Source : | How Much Surplus Labor Do We Have? (Businessweek) |
金融当局の中で、労働市場の需給について見方が分かれている。
ハト派は、人口に占める被用者の割合が上がってこないことから、需給にはまだ大きな緩みがあると主張している。
一方、タカ派は、労働市場から退出した被用者は、引退したか、技能が時代に合わなくなってきているので、再び参入してくることはないとして、むしろ求人数(job openings)が増えていることを捉えて緩みはなくなりつつあると主張している(「Topics2014年8月19日 労働需要の弱さ」参照)。
本当の労働需給状況は、やがて賃金に現れてくる。今のところ、賃金上昇率は2%近くまで上昇してきているものの、物価上昇を下回っている。やはり、まだハト派の主張の方が受け容れられやすいだろう。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | California city looks to quit Calpers, fears it can't afford to (Reuters) |
人口5,800人の小さな自治体、Villa Parkの市議会は、来月、CalPERSから脱退するかどうかの採決を行う。
脱退を検討する切っ掛けとなったのは、CalPERSが財政健全化のために拠出金を7年間で約1.5倍に引き上げることを決定したことだ。
ところが、CalPERSから脱退するとなると、市の年間予算を上回る拠出をしなければならないらしい。2012年6月時点での推計は$3.6Mであったが、市の予算規模は$3.5Mである。これだけの脱退拠出金が必要となる理由は、といったものが挙げられる。
- 脱退時点の受給者、加入者が有する受給権分の給付を、将来にわたってCalPERSが引き受けることになる。
- 年金運用に関わるコストもすべてCalPERSが負担する。
- 今後にわたって拠出がないことになるため、予定利率も保守的にせざるを得ない(4.82%⇒2.98%)。
加えて、CalPERSが財政健全化の途上にあることから、2012年時点の推計よりも拠出額は膨らむかもしれない。
2013年には、Pacific Grove、Canyon Lakeの2つの市がCalPERSからの脱退を検討したが、巨額の拠出金を提示され、断念した。両市とも今回のVilla Parkよりも人口規模は大きいのに、である。
CalPERSは、まるで蟻地獄のようである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Pennsylvania, CMS Agree On 'Healthy PA' Medicaid Exansion Plan (Kaiser Health News) |
8月28日、PA州とCMSとの間で、PA州のMedicaid拡充策が合意に至った(CMS Press Release)。
連邦政府からの拠出金を使って、資格者が民間保険に加入することで拡充を図る。これで、Medicaidを拡充したのは、て27州+D.C.となった。Exchange & Medicaid (2014.8.28.現在)※ 参考テーマ「無保険者対策/PA州」、「無保険者対策/州レベル全般」
State Health Insurance Marketplaces (CMS)
Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
Source : | Another View: CalPERS made the right decision on pension changes (Sacramento Bee) |
CalPERS理事会が先日決定した年金給付水増し策に州知事が反発しているが、その焦点となっている"temporary upgrade pay"の給付額への反映について、上記sourceは『正当だ』と擁護している(「Topics2014年8月25日 CalPERS:給付水増し策」参照)。寄稿者はWarren Furutani元CA州議会議員である。
正当と判断する理由として、次のような諸点を挙げている。こちらの主張ももっともである。しかし、2.の論点は怪しい。今は稀でも、それがいつしか馴れ合いになって最終年に委嘱をするような慣行ができ上がる可能性は高い。
- 臨時に上級職の委嘱を受けた従業員とその雇い主は、"temporary upgrade pay"に基づいた拠出金を負担している。
- 年金給付額の決定的な要素となる最終年に上級職の委嘱を受けることは稀である。
- しかも、"temporary upgrade pay"による給付額の上乗せは微々たるものである。
- 負担増から給付額の上乗せ分を差し引けば、CalPERSの財政に貢献していることになる。
- 臨時委嘱は完全に雇い主の判断に基づくものである。業務命令で委嘱を受けながら、CalPERSへの拠出金を負担し、その見返りがないというのでは、従業員の士気に関わる。
やはり、今後の州知事の対応が注目されるところである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | NLRB: Jimmy John's Can't Fire Workers for Icky Sick-Leave Protest (Businessweek) |
Jimmy John'sというサンドウィッチ・チェーンの従業員が、有給病気休暇制度(paid sick leave)を要望するために、右のようなポスターを街の掲示板などに掲載した。 これに怒った店側は、ポスターを貼った従業員を解雇した。不誠実で悪意のあるもので、NLRAによる従業員保護には該当せず、解雇は正当であるという主張である。
これに対してNLRBは、8月21日、従業員は『有給病気休暇が備わっていないからその制度を要求する』という正当な行為をしているのであり、解雇は不当であるとの判決を下した。
今回のNLRBの判決は、まあまあ妥当ではないかと思うが、ポスターにある"We hope your immune system is ready because you`re about to take the sandwich test"というフレーズは、なくてもよかったのではないか。
もともと有給病気休暇については、労使間に相互不信がある(「Topics2010年12月9日(2) 病欠濫用対策」参照)。そうした環境の中での雇用関係は、より密接なコミュニケーションが必要となる。
上記sourceだけでは、チェーン店と従業員の間にどれだけの対話の積み重ねがあったのかは不明だ。労組がバックアップしているのだから、もう少しお互いに辛抱強く対話を重ねた方がよかったのではないかと思う。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | California vs. Texas in fight to attract and retain businesses (Los Angeles Times) |
アメリカ州知事が雇用の増大、企業の誘致を最優先課題としていることは、当websiteでは何度も紹介してきた。
上記sourceは、州境は接していないものの、California州とTexas州が互いを意識しながら誘致合戦を繰り広げていることを紹介している。
TX州は、2003年にトヨタの製造工場誘致に失敗しかけたところから、企業誘致のインセンティブがもっと必要だとして、Texas Enterprise Fundという基金を設けて財源を確保している。最近では、トヨタが北米本社をCA州のTorranceからTX州のPlanoに移転することを決定したことから、今年、当Fundからトヨタに対して$40Mを提供している。ちなみに、2011〜2012年にTX州への誘致に成功したケースのうち、1/5はCA州からの移転であった。
これに対して、CA州は、2013年より"California Competes Program"を開始し、TX州同様の誘致策を講じている。ただし、こちらは補助金ベースではなく、税額控除をベースとしており、業績がちゃんと上がらないとインセンティブが受けられない仕組みになっている。
このように、両州はライバル意識をむき出しに誘致合戦を繰り広げているわけだが、両州の誘致策に対する批判には厳しいものがある。本件で面白いのは、ブルー・ステイツとレッド・ステーツで同じような政策を採用しながら、同じように批判を受けている、という点である。企業誘致は州知事の最大の政策課題との共通認識がありながら、その効果のほどはあまり語られていない実態が浮かび上がってくる。裏を返せば、企業誘致を上回るような、雇用増のための決定的な施策が見つからない、とも言える。
- 企業誘致に伴う雇用の増加はそれほど大きくもないのに、州民の税金を大量に使うことはよいのか?
- 支援を受けた企業が結局は雇用目標を達成できず、しかも補助金の返還もままならないという状況はよいのか?
- 支援対象が大企業に偏っていないか?
※ 参考テーマ「労働市場」
8月20日、CalPERS理事会は、2013年1月1日以降採用の州・自治体職員の年金給付水増し策を決定した。
『水増し策』とは、年金給付額の算定対象となる報酬について、本給、基本給に加え、様々な付加的な報酬を加えようとするものである。付加的な報酬として認められたのは99種類もあり、その中には、"temporary upgrade pay"といって、偶々上司がいなかった場合に、その職務を委嘱され、その対価として支払われるような報酬も含まれている。
CA州は、2012年に州政府職員年金の法改正を行ない、高水準の給付額への批判に対応するため、『退職直前に超過勤務や有給休暇などを使って年金額を水増しすることを禁止する』といった規定を盛り込んだ(「Topics2012年9月5日 CA州年金改革法案可決」参照)。"Temporary upgrade pay"などは、アドホックな報酬の典型であり、付加的な報酬を幅広く年金給付算定に含めようとするのは、法改正の趣旨に反する。
CA州知事は、このような決定に反対を表明している。また、理事会メンバーの中でも州知事の指名により就任したメンバーは反対票を投じた。
しかし、CalPERS自体は、『文句があるなら法改正すればいい』と、決定自体の見直しを否定している。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Sources : |
Audit: 'Obamacare' tax not meeting revenue target (AP) Medical device tax missing revenue mark (The Hill) |
PPACAの財源として、医療機関等で利用されている医療機器に2.3%の売上税が課されることになっている。2013年1月から施行され、8月19日に税収動向が公表された。ポイントは次の通り。見込み額よりも24%も少ないのである。もしこのままいってしまうと、10年間で$29Bを見込んでいるので、約$7Bも不足してしまうことになる。
2013年1-2Q IRS見込み 実 績 申告件数 9,000〜15,600 ⇒ 5,107 納税額 $ 1.2 B ⇒ $ 913 M
税収が見込み通りに集まらない理由として、などが挙げられている。
- 課税対象となる製造業者の定義が明確にできていない
- 紙ベースでの申告書のチェックができず、間違いが多い
法律が制定されてから3年も経って、課税の実務が定まらないというのは、日本では考えられないことだ。
この公表を受けて、連邦議会では、共和党はもちろん、民主党の議員でも、課税の公平性が確保できないなら課税はやめてしまえという意見が強まっているが、その代替財源に触れる議員はいないそうだ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Skipped Your College Internship? You're Far Less Likely to Get a Job in Business (Businessweek) |
上記sourceによると、インターンシップを経験している学生とそうでない学生との間では、企業側からのオファーが来る確率が明らかに違う。 特に、金融関係、コンサルタント業務などの企業ではその傾向が強く、逆に、広告業界や非営利機関などは、そのギャップが縮小する。
ただし、金融関係やコンサルタント業務の企業は、オファーのタイミングが早いこともあるようで、実際には就職先が確定している学生はまだ半分程度しかいないらしい。
いずれにしても、インターンシップを経験している方がオファーの確率が高いことには違いない。それも、有給インターシップの方が圧倒的に有利ということだ。(「Topics2013年6月6日 有給インターンシップ」参照)
※ 参考テーマ「教育」
Source : | Hospitals Reconsider Charity For Patients Who Decline Health Coverage (Kaiser Health News) |
上記sourceによると、医療機関(大きな病院)には、低所得の受診者に対する援助プログラムが用意されている。上記sourceを読んでいると、FPLの2倍以下の家計所得の場合が援助プログラムの対象となっていることが多いようだ。不法移民についても、"Emergency Medicaid"というプログラムが用意されており、アメリカの医療機関は、福祉的な事業の実施を求められているところがある(「Topics2013年2月19日 Emergency Medicaid」参照)。
- 数十年も前から行われている援助プログラムもあるが、多くは、90年代に起こった医療機関による厳しい取り立てへの批判に対応するために設立された。
- 非営利の医療機関は、代金の取り立てに移る前に、可能な限り受診者への援助を検討しなければならないと法定されている。
- また、低所得者に請求する場合でも、診療費そのものを請求することはできず、一般に保険加入していた場合に生じる負担に近いものとしなければならない。
- 援助プログラムを用意している医療機関は、その内容を公開しなければならない。
ところが、PPACAが本格施行となり、個人の保険加入義務が課され、Medicaidの加入資格の拡充も行われている中、本人の意思で保険加入していない人にこうした援助プログラムを適用するのは公平ではない、との意見が広まっている。
一方、保険加入して保険料補助金(tax credit)を受けられるとしても、高免責額の負担等で医療費の負担がままならないため、やはり保険加入を諦める場合も出てくる。そうした場合、援助プログラムの提供は依然として有効だとの考え方も示されている。
今のところ、大手医療機関で具体的な見直しを検討すると表明しているところはないようだが、上述のような公平論は真っ当である。医療機関としては、90年代のような批判を浴びないような形でゆるりと援助プログラムを縮小していくことになるだろう。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Better-paying jobs stage a comeback (Washington Post) |
雇用の回復は、専ら低賃金職に拠る所が大きいと言われている(「Topics2014年8月17日 低賃金職への移行」参照)。ところが、今年に入ってから、高賃金、中賃金の職が増えているというのが、上記sourceの主張である。ポイントは次の通り。プロサービス職の雇用増は、CA州でも顕著に見られている現象である(「Topics2014年8月4日(1) CA州:プロサービス職が急増」参照)。こうした明るい材料が増えてくれば、アメリカ経済に力強さを感じられるようになるだろう。
- 時間当たり賃金で3つのクラスに分けて雇用者数の増減を見ると、現在の雇用回復期においては、低賃金職の増加が大きく貢献している。
- しかし、最近の数ヶ月で見ると、$20/h以上の高・中賃金職の雇用が増加している。
- 昨年末以降、プロサービス専門職などの高賃金職が増加している。
- 同時に、製造業、運輸、建設などの中賃金職も増加している。
※ 参考テーマ「労働市場」