4月10日 CA州:週4日勤務法案
Source :California proposal would create four-day work week (Sacramento Bee)
California州議会で、週4日勤務法案(AB 2932)が審議されている。法案のポイントは次の通り。
  1. CA州の基準労働時間を週32時間に改める。

  2. 超過時間については、基準時間内賃金の1.5倍の手当てを支払う。

  3. 週40時間の場合の給与を減額してはならない。つまり、時間当たり給与は25%増(40/32)とする。

  4. 対象となる企業は、従業員500人超の企業
法案を提案した議員達は、
  1. コロナ禍によりワークライフバランスをより求める声が高まったことに対応する

  2. 雇用を増やすことができる
といった理由を挙げている。

週4日制は、企業の自主的な試みとして既に実践されている(「Topics2019年11月14日 MS Japan:週休3日」「Topics2019年11月20日 週4日制の向き不向き」「Topics2022年2月28日(2) 週休3日制の課題」参照)。また、非営利団体4 Day Week Globalの呼びかけに応じて、米加の38企業(従業員は2,000人以上)が週4日制のパイロット・プログラムに参加している。

しかし、企業側は強く反発している。California Chamber of Commerceは、『膨大なコストをカリフォルニア企業に負わせ、雇用を減少させる』とのレターを発出し、AB 2032を"Job Killer List"に追加した。

労働コンサルタントは、次のように所見を紹介している。 週4日制を法制化するには、まだまだ課題が多く残されている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work

4月9日(1) 控訴裁:連邦職員接種義務化容認
Source :Appeals court OKs Biden federal employee vaccine mandate (NPR)
4月7日、第5控訴裁判所小法廷は、今年2月の同裁判所小法廷の判決を覆し、大統領令によって連邦政府職員にコロナ感染症対策ワクチンの接種を義務付けたことを有効と判じた(「Topics2022年2月11日(2) 控訴裁:連邦職員接種義務却下」参照)。

2月の判決では、義務化を認めない理由を述べていない一方、反対意見では『地方裁判事は公衆衛生の専門知識はなく、判断に関する責任を持てない』と述べていた。

今回の小法廷判決は、この反対意見と同様、連邦地方裁判事に管轄権はなく、大統領令の是正は行政手続きによって行なわれるべきとの立場から、Texas州の連邦地方裁の判決を却下した。

本件の主張の対立点は、次の通り。
対象機関 従業員100人以上の民間企業 連邦政府契約企業 連邦政府職員 Medicare/Medicaid医療機関等
従業員のワクチン接種期限 執行差止最高裁判決 執行差止判決 執行容認判決 *25州+D.C.:2/28
**24州:3/15
対象者数 8,400万人 700万人 350万人 1,700万人
規則所管機関 OSHA The White House The White House CMS

*25州+D.C.:California, Colorado, Connecticut, Delaware, Florida, Hawaii, Illinois, Maine, Maryland, Massachusetts, Michigan, Minnesota, Nevada, New Jersey, New Mexico, New York, North Carolina, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, Tennessee, Vermont, Virginia, Washington, Wisconsin and Washington, D.C

**24州:Alabama, Alaska, Arizona, Arkansas, Georgia, Idaho, Indiana, Iowa, Kansas, Kentucky, Louisiana, Mississippi, Missouri, Montana, Nebraska, New Hampshire, North Dakota, Ohio, Oklahoma, South Carolina, South Dakota, Utah, West Virginia and Wyoming.(Texas州のみ未定)
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月9日(2) Starbucks労組6店舗増
Source :Starbucks workers vote to unionize 6 more stores, pushing total to 16 (Washington Post)
4月7~8日にかけて、労組結成の可否を問う投票が行われ、StarbucksのNY州6店舗で労組結成が認められた(「Topics2022年3月15日(2) Starbucks労組3店舗増」参照)。Starbucks店舗における労組結成は、すっかり波に乗っている。

※ 参考テーマ「労働組合

4月9日(3) NLRB:反組合説明会参加義務見直し
Source :N.L.R.B. counsel calls for a ban on mandatory anti-union meetings. (New York Times)
こうした労組結成の動きを後押しするように、NLRB事務局長が動き出した。Jennifer A. Abruzzo事務局長は、4月7日、『企業が開催する反労組説明会に従業員参加を義務付ける行為を違法とする』方向で検討を進めることを、NLRB職員に対して伝えた(Memo

バイデン大統領は、労組結成を支援することを表明しているし、NLRB委員構成も民主党が多数となるなど、環境は整っている(「Topics2021年5月30日 労組支援TFの影響範囲」「Topics2021年9月1日(2) NLRB委員変更確定」参照)。

NLRBは、これまで『企業が開催する反労組説明会に従業員参加を義務付ける行為は適法』との立場を取ってきたため、これを真逆にするのだから、それなりにハードルは高い。適法から違法に変更されたとしても、実際の職場で従業員達が何の気兼ねなく、心配なく参加を拒否できるかどうか、その保証が充分なものになるか、様々な配慮が必要になろう。

※ 参考テーマ「労働組合

4月9日(4) 最高裁判事の宗教
Source :The Religion of the Supreme Court Justices (GALLUP)
連邦最高裁判事の宗教がまとめられている。まず、各人の宗教は次の通り。

Current Justices of the US Supreme Court (as of October 3, 2022)

Name Born Appt. by First day University Religion
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard Catholic
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale Catholic
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale Catholic
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale Catholic
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard Jewish
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard Protestant
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale Catholic
Amy Coney Barrett 01972-01-28 January 28, 1972 Donald Trump 02020-10-26 October 26, 2020 Notre Dame Law School Catholic
Katanji Brown Jackson 01970-09-14 September 14, 1970 Joe Biden (October 3, 2022) Harvard Protestant
次に、構成比を連邦議会、国民のそれと比較している。
  連邦最高裁連邦議会国民
Protestant22%55%45%
Catholic67%33%22%
Jewish11%6%2%
None0%6%21%
連邦最高裁判事の宗派別構成は、国民のそれとは大きく異なっている。

※ 参考テーマ「司 法

4月8日 黒人女性連邦最高裁判事
Sources : The Senate confirms Ketanji Brown Jackson to the Supreme Court (NPR)
2 more Republicans say they'll vote to confirm Jackson's Supreme Court nomination (NPR)
Ahead of Supreme Court confirmation hearing, Ketanji Brown Jackson’s stances on key issues (Washington Post)
4月7日、連邦議会上院で投票が行われ、連邦最高裁Breyer判事の後任判事として、Ketanji Brown Jackson判事が承認されたPN1783)(「Topics2022年2月27日 K.B.Jackson判事を指名」参照)。史上初めての黒人女性連邦最高裁判事が誕生した。

投票結果(Roll Call 134)は53v47で、共和党から3票の賛成票が投じられた。賛成票を投じた3人の共和党議員は、次の通り。
  • Susan Collins
  • Lisa Murkowski
  • Mitt Romney
Jackson判事は、大学卒業後、1999~2000年に、Breyer判事のもとで事務官として勤めていた。Breyer判事も心置きなく引退できるだろう。連邦最高裁判事就任は10月3日とみられており、その時点での判事構成は次のようになる。

Current Justices of the US Supreme Court (as of October 3, 2022)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
Amy Coney Barrett 01972-01-28 January 28, 1972 Donald Trump 02020-10-26 October 26, 2020 Notre Dame Law School
Katanji Brown Jackson 01970-09-14 September 14, 1970 Joe Biden (October 3, 2022) Harvard
※ 参考テーマ「司 法

4月7日(1) EEOC委員指名
Source :Biden Nomination Moves EEOC A Step Closer to Democratic Majority (HR Daily Advisor)
いよいよ、EEOCの多数派が交替する時期となった。Janet Dhillon氏の任期が今年の7月1日で終了するからだ。
【2022年4月7日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Chair
2021.1.20~
Charlotte A. BurrowsDPresident Obama①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
Vice Chair
2021.1.20~
Jocelyn SamuelsDPresident Trump①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1(PN271)
MemberJanet DhillonRPresident Trump2019.5.15~2022.7.1
MemberKeith E. SonderlingRPresident Trump2020.9.22~2024.7.1
MemberAndrea R. LucasRPresident Trump2020.9.22~2025.7.1
General Counsel
4月1日、バイデン大統領は、EEOC委員候補として、Kalpana Kotagal氏を指名する意向を表明した(The White House)。その後、4月5日に連邦議会上院に指名書類が送付された(PN1938)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月7日(2) 学生ローン返済停止再延長
Source :The student loan pause has been extended until the end of the summer (NPR)
4月6日、教育省は、学生ローンに関する措置を公表した。ポイントは次の2点。
  1. 連邦学生ローン返済、利払い停止措置は2022年5月1日で終了する予定であったが、これを8月31日まで延長する(「Topics2021年12月23日(2) 学生ローン返済停止措置再延長」参照)。民主党議員達の期待よりも延長期間が短かったようだ。延長措置はこれで7回目だそうだ。

  2. 返済が不可能になった債務者について、延長措置の終了時点で不履行となった債務を免除する。
返済不能となっている債務者は700万人もいるそうで、債務免除が実現すればこれらの人々は喜ぶことだろう。ただし、教育省のプレスリリースでは、次のように書いてあるだけで、免除措置の具体的な内容は明らかになっていない。
"The Department will continue to assess the financial impacts of the pandemic on student loan borrowers and to prepare to transition borrowers smoothly back into repayment. This includes allowing all borrowers with paused loans to receive a 'fresh start' on repayment by eliminating the impact of delinquency and default and allowing them to reenter repayment in good standing."
さらに、債務免除をしてもらったはいいけれど、再度大学に入学する際に連邦ローンを利用できるのかどうかもわからない。また、公的年金の差し押さえについてはどうなるかもわからない(「Topics2021年1月1日 親たちの教育ローン」参照)。まだまだぬか喜びはできないようだ。

※ 参考テーマ「教 育

4月6日 州の薬価抑制策類型
Source :2022 State Legislative Action to Lower Pharmaceutical Costs (NASHP)
処方薬価格の抑制策は、トランプ政権時代もバイデン政権になってからも、連邦政府の関心事項である(「Topics2020年7月27日 医薬品価格抑制大統領令」「Topics2022年3月3日 バイデン初の一般教書演説」参照)。しかし、具体的な手法は一向に定まらない。

他方、州政府では州法改正により、処方薬価格の抑制策を繰り出している(「Topics2021年10月27日 州の薬価抑制策(MD, CO, NY, MA)」参照)。

上記sourceは、2022年3月末時点で、各州が検討している、または州法として成立させた抑制策を類型化したものである。Pharmacy Benefit Management(PBM)の規制強化が法案ベースで118本と、最も利用されていることがわかる(「Topics2021年8月31日(2) 州でPBMs規制強化進む」参照)。

※ 参考テーマ「医薬品

4月4日(1) NM州:公立大学授業料免除
Source :What if College Were Free? This State Is Trying to Find Out. (New York Times)
以前、大学等への入学者数が減っていることを紹介した(「Topics2022年1月14日(2) 大学入学者数減少続く」参照)。これに危機感を覚えたNew Mexico州(NM)は、超党派で州民の公立大学授業料負担を免除する法律を可決した。7月に発効する。

新制度のポイントは次の通り。
  1. 州政府予算の約1%を財源とする。

  2. 授業料免除となる公立大学とは、public colleges and universities, community colleges, tribal colleges(NM州のtribal collegesは3校)。

  3. 免除対象者は、NM州の高校を卒業したか、12ヵ月以上連続でNM州に住んでいる人。合法的移民かどうかは問わない。また、受刑者も排除されない。

  4. 家計の所得制限は設けない。

  5. GPA(Grade Point Average)が2.5未満、または必要な出席日数に満たないと、免除資格は剥奪される。
NM州は、州知事、州議会上下両院とも民主党が握っているが、今回の州法改正については、共和党からも賛成票が投じられた。NM州知事は、2019年から所得制限なしに州立大学授業料免除を計画していた(「Topics2019年9月20日 州立大学授業料免除:NM vs NY」参照)。

NM州は、TX州同様、石油採掘権益からの収入が大きく、教育財源に振り向けやすい。とはいえ、TX州の授業料免除は、所得制限を設けている(「Topics2019年7月12日 TX州:大学授業料全額免除」参照)。他の州でも授業料免除を実施しているが、それぞれ制約を設けている。 おそらく、全米で最も気前のいい授業料免除制度である。

※ 参考テーマ「教 育

4月4日(2) Amazon初の労組結成
Source :In a stunning victory, Amazon workers on Staten Island vote for a union (NPR)
Amazon初の労働組合結成が決まった(「Topics2022年2月18日(2) NY州Amazon労組投票決定」参照)。NY州Staten IslandのAmazon社集配施設における労組結成の是非を問う従業員投票で、賛成2,654票、反対2,131票となった。この労組結成は、独立の団体で現職元職従業員で結成されたAmazon Labor Unionが主導したものである。

一方、Alabama州Bessemerの集配施設で行なわれている投票では、反対993票、賛成875票となっているが、400票以上が確認作業の対象となっているため、決着がついていない。

※ 参考テーマ「労働組合

4月4日(3) 州司法が選挙区割りの防波堤
Source :As Both Parties Gerrymander Furiously, State Courts Block the Way (New York Times)
州裁判所が、ゲリマンダリングの防波堤となっている。最近、議会の選挙区割り案を却下したのは、次の3州。
  • Maryland
  • North Carolina
  • New York
これは、2019年の連邦最高裁判決に基づき、州裁判所が選挙区割りが適正かどうかを判断しているためである(「Topics2019年6月29日 最高裁:ゲリマンダリング判断不能」参照)。

ところが、NC州の案件は、連邦最高裁に持ち込まれ、結局は、改めて連邦最高裁から審議を拒否された(「Topics2022年3月14日 NC/PA州選挙区割りに判決」参照)。選挙区割りを巡る政治と司法の関係は、しばらく混乱するかもしれない。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「司 法

4月3日 働き盛りは就労回復
Source :Employers continue hiring spree even as war in Ukraine ratchets up economic fears (NPR)
4月1日、雇用統計が公表された(BLS)。3月の雇用増は43.1万人となった。今年1月と2月を合わせて9.5万人の上方修正も行なわれた。雇用の堅調な増加が続いている(「Topics2022年3月6日 労働市場タイト化」参照)。 3月も幅広い業種で雇用増が見られた。
失業率はさらに0.2%低下して3.6%となった。
パンデミック発生以前とほぼ同水準の雇用数にまで回復した。
長期失業者(27週以上)の割合は大きく低下して23.9%となった。
労働市場参加率もわずかに上昇して62.4%となった。
ただし、25~54歳の労働市場参加率は、82.5%と大きく改善している。コロナ感染症拡大直前の83.1%(2021年1月)まであと0.6%ポイントまで回復している。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は再び増加した。
働き盛りの世代は、着実に労働市場に戻ってきている。

※ 参考テーマ「労働市場

4月1日 SECURE 2.0下院可決
Source :House passes SECURE 2.0 bill (Pensions & Investments)
3月29日、連邦議会下院は、The Securing a Strong Retirement Act of 2021(H.R.2954)を超党派の圧倒的多数(414 v 5)で可決した(Roll Call 86)。この法案は、2019年に成立、施行されたSECURE Actを基礎に、DCプランをさらに改善するものであり、"SECURE 2.0"と呼ばれている(「Topics2019年12月19日(2) Cadillac Tax廃止/SECURE法案成立へ」参照)。

主な改正案は次の通り。
  1. 401(k)、403(b)プランにおいて、従業員に加入資格が生じると同時に自動的に加入させることを義務付ける。

  2. 自動加入の場合、従業員拠出率は3%とする。その後、従業員がオプトアウトしない限り、拠出率は毎年1%ずつ引き上げる。上限は10%。

  3. 複数事業主による403(b)プランの運営を認める。

  4. 給付開始年齢の上限を、現在の72歳から、10年かけて75歳に引き上げる。

  5. 401(k)、403(b)プランにおいて、適格学生ローンの返済に充てるための事業主マッチング拠出を認める。
連邦議会上院では、この法案を審議するのか、上院議員によって提出されている同様の法案を審議するのかは、まだ決まっていない。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制」、「DB/DCプラン」、「教 育