3月17日 夏時間標準化法案
Source :The Senate approves a bill to make daylight saving time permanent (NPR)
3月15日、連邦議会上院は、Sunshine Protection Act of 2021(S.623)を全会一致で可決した。この法案のポイントは、次の通り。 下院でも同様の法案(H.R.69)が提出されているが、本格的な審議は始まっていない。下院も可決し、大統領が署名すれば、2023年から、これまでの夏時間が年間標準時間となる。東京とNew Yorkの時差は、13時間で固定されることになる。アメリカ人達も、年2回の時計調整をしなくて済むようになる(「Topics2015年3月15日 サマータイム神話」参照)。

18の州では、既に夏時間を年間標準時間とする州法が成立している。ただし、①連邦政府が認めること、②周囲の州が同様の措置を採ること、が施行の条件となっているため、実際には施行されていない。 なお、Arizona州、Hawaii州は夏時間を採用していない。

NCSL
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

3月16日 各州FMLA
Source :New and amended state and local paid sick leave laws (WTW)
上記sourceは、各州における有給傷病休暇制度(paid sick leave)の導入状況をまとめたものである。地方自治体に有給休暇制度の導入を禁止している州があることを初めて知った。

States and localities with PSL and EPTO laws, as of March 2022
※ 参考テーマ「FMLA

3月15日(1) 医療債務の実態
Source :The burden of medical debt in the United States (Peterson-KFF Health System Tracker)
無保険者の場合、または保険加入者であっても免責額、窓口負担等によって、医療債務は発生しうる。上記sourceは、その実態を調査した結果である。ポイントは次の通り。
  1. センサス調査によれば、2019年に医療債務を抱えている家計は、全体の17%。

  2. 当調査では、2019年末時点で$250以上の医療債務を抱えている人を、医療債務者と定義して調査した。

  3. 医療債務者は全体で約2,300万人、約9%にあたる。その債務総額は、少なくとも$195Bに達する。

  4. うち、$10,000を超える医療債務を抱えているのは約300万人、全体の1%だ。

  5. 医療債務者の属性を見ると、ブラック、女性、低所得者、無保険者、不健康状態といったところが多い。

  6. 医療債務者の内訳をみると、$10,000超の医療債務を抱えている人の割合は13%。
  7. $10,000超の医療債務を抱える人の債務総額は、全体の債務総額の実に71%を占める。
$10,000超の医療債務の中には、もっと巨額の債務を抱えている人が含まれているのだろう。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

3月15日(2) Starbucks労組3店舗増
Source :Starbucks union wins 3 more stores in Buffalo elections (HR Dive)
3月9日、NY州Buffaloの3店舗が労組結成に成功し、Starbucks Workers Unitedに加盟した。これで、労組を結成した店舗は全米で6店舗となった。

Starbucks Workers Unitedは、少なくとも129店舗で労組結成のための投票を申請している。実際の投票は棄権者が多いようだが、Starbucksにおける労組結成は着実に進んでいる。

※ 参考テーマ「労働組合

3月15日(3) UA自宅待機解除
Source :United Airlines will let unvaccinated employees return to their jobs this month (CNBC)
逸早くワクチン接種義務化を打ち出したUnited Airlinesが、方針転換を公表した。 コロナ感染症が収まりつつあることを前提にした変更である。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

3月14日 NC/PA州選挙区割りに判決
Source :Supreme Court stays out of key state rulings on partisan gerrymandering, for now (NPR)
3月7日、連邦最高裁は、North Carolina州(NC)、Pennsylvania州(PA)における選挙区割りに関して、介入することを拒否した。

NC州では、州議会が提案した選挙区割りが州憲法の要件に沿っていないとして、州最高裁が選挙区割りを定めた(「Topics2022年2月7日 NC州選挙区案却下判決」参照)。これに対して、州議会共和党は連邦最高裁に対して、 を求めて訴訟を起こした。

共和党の持ちだした理屈は次の通り。
  1. 連邦憲法には、連邦議会選挙について、"Times, Places and Manner of holding Elections for Senators and Representatives, shall be prescribed in each State by the Legislature thereof."と書いてある。

  2. これは、州議会のみが選挙制度を決定できると読める。

  3. 従って、州最高裁が選挙区割りの見直しを求める判決を下すことは、連邦憲法の下で違憲である。
この理屈は、これまで連邦最高裁が下してきた判決とは全く正反対のものとなる。連邦最高裁は、州憲法と州法の下で州裁判所が判断すべき問題だ、との姿勢を取り続けている(「Topics2019年6月29日 最高裁:ゲリマンダリング判断不能」参照)。

しかし、今回の連邦最高裁判決では、保守派の3人の判事(Alito, Thomas, Gorsuch)が上記の「州議会のみ」理論を持ち出して反対している。また、Kavanaugh判事は、2022年予備選、本選が近づいているので、本格的な議論はその後にすべきと消極的賛成の意見を述べている。

Roberts長官は、これまでの継続性を重視するであろう。そうなると、Barrett判事がキャスティング・ボートを握ることになる。

Current Justices of the US Supreme Court (as of March 14, 2022)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
(Stephen Breyer) 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994 Harvard
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
Amy Coney Barrett 01972-01-28 January 28, 1972 Donald Trump 02020-10-26 October 26, 2020 Notre Dame Law School
Katanji Brown Jackson 01970-09-14 September 14, 1970 Joe Biden Harvard
※ 参考テーマ「政治/外交」、「司 法

3月11日(1) CPI上昇率7.9%
Source :Inflation hits another 40-year high. The war in Ukraine could make it worse (NPR)
3月10日、BLSは今年2月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前月比0.8%、前年同月比7.9%の上昇と、先月をさらに上回る大幅な上昇となった(「Topics2022年2月11日(1) CPI7.5%上昇」参照)。上記sourceによれば、前年比の伸び率は、1982年1月以来最大で、実に40年振りの高水準だ。

その要因を見ると、相変わらずエネルギー価格の上昇が飛び抜けて大きい(25.6%上昇)。とはいっても、食料品も7.9%も上昇している。ただし、これらの数字には、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー、食料価格への影響は充分に反映されていない段階のものだ。今後、益々上昇率は上がっていることは予想される。
エネルギー価格は依然として25%超を続けている。
食料品の価格上昇も、7.9%(前年同月比)と急上昇している。
エネルギー、食料品を除いた物価指数上昇率も6.4%と、先月を上回った。
※ 参考テーマ「労働市場

3月11日(2) 'Don't Say Gay'法案
Source :Disney employees furious the company won't denounce Florida's 'Don't Say Gay' bill (NPR)
3月8日、Florida州議会で、'Don't Say Gay' 法案HB 1557)が可決され、州知事の許に送付された。この法律のポイントは、
  • フロリダ州の幼稚園から小学校3年生までのクラスでは、性的指向や性自認に関する議論を奨励しない

  • この規則が破られた場合には、親は訴訟することが可能となる
というものである。現在は、州知事が拒否権を発動するのか、署名をするのかを見守っている段階である。

LGBTQ支援団体は、この法案を反LGBTQと位置づけ、反対運動をしている。

そのような状況下、DisneyのCEOは、従業員に対して『作品を通じて多様性を広げていくことが、わが社にとって最善の方法である』とのメモを配布した。つまり、表立ってHB 1557を非難しないとの立場を取ったのである。これに対して、従業員やコンテンツ作家達が猛然と反発している。

企業が一つひとつの法案に賛成、反対の立場を表明するのは難しいことだが、自社の製品・サービスに関連する事柄になれば、ステークホルダーとの対話が必要になるという典型例なのだろう。

※ 参考テーマ「LGBTQ