Source : | EMPLOYEE BENEFITS IN THE UNITED STATES . MARCH 2017 (Bureau of Labor Statistics) |
上記sourceは、2017年3月時点でのアメリカ人労働者のベネフィット(退職後所得、医療、生命保険)に関する実態を報告したものである。労組のない企業より労組のある企業、企業よりもお役所の方が、ベネフィットは手厚いということだ。
- 3つのベネフィットとも、労働組合のある企業の従業員の方が提供される割合が高い。
- 医療保険料の企業負担割合も、労働組合のある企業の方が高い。
- 民間企業よりも連邦・州政府職員の方が、ベネフィットを提供される割合が高い。
※ 参考テーマ「ベネフィット」、「労働組合」
Sources : |
Senate rejects broad Obamacare repeal bill (New York Times) Senate Soundly Rejects Repeal-Only Health Plan (New York Times) |
上院共和党の試行錯誤が続いている。7月25日:医療保険改革法案を巡る議論を再開することに関する採決 ⇒ 可決(51:50)上院共和党は、次に"skinny repeal"法案を準備しているらしい(Washington Post)。この法案は、PPACA全体をターゲットにするのではなく、保険加入義務と医療機器課税だけを廃止するという内容だ。それでも、保険加入義務が外れてしまえば、Exchangeは成り立たなくなる可能性がある。無保険者増大につながりかねない重要なパーツである。無保険者増大に対して懸念を抱いている上院共和党中道派が賛成するかどうかは不透明だ。
7月25日:Repeal and Replace法案(Better Care Reconciliation Act (BCRA)修正案)の採決 ⇒ 否決(43:57)(「Topics2017年7月14日 上院案修正」参照)
7月26日:Repeal and Delay法案(PPACAの主な項目を廃止して、必要となる修正は2年かけて議論する)の採決 ⇒ 否決(45:55)(「Topics2017年7月21日 上院共和党手詰まり」参照)
仮に、上院で"skinny repeal"法案が成立したとしても、下院共和党はまともに取り扱うつもりはない。上記sourceでは、といった下院共和党議員達のコメントが紹介されている。こんな状況では、上下両院で成案を作り上げることができるのかどうか、全く見通せない。そうこうしているうちに、2018年の保険加入募集が始まってしまう。
- 上院"skinny repeal"法案に対しては、まったく否定的だ。
- そんなものは、下院に送られてきた途端に即死だ。
- 両院協議に持っていくためのツールに過ぎない。
- どんな内容でも飲み込んでやる。
と、ここまで書いていて、ニュースが入ってきた(Washington Post)。
7月28日(27日深夜):Skinny Repeal法案の採決 ⇒ 否決(49:51)
共和党議員で反対票を投じたのは、次の3人。 上の2人の議員は、最初の議論再開に関する採決で反対票を投じており、もともと共和党幹部は当てにできない議員であった。しかし、McCain議員は、病気療養中のところを引っ張り出して、議論再開に賛成票を投じてもらった。そのMcCain議員が、Repeal and Delay法案とSkinny Repeal法案で反対票を投じたのである。何とも皮肉な結果である。
McCain議員としては、最初のRepeal and Replace法案ならまだしも、Repeal and Delay法案、Skinny Repeal法案は無責任と考えたのだろう。上院議員としての良識が働いたということだ。
参考までに、CBOの推計では、Skinny Repeal法案が成立した場合、無保険者は1,600万人増加、保険料は2018〜2026年の間に20%上昇するとの推計になっていた。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Trump officials open border to 15,000 more foreign workers (Washington Post) |
あれだけアメリカ人に雇用を、と叫んでいるトランプ政権が、外国からのゲストワーカー(H-2B)の受け入れ枠を15,000人増やすと公表した。
このH-2Bビザは、農業を除く一時雇用のためのビザである。上記sourceによれば、シーフード産業(例えば牡蠣の殻むき)、観光、土木、建設などの業種が多いらしい。政治家たちも、地元の産業から必要だと言われるとどうしても甘い顔をせざるを得ない。
※ 参考テーマ「不法移民/外国人労働者」
7月18日、現在の共和党法案(repeal-and-replace bill)ではオバマケアの廃止につながらないとして、新たに2人の共和党上院議員が法案に反対するとの表明を行った。これで、完全にBCRAの成立の可能性はなくなった。
上院共和党幹部は、すぐには代替措置を講じずにオバマケアを廃止するプラン(repeal-and-delay bill)を提示した。しかし、CBOの推計によれば、無保険者は2026年に3,200万人に達することがわかり、すぐさま共和党上院中道派の3人の議員が反対を表明した。
これで、上院院内総務主導の医療保険改正法案は完全に行き詰った。
一方、下院議長は、上院が議論していること、と突き放し、政治リスクを回避する姿勢を明確にしている。上下両院で協議しようなどとはまったく考えていない。
また、トランプ大統領は、「どうせExchangeは崩壊するから、それから代替措置を講じる法案を提出すればいい」と、他人ごとのようなツィートをした。
さらに、共和党の州知事達は、本音ではオバマケアの修正を望んでいない。Medicaid拡充、Exchangeが有効に動いているからだ。
共和党内部は完全に分断されていて、政権与党の体をなしていない状況にある。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」