9月20日 州立大学授業料免除:NM vs NY
Sources : New Mexico Unveils Plan To Give Students Free College Tuition Regardless Of Income (NPR)
Here's The Fine Print On The Country's Biggest-Ever Free College Plan (NPR)
9月18日、New Mexico州知事が、New Mexico Opportunity Scholarship計画を発表した。骨格は次の通り。
  1. 29の州立大学(colleges and universities)で授業料を全額免除する。

  2. 所得要件は設けない。

  3. 必要となる予算額は、年間$25M〜$35M。

  4. 財源はすべてNM州の一般財源。油田からの収入が増えており、これで充分賄える。
このところ、州立大学の授業料を免除する州が続出している。2年制のcommunity collegesに限ってみれば、20以上の州で授業料を全額免除しているそうだ。そうした流れの切っ掛けとなったのが、2年前のNY州の授業料免除制度である。その骨格は次の通り。
  1. 名称は、"Excelsior Scholarship"。

  2. 対象となる大学は、State University of New York system(64キャンパスで130万人が在学)。

  3. 対象となる家計の所得要件は、初年度は年収10万ドル未満。3年目からは年収12.5万ドル未満。

  4. 全額免除期間は、2年制なら2年間のみ、4年制なら4年間のみ。4年制で4年間のみで卒業する学生が34%しかいない現状では、結構厳しい。

  5. 卒業後、2年制なら2年間、4年制なら4年間、NY州内で就労することを義務付ける。果たさずに州を離れれば、免除額全額を負債に転換する。

  6. 必要となる予算額は、年間$163M。
2年前のNY州の免除制度と今回のNM州のそれとでは、要件が大きく異なっている。それに伴い、問題の大きさも変わってくる。所得要件を設けないことで、富裕層の学生が最も得をするという結果をもたらす。これは、日本の幼児教育の無償化と同じ課題である。結局は富や所得の偏在が固定化される方向になる。

※ 参考テーマ「教 育

9月19日 CA州"AB5"成立
Source :California Governor Signs Law Protecting Gig Economy Workers (NPR)
9月18日、CA州知事が署名し、"Worker status: employees and independent contractors"(AB5)が成立した(「Topics2019年9月12日(1) CA州"AB5"前進」参照)。

施行日は2020年1月1日となるが、Uberは、その後も登録ドライバーを従業員として位置付ける計画はないという。逆に、UberLyftDoordashの3社は、来年11月の州民投票に向けて、総額$90Mの反対キャンペーンを計画している。州民に不便になるよ、高くなるよと訴えて、法律そのものを無効にしてしまおうということなのだろう。

来年の注目ポイントの一つとなった。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「大統領選(2020年)

9月12日(1) CA州"AB5"前進
Source :California Lawmakers Advance Bill To Redefine And Protect Gig Economy Workers (NPR)
9月10日、CA州議会上院は"Worker status: employees and independent contractors"(AB5)修正案を可決した(「Topics2019年6月18日 CA州:Uber運転手を従業員に」参照)。下院は既に可決していたが、上院が修正案を可決したために、再度審議することになる。9月12日以降に審議する予定とのことだが、再可決は間違いない。州知事も署名する意向を表明しており、法案成立は確実視されている。

同法案では、独立請負業者(contractors)と従業員(employees)の違いを明確にしている。
"A person providing labor or services for remuneration shall be considered an employee rather than an independent contractor unless the hiring entity demonstrates that the person is free from the control and direction of the hiring entity in connection with the performance of the work, the person performs work that is outside the usual course of the hiring entity's business, and the person is customarily engaged in an independently established trade, occupation or business.
また、同法案では、例外として、営業免許を持った保険外交員、漁業従事者、投資アドバイザー、建設関連トラック運転手などは適用外としている。

そして、CA州でこのような定義が定まると、両岸のブルーステーツに広がっていく。CA州でUber/Lyftが雇用している運転手は22万人のぼると推計されている。全米各地の大都市での運転手はその数倍はいるのだろう。彼らすべてが最低賃金や休暇制度の法的保護対象となり、両社のコストは大幅増となる。それでなくても、Uberは、7月にマーケッティング部門、そして9月11日には製品・エンジニア部門のレイオフを実施しており、コスト削減が必須となっている状況である(New York Times)。 一般的な労働コストがかかってくる環境下で、Uberのビジネスモデルが成立するのかどうかが試される。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

9月12日(2) 民主党候補者達の立ち位置
Source :Health Care: See Where The 2020 Democratic Candidates Stand (NPR)
上記sourceは、2020年大統領選に向けて民主党代表候補を目指す候補者達が、医療保険政策についてどのような意見を持っているのかを分析している。

ここでは、当websiteで馴染みの深い3者についてまとめておく。
  Sanders/WarrenBiden
Medicare for All/Public OptionMedicare for AllPublic Option
民間保険プランの廃止廃 止存 続
保険加入の義務化義務化義務化
連邦政府の処方薬価格交渉交渉すべき交渉すべき
処方薬の輸入認める認める
民間の保険会社、企業提供保険プランを活用するかどうかが、両者の決定的な違いとなっている。Biden氏の方が現実的でいいと思うんだけどなあ(「Topics2019年4月12日 Medicare for "All"/"America"」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「大統領選(2020年)

9月11日 無保険者割合上昇
Source :Fewer people had health insurance in 2018 (Modern Healthcare)
9月10日、Census Bureauが、「2018年版所得、貧困、医療保険」を公表した。ポイントは次の通り。
  1. 中位所得に大きな変化はなかったが、貧困率は下落した。そうした中で、無保険者割合は上昇した。PPACAが本格稼働して以来、初の上昇となる。なお、この統計は、全年齢に占める無保険者割合を示しており、Medicare加入者は保険加入者としてカウントされている。
  2. 保険加入者の中では、企業提供保険プランへの加入者が大きな割合を占めている。
  3. PPACA成立以来、注目されているExchnageへの加入者は、全国民の3.3%に過ぎない。
  4. 企業提供プラン加入割合が低下し、Medicare加入割合が高まっている。これは人口の高齢化の影響が及んでいると思われる。一方、Medicaidの加入者割合が大きく低下している。
Medicaidの加入者割合が大きく低下した要因として、トランプ政権の移民政策があるとされている(NPR)(「Topics2018年3月30日 不法移民の炙り出し」参照)。 ※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「医療保険プラン」、「移民/外国人労働者