11月10日 UA 無給自宅待機へ
Source :Court rules United Airlines can put workers with vaccine exemptions on unpaid leave (NPR)
United Airlinesは、当初から従業員のワクチン接種義務化を進めている(「Topics2021年9月30日 UA vs Delta」参照)。健康上または宗教上の理由で接種免除を認めているが、そうした従業員については、無給自宅待機措置にすることとしている。

無給自宅待機措置の概要は次の通り。
  1. 接種免除が認められた従業員については、顧客と接触しないような業務を割り当て、従事させる。

  2. 期間は、従来の専門業務に安全に復帰できることが確認できるまで。

  3. 割り当てられた業務を拒否する場合には、無給自宅待機とする。
この社の方針に対して、パイロット2人、FA1人、航空整備士1人が、TX州連邦地方裁に執行停止を求めて提訴した(「Topics2021年10月15日(2) UA無給自宅待機に待った」参照)。

11月8日、TX州連邦地方裁判事は、この訴えを却下する判決を下した。これにより、UAは従来の方針通り、無給自宅待機を命じることが可能となった。判決の影響を受ける従業員(=接種免除を認められた従業員)は、約2,000名とみられている。

やはり、司法はワクチン接種義務化には寛容なのである(「Topics2021年10月3日(2) 連邦最高裁は接種義務化に寛容」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活」、「司 法

11月8日(1) BBB法案投票先送り
Source :House punts on social spending bill (NPR)
11月5日、連邦議会下院は、総額$1Tのインフラ整備法案を可決する一方、BBB法案に関する投票を先送りした(「Topics2021年11月1日(1) BBB計画縮減」参照)。民主党下院議員のうち6人が賛成できないとの意思表明を行なっているためだ。

CBOによる財政試算がまだ公表されていないということで、その試算結果を待ってということなのだろうが、そもそも試算なしに議会で投票すること自体がおかしいのではないだろうか。

※ 参考テーマ「政治/外交

11月8日(2) 企業接種義務規則仮差止
Source :Appeals court temporarily halts Biden vaccine mandate for larger businesses (NPR)
11月6日、第5控訴裁判所は、OSHAが発表した民間企業ワクチン接種義務規則の執行を差し止める仮判決を下した(「Topics2021年11月6日(1) 企業接種期限は1月4日」「Topics2021年11月7日(1) ワクチン接種で分断」参照)。

控訴裁判所は、11月8日までに連邦政府がさらなる正当性の根拠を示すように、また11月9日までにそれに対する反論を原告が示すように、命じている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交

11月7日(1) ワクチン接種で分断
Source :Hours after the White House issues its new vaccine mandate, GOP-led states sue (NPR)
11月4日、連邦政府契約企業に対してワクチン接種義務を求める大統領令に対して、執行差し止めを求めて新たに3州が裁判所に提訴した(「Topics2021年11月3日(1) 大統領令の柔軟化」参照)。3州とは、Kentucky, Tennessee, Ohioで、それぞれ連邦政府との契約事業を請け負っている。例えば、 従って、毎週検査の選択肢のない接種義務化が課されることになる。

民間企業に対する接種義務規則を訴える州は、これらの他にも続出している。 接種義務化を進める連邦政府/州と接種自由化を求める州に分断されていくような流れになりつつある。

州レベルで見ると、民間企業への接種義務化に関する法整備はあまり進んでいないものの、州政府機関、医療機関での接種義務化、ワクチンパスポートの是非については、明確に対応が分かれている。State Efforts to Ban or Enforce COVID-19 Vaccine Mandates and Passports (National Academy for State Health Policy)の11月2日現在の情報は以下の通り。


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11月7日(2) 労働市場参加率低迷
Source :The labor market is back on track after 531,000 jobs were added in October (NPR)
11月5日、労働統計が公表された(BLS)。10月の雇用増は53.1万人となり、8,9月の低い伸びから回復した(「Topics2021年10月9日 労働市場への復帰が進まない」参照)。学校の再開、失業給付上乗せの停止が若干後押ししたのかもしれない。

レジャー・観光、レストランなどが大きく増加した。
失業率は4.6%と、引き続き順調に低下し続けている。
それでも、パンデミック発生以前に較べて、依然として420万の雇用が回復していない。
長期失業者(27週以上)の割合は31.6%と、高水準ながらも順調に低下している。
労働市場参加率も61.6%と、完全に横ばい状態が続いている。
労働市場に参加していない人の中で、仕事を得たいと考えている人数も、ほぼ横ばい状態である。
コロナ感染の再拡大が労働市場参加率の上昇の障害となっている。アメリカの感染者数は、増加傾向に入っていて、一日の感染者数は12.5万人にも達している。

Johns Hopkins University & Medicine
労働市場参加率の回復には、まだ時間がかかりそうである。

※ 参考テーマ「労働市場

11月6日(1) 企業接種期限は1月4日
Source :U.S. mandates vaccines or tests for big companies by Jan. 4 (Los Angeles Times)
11月4日、民間組織におけるワクチン接種義務規則が公表された。ポイントは次の通り。
対象機関 従業員100人以上の民間企業 連邦政府契約企業 Medicare/Medicaid医療機関等
従業員のワクチン接種期限 2022年1月4日
接種免除 健康上または宗教上の理由
⇒ 毎週検査
対象者数 8,400万人 700万人 1,700万人
規則所管機関 OSHA The White House CMS
OSHAの公表資料については、次の3点を転載しておく。 従業員100人以上の民間企業については、違反1件ごとに約$14,000の罰金を課すとされているが、その執行手法については明らかになっていない。

また、OSHAは、従業員のワクチン接種のために有給休暇の提供と副反応対応の病気休暇の提供を企業に求めている。ただし、ワクチン接種は無料のため、検査費用の企業負担は求めていない。

このようなバイデン政権の方針に対して、複数の州が訴訟を準備している。このような企業への義務付けは連邦議会のみが権限を持つ、との考え方だ。

上記sourceによれば、経営者団体、労働組合も義務付けルールに対する懸念を持っているそうで、今後の対応が注目される。ただ、USCCは、職員の接種について既に義務付けを表明していた(「Topics2021年8月20日 全米商工会議所の決断」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

11月6日(2) 退職プラン上限額引上げ
Source :IRS Announces Higher 2022 Retirement Account Contribution Limits For 401(k)s, Not IRAs (Forbes)
11月4日、IRSは2022年の退職貯蓄プランの拠出上限等について公表した(News Release)。

401(k)プランやDBプランの拠出限度額は、物価上昇を反映して引き上げられたものの、IRAについては4年連続の据え置きとなった。公的年金の基金枯渇を見据えて、個人退職貯蓄を奨励しているかのようだ(「Topics2021年10月18日 年金基金枯渇後の対策」参照)。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン

11月5日 2022年 公的年金/PBGC
Source :2022 Social Security, PBGC figures and projected covered compensation (Mercer)
2022年の公的年金、PBGCに関する数値がまとめられていたので、ここに整理しておく。 ※ 参考テーマ「公的年金改革」、「PBGC/Chapter 11

11月4日 同性婚の遺族年金
Source :More same-sex couples eligible for Social Security survivors benefits (NPR)
同性婚の遺族年金を巡る訴訟に決着がついた。ことの経緯は次の通り。
  1. 公的年金(Social Security)の遺族年金は、9ヵ月間の結婚機関が受給要件となっている。

  2. 第1ケース:27年間パートナーであった相方(同性)が2006年に亡くなった。居住していたワシントン州で同性婚が認められたのはその後であった(「Topics2012年2月10日 WA州:7番目の同性婚認可州」参照)。

  3. 第2ケース:居住していたArizona州で、2014年に同性婚が認められた(「Topics2014年10月9日 同性婚:最高裁が上告不受理」参照)。それまでパートナー同士だったが結婚した。その6ヵ月後に相方が死亡した。

  4. 2018年、この2つのケースについて、遺族年金の給付を求めて訴訟を起こした。

  5. 連邦地方裁では、給付を認める判決が下された。

  6. トランプ政権下で、司法省、SSAが控訴していた。

  7. 11月1日、司法省、SSAが控訴を取り下げた。

このような経緯により、2つのケースについては給付が認められた。今後、上記ケースと同様、パートナー期間を婚姻期間に含めた受給請求が増えることになろう。

ただし、司法省は、『遺族年金の受給に必要な9ヵ月間の婚姻期間』は合憲であり、今後も維持するとのスタンスを表明している。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「LGBTQ

11月3日(1) 大統領令の柔軟化
Source : Eleven States Challenge Federal Contractor Vaccine Mandate (Government Executive)
Federal contractors get broad flexibility to enforce Covid vaccine rules for millions of workers (CNBC)
先に、Iowa州が、ワクチン接種を拒否したことで解雇された者にも失業給付を提供するとともに、連邦政府契約企業の従業員にワクチン接種を義務付ける大統領令に対して訴訟を起こすことを決定したことを紹介した(「Topics2021年10月31日 IA州:接種拒否者に失業給付」参照)。

この大統領令に対する訴訟を起こした州は、次の11州である。いずれも、大統領令が憲法違反であるとし、その執行差し止めを請求するものである。 そうしたプレッシャーに加え、民間企業の戸惑いもあって、バイデン政権は大統領令執行にあたって柔軟な対応を認めようとしている(「Topics2021年9月11日 民間企業接種義務化大統領案」参照)。
  1. ワクチン接種を拒否する従業員への対応について、企業の裁量を認める。

  2. ワクチン接種期限とした12月8日は厳格なものではない。ただし、大統領令遵守に向けた努力は見せてもらわなければならない。

  3. 12月8日までに従業員のワクチン接種率を提出する必要はない。ただし、ワクチン未接種の契約企業従業員が連邦政府施設内入ることを禁じる可能性がある。
現実的な着地点に近づきつつあるようだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

11月3日(2) ECI急騰
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
10月29日、BLSは9月のEmployment Cost Index(ECI)を公表した。民間部門における雇用コストの急騰が明らかになってきた。以後、数値は前年同月比伸び率である。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは3.7%。その中で、Wages and salariesが4.2%と大きくなっている。
  2. 官民比較では、民間が4.1%、州・地方政府が2.3%と、民間の伸びが大きい。
  3. 民間では、Wages and salariesが4.6%、Benefitsが2.6%。賃金の伸びが大きくなっていることがわかる。
  4. 一方、州・地方政府では、Wages and salariesが2.4%、Benefitsが2.1%。
  5. Wages and salariesの伸びが顕著な業種は、製造業、卸し・小売業、レジャー/ホスピタリティとなっている。
労働市場の逼迫を反映する結果となっている。

※ 参考テーマ「労働市場

11月2日 NY州退職貯蓄プラン義務化
Source :New York Employers Without Sponsored Retirement Plans Must Automatically Enroll Employees in State-Run Retirement Program (Davis Wright Tremaine)
New York州の州立退職貯蓄プラン(New York State's Secure Choice Savings Program)は、これまで企業の任意参加であったが、州法の改正により、一定の要件を満たす企業の参加を義務付けることとなった(「Topics2021年5月27日 州立退職貯蓄プランの現状」参照)。 主な制度概要は次の通り。
  1. 退職貯蓄プランの形態は、Roth IRA。

  2. 加入開始時期は2022年。

  3. 参加を義務付けられる企業の要件は次の通り。
    • 1. Do not sponsor their own retirement plan (such as a 401(k) or 403(b) plan), and have not done so for the past two years;
    • 2. Have at least 10 employees in the state; and
    • 3. Have been in business for at least two years.

  4. 企業の責務は、従業員の拠出金の源泉徴収と、州政府機関への納付のみ。制度運営費、受託者責任、投資損失等への責務はない。

  5. マッチング拠出等企業拠出はできない。

  6. 本退職貯蓄プランに参加するために、既に提供している退職年金プランを廃止することはできない。

  7. 加入を義務付けられる従業員は18歳以上で、NY州で勤務している者。

  8. 従業員は、随時脱退を任意に選択できる。

  9. デフォルトの拠出率は3%だが、従業員が任意の拠出率に変更できる。
2021年5月に、NY市は市独自の退職貯蓄プラン(Savings Access New York Retirement Program)を創設することを決定したが、上記措置に伴い、執行されることはないと見られている。

Georgetown Universityによれば、これで14の州と2つの市が、退職貯蓄プランを運営することになる。

Center for Retirement Initiatives, Georgetown University

Center for Retirement Initiatives, Georgetown University
※ 参考テーマ「地方政府年金

11月1日(1) BBB計画縮減
Source :Here's what's in the Democrats' $1.75 trillion Build Back Better plan (CNBC)
10月28日、バイデン大統領は、Build Back Better (BBB) Planの現時点での骨格を提示した(Remarks)。財政規模は$1.75Tとなっている。当初の大統領構想は"American Jobs Plan"と呼ばれていた(「Topics2021年4月22日 大学授業料無償化法案」参照)。当時の財政規模は$3.5Tであったので、半減したことになる(Wikipedia)。

ここまで構想規模を縮小せざるを得なかったのは、上院民主党内の保守系の2人の議員の納得を得るためである。2人の議員とは、Krysten Sinema of ArizonaJoe Manchin of West Virginiaである。上院で50人しかいない民主党としては、身内の賛成を確保せざるを得ない。

以下、BBBプランのうち、当websiteの関心事項をまとめておく。

※ 参考テーマ「政治/外交

11月1日(2) BBB 子供税額控除
Source :Here's what's in the Democrats' $1.75 trillion Build Back Better plan (CNBC)
子供税額控除の1年延長が含まれている(「Topics2021年7月17日 拡大子供税額控除」参照)。また、全額税額控除可能に変更された。これは低所得層に向けて評価されるところである。1年限りの延長ということを仮定すると、制度変更の変遷は次のようになる。
  2020年 CTC 2021年 ECTC 2022年 ECTC 2023年 CTC(未定)
支給対象 17歳以下の子供 17歳以下の子供 17歳以下の子供 17歳以下の子供
支給額 $2,000 5歳以下:$3,600
6-17歳:$3,000
5歳以下:$3,600
6-17歳:$3,000
$2,000
親の所得制限
Modified Adjusted Gross Income
(AGI+海外所得)
夫 婦:$400,000~
その他:$200,000~
夫 婦:$150,000~
世帯主:$112,500~
単 独: $75,000~
夫 婦:$150,000~
世帯主:$112,500~
単 独: $75,000~
支給減額 $50/$1,000毎 $50/$1,000毎 $50/$1,000毎
還付上限額 $1,400 支給額と同じ 支給額と同じ 支給額と同じ
支給時期 納税申告時に所得税と相殺 7~12月:月央に$300/$250(総額の半分を先払い)
残額を納税申告時に相殺。場合によっては返納。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交

11月1日(3) BBB Medicaid/ACA
Source :Here's what's in the Democrats' $1.75 trillion Build Back Better plan (CNBC)
  1. Medicaidのさらなる拡充のために、$130Bを充てる。

  2. 約900万人のExchange加入者の保険料を、平均$600/Y引き下げる。

  3. Medicaidを拡充していない州内に住む無保険者向けに、Exchangeで保険料$0プランを提供する。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル」、「政治/外交

11月1日(4) BBB 有給休暇創設を断念
Source :Paid family leave gets slashed as Democrats try to reach consensus on spending plan (NPR)
民主党は、当初、12週間の有給休暇制度(Paid Family and Medical Leave)の創設を要望していた(FMLA/DOL)。しかし、交渉過程で4週間に短縮し、最終的にバイデン大統領は制度創設を断念することとなった。

しかし、民主党左派議員達は、最後まで制度導入のために戦うと宣言しており、予断は許さない状況になっている。

※ 参考テーマ「FMLA」、「政治/外交

11月1日(5) BBB Community College
Source :Here's what's in the Democrats' $1.75 trillion Build Back Better plan (CNBC)
「Topics2021年10月21日(2) Community Collage無料化断念」参照。

※ 参考テーマ「教 育」、「政治/外交