2月8日(1) 貴重な通勤時間
Source :Study: Commuting has an upside and remote workers may be missing out (NPR)
アメリカ人は、通勤時間に片道平均26分を費やしている。多くの人々は、この通勤時間を無駄な時間だと感じていた。ところが、コロナ禍で在宅勤務が始まると、この通勤時間がなくなって寂しい思いをするようになった。

上記sourceは、通勤時間は、仕事と家庭の間にある時間("liminal space")で、仕事から回復し、家庭に意識を転換するための機会を提供している、としている。つまり、仕事と生活の切り替えを準備する時間だということだ。

これは、本当に共感できる。通勤時間にニュースを読む、本を読む、ゲームをする、公園を歩く、クラシックを聴く...。これらは、仕事場ではできないし、家庭ではその他に優先する事項がたくさんある。通勤時間は本当に自分のためだけの時間として貴重なのである。

※ 参考テーマ「Flexible Work」、「人口/結婚/家庭/生活

2月8日(2) グリーンカード手数料大幅引上げ
Source :Immigration fees may go up and green card applicants could be hard hit (NPR)
1月3日、USCISは、市民権獲得やグリーンカード取得等に係る申請手数料を引き上げる案を公表した。

例えば、4人家族がグリーンカード取得を申請する際に負担する手数料は、現在$3,950だが、改訂案では$7,460に引き上げられる。約90%の増額だ。

USCISは手数料引き上げの理由は、通常業務を継続するための費用を捻出するため、としている。

このような大幅引き上げが行なわれると、貧困層の家庭の申請は、金銭上の問題で不可能になってくる。もちろん、貧困層への割り引きはあるものの、負担は相当大きなものとなる。

本提案は、3月6日までのパブリックコメント募集期間を経て、施行される。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

2月7日 コロナ禍と社内恋愛
Source :Love Is in the Air: Workplace Romance in 2023 (HR Daily Advisor)
ヴァレンタインデー前の社内恋愛関連記事は、コロナ禍以前は定番だった。しかし、コロナ禍の最中、こうした記事はあまり見られなかった。オフィスに出勤することがなくなったからだ。

それでも、ある研究調査によると、恋愛対象を職場で見つけたというカップルは、11%とされている(SHEmazing!)。1990年には約20%だったそうだから、約半減したということである。

ちなみに、友達からの紹介と言うのが20%(異性カップル)で、1990年の34%からは減少している。代わりに増えているのがデートアプリで、2009年には22%だったのが、現在は39%にまで上昇している。

上記sourceは、コロナ禍による社内恋愛事情が変化したこととして、次の2点を挙げている。
  1. オフィスに出勤せず、オンライン業務が増えたことから、オフィスでの社内恋愛が少なくなった。

  2. オンライン通信手段(メール、チャットなど)が完備したことから、社内恋愛が誕生しても周囲に知れることが少なくなった。
コロナ禍は人の出会いも変えてしまったようだ。

※ 参考テーマ「社内恋愛

2月5日 労働市場過熱状態継続
Source :U.S. employers added 517,000 jobs last month. It's a surprisingly strong number (NPR)
2月3日、雇用統計が公表された(BLS)。1月の雇用増は51.7万人となった。11月、12月についても、合計7.1万人の上方修正となった(「Topics2023年1月7日 労働市場は依然過熱状態(2)」参照)。過去3ヵ月の平均が35.6万人と、コロナ禍前の2019年の月平均16.4万人を大きく上回っている。
雇用者数は155.1M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。
各種サービス産業の採用意欲が依然として強いことがわかる。例えば、医療サービス分野では、2020~2020年の間に45万人以上を新規雇用している(Modern Healthcare)。2022年の一年間、月平均4.7万人を採用し続けてきて、今年1月も5.8万人を新規雇用した。
"Health care added 58,000 jobs in January. Job growth occurred in ambulatory health care services (+30,000), nursing and residential care facilities (+17,000), and hospitals (+11,000). In 2022, health care added an average of 47,000 jobs per month. "(BLS)
失業率は3.4%に低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。1969年5月以来、なんと54年ぶりの低水準を記録した。
労働市場参加率は62.4%と、わずかな上昇が続いている。とてもコロナ禍以前には程遠い低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率も82.4%と、わずかな上昇となった(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は僅かに上昇した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、19.4%と僅かに上昇した。
労働市場の過熱状態は続いている。

※ 参考テーマ「労働市場

2月3日(1) 大学入学者数微減
Source :The college enrollment drop is finally letting up. That's the good news (NPR)
2月2日、National Student Clearinghouseは、昨年秋の大学入学者数について、最終集計結果を公表した(「Topics2022年10月21日(1) 大学入学減少幅縮小か」参照)。結果は、中間集計と同様、僅かな減少となった。

具体的には、2021年と比較して、入学者数は9.4万人の減少、伸び率はマイナス0.6%となった。
上図Figure 2を見てもわかるように、コロナ禍でCommunity Collegesの入学者数が大きく減少したことがわかる。ただし、1年生(freshman)の入学数は、前年比6.1%増と、若干の明るさが戻りつつあるようだ。
※ 参考テーマ「教 育

2月3日(2) MD週4日法案
Source :Maryland bill would incentivize 4-day workweeks (HR Dive)
1月18日、MD州議会下院に、週4日制を試行するための法案が提出された。
  1. 法案名は、“Four-Day Workweek Act of 2023,” (HB 181)

  2. 従業員の少なくとも30人以上を、週5日制から週4日制に移行させ、給与・ベネフィットを減額しなかった場合、年間最大75万ドルの税額控除を適用する。ただし、この税額控除の利用は2回限り。

  3. MD州労働省が制度管理運用する。

  4. 税額控除を利用した企業については、州労働省が従業員調査およびインタビューを実施する。

  5. 施行予定日は、今年7月1日。

  6. 2027年末に制度を廃止する。
1月20日、上院でも同様の法案(SB 197)が提出された。

あくまでも試行のための法案だが、税額控除が用意されるなど、かなり現実味を帯びている。

昨年、CA州議会で週4日制法案が提出されたが、委員会審議で止まってしまった(「Topics2022年4月10日 CA州:週4日勤務法案」参照)。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

2月3日(3) 各州FMLP制度概要
Source :2023 State Paid Family and Medical Leave Contributions and Benefits (Mercer)
上記sourceは、各州のFMLPの制度概要を紹介している。概要といっても結構詳細で、今後も役立ちそうだ。

ポイントだけまとめておく。 ※ 参考テーマ「FMLA

2月3日(4) DB一時金払いの好機
Source :Lump Sum Window Opens…Will Participants Jump Through? (Principal Financial Services, Inc.)
上記sourceは、DBプランを運営している企業にとって、2023年は一時金として加入者に対して支払ってしまう絶好の機会だと紹介している。
  1. 一時金計算に利用される債券利回りは、2021年末で2.94%、2022年10月で5.78%と、3%近く上昇した。
  2. この利回り上昇により、年金債務の一時金払いは、25~50%減額することが可能となる。

  3. 2023年に入り、利回りは0.75%ポイントほど低下している。これにより、時価による年金債務は8~15%増額となる。

  4. 一方、一時金払いのために利用される債券利回りは、通常、一年間(2023年通年)固定される。

  5. その際、特定する利回りは、前年(2022年)の8月から12月の間に実現した利回りを採用する。2023年の場合、企業側にとって最も有利なのは、10月の利回り(5.78%)となる。

  6. 全体の年金債務はだいぶ圧縮できることで、PBGC保険料は節約できるし、一時金払い金額も圧縮できるということで、企業側にとっては絶好の機会ということになる。
課題は、一時金払いを受けたいと思う従業員がどれだけいるか、ということである。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン

2月2日(1) 労働市場過熱は天井か
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
2月1日、BLSが、12月末の求人数を発表した。12月末の求人数は1,101.2万人で、前月比57.2万人の増加となった(「Topics2023年1月6日(2) 労働市場は依然過熱状態」参照)。

労働力人口に占める求人数の割合は6.7%と、若干高まった。
新規雇用数は616.5万人となり、増加に転じた。
失業者数/求人数は、0.5と再び低下した。
12月の自発的失業(Quits)は408.7万人と、微減となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2022年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2022年
こうした中、11月の時間給は、転職した人、職に留まった人ともに、上昇率は低下傾向にある。
労働市場の過熱状態は続いているものの、天井は見えてきたような気がする。

※ 参考テーマ「労働市場

2月2日(2) FRB依然として警戒
Source :The Fed raises interest rates by only a quarter-point after inflation drops (NPR)
2月1日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、4.5~4.75%とした(FOMC Statement)。
引き上げ幅は縮小したものの、FRBは依然として警戒を緩めていない。 特にFRBが懸念しているのが、労働集約的なサービス産業での価格の上昇である。労働市場が過熱状態を続けている中、求人水準が高いままであれば、賃金引き上げ⇒サービス価格上昇という連鎖が続き、インフレ率2%を達成するためには、大きな障害となり得るからである(「Topics2022年12月16日 FRB引締め姿勢堅持」参照)。

ちなみに、2022年12月時点で、全体の求人率(6.7%)を大きく上回る産業は、 となっている。
※ 参考テーマ「労働市場

2月1日(1) ECI足許伸び率鈍化
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
1月31日、12月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは5.1%と、相変わらず大きな伸びが続いている(「Topics2022年10月31日 ECI続伸(2)」参照)。
  2. ただし、民間セクターの賃金の伸び率はピークを迎えた様相だ。
  3. 足許の3ヵ月前との比較では、民間、公的ともに、1.0%の伸びにとどまっている。
  4. 民間部門の産業別を見ると、ほぼ5%伸び率前後に集中している。労働市場の裁定が効いているものと思われる。
金融引き締め圧力は多少弱まるかもしれない(「Topics2022年12月16日 FRB引締め姿勢堅持」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

2月1日(2) 公的年金改革法案提出
Source :Social Security Administration’s (SSA) letter on the financial effects of Rep. Gwen Moore’s legislation (SSA)
1月31日、公的年金改革法案(Social Security Enhancement and Protection Act of 2023)が、連邦議会下院に提出された。提出者は、Gwen Moore下院議員(D-WI)である(Press Release)。

上記sourceは、同法案の経済効果をSSA自身が推計したものである(Office of the Chief Actuary's Estimates of Proposals to Change the Social Security Program or the SSI Program)。

同法案の主なポイントは次の通り。
  1. 最低保証給付額(special minimum primary insurance amount (PIA))を引き上げる。30年以上の加入期間を有する受給者については、HHSの貧困ライン(poverty level)の100%を保証する(「Topics2023年1月26日(2) FPL引き上げ」参照)。

  2. 課税対象所得の上限を、10年かけて撤廃する(「Topics2022年10月14日(2) 年金COLA8.7%」参照)。具体的には、
    現在の上限額を上回る所得×1.24%×(当該年-2023年)
    で、2024年から開始し、2033年に全所得が課税対象となる。現行の保険料率が12.4%であることから、導かれている。

  3. 保険料率を、6年かけて、13.0%に引き上げる。具体的には、
    12.4%+0.1%×(当該年-2023年)
    で、2024年から引き上げを開始し、2029年に13.0%となる。
おそらく、2.と3.は組み合わせで実施されるものと思われる。

これらが実現すると、公的年金財政は大きく改善する。現行法では2035年に基金が枯渇するとされているのが、2059年まで枯渇を先延ばしできる(「Topics2022年9月29日(2) 年金基金枯渇のインパクト」参照)。
大統領選に向けて準備が進む中で、連邦議会でどれだけ真剣に議論されるかが課題である。

※ 参考テーマ「公的年金改革