Source : | Stocks sink despite Friday's report that hiring cooled in September (NPR) |
10月7日、雇用統計が公表された(BLS)。9月の雇用増は26.3万人となった(Employment Situation Summary Table B. Establishment data, seasonally adjusted)。8月53.7万人、9月31.5万人と、増加幅の減少がみられる(「Topics2022年9月3日 やはり労働市場は加熱」参照)。
労働市場の過熱状態は、僅かだが冷却され始めたようだ(「Topics2022年10月5日 労働需給逼迫は緩和方向」参照)。
雇用者数は153.0M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。 業種別では、製造業の増加数が低下してきている。バー/レストラン、医療などが6万人増と強い増加をみせている。 失業率は3.5%に低下したが、これは労働力人口が5.7万人減少したことが影響している(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。 労働市場参加率は、8月62.4%(下方修正)、9月62.3%とわずかに低下した。 25~54歳の労働市場参加率も82.7%と8月に較べて0.1%の微減となった。それでも、参加率上昇傾向は続いているように見える(BLS)。 労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は増加。 長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合はさらに低下し、18.5%となった。 ※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | 2023 Changes for State Paid Family & Medical Leave: Colorado, Oregon, New York, and More (Sequoia) |
州の有給FMLについて、2023年の制度変更がまとめられている。※ 参考テーマ「FMLA」
- Oregon州
2023年1月1日から、制度への拠出が始まる(「Topics2022年4月24日(2) OR州有給FMLA運営開始近づく」参照)。従業員25人以上の企業では、拠出率は総賃金の1%。企業負担が4割、従業員負担が6割。従業員24人以下の企業では、従業員負担のみ0.6%。企業負担はないが、従業員負担分の源泉徴収義務を負う。
加入者が実際に有給休暇がとれるようになるのは、2023年9月3日から。
- Colorado州
制度への拠出開始は、2023年1月1日から(「Topics2022年8月18日(2) CO州FMLI骨子」参照)。対象は全企業。従業員10人以上の企業では、拠出率は従業員賃金の0.9%。企業負担割合は50%で、それ以上の負担も可。従業員9人以下の企業では、企業負担はないが、従業員負担0.45%分の源泉徴収義務を負う。
- New York州
2023年の拠出率は0.455%(「Topics2017年9月4日 NY有給病気休暇」参照)。2022年の0.511%から引き下げられる。
Source : | Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS) |
10月4日、BLSが、8月末の求人数を発表した。8月末の求人数は1,010万人で前月比大幅減少となった(「Topics2022年8月31日(2) 失業者数/求人数は横這い続く」参照)。 労働力人口に占める求人数の割合は6.2%と、こちらも急落した。 新規雇用数は628万人となり、7月が下方修正されたため、前月比微増となった。 失業者数/求人数は、0.6と上昇した。上述の求人数減少を反映して、労働需給の若干の緩和を示している。 8月の自発的失業(Quits)は415.8万人と、前月比増加したが、トレンドは低下傾向を示している。Quits level, Total nonfarm - 2019~2022年こうした中、8月の時間給は、3ヵ月連続で前年比6.7%増と大幅上昇が続いている。一方、転職した人達の賃金は前年比8.4%増、職に留まった人たちの時間給は5.6%増と、上昇率には歯止めがかかりつつある。
Quits level, Total nonfarm - 2007~2022年
FRBの異例の金融引き締め策が奏功し始めたようだ。また、インフレに伴い退職を遅らせる動きも影響しているかもしれない(「Topics2022年10月2日 インフレで退職遅延」参照)。
Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Starbucks workers have unionized at record speed; many fear retaliation now (NPR) |
Starbucks(SB社)店舗における労組結成は、相当なスピードで進んでいるという。しかし、SB社の全店舗は9,000にのぼり、労組結成に賛成となった店舗は全体の3%にも満たない。しかも、労組結成選挙の申し込みは激減しており、8月の申請数はわずか8件にとどまった。
- 全米で300以上の店舗で、労組結成を問う選挙が行われた。
- そのうちの約80%にあたる245店舗で賛成が上回った。
このような労組結成の動きを阻む効果をもたらしたのが、SB社のベネフィット戦略だと、上記sourceは紹介している(「Topics2022年4月17日 Starbucks:アンチ労組戦略」参照)。SB社が5月に公表した主な処遇改善策は、次の通り。特に4.の効果は大きかったそうだ。それまでSB社の決裁システムでは、クレジットカードによるチップ受け取りができないようになっていたからだ。
- 賃金引上げ
- 病欠休暇賦与の早期化
- 教育訓練機会の増強
- クレジットカードによるチップの受け取り
そして、これら処遇改善策は、労組が結成されていない店舗のみに適用されている。労組を結成した店舗では、こうした改善策を受け取れないことを、新入社員が不満に感じている。
SB社は、先週、労組を結成した234店舗にレターを発出し、10月中に労使交渉を開くよう呼びかけた。しかし、これとてすぐに交渉妥結とはならないだろう。
SB社は労組結成阻止のために、ベネフィット戦略を活用している。
※ 参考テーマ「労働組合」、「ベネフィット」
Source : | Workers Delaying Retirement Has Doubled Since Last Year (PLANSPONSOR) |
今の高インフレ(「Topics2022年9月14日 CPI足許加速」参照)は、退職時期に大きな影響を与えているらしい("2022 Nationwide In-Plan Lifetime Income Survey")。実際に退職時期を遅らせる従業員が増えれば、年金財政や採用計画にも影響をもたらすことになる。
- インフレが年金生活、年金所得に大きな影響を与えると懸念すると考える従業員は66%となり、昨年よりも13pptも上昇した。
- その結果、当初の予定よりも退職時期を遅らせると考える従業員は40%に達した。昨年、コロナ禍で退職時期を遅らせると考えていた従業員に較べると、倍増した。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「DB/DCプラン」、「人事政策/労働法制」