Source : | Missouri judge: Medicaid expansion unconstitutional (Associated Press) |
6月23日、Missouri州(MO)の州地方裁判所は、Medicaid拡充の賛否を問う昨年の州民投票(「Topics2020年8月6日 MO州:Medicaid拡充可決」参照)は違憲であるとの判決を下した。(MO州の司法制度はここを参照)
原告及びその弁護士は、控訴裁判所への控訴を明言している。
同州のMedicaid拡充は、来る7月1日施行が予定されていたが、現実的には困難な状況に陥っている。Medicaidを拡充していない州は、13州に増えそうである。
- 州知事、州議会はMedicaid拡充に必要な財源を手当てしていない。それに伴って、連邦政府への拡充申請も取り下げた。(「Topics2021年5月15日 MO州:Medicaid拡充申請取り下げ」参照)
- 上記の通り、司法判断を求める争いが継続する。
※ 参考テーマ「無保険者対策/MO州」、「無保険者対策/州レベル全般」
Status of State Medicaid Expansion Decisions: Interactive Map (Kaiser Family Foundation)
Source : | Second PBM reform bill becomes law in Texas (NCPA) |
TX州で、PBMを規制する法案が相次いで可決、法律化された(「Topics2021年6月22日 PBMs規制強化の動き」参照)。どちらも今年9月21日に施行となる。 ※ 参考テーマ「医薬品」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/TX州」
Source : | New Medicaid and CHIP Enrollment Snapshot Shows Almost 10 million Americans Enrolled in Coverage During the COVID-19 Public Health Emergency (HHS) |
昨年2月から今年1月にかけてのMedicaid & CHIP加入者数が公表された。
今年1月時点で、Medicaid & CHIP合計8,054万人が加入していた。昨年2月に較べて、985万人増、伸び率は13.9%であった。
なかでもMedicaidの加入者数が一本調子に増加している。今年1月時点で加入者数は7,376万人、昨年2月に較べて973万人増、伸び率15.2%であった(HHS)。 このようにMedicaid加入者が増加した背景には、2つの要因がある。この状況を元に戻すのは容易ではない。なし崩し的に公的保険の存在感が高まっていきそうだ。
- Families First Coronavirus Response Act (FFCRA)
新型コロナ感染症対策で、連邦政府の州に対する医療関係補助金を一時的に6.2%増加させる。同時に、州政府側はMedicaid加入資格者の加入促進、維持に努める。
- 州政府によるMedicaid拡充措置
Status of State Medicaid Expansion Decisions: Interactive Map (Kaiser Family Foundation)
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | States Can Adopt or Expand Earned Income Tax Credits to Build Equitable, Inclusive Communities and Economies (CBPP) |
『50州が動かすアメリカ政治』を読んでいたら、久々にEITCが紹介されていたので、最新情報を確認してみた(「Topics2016年1月25日 州政府版EITC(3)」参照)。
コロナ禍でこのEITCの政策効果は広範にわたることであろう。
- 州EITCを導入している州が増えていた。
- また、州EITCは連邦EITCに上乗せの形を取る。その連邦EITCも名目額が増額している。
※ 参考テーマ「労働市場」、「解雇事情/失業対策」、「最低賃金」
Source : | 50州が動かすアメリカ政治 (久保文明/21世紀政策研究所) |
この本はとても面白い。アメリカの社会制度、メディア、宗教、外交を、連邦政府と州の関係から考察してみようという試みである。
扱われているテーマを見ると、Medicaidなどの連邦補助金制度、税制、労働組合、同性婚、州司法長官、州際連携など、当websiteにとっては馴染み深いものが多数取り上げられている。
外国人は、アメリカ政治というと、とかく連邦議会とホワイトハウス、連邦政府に注目しがちだが、アメリカ国民にとっては州・自治体が生活に大きな影響を及ぼす存在である。アメリカ社会は、連邦と州の両方が重要な役割を果たしている。
※ 参考テーマ「政治/外交」
Source : | Could employer-subsidized pet insurance be a talent lure? (HR Dive) |
先に、"voluntary benefits"の潮流を紹介した(「Topics2021年6月8日 Voluntary Benefits」参照)。これらのベネフィットは、従業員に紹介するチャネルを企業が用意するだけで、企業にコスト負担はない。その意味では、企業側にとってはお手軽なベネフィット提供である。
その"voluntary benefits"の中には、ペット保険(pet insurance)も含まれており、今後数年間で提供する企業が急増すると見られている。
アメリカの家庭の7割近くがペットを飼っているという。それだけペットを飼っていながら、企業が提供(=紹介)するペット保険プランに加入する従業員の割合は1割にも満たないという。
ペット保険の費用は、それこそピンキリで、ペットの種類によっても大きく異なる。例えば、上記sourceで紹介されている犬を対象にしたペット保険の保険料は、平均月額$40を超える。これは、企業提供医療保険プランの眼科と歯科の保険料を上回る。要するに、ペット保険料は負担感が重い。
ところが、パンデミックにより、状況が大きく変化した。そこで、企業のHR部門は、若い世代の社員に魅力を感じてもらうと同時に、今後の採用に向けてペット保険の一部企業負担化を検討し始めている。
- パンデミックの中で、ペットの受け入れ数が急増した。
- ペットを飼うことにより、精神的な安定が得られることがわかってきた。つまり、ペットは従業員のメンタルヘルスに貢献するのである。
- ミレニアル世代のペット愛は、他の世代をしのぐ。
- 週5日出勤するというライフスタイルが変化し、より家にいる時間が増える、つまりペットと一緒にいる時間が増えると見込まれる。
※ 参考テーマ「ベネフィット」
Source : | Supreme Court’s pro-ACA decision spurs both parties to new strategies (Washington Post) |
3度目の連邦最高裁PPACA合憲判決を受け、共和党、民主党とも、次の戦略に向けて動き出している(「Topics2021年6月20日 PPACA合憲判決3回目」参照)。
共和党は、"repeal and replace"戦略は放棄し、部分改革を訴えていかざるを得ないとの方針は決定的になった(「Topics2019年10月16日 PPACA攻撃の総括」参照)。共和党としては、McCain議員が反対票を投じて法案がつぶれてしまったことを悔やんでいることだろう(「Topics2017年7月28日 上院共和党の試行錯誤」参照)。しかし、共和党内で、具体的にどの項目を改革していくのか、というコンセンサスは全くできていない。
一方、勢いづくのは民主党左派で、先の大統領選で"Medicare for All"をますます声高に叫ぶことになろう(「Topics2019年4月12日 Medicare for "All"/"America"」参照)。
しかし、バイデン大統領は、より現実的な路線を追求するとみられる。当日、バイデン大統領は声明を発表し、最後にこのように締め括っている。『PPACAを基礎に、アメリカ国民が医療を受けられるようにしていこう』と呼びかけているのである。バイデン大統領の任期中は、医療保険は政策論点にならないのかもしれない。"After more than a decade of attacks on the Affordable Care Act through the Congress and the courts, today’s decision - the third major challenge to the law that the U.S. Supreme Court has rejected - it is time move forward and keep building on this landmark law.
That is what we are doing thanks to the American Rescue Plan, which has lowered health care costs and expanded coverage for millions of Americans through the Affordable Care Act. More than 1.2 million Americans signed up for coverage under the law through a special enrollment period I established during this pandemic, which people can still sign up for through August 15th. And I look forward to working with the Congress to build on this law so that the American people will continue to have access to quality and affordable health care."
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Walsh: DOL is revisiting overtime threshold (HR Dive) |
Marty Walsh労働長官は、6月9日に開かれた下院公聴会で、残業対象者の見直しをしていることを明らかにした。2019年の見直し(2020年1月施行)はまったく低すぎると評価し、年収要件を$80,000/Y超へと大幅に引き上げたいとの意向を示している(「Topics2019年9月26日 残業代対象者新ルール施行」参照)。Walsh長官は労働組合経験者だけに、最初から過激な提案を行なっている。
2004年~ オバマ大統領提案
(2015年6月)DOLルール
(2016年5月)新DOLルール提案
(2018年3月)新ルール
(2020年1月1日施行)Walsh長官提案
(2021年6月9日提案)残業代対象者の年収最高額 $23,660 $50,400 $47,476 $35,308 $35,568 $80,000超+物価スライド 新規対象者(増加分) - 約500万人 約420万人
(州別増加人数)約100万人強 約130万人強 (全米フルタイマー所得の
55パーセンタイルに相当)
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | New York Push to Rein In Drug Plans Tests High Court Ruling (Bloomberg) |
昨年12月の連邦最高裁の判決が、じわじわと効力を発揮している(「Topics2020年12月18日 AK州PBMs償還額規制」参照)。州政府が処方薬価格を抑制するためにPharmacy Benefit Managementに対する規制を強化することは、連邦法ERISAの先占の対象にならない、との判断を示したのである。
この判決を受けて、Texas、Tennessee両州では、PBMsに対する規制強化法案が成立した。また、New York州議会が規制強化法案(S 3762)を可決し、州知事に送付した。
同様の規制強化策は、各州で検討されているようで、PBMsは全米で責め立てられている。
※ 参考テーマ「医薬品」、「医療保険プラン」
Source : | Colorado becomes 2nd state to create own public insurance option (Fierce Healthcare) |
6月16日、CO州の州運営保険法案に州知事が署名し、同法案は成立した(「Topics2021年3月24日 CO州:州運営保険に再挑戦」参照)。WA州についで、2番目のpublic option導入州となる(「Topics2019年12月23日 WA州のPublic Option」参照)。なお、WA州同様、実際の保険プランの運営は、民間組織に委任する形である。
同法のポイントは次の通り。※ 参考テーマ「無保険者対策/CO州」
- 保険プランは、Exchange(Connect for Health Colorado)の内外で販売される。
- 2023年から保険プランの販売を開始する。
- 給付内容によって、3段階(bronze, silver and gold)のプランを提供する。
- CO州保険委員会は、州運営保険に相応しい医療機関ネットワークを構築する。
- 2023年の保険料水準は、今年のプラン保険料の94%以下にする(インフレ調整後)。
- 2024年の保険料水準は、今年のプラン保険料の88%以下にする(インフレ調整後)。
- 2026年以降の保険料伸び率は、前年の医療物価上昇率以下に抑制する。
- 上記の保険料要件を満たせない場合には、その理由を当局に通知する。