2月20日 賃金物価スパイラル懸念
Sources : Could Wages and Prices Spiral Upward in America? (New York Times)
Inflation has many retirees worried about outliving their savings (NPR)
労働市場の需給タイト化を背景に、賃金上昇と物価上昇が互いに作用して上昇が続くのではないか、との懸念が広がっている(「Topics2022年1月30日(2) ECI急騰が続く」「Topics2022年2月11日(1) CPI7.5%上昇」参照)。こうした懸念が現実のものになるとの見通しが確実になれば、政策金利の上昇、成長鈍化というシナリオが見えてくる。

上記sourceでは、スパイラルは実現しないのではないか、との専門家の見方を紹介している。その理由は3つである。
  1. 生産性の上昇がみられる。

  2. 被用者の賃金交渉力が弱い。賃金上昇は物価上昇に追いついていない。労組組織率も低い(「Topics2022年1月27日(1) "The Great Renegotiation"」「Topics2022年1月21日(4) 2021年労組加入率/組織率」参照)。

  3. 物価上昇が賃金上昇を上回れば、消費者の購買力が低下し、物価上昇は緩和される。
本当かな、と思うところもある。いずれにせよ、暫く物価と賃金の動向を注視していく必要がある。

一方、退職者は物価上昇に大きな懸念を抱いている。物価上昇⇒政策金利の引き上げ⇒金利上昇⇒株価低落⇒退職所得の目減り、というシナリオが見えてくるからだ。

公的年金(Social Security)には物価スライドがあるといっても、2022年のCOLAは5.5%であり、CPI上昇率は昨年10月から前年同月比6%を上回り続けている(「Topics2021年10月15日(1) 2022年年金COLA」参照)。

上記sourceは、Target Date Fundsであれば、打撃は最小限に食い止められると紹介している(「Topics2014年3月24日 Target-date fundの増勢」参照)。そう信じたいものである。

※ 参考テーマ「労働市場」、「公的年金」、「DB/DCプラン

2月18日(1) LGBT自認7.1%に増加
Source :LGBT Identification in U.S. Ticks Up to 7.1% (GALLUP)
LGBTを自認するアメリカ人の割合は2021年7.1%と、2020年から上昇した(「Topics2021年3月5日 LGBTQ自認は5.6%」参照)。
これを世代別にみると、若い世代ほど、LGBT自認率が高く、しかも傾向的に上昇している。
LGBTの中ではBisexualの割合が最も大きい。
Among LGBT U.S. adults Among all U.S. adults
% %
Lesbian 13.9 1.0
Gay 20.7 1.5
Bisexual 56.8 4.0
Transgender 10.0 0.7
Other (e.g., queer, same-gender-loving) 4.3 0.3
※ 参考テーマ「LGBTQ

2月18日(2) NY州Amazon労組投票決定
Source :Amazon labor push escalates as workers at New York warehouse win a union vote (NPR)
2月17日、NLRBは、NY州Staten IslandのAmazon社集配施設における労組結成の是非を問う従業員投票を認めると発表した「Topics2021年12月24日(3) NLRB-Amazon合意文書」参照)。ここでの労組結成の主導権を握っているのは、大きな労組連合ではなく、現職元職従業員で結成されたAmazon Labor Unionである。

投票方法は従業員によるリアル投票で、投票日は3月25~30日(除く3/27)の5日間。Amazonではもう一つ、Alabama州Bessemerの集配施設で投票が行われている。こちらは郵便投票だ(「Topics2022年1月13日(1) Amazon(AL)労組結成投票日程」参照)。こちらの集計は3/28が予定されており、ほぼ同じ週に結果がわかることになる。

※ 参考テーマ「労働組合

2月16日 Mark of the Beast
Source :Unvaccinated medical workers turn to religious exemptions (Associated Press)
Medicare/Medicaid医療機関におけるワクチン接種義務化が全米で始まった(「Topics2022年1月22日(1) 連邦政府職員接種義務も差止め」参照)。

ところが、対象医療機関では、宗教を理由とする免除措置が広く採られている。例えば、620人の従業員がいる医療機関で、約200人が宗教を理由として免除措置を申請し、ほとんどが認められたという。

従業員側は、ワクチン接種を受けたくないが、職は継続したいとの思惑が強い。それ以上に、医療機関側では、労働市場がタイトで、しかもコロナ対応で忙殺されている中、一人でも引き留めておきたいとの想いが強い。ワクチン接種を強制するなら辞めてやる、と従業員に言われてしまうからだ。

感染症専門家は『とんでもない』とコメントしているが、現実に医療が回らなくなる可能性が高い郊外地域では、やむを得ない当事者間の選択かもしれない。

ところで、宗教を理由に接種免除を申請する人たちが頻繁に用いるフレーズがあるそうだ。
"God is the "ultimate guardian of health" and that accepting the vaccine would make her "complicit with evil. The shots is the Mark of the Beast. "
前半部分はわかるとして、"Mark of the Beast"って何なんだ、と調べてみたところ、新約聖書 ヨハネの黙示録 章13に出てくるフレーズだということがわかった。教養のなさを痛感する。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

2月15日 連邦契約企業$15/hに訴訟
Source :Seven States Are Challenging Biden’s $15 Minimum Wage Policy for Contractors (Government Executive)
1月30日より、連邦政府契約企業における最低賃金15/hが施行された(「Topics2021年6月16日 大統領令で最低賃金引上げ(2)」参照)。

ところが、この大統領令施行に対して、全部で8つの州が訴訟を起こした。いずれも、この大統領令に基づく最低賃金施行は大統領権限を超えているという主張だ。 どう数えてみても8州なのだが、上記sourceでは7州と繰り返している。

いずれの州の司法長官も、共和党である。

連邦最低賃金$15/hへの引き上げに失敗しているだけに、バイデン政権としては重要なこらえ処である(「Topics2021年3月8日 コロナ経済対策法案上院修正可決」参照)。

※ 参考テーマ「最低賃金

2月11日(1) CPI7.5%上昇
Source :Inflation hits another 40-year high. It's bad, but older folks say they've seen worse (NPR)
2月10日、BLSは今年1月の物価指数を公表した(News Release)。前月比0.6%、前年同月比7.5%の上昇と、先月を上回る大幅な上昇となった(「Topics2022年1月13日(2) 物価急騰継続」参照)。上記sourceによれば、前年比の伸び率は、1982年以来最大だそうだ。
その要因を見ると、相変わらずエネルギー価格の上昇が飛び抜けて大きい。
その前年比伸び率は25%超を続けている。
食料品の価格上昇も、ついに7%(前年同月比)に達した。
エネルギー、食料品を除いた物価指数上昇率も6.0%と、先月を上回った。
※ 参考テーマ「労働市場

2月11日(2) 控訴裁:連邦職員接種義務却下
Source :Vaccine Mandate for Federal Workers Blocked by 2nd Court (Associated Press)
2月9日、第5控訴裁判所は、先月TX州連邦地方裁が発出した「連邦政府職員に対するワクチン接種義務の差し止め命令」を支持し、連邦政府の訴えを退けた(「Topics2022年1月22日(1) 連邦政府職員接種義務も差止め」参照)。

連邦政府が求める接種義務化の状況は変わらない。
対象機関 従業員100人以上の民間企業 連邦政府契約企業 連邦政府職員 Medicare/Medicaid医療機関等
従業員のワクチン接種期限 執行差止最高裁判決 執行差止判決 執行差止判決 *25州+D.C.:2/28
**24州:3/15
対象者数 8,400万人 700万人 350万人 1,700万人
規則所管機関 OSHA The White House The White House CMS

*25州+D.C.:California, Colorado, Connecticut, Delaware, Florida, Hawaii, Illinois, Maine, Maryland, Massachusetts, Michigan, Minnesota, Nevada, New Jersey, New Mexico, New York, North Carolina, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, Tennessee, Vermont, Virginia, Washington, Wisconsin and Washington, D.C

**24州:Alabama, Alaska, Arizona, Arkansas, Georgia, Idaho, Indiana, Iowa, Kansas, Kentucky, Louisiana, Mississippi, Missouri, Montana, Nebraska, New Hampshire, North Dakota, Ohio, Oklahoma, South Carolina, South Dakota, Utah, West Virginia and Wyoming.(Texas州のみ未定)
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活