Source : | The PBGC’s FY 2015 Annual Report (PBGC) |
11月16日、PBGCの財政報告が公表された。これでは、PBGC存続のためには保険料はやはり上げ続けなければならないだろう。そして、DBプランにとって、それは廃止に向けた決定的な動機付けとなるのである。
- 2015年9月30日時点でのB/Sは次の通り。 全体の債務超過額は$76.3Bと、前年比23.6%増と大幅な悪化となった。内訳である単独事業主プラン、複数事業主プランとも債務超過額は20%を超える増加となっており、両プランとも急速に財政状況が悪化したことがわかる。
悪化の原因は、端的に言えば単独事業主プランは利子率の低下、複数事業主プランは利子率の低下に加えてプラン廃止(将来見込みも含めて)の増加も影響している(Pension & Investment)
- 単独事業主プランの債務超過額の推移は次の通り。 2013, 2014年と改善を続けていたのに、再び大幅悪化へと向かってしまっている。しかも、この間、保険料はずっと引き上げられ続けているにもかかわらず、である(「Topics2015年11月13日 PBGC保険料スケジュール」参照)。
- 一方、複数事業主プランの債務超過額の推移は次の通り。 こちらも、2013〜2015年にかけて、大幅に保険料を引き上げてきたにもかかわらず、債務超過額は急増を続けている。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | Forecasting Enrollment and Subsidies in the ACA Exchanges (CBO) |
CBOによるの推計が、時系列で公表されている。
- 保険料補助金受け取るExchange加入者数
- 保険料補助金総額
Exchangeを通じた保険加入がなかなか当初の想定どおりには進んでいないことを物語っている。
- 保険料補助金受け取るExchange加入者数 2012年には推計値が盛り上がったものの、徐々に現実に合わせた落ち着いた数字に戻っている。
- 保険料補助金総額 その推計に合わせて、補助金総額も徐々に低下している。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Appeals court rules against Obama’s immigration plan (Washington Post) |
11月9日、第5控訴裁判所は、不法移民保護大統領令は違法であり、執行できないとする判決を下した。この判決は想定内であり、驚くべきことではない(「Topics2015年10月16日 不法移民対策は時間切れ」参照)。
しかし、来年6月に最高裁が合法と判決を下したとしても、その執行再開には相当の時間を要するため、Obama大統領の任期中にこの大統領令が執行される可能性はかなり低い。
仮に来年秋の大統領選で民主党候補が勝ったとしても、より法的な安定性が求められることになるだろう。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Scheduled increases years after 2016 (PBGC) |
PBGC自身が『我々は保険料引き上げを求めたこともないし、その必要性も感じていない』とコメントしていた保険料が、予算関連法案の中で決められてしまった。しかも、下院案よりもさらに引き上げられた形で(「Topics2015年10月28日 PBGC保険料再引上げか」参照)。
今後のPBGC保険料スケジュールは次の通り。Scheduled Rate(* are subject to indexing), Years after 2016
Plan years beginning in
Single-Employer Plans
Multiemployer Plans
Per Participant Rate for Flat-Rate Premium
Variable-Rate Premium
Per Participant Rate for
Flat-Rate PremiumRate per $1,000 UVBs
Per Participant Cap
2019
$80 $41* $500* $27* 2018
$74 $37* $500* $27* 2017
$69 $33* $500* $27* 2016
$64 $30 $500 $27 2015
$57 $24 $418 $26 2014
$49 $14 $412 $12 2013
$42 $9 $400 $12 2012
$35 $9 N/A $9 2011
$35 $9 N/A $9 2010
$35 $9 N/A $9 2009
$34 $9 N/A $9 2008
$33 $9 N/A $9 2007
$31 $9 N/A $8
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | How can we make Social Security solvent? (Urban Institute) |
公的年金の財政見通しは一向に改善しない。今年の財政レポート(7月)で示された数字も、2034年に基金が枯渇し、給付レベルは79%に急落する、というものであった(「Topics2014年7月30日 年金・Medicareの財政見通し」参照)。 ちなみに、Medicare HIも改善は見られない。 2030年代前半といえば、社会保障の世界で言えば、充分視野に入っている時期であり、何も手を打たなければ時機を逸したと言われても仕方のないところである。上記sourceはそうした状況に苛立つシンクタンクの立場を表している。しかも、採るべき手立てとして示されているメニューは、昔から同じであり、何か奇抜なアイディアや特効薬が発見された訳ではない。※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」
- 支給開始年齢の緩やかな引き上げ
- 社会保険税課税所得の上限引き上げ
- COLAの一部不適用
- 社会保険税率の引き上げ