6月10日(1) CO州:Clean Stateに
Source :Colorado becomes 7th state with a 'clean slate' law (HR Dive)
5月31日、Colorado州(CO)で、Clean State Act (SB22-099)が成立した。同法は、過去の犯罪履歴を一定期間後に「自動的に」非公開とするものである。犯罪の軽重により、『一定期間』の長さは決まってくる。殺人、強盗などの凶悪犯罪には適用されない。これにより、採用候補者のバックグラウンドチェックができなくなる。

こうした法律が成立した背景には、圧倒的な労働者不足がある。全米で犯罪歴のある国民は7,000万人以上いると言われていて、こうした人々の労働市場参加を促そうという主旨である。

当websiteで紹介してきたもので、"Ban the Box"法がある(「Topics2020年6月17日 "Ban the Box"の広がり」参照)。しかし、これには限界があり、企業の方で経歴調査をしようと思えばいくらでもできる(「Topics2018年3月29日 経歴調査規制」参照)。"Clean State"法は、その経歴を非公開にするので、より強力な手法である。

CO州は、7番目の"Clean State"だそうで、これまでに、Pennsylvania, Utah, Michigan, Connecticut, Delaware, Oklahomaの6州で同様の法律が成立している。"Clean State"を推進する団体まであるのには驚いた(Clean State Initiative)。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

6月10日(2) 上院版SECURE 2.0法案
Source :Senate HELP Committee releases SECURE 2.0 retirement bill (Mercer)
6月7日、連邦議会上院Health, Education, Labor and Pensions Committee (HELP)に、上院版SECURE 2.0法案(The Retirement Improvement and Savings Enhancement to Supplement Healthy Investments for the Nest Egg (RISE & SHINE) Act)が提出された(「Topics2022年4月1日 SECURE 2.0下院可決」参照)。HELP委員会は、6月14日にも賛否を問う投票を行なう予定だ。

連邦議会上下両院とも、本件に関しては、今年後半、レームダック期間に投票を行なうそうだ。対決法案ではないから、あとでもよいということなのだろう。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制

6月9日 地方政府年金の"Legacy Debt"
Sources : Forensic Analysis of Pension Funding: A Tool for Policymakers (Center for Retirement Research)
Legacy Debt in Public Pensions: A New Approach (Center for Retirement Research)
地方政府年金の財政状況の二分化が進んでいる(「Topics2019年10月3日 地方政府年金の財政状況」「Topics2019年12月27日 自治体職員年金格差拡大(2)」参照)。財政状況改善のために、地方政府は様々な手を打っている(「Topics2017年1月6日 金融危機後の地方年金改革」参照)。新規雇用者の加入について変更を加えたり、確定拠出型(DC)プランの選択肢を提供する地方政府も出てきている(Pensions & Investments)。

Vermont州は、州職員全員がDCプランへの移行を選択できるようにすることを検討している。これらの方策は、DBプランの積立不足を縮小させ、DBプランの財政状況を改善させようとすることを目的としている。

ところが、上記sourcesは、こうした方策に闇雲に着手する前に、現行DBプランの積立不足を2つに分け、それぞれに対応する方策を採るべきだと主張している。そのポイントは次の通り。
  1. Massachusetts州(MA)職員年金の歴史を振り返ってみると、当初の財政方式は賦課方式(Pay-go)であったが、1982年以降、数理計算に基づく積立方式(Actuarial)に移行した。2000年には積立比率が95%にまで改善したが、2021年のそれは67%にまで低下している。
  2. いくつかの州政府年金を精査してみると、いずれも当初は賦課方式または簡素な数理計算に基づく方式からスタートし、その後、現代的な数理計算に基づく積立方式に移行している。
  3. (賦課方式から積立方式に移行すると、現役世代に二重負担が発生する。現役世代は、年金受給者への給付と同時に、自らの世代の将来受給のための負担をしなければならないからだ。)

  4. 現代的な数理計算に基づく積立方式に移行するまえの給付債務は、"Legacy Debt"として、現在の給付債務から分離すべきである。

  5. "Legacy Debt"は、現在の積立不足の約40%を占める(CRR Special Series on Legacy Pension Debt)。
  6. "Legacy Debt"の解消には数十年という長い期間をかけ、現在の現役世代だけではなく、多くの世代を超えて負担するようにすべきだ。

  7. 給付債務、拠出金の算出に使う利子率については、(見込み)投資収益率ではなく、地方政府発行債券の利子率とすべきである。
要するに、企業年金と異なり、存続可能性の高い地方政府年金については気長に債務解消を図るべきだ、という主張だ。

上記3.(~)は、管理人の記入である。この二重負担問題については、いつまでも記憶に残る苦い経験がある(「国民が信頼できる公的年金制度の再構築を」1998年7月21日)。報酬比例部分の積立不足(当時350兆円)は政府の責任において解消すべきとしたが、政府に打ち出の小槌がある訳ではなく、何らかの国民負担が必要になる。当初の試算では、『100年かけて解消』を前提としていたが、「そんなに長くかけていては改革にならない」との幹部の意見から、『40年かけて解消』と変更した。そうなれば、次世代の負担は当然のことながら極めて重くなってしまう。非現実的な提案内容になってしまうことから、試算は非公表とした。あの時、もう少し頑張って、上記内容と同様、複数世代にわたって解消すべきことを主張すれば、もう少しましな年金制度改革ができたのではないかと、悔やまれる。

※ 参考テーマ「地方政府年金

6月8日 PBM寡占化
Source :Providers urge FTC to probe PBM practices (Modern Healthcare)
各州で、薬価抑制策として、"Pharmacy Benefit Management(PBM)"への規制強化が進んでいる(「Topics2022年4月27日(1) 州薬価抑制策トレンド」参照)。その背景には、PBMの寡占化が進んでいることがあるそうだ。しかも、保険会社の傘下に入ったPBMが市場を占有している。上記sourceによれば、下表のPBMだけで、市場の約80%を占めているという。
保険会社PBM
UnitedHealthOptum
CignaExpress Scripts
CVS HealthAetna
CVS Caremark
このため、全米医師会、医薬品販売協会、全米病院会などが、FTCに対して、市場寡占の弊害が出ているとして、PBMの規制強化を訴えている。つい6~7年前に、FTCはPBM市場に寡占は生じていないと分析していたのに、もうこんな有様になっている(「Topics2015年7月18日 Pharmacy Benefit Management」「Topics2015年9月26日 独立系PBMの行く末」参照)。

※ 参考テーマ「医薬品

6月7日(1) 2022年保険料返還額推計
Source :2022 Medical Loss Ratio Rebates (KFF)
2021年のMLR及びそれに基づく2022年保険料返還額の暫定推計が公表された(「Topics2021年4月15日 2021年保険料返還額推計」参照)。

2021年のMLR推計は、次のようになった。
2019年、2020年、2021年のMLR推計に基づく2022年保険料償還額は、次のように推計されている。
2020年、2021年の個人保険プラン償還額が大きく膨らんだが、コロナ感染症拡大の影響があった可能性がある。そこを除けば、各保険プランとも、償還額が縮小してきており、徐々に保険料設定が合理的なものに近づきつつあるものとみられる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

6月7日(2) VA州:退職貯蓄プラン23年7月始動
Source :Virginia’s State-Facilitated Private Retirement Program Scheduled to Launch in 2023 (Virginia529)
Virginia州(VA)で、2023年7月1日から、州立退職貯蓄プランの運営が始まる(「Topics2020年2月21日 VA州:退職貯蓄プラン調査法案」「Topics2021年5月27日 州立退職貯蓄プランの現状」参照)。制度概要は次の通り。
  1. 名称は"RetirePath Virginia"。

  2. 制度設立・運営は、Virginia529に委託。

  3. 運営管理会社はVestwell、資産運用会社はBlackRock。

  4. パイロットプログラムは、2023年初めに運営開始予定。

  5. 2023年7月1日までに、段階的に加入手続きを開始。

  6. 貯蓄口座は、IRA。

  7. 次の要件を満たす企業は、制度に参加しなければならない。
    1. 従業員25人以上
    2. 企業活動2年以上
    3. 退職貯蓄プランを提供していない。

  8. 加入企業負担はない。

  9. 従業員の加入は任意。
※ 参考テーマ「地方政府年金

6月6日 SB社がNY店舗を閉鎖
Source :Starbucks union says the coffee giant is closing a store to retaliate (NPR)
Starbucks店舗での労組結成の動きが続いている。上記sourceによれば、昨年12月から5月初めの間に、230以上の店舗で労組結成投票の申請が行われ、そのうち50余りの店舗でStarbucks Workers United加盟投票が行われた。

そのような店舗のうちの一つ、NY州Ithacaにある店舗について、Starbucks社は6月10日に閉鎖すると発表した。この店舗では既に4月8日に労組結成投票を行なっている。Starbucks Workers Unitedは、労組結成の動きに対する懲罰行為であり、NLRBに対して違法だと訴えた。

この店舗では、グリース・トラップがあふれて労働環境の安全性が保たれていないことを理由に、4月に従業員達が一日ストライキを実施した。

Starbucks社は、このグリース・トラップの不具合を店舗閉鎖の理由の一つに挙げるとともに、店舗閉鎖は労組結成の動きと無関係で店舗の閉鎖、開店は通常の企業活動の一環であると述べている(Bloomberg)。

ちょっと苦しい言い訳に聞こえる。

※ 参考テーマ「労働組合

6月5日 労働市場はタイト
Source :The job market stays red-hot with the unemployment rate near a pre-pandemic low (NPR)
6月3日、雇用統計が公表された(BLS)。5月の雇用増は39.0万人となった。3月、4月は合計で2.2万人の下方修正となった(「Topics2022年5月9日 雇用者数ほぼ回復」参照)。 幅広い業種で雇用増となったものの、小売業で雇用の減少が起きている。
失業率は3.6%で3ヵ月連続の横ばい。
2020年4月にパンデミックにより失われた雇用は20.5M人、それ以降の雇用増は合計で21.2M人と、それを上回った。
長期失業者(27週以上)の割合は23.2%となり、低下傾向は続いている。
労働市場参加率は62.3%と、再び上昇した。
中でも25~54歳の労働市場参加率は82.6%と急上昇を続けている(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は再び減少した。
※ 参考テーマ「労働市場

6月3日(1) 年金/Medicare延命
Source :A SUMMARY OF THE 2022 ANNUAL REPORTS (SSA)
アメリカ連邦政府は、6月2日、Social Security & Medicareの財政見通しを公表した(DOT Press Release)。

基金枯渇時期については、公的年金(OASI)は昨年の予測よりも1年延びて2034年、Medicare Part A(HI)は2年延びて2028年となった(「Topics2021年9月1日(3) 公的年金/Medicare基金」参照)。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare

6月3日(2) 同性婚の支持率上昇
Source :Same-Sex Marriage Support Inches Up to New High of 71% (GALLUP)
『同性婚を伝統的結婚と同様に法的に認知すべきだ』との考え方を支持する割合は、着実に上昇してきている。わずか四半世紀の間に、支持率は27%から71%に到達している。
実際、連邦最高裁が同性婚の権利を認めてから、同性婚の件数は増えてきている(「Topics2021年2月26日 同性婚増加」参照)。

ただし、キリスト教信仰の深さによって、その支持率は大きく分かれる。
「妊娠中絶の次は同性婚か」との憶測が広がっているが、これだけ社会に根付きつつある権利を消滅させることは難しいのではないか(「Topics2022年5月20日(1) 意見書案漏出の波紋」参照)。

※ 参考テーマ「LGBTQ

6月2日 新規採用は依然厳しい
Source : Job openings in April remain near record highs, U.S. employers report (Washington Post)
Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
6月1日、BLSが、4月末の求人数を発表した。4月末の求人数は1,140万人で、依然として高水準となっている(「Topics2022年5月4日 求人数最高水準」参照)。

BLS
労働力人口に占める求人数の割合は7.0%と、こちらも依然として高水準を保っている。

BLS
また、新規雇用数は658万人となり、若干の減少となった。

BLS
失業者数/求人数は、3月末と同じ0.5となった。

BLS
3月の自発的失業(Quits)は444.9万人、4月は442.4万人(P)と、依然として高水準が続いている。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2022年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2022年
こうした中、時間給は、3月と同様、前年比6.0%増と大幅に上昇している。また、転職した人達の賃金は3月よりもさらに上昇し、7.2%増となった。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
こうした状況を踏まえ、企業経営者たちは、『例え出来の悪い従業員がいたとしても、今の時期に解雇して新たな従業員を雇い入れようとするのは時間の無駄で、コストもかさむ』と判断している(Washington Post)。

※ 参考テーマ「労働市場