11月9日 2024年MAラインアップ
Source :Medicare Advantage 2024 Spotlight: First Look (KFF)
2024年のMedicare Advantageのラインアップが揃ったということで、KKFが調査結果を公表した。ポイントは次の通り。
  1. 平均的なMedicare加入者は、43プランの中から選択できる。この水準は2023年と同じである。
  2. Medicare加入者の1/3は、10以上のプランから選択できる。
  3. 提供されるMedicare Advantages プランの総数は若干減少。
  4. ただし、大手保険会社が提供プラン数を増やしている。
  5. 特に、上位2社(HumanaとUnitedHelthcare)で全米のほとんどをカバーする。Humanaは全countyの90%、UnitedHealthcareは87%でプラン提供する。両社とも進出していないcountyはわずかに5%しかない。
今後は、実際のプラン加入者数が注目される(「Topics2022年8月26日(1) Medicare Advantge隆盛」「Topics2022年10月25日(2) Medicare Advantageの課題」「Topics2023年4月5日(2) 2024年MA診療報酬」参照)。

※ 参考テーマ「Medicare

11月8日 SB社非組合員のみ報酬改善
Source :Starbucks increases U.S. hourly wages and adds other benefits for non-union workers (NPR)
2021年以降、労組結成を決定したStarbucks店舗は366に達した(「Topics2022年12月13日(1) SB労組結成総括」参照)。しかし、いずれも労使協定締結には至っていない。

そうした中、11月6日、Starbucks社は、時間制従業員の報酬、ベネフィットの引き上げを発表した(News)。
  1. 現行の時間給は、平均$17.50/h(2023年1月1日~)。

    • 就労期間4年以下の従業員(全員):勤務年数に応じて時間給を3~4%引き上げる。

    • 就労期間5年以上の従業員(非労組店舗従業員のみ):時間給を5%引き上げる。

  2. 長期休暇取得可能者を勤続1年から90日に大幅短縮する(非労組店舗従業員のみ)。
同社によれば、労組結成店舗の従業員については組合との労使協議が必要で、合意に至っていないので対象にならない、ということだ(「Topics2022年10月3日 SB社の対労組ベネフィット戦略」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合」、「ベネフィット

このように、組合員と非組合員の間で報酬に差を設けることについて、>NLRBは当然のことながら違法と判断している。 11月7日 週4日制は伸びるも低水準
Source :October 2023 US Labor Market Update: 4-day Workweek Postings Increasing, but Are Far From the Norm (Indeed Hiring Lab)
上記sourceは、Indeedが自社の広告を分析して労働市場の動向を調査しているIndeed Hiring Labが公表したものである。それによれば、採用広告で週4日勤務を謳っている割合は相当伸びてはいるが、一般的と認識されるにはほど遠い水準だ。
  1. 週4日勤務を謳っている割合は、3年前に比べれば相当増えているが、その水準は0.3%弱に過ぎない。
  2. 職種別にみると、歯科医、獣医、医師、製造業、運送業などが目立つ。
直接現場に行かなければ仕事にならない業種が多い。逆に言えば、在宅勤務等がやりにくい業種で広がりつつあるということだ。全体を見渡して、オフィス勤務の事務職にはなかなか広がらないと見られている。

そう言えば、UAWも週4日勤務制を要求していた(「Topics2023年9月14日(1) 大統領とUAWの溝」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

11月4日 ストが雇用統計に影響
Source :Job growth slowed last month, partly over the impact of the UAW strikes (NPR)
11月3日、雇用統計が公表された(BLS)。10月の雇用増は15.0万人となった(「Topics2023年10月9日(3) 労働需要は依然強い」参照)。
雇用者数は156.9M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。若干勢いは弱まったものの、相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は3.9%で0.1ppt上昇した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.7%とわずかに低下。依然として、コロナ禍以前と比べて低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率も83.3%で0.2ppt低下(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数も減少した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、19.8%と上昇した。
全体的にUAWの長期ストが影響をもたらしたようだ(「Topics2023年10月30日(1) Ford, Stellantis暫定合意」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

11月2日(1) 求人数は依然高水準(2)
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
11月1日、BLSが、9月末の求人数を発表した。9月末の求人数は955.3万人で、前月比5.6万人の微増となった(「Topics2023年10月4日(2) 求人数は依然高水準」参照)。依然として高水準が続いている。
労働力人口に占める求人数の割合は5.7%で横ばい。
新規雇用数は587.1万人と、微増となった。
失業者数/求人数は、0.7で横ばいだった。
9月の自発的失業(Quits)は366.1万人と、ほぼ横ばいとなった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2023年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、9月の時間給をみると、伸び率の収束が続いている。引き続き5%台の伸びが続いている。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場

11月2日(2) 政策金利据え置き
Source :The Fed held interest rates steady - but the fight against inflation is not over yet (NPR)
11月1日、FOMCは前回に続いて政策金利の据え置きを決定した(「Topics2023年9月21日(1) 政策金利は据え置いたが」参照)。ただし、インフレリスクに対しては警戒を緩めていない(FOMC Statement)。

次のFOMC会合は、12月12~13日である。

※ 参考テーマ「労働市場

11月2日(3) Medicaid資格更新19.3%
Source :Medicaid Enrollment and Unwinding Tracker (KFF)
11月1日、Medicaid資格更新状況について情報が更新された(「Topics2023年10月25日(1) Medicaid資格更新17%」参照)。
  1. 加入資格の更新が認められた:1,819.5万人。3月時点のMedicaid加入者(9,400万人)の19.3%。
    加入資格の更新が認められなかった:1,004.6万人。同上の10.7%。

  2. 各州別は次表の通り。TX州での資格否認割合が高いことが目立っている(「Topics2023年10月3日 TX州:Medicaid資格審査」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

11月2日(4) 年金基金枯渇対策の選択肢
Source :Reforming Social Security Sooner Rather Than Later (American Academy of Actuaries)
現在の制度のままでは、公的年金の基金は2034年に枯渇し、年金給付は%削減されることになる(「Topics2022年9月29日(2) 年金基金枯渇のインパクト」参照)。上記sourceは、この給付削減を回避するための選択肢を紹介している。
  1. 年金保険料率を労使とも現行の6.2%から7.75%(2034年)に引き上げる。しかし、これでは急激な負担増となるので、毎年少しずつ料率を引き上げる方が現実的である。
  2. 年金保険料(Social Security Tax)の課税対象所得上限(現行$160,200)を撤廃する。これだけでは、給付削減回避に必要な財源の78%にしかならない。
    急激な負担増を回避するために、現行上限以上の所得に対する課税率を1%ずつ上げることも考えられるが、当然、財源は大きく不足する。

  3. $400,000以上の所得に課税するとしても必要財源の55%にしかならない。

  4. 投資収益も課税対象に加える。1%ずつ税率を上げるとしても、早急に制度化しなければならない。

  5. 投資基金を設立する(「Topics2023年5月14日 公的年金に投資基金創設案」参照)。これは必要財源確保には効果なし。

  6. 州政府・自治体職員も連邦公的年金に加入させる。必要財源確保には効果なし。

  7. 年金給付を課税対象に加える。これも必要財源確保には効果なし。

  8. 高額所得者の給付を削減する。必要財源の数%にしかならない。

  9. 支給開始年齢を引き上げる。これも必要財源の数%にしかならない。

  10. 物価スライドを0.3%ずつ引き下げる。必要財源の約8%にしかならない。
上述の選択肢の財源確保効果を一覧にすると次のようになる。
いずれにしても、かなり思い切った策を組み合わせるしかなさそうだ。

※ 参考テーマ「公的年金改革

11月1日(1) 賃金上昇率は落ち着き
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
10月31日、9月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比4.3%増と、6月に較べて僅かに伸び率は低下したが、相変わらず大きな伸びが続いている(「Topics2023年7月31日 ECIは伸び率4.5%」参照)。
  2. 民間セクターの賃金の伸び率は下げ止まった感じだ。
  3. 賃金の足許の3ヵ月前との比較では、公的部門で大きく伸びている。
    ※ 参考テーマ「労働市場

11月1日(2) Exchange加入手続き開始
Source :Open enrollment starts this week for ACA plans. Here's what's new this year (NPR)
11月1日より、来年のExchange加入・継続手続きが始まる。今年の注目点は次の2点。
  1. Medicaid加入資格がなくなったと判定された人達が、どれだけExchangeに移って加入できるか(「Topics2023年10月25日(1) Medicaid資格更新17%」参照)。

  2. 保険料引き上げ(中位数:6%)が加入者数にどれだけ影響するか(「Topics2023年8月8日(2) 2024年Exchange保険料」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル