「無保険者対策/OR州」、「無保険者対策/VT州」、「無保険者対策/CT州」、「無保険者対策/その他州」
Source : | With Roe overturned, employers eye changes to abortion-access benefits (HR Dive) |
上記sourceは、連邦最高裁意見書案の漏出後、妊娠中絶の権利を認めたRoe v. Wade判決の無効前、5月24日~6月7日の間に人材部門専門家を対象にしたアンケート調査結果を紹介している(「Topics2022年5月11日(1) 最高裁の審理過程」、「Topics2022年6月27日 Roe判決無効と企業対応」参照)。 妊娠中絶への対応は、企業によって区々となっている状況がよくわかる。例えば、実際の判決が下ってから、各企業がどのように判断していくか、という状況なのだろう。昨日紹介したように、大企業で中絶に対する支援策が増えてくれば、流れも変わってくるだろう。ただし、社内の従業員の間で、pro-choiceとpro-lifeの対立が生じないようにすることが重要だ。
- 妊娠中絶について、有給休暇を提供している。⇒ 32%
- 妊娠中絶に関して交通費を提供することは考えていない。⇒ 35%
※ 参考テーマ「ベネフィット」
Sources : |
Supreme Court overturns Roe v. Wade, ending right to abortion upheld for decades (NPR) Here's where abortions are now banned or strictly limited, and where they may be soon (NPR) |
6月24日、連邦最高裁は、妊娠中絶の権利を認めたRoe v. Wade判決を覆す判決を下した。判事達の賛否は、6v3と党派色の通りとなった。共和党支持者達は、首を長くしてこの日を待っていたことだろう(「Topics2018年8月8日 共和党の長期戦略」参照)。
ただし、Roberts長官は、賛成票を投じたものの、との意見を示し、苦言を呈した。しかし、それは判決がもたらす大きな影響を減じることはできない。
- 今回の判決は、訴訟対象となっているMississippi州法(15週後の人工中絶を禁止)に限って効力を持つものにすべき
- 法制度に大きな混乱をもたらすことになる
- 保守派、リベラル派ともに判事達が法制度から離れて余りにも奔放な意見を言い過ぎている
まず、アメリカ社会は、賛成派、反対派ともにボルテージを上げており、大変な混乱に見舞われている("Reproductive rights in America" by NPR)。
そして、これまで人工中絶が可能だったのは、人工中絶を禁止した州法が違憲だと判断した連邦最高裁のRoe v. Wade判決に拠っていた。これが覆ったために、人工中絶を禁止した州法が復権する。 こうした州で活動する企業は、従業員の人工中絶を支援するかどうかが問われることになる。具体的には、禁止された州から禁止されていない州に出て人工中絶を行なう場合、旅費、手術代等を支援するかどうか、ということになる。既に、支援を発表している主な企業のリストもまとめられている(AXIOS)
※ 参考テーマ「司 法」、「人口/結婚/家庭/生活」、「ベネフィット」
Source : | Confidence in U.S. Supreme Court Sinks to Historic Low (GALLUP) |
6月1~20日に行なったGALLUP社調査で、アメリカ国民の連邦最高裁に対する信認は、史上最低の25%に落ち込んだ。昨年の36%から11%ポイントも低下しているのは、まさに失墜という感じがぴったりだ。 なかでも、民主党支持者、中立派の間での信任が大きく低下している。 これには、妊娠中絶の権利を認めたRoe v. Wade判決を、連邦最高裁がひっくり返そうとしていることが判明したことが大きく影響している(「Topics2022年5月11日(1) 最高裁の審理過程」参照)。なにせ、国民の2/3がRoe v. Wade判決をひっくり返すことに反対しているのだから(「Topics2022年5月20日(1) 意見書案漏出の波紋」参照)。
当websiteの感覚からすると、分裂が深刻化するアメリカ社会にとって、連邦最高裁は最後のアンカーという位置づけである。立法で互いに主張し合い、連邦最高裁の判断が出たら最後は従う、という感じだ。その最後のアンカーに対する信頼感がこれほど低落してしまうと、アメリカ社会の分裂はより深刻化していくだろう。
望み薄とはいえ、ここは、Roberts長官の手腕に期待するしかないだろう。
※ 参考テーマ「司 法」
Source : | Starbucks fired 7 union organizers. The government wants a court to reinstate them (NPR) |
NLRBは、「Starbucks社は労組結成活動を理由に従業員を解雇した」として、SB社を解雇された7人の復職を求める訴訟を起こしている(「Topics2022年4月26日 SB 労組 NLRB訴訟合戦」参照)。一方、Starbucks社は、就業規則違反を主張する模様だ。ある従業員は、今年に入ってから、鼻ピアスと自殺防止ピンを外すように言われて、それを拒否していた。Starbucks社の就業規則では、着用してよいのは労組ピンだけ、となっているそうだ。
裁判所での意見聴取は、7月11日に予定されているが、この司法過程は長時間を要することになる。NLRBの主張が司法で認められれば、全米で有効な判決となるが、それまでにどれくらいかかることか。その後ようやく、Starbucks社はStarbucks Workers Unitedを正式な団体交渉相手と認定せざるを得なくなるのである(「Topics2022年6月22日 Apple労組道半ば」参照)。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | Maryland Apple store workers face hurdles after their vote to unionize (NPR) |
6月18日、MD州Baltimore郊外、TowsonにあるApple storeで、労組結成の可否を問う選挙が行われた。結果は65対33の圧勝で、労組結成が認められた。同労組は、International Association of Machinists and Aerospace Workersに加盟しようとしている。
ところが、上記sourceによると、労組が正式な団体交渉当事者として認知されるまでには、相当の時間がかかるそうだ。今の労組結成ブームは若年世代が主導していると言われている。こんなに困難な道程を耐えられるのは若者だけだろうが、この事実が広く認識されるようになれば、すぐに離れてしまうのも若者だろう。労組組織率の反転につながるかどうかを注目している。
- まずは、NLRBの投票結果承認が必要だ。事実、今日この段階でGoogle検索をかけてみても、NLRBが承認したとの情報は出ていない。
- 企業側が店舗労組を団体交渉当事者と認定するまでには、企業側に様々な判断事項が残されている。企業側が認定を拒否すれば、最終的にはすべて司法の場にもっていかざるを得なくなる。
- そうこうしているうちに、企業側が事業再構築を行ない、労組加入従業員を独立契約者に位置付けてしまうこともある。そうなれば、労組としての活動は無意味になってしまう。
※ 参考テーマ「労働組合」