3月10日 労働需給逼迫続く
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
3月9日、BLSが、1月末の求人数を発表した。1月末の求人数は1,126万人。12月が上方修正(1,145万人)されたため、高水準のままの微減となった(「Topics2022年2月2日(1) 労働需給は一段と逼迫」参照)。

BLS
また、新規雇用数は646万人となった。こちらも12月が上方修正(645万人)されたため微増となったが、大きな増勢は見られない。

BLS
失業者数/求人数は、3ヵ月連続の0.6となった。

BLS
12月の自発的失業(Quits)は440万人と上方修正され、1月は425万人(P)の微減となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2021年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2021年
※ 参考テーマ「労働市場

3月7日 大統領支持率上昇か
Source :Biden gets a bounce after the State of the Union, NPR/PBS NewsHour/Marist poll shows (NPR)
3月1日、バイデン大統領の一般教書演説が行なわれた(「Topics2022年3月3日 バイデン初の一般教書演説」参照)。その直後に行われたNPR世論調査で、バイデン大統領への支持率が8%跳ね上がって47%となった。
特に、ロシアのウクライナ侵攻への対応が、主に民主党支持者の間で高く評価されている。
しかし、昨年夏に失った支持を回復するまでには至っていないようだ。

FiveThirtyEight
※ 参考テーマ「政治/外交」、「一般教書演説

3月6日 労働市場タイト化
Source :The U.S. added 678,000 jobs in February. It's another sign of a hot labor market (NPR)
3月4日、雇用統計が公表された(BLS)。2月の雇用増は67.8万人となった。さらに、昨年12月と今年1月を合わせて9.2万人の上方修正も行なわれた。雇用面で強い数字が続いている(「Topics2022年2月6日 雇用増に勢い」参照)。

幅広い業種で雇用増が見られたことも特徴的だ。
失業率は0.2%低下して3.8%となった。
パンデミック発生以前に較べて90%以上の雇用数にまで回復した。
長期失業者(27週以上)の割合は若干上昇の26.7%となった。
労働市場参加率も62.3%と若干上昇した。
ただし、働き盛りの25~54歳の労働市場参加率は82.2%と、コロナ感染症拡大直前の83.1%(2021年1月まであと0.9%ポイントまで回復している。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は着実に減少している。
労働市場は確実にタイト化している。

※ 参考テーマ「労働市場

3月3日 バイデン初の一般教書演説
Source :2022 State of the Union Address (The White House)
3月1日、バイデン大統領による初の一般教書演説が行われた。ロシアのウクライナ侵攻と新型コロナ感染症に大部分が割かれ、個別政策については列挙するにとどまったという印象だ。

以下、当websiteの関心事項。いずれも、1~2行程度で触れただけ、という感じで、新味は見当たらない。
  1. インフレ対策の一つの柱として、処方薬価格を引き下げる。

  2. 育児に関わるコストを引き下げる

  3. 有給休暇制度を導入するため、Paycheck Fairness Actを成立させよう。

  4. 最低賃金を$15/hに引き上げ、Child Tax Creditを延長しよう。

  5. Pell Grantsを拡充しよう。

  6. Community Collegeに投資しよう。

  7. 多くの労働者が労組を結成できるよう、PRO Actを成立させよう。

  8. Dreamersや外国人労働者に、市民権獲得の道を提供しよう。

  9. LGBTQアメリカ人の権利を保護するために、Equality Actを成立させよう。

※ 参考テーマ「一般教書演説

3月2日 Target最賃再引上げ
Source :Target is raising its minimum wage to as much as $24/hour (NPR)
2月28日、Targetは新規採用時の初任給を、$15/hから最大$24/hに引き上げると発表した(Release)。新規採用がなかなか進まないことに対する対応策である。

主な施策は次の通り。 Targetは、昨年、最低賃金を$15/hに上げたばかりである(「Topics2021年10月30日(1) 小売り飲食が賃上げ」参照)。また、従業員の大学教育支援も打ち出している(「Topics2021年8月15日(2) Target:大学教育支援」参照)。それでも足りなくて、上記のような対策を新たに打ったということであり、労働市場は相当タイトな状況にあるといえよう。

※ 参考テーマ「最低賃金」、「医療保険プラン」、「DB/DCプラン」、「労働市場

3月1日(1) 『超圧勝』county
Sources : Americans are fleeing to places where political views match their own (NPR)
The “Big Sort” Continues, with Trump as a Driving Force (Rhodes Cook)
上記sourceのうち、最初のNPRニュースは、政治的な心地よさ、直截的な表現をすれば、自らの支持政党の支持者の多い地域を求めて家族ぐるみで移住している人達が増えていることを紹介している。特に、California州南部、Florida州からTexas州への移住が顕著だという。

こうした移住が積み重なってきた結果、地域別の政党支持率が極端に偏る傾向が強まっている。15年前の調査では、大統領選で60%以上の得票率で勝ったcountyを「圧勝」地域と定義していた。しかし、上記sourceの2番目の調査報告では、大統領選で80%以上の得票率で勝ったcountyを『超圧勝』地域と定義して、過去からのトレンドを再調査した。
  1. 『超圧勝』countyの割合は、2004年選挙でわずか6.3%だったが、2020年選挙で22.0%を占めた。
  2. 2020年の『超圧勝』countyは685あったが、そのうちトランプが『超圧勝』したcountyは653もあった。バイデン大統領の『超圧勝』は32しかないが、それらの得票数はトランプのそれを大きく上回った。大都市のバイデン、郊外のトランプ、という構図であった。
  3. 州別にみると、『超圧勝』county数が20%以上を超える州は、下図の色付きのところである。『超圧勝』のほとんどが、トランプが超圧勝したcountyである。
アメリカ社会の政党別分断は、確実に進んでいる。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「人口/結婚/家庭/生活

3月1日(2) CA州ロシア資産売却法案
Source :‘We can help stop this autocratic thug’: California lawmakers to push Russia divestment (Los Angeles Times)
ロシアのウクライナ侵攻に対して、CA州議会は、数日中に対ロシア制裁法案を提出する予定とのことである。ポイントは次の通り。
  1. CalPERS, CalSTRSが保有するロシア関連資産を売却する。

  2. CA州の企業に対しても、ロシア関連資産の売却を求める。

  3. ロシアとビジネスを行なっている企業とは、州政府事業契約は行なわない。
州議会が可決し、州知事が署名すれば、即日執行となる。

CalPERSは、$900M~$1.1Bのロシア関連資産を保有しているらしい。総資産の1%にも満たない。そもそもルーブルが暴落する中で、年金基金として価値が毀損する資産を売却するのは当たり前の行動である。おそらく州法で指示されなくてもやりたい措置だろう。問題は、それらのロシア資産を買ってくれるところがあるかどうかだ。

※ 参考テーマ「地方政府年金