4月30日 バイデン両院議会演説
Source :Remarks by President Biden in Address to a Joint Session of Congress (The White House)
4月29日、バイデン大統領が両院議会演説を行なった。コロナ禍対応なのか、通例よりも遅い時期での両院議会演説となり、その分、実績を誇る内容が多くなっている。

具体的な政策提言よりも、大きな方針を示すとともに、仕掛品(審議中の法案)の仕上げを促すものが多いという印象だ。

その中で、大学教育負担に関する言及が、community collegesの2年間の学費免除くらいしかなかったことが意外だ(「Topics2021年4月22日 大学授業料無償化法案」参照)。バイデン大統領は、党内左派には冷たい。

※ 参考テーマ「政治/外交

4月29日 大統領令で最低賃金引上げ
Sources : Executive Order on Increasing the Minimum Wage for Federal Contractors (The White House)
Biden To Establish $15-An-Hour Minimum Wage For Federal Contractors (NPR)
4月27日、バイデン大統領は、連邦政府と契約している企業の最低賃金を$15/hとする大統領令を発出した。
  1. 通常の労働者に関する最低賃金は、
    1. 2022年1月30日~:$15/h(現在は$10.95/h)

    2. 2023年1月1日以降:CPIに連動

  2. チップ受取労働者に関する最低賃金は、
    1. 2022年1月30日~:$10.50/h(現在は$7.65/h)

    2. 2023年1月 1日~:上記通常労働者最低賃金の85%

    3. 2024年1月 1日~:上記通常労働者最低賃金と同額(=チップ受取労働者最低賃金の廃止)
最低賃金の$15/hへの引き上げは、バイデン政権で一度とん挫している(「Topics2021年3月8日 コロナ経済対策法案上院修正可決」参照)。

大統領令に拠る最低賃金引き上げの手法は、Obama大統領の時にも利用されている(「Topics2014年2月14日 Obama大統領の賃上げ要請」参照)。今回の大統領令は、いわば、Obama大統領の置き土産を活用したものといえる。

※ 参考テーマ「最低賃金

4月28日 FL州:職員DC加入法案
Source :A New Pension Model in Florida (Institute for Pension Fund Integrity)
4月8日、FL州議会上院は、新規州政府職員を強制的にDCプランに加入させる法律案(SB 84)を可決した。共和党議員は賛成、民主党議員は反対と、党派別の賛否となった。

対象は、2022年7月1日以降に採用された州職員となる。

共和党議員が今回の法案を支持しているのは、既存のDBプランではコストがどんどん嵩むからである。現時点でも積立不足が$36Bに達しており、これを積立用とすると、他の政策経費を圧迫することになる。

一方、民主党議員はDBプランから外されることにより、長期に働く職員が減少するのではないか、と懸念している。

FL州は、州議会上下両院、州知事とも、共和党が握っている。今後の推移を見守りたい。

※ 参考テーマ「地方政府年金

4月27日 センサス結果第1弾
Sources : 2020 Census Apportionment Results Delivered to the President (Census Bureau)
Here's How The 1st 2020 Census Results Changed Electoral College, House Seats (NPR)
4月26日、2020年センサスの第1次情報が公開された。法定よりは大幅に遅れてはいるものの、バイデン政権になって立て直してからは、当時の見立て通りになっている(「Topics2021年2月15日 Census ID失敗」参照)。

主なポイントは次の通り。
  1. 2020年4月1日時点でのアメリカ住人は、331,449,281人。2010年時点(308,745,538人)と比較して、22,703,743人、7.4%の増加となった。

  2. 最も住人が多いのはCalifornia州で39,538,223人。最少は、Wyoming州で576,851人。

  3. 2020年から最も増えたのはTexas州で、3,999,944人の増加。州全体では29,45,505人。

  4. 2020年からの増加率が最も高かったのはUtah州で、18.4%の増加。州全体では3,271,616人。

そして、Washington, D.C.とPuerto Ricoの住人数を除いて計算した連邦議会下院議員数の各州割り当ては、次のように変化する。
なんとTX州は、2議席も増加する。TX州とCA州の企業争奪戦は、TX州に軍配が上がったようだ(「Topics2014年8月26日 California vs Texas」参照)。

さらに、この結果に基づく大統領選挙人の配分は、次のように変わる。
これを、仮に2020年大統領選に当てはめてみると、民主党にとっては-3、共和党にとっては+3となる。
今後の日程は、次の通り。 ことしの秋は、選挙区見直しで全米が熱くなりそうだ。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交」、「大統領選(2020年)

4月24日 D.C.新州法案可決
Source :House Democrats Pass Bill To Make D.C. The 51st State (NPR)
4月22日、連邦議会下院は、Washington, D.C.を新たな州(51番目の州)にする法案(H.R. 51)を可決した。投票結果は、216(全て民主党) vs 208(全て共和党)というものだった(Roll Call 132)。

法案のポイントは次の通り。
  1. 連邦所轄地域を縮小し、残ったD.C.エリアを新たな州とする。

  2. 連邦議会議員の割り当ては、上院議員2名、下院議員2名とする(全体では増員)。(「Topics2021年4月21日 連邦議会下院議員数」参照)
もしもこの法案が成立すれば、70万人規模の新州が生まれる。しかも、黒人が相対多数を占める初めての州となるそうだ。

バイデン大統領もこの法案を強く支持しているが、成立するには上院で60票が必要で、その目処はたっていない。それどころか、民主党上院議員が全員賛成票を投じるかどうかも不透明とされている。

※ 参考テーマ「政治/外交

4月23日 新規失業漸減
Source :Jobless claims fall again as employment picture gains strength (CNBC)
4月22日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は54.7万人、前週から3.9万人の減少となった(「Topics2021年4月16日 新規失業大幅減少」参照)。減少傾向は維持されている。57週間で累計8,518万人となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は367.4万人と、こちらは3.4万人の減少となった。減少傾向となってはいるものの、その傾きは限りなく寝てしまっていて、改善している実感は乏しい。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は13.3万人と、若干の増加となった。

一方、COVID-19感染状況を見ると、なんとか踏みとどまった模様だ。

Johns Hopkins University Health
また、感染リスクレベルは、レッドの地域が多少減っているように見える。

Brown School of Public Health
※ 参考テーマ「労働市場

4月22日 大学授業料無償化法案
Source :Sanders And Top Progressives Push To Make College Free For Most Americans (NPR)
4月21日、Sen. Bernie Sanders(I-Vt.)が、大学授業料負担の大幅引き下げを狙った法案を提出した。ポイントは次の通り。
  1. 公立4年制大学の授業料負担を廃止する。対象は年間所得$125,000以下の家計。

  2. Community collegesの授業料負担を全廃する。

  3. 財源は、証券取引に対する課税で、10年間で$2.4Tを調達する。
    1. 株取引:取引額の0.5%
    2. 債券取引:取引額の0.1%
    3. デリバティブ取引:取引額の0.005%

  4. Pell Grantの拡充:上限額を倍増して年間$13,000。
今回の法案提出は、バイデン大統領の"American Jobs Plan"に打ち込むことを目的としている。第一弾である「ハード」のインフラストラクチャーは、いわゆる昔ながらの公共事業が列記されている。第二弾として予定されているのが、"human"インフラストラクチャーと呼ばれているもので、広くアメリカ国民の能力開発を目指すものになるとみられている。

大学等の高等教育へのアクセサビリティ向上は、まさにその一丁目一番地ということなのだろう。

※ 参考テーマ「教 育」、「政治/外交

4月21日 連邦議会下院議員数
Sources : Stuck At 435 Representatives? Why The U.S. House Hasn't Grown With Census Counts (NPR)
United States House of Representatives (Wikipedia)
United States congressional apportionment (Wikipedia)
連邦議会下院の議席数は、435議席である。

連邦議会発足当初、下院議席数は65議席であったが、その後、センサスで人口増を確認するたびに議席数を増やしてきた。しかし、1913年の下院選挙時に435議席となり、1929年の立法により435議席を法定化した後、現在に至るまで435議席で固定されている。

例外として、1959年にAlaskaとHawaiiが州として成立した際に、1議席ずつ追加されて全体が437議席にされた。ただし、1960年のセンサス実施後、1963年には435議席に戻されている。

ちなみに、大統領選挙人の人数は『下院議員数+上院議員数+D.C.3人=538人』と定められているため、大統領選挙人数も変化していない。

議員数の多寡に関する議論は色々な側面から行なわれている。例えば、下院議員が何人の国民の代表となっているかを見てみると、一様に増加を続けている。
だからといって、下院議員数を増やしても、下院における票決の一方の重みが低下するだけである。

今後、議席数が増える可能性があるのは、D.C.やPuerto Ricoが州になる時であろうが、その際も、上記例外(Alaska, Hawaii)と同様になるかもしれない。

※ 参考テーマ「政治/外交