Source : | The job market is cooling as higher interest rates and a slowing economy take a toll (NPR) |
4月7日、雇用統計が公表された(BLS)。3月の雇用増は23.6万人となった。3ヵ月連続の減少となったが、依然として、コロナ禍前の2019年の月平均16.4万人を大きく上回っている(「Topics2023年3月12日 労働供給源は枯渇か」参照)。 雇用者数は155.6M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。 失業率は3.5%に低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。 労働市場参加率は62.6%と、わずかな上昇が続いている。依然として、コロナ禍以前には程遠い低水準が続いている。 25~54歳の労働市場参加率も83.1%と、2月と同水準だった(BLS)。 労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、急激な低下が続いている。 長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、18.9%と若干上昇した。 労働供給源は枯渇しつつあるが、企業側の求人意欲が減退し始めたことから、労働市場の逼迫感は若干緩和したものと思われる(「Topics2023年4月5日(1) 求人/転職熱は解消傾向」参照)。。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Report on Justice Thomas' trips renews calls for a Supreme Court code of ethics (NPR) |
連邦最高裁のClarence Thomas判事が、経営者で共和党の有力支持者であるHarlan Crow氏から豪華な休暇旅行に連れて行ってもらっていた、と報じられた。上記sourceによれば、Harlan Crow氏は、保守系シンクタンクのHoover InstitutionやAmerican Enterprise Institute の理事に就いており、政治的な影響力も有しているとみられている。Current Justices of the US Supreme Court (as of June 30, 2022)
Name Born Appt. by First day University John G. Roberts
(Chief Justice)January 27, 1955 George W. Bush September 29, 2005 Harvard Clarence Thomas June 23, 1948 George H. W. Bush October 23, 1991 Yale Samuel Alito April 1, 1950 George W. Bush January 31, 2006 Yale Sonia Sotomayor June 25, 1954 Barack Obama August 8, 2009 Yale Elena Kagan April 28, 1960 Barack Obama August 7, 2010 Harvard Neil McGill Gorsuch August 29, 1967 Donald Trump April 10, 2017 Harvard Brett Kavanaugh February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale Amy Coney Barrett January 28, 1972 Donald Trump October 26, 2020 Notre Dame Law School Katanji Brown Jackson September 14, 1970 Joe Biden June 30, 2022 Harvard
こうした報道に対して、連邦議会民主党議員からは、といった意見が続出している。
- 連邦最高裁判事たるもの、高い倫理観を持つべきだ
- 連邦最高裁にも倫理規定を設けるべきだ
上記sourceによれば、倫理規定を持たない国家機関は、唯一連邦最高裁だけだそうだ。過去には、連邦議会で、倫理規定を設けるべきとの議論が行なわれたが、実現したことはない。連邦議会のシンクタンクであるCRSは、Congressional Control over the Supreme Court (January 11, 2023)で、連邦最高裁の倫理規定設定について、次のように結論付けている。"Legislative proposals to impose a code of conduct on the Supreme Court raise an array of legal questions" and there are outstanding questions over how such a code would be enforced and whether or not the Court, which determines the constitutionality of laws, would accept it.※ 参考テーマ「司法」
Source : | Kansas Republicans vote to bar transgender women from women's bathrooms, prisons and shelters (NPR) |
4月5日、Kansas州(KS)議会上院は、"Women's Bill of Right"と呼ばれる法案(SB 180)を可決した。投票内容は、28vs12だった。KS州議会下院は、既に3月29日に83vs41で可決している。同法案は、トランスジェンダーの女性が、女性用トイレ・更衣室、女性刑務所、DVシェルターの利用を禁じるものである。
KS州議会は、上院(R 29-11)、下院(R 85-40)で両院とも共和党が握っている。KS州知事は民主党であり、拒否権発動が予想される。州知事拒否権を州議会覆せるかどうかが、今後の鍵となる。
ところで、このKS州法案に関するニュースは、いろいろな情報が詰め込まれている。やはり、トランスジェンダーを巡る議論が長引きそうである(「Topics2015年6月28日 次はtransgender」参照)。
- 法案の"Short Title"を見ると、
Establishing the women's bill of rights to provide a meaning of biological sex for purposes of statutory construction.となっている。"Women's Bill of Right"は、トランスジェンダーの権利に反対する団体が提供する法案モデルを下敷きにしている。オクラホマ州でも、同様の法案が州議会で審議中である(SB 408、HB 1449)。
- 州施設等で示す男女の定義を次のように定めている。
“women” as people whose reproductive systems are developed to produce ova, and “men” as people whose reproductive systems are developed to fertilize ova.何とも機械的な表現だが、この定義は医学的な見地を欠いているとの批判が上がっている。最近読んだ『オスとは何で、メスとは何か?(NHK出版新書) 』が、この批判を理解するのに役立つ。「性スペクトラム」という考え方を紹介している。
- DVシェルターの運営に、連邦政府の資金が拠出されている。こうした施設で、上述の法案が適用されると、連邦レベルの差別禁止規定に抵触し、連邦政府から資金が得られなくなる怖れがある。
※ 参考テーマ「LGBTQ」
Source : | Undocumented California farmworkers would get path to state residency under new proposal (Sacramento Bee) |
4月3日、CA州議会上院に、"Agricultural Worker Permanent Residency Program"(SB 831)が提出された。この法案の内容は次の通り。全米農業従事者の1/3から1/2は、CA州に住んでいる。そのCA州農業従事者のうち、約75%は不法移民と推計されている。彼らの法的地位を保全することで、CA州さらにはアメリカ全土の農産物供給を安定させようとの意図である。アメリカ農業の外国人依存体質は、どんどん高まっており、そのための法制度が求められている(「Topics2020年11月15日 農業ゲストワーカーの賃金」参照)。
- CA州知事に、連邦政府と協力してパイロット・プログラムを創設する権限を付与する。
- パイロット・プログラムでは、CA州に5年以上住む不法移民の農業従事者に、段階的に法的地位を与える。
不法移民への法的地位の賦与の議論は、長年行われてきているが、実現したことはない。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS) |
4月4日、BLSが、2月末の求人数を発表した。2月末の求人数は993.1万人で、前月比63.2万人の減少となった(「Topics2023年3月9日 求人は依然強い」参照)。さすがに減少傾向が明確になってきたようだ。 労働力人口に占める求人数の割合は6.0%と、こちらも低下した。 新規雇用数は616.3万人となり、減少となった。 失業者数/求人数は、0.6に上昇した。 2月の自発的失業(Quits)は402.4万人と、増加に転じた。Quits level, Total nonfarm - 2019~2023年こうした中、2月の時間給をみると、転職した人の上昇率は、明らかに低下傾向に入ったものとみられる。
Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
労働市場の過熱状況は解消されつつあるようだ。
Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | CMS 2024 Medicare Advantage rate notice tweaks risk adjustment program (Modern Healthcare) |
3月31日、CMSは、Medicare Advantageプランの2024年診療報酬を公表した(CMS Press Release)。プラン平均で診療報酬は3.32%、総額約$13.8Bの増加となる(Fact Sheet)。
今回の診療報酬改定では、いくつかの改革が含まれている。※ 参考テーマ「Medicare」
- 診療報酬の適正化。これまで不適切な診療報酬支払いがあったため、これらの返還を求め、Medicare基金に繰り入れる(「Topics2022年10月25日(2) Medicare Advantageの課題」参照)。
- 最新のリスク調整モデルを導入する。
- コロナ禍緊急事態の収束に伴い、医療機関へのボーナス支払い基準を厳格化する。
Source : | Bill would up overtime threshold to $45K ? and eventually $75K (HR Dive) |
3月29日、連邦議会上院に、残業代確保法案(Restoring Overtime Pay Act)が提出された。バイデン政権は、2021年6月に残業代対象所得の上限を大幅に引き上げる提案を行なっていたが、その後、何も進展がなかった(「Topics2021年6月23日 残業対象者の見直し」参照)。
この法案は、残業代の対象となる労働者の年収上限を、次のように引き上げていく提案をしている。随分と急激な引き上げだが、当初の勢いを実現しようと思えば、これくらい上げていかないと間に合わない。
残業対象年収上限額 2023年(現行) $35,568 2023年(改正後) $45,000 2024年 $55,000 2025年 $65,000 2026年 $75,000 2027年 給与所得者の55%をカバーするように労働省が決定
連邦議会下院でも、同日、同様の法案が提出された。最終的に給与所得者の55%を対象とする所は共通している。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Employers say they plan to increase family benefits in the next few years (HR Dive) |
上記sourceは、企業人事幹部の多くが、"Family benefits"に関心を寄せていることを紹介している。ポイントは次の通り(State of Fertility & Family Benefits in 2023)。ちなみに、上記調査では、企業が考える重要な"Family Benefits"ベスト5は、次のようになっている。
- 2、3年以内にfamily health benefitsを厚く私用と考えている ⇒ 63%
- Family benefitsが極めて重要と考えている ⇒ 87%
- 数年以内に出産、結婚を考えている従業員 ⇒ 43%
- 適切なfamily benefitsが得られない場合は転職することを考える ⇒ 1/3以上
上記sourceによると、Walmart、Targetといった企業が既に動き始めている。また、こうした多様なベネフィットを用意することで、"DE&I"の達成、LGBTQ社員のニーズへの対応に近づくことができると評価している。
- Maternity and postpartum care
- Parenting and pediatric support
- Fertility and family-building support
- Reproductive healthcare, including menopause
- Global parity for family health benefits
※ 参考テーマ「ベネフィット」
Source : | Social Security is now expected to run short of cash by 2033 (NPR) |
3月31日、SSAは、Trustee Reportを公表した(The 2023 Annual Report of the Board of Trustees of the Federal Old-Age and Survivors Insurance and Federal Disability Insurance Trust Funds)。Social Security(OASI)の基金枯渇は一年早まって、2033年となった(「Topics2022年6月3日(1) 年金/Medicare延命」参照)。経済成長見通しが鈍化したことに加え、課税対象所得の減少が影響した。もしも対策が採られなければ、6,600万人の受給者への給付額が23~25%カットされることになる。
一方、Medicare(HI)の基金枯渇は三年遅くなって、2031年となった。こちらは、外来治療の診療報酬を引き下げたことと、コロナ過で死亡した高齢者が多かったことが影響している。もしも対策が採られなければ、診療報酬が約11%カットされることになる。
バイデン政権は、Medicareの延命策は提案している(「Topics2023年3月8日 Medicare保険料率引上げ提案」参照)。Social Securityの延命策については、連邦議会下院に法案が提出されている(「Topics2023年2月1日(2) 公的年金改革法案提出」参照)。
いずれにしても、どちらの制度も10年以内に基金が枯渇する見通しだ。残された時間は短い。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」
Source : | Americans are returning to cities after remote-work exodus, data shows (Washington Post) |
3月30日、Census Bureauは、Vintage 2022 estimateを公表した(Press Release)。ポイントは次の通り。リモートワークの見直しが都市部への人口回帰につながっているものとみられる(「Topics2023年2月20日 Disney週4日出勤要請」参照)。
- 2022年になって、都市部への人口回帰が起きている。
- 大きな大学が立地する地域への人口が増えている。
- 外国からの移民の増え方も大きくなっている。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「人事政策/労働法制」、「Flexible Work」
Source : | KFF Health Tracking Poll March 2023: Public Doesn't Want Politicians To Upend Popular Programs (KFF) |
公的な社会保障プログラムに関する意識調査が公表された。結構面白い結果である。共和党支持者の間では、Medicaidに対する認識、知識が間違って広がっているのかもしれない。
- いずれの社会保障プログラムについても、支持する割合が高い。PPACAが社会保障プログラムとして位置付けられていることには、新鮮味を覚える。
- 公的年金、Medicare、Medicaidは、民主、共和両支持者の間で支持されている。PPACAは、民主と共和の支持者の間で、支持が大きく分かれる。まだまだ、共和党支持者の間では認めたくない、という意識が高い。
- Medicareの持続可能性について、党派、年齢を超えて懸念が広がっている(「Topics2022年6月3日(1) 年金/Medicare延命」参照)。
- Medicareの持続可能性を確保するための制度改革について、65歳以上の間で、若干消極的な意見が強い(「Topics2023年3月8日 Medicare保険料率引上げ提案」参照)。給付を削られたくないという意識なのだろう。
- Medicaidが低所得層のために役立っているとの認識は広く持たれている(「Topics2023年3月30日 MS州:Medicaidが知事選争点」参照)。
- 共和党支持者の間では、Medicaidは福祉政策だ、との認識が過半を占める。
- ただし、Medicaidに関与したことのある共和党支持者の間では、Medicaidは社会保険との認識が圧倒的だ。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」