Source : | DeSantis wants to end Disney World's special status in Florida (NPR) |
3月28日、Florida州で、"Don't Say Gay"法案が成立した(「Topics2022年4月11日 Don't Say Gay'法案の広がり」参照)。同法案を巡って、FL州最大の企業の一つ、Disneyは、立場を鮮明にしなかったため、従業員やコンテンツ作家達から非難を浴びていた(「Topics2022年3月11日(2) 'Don't Say Gay'法案」参照)。
こうした状況の中、同法案が議会で可決(3/8)した後、3月9日、DisneyのCEOはFL州知事(Ron DeSantis)に電話し、同法案可決に失望するとともに、内容を懸念していると伝えた(3/10 NPR)。さらに、3月11日、同社は、FL州における政治寄付を停止すると発表した。ちなみに、2020年、同社はDeSantis州知事に対して、5万ドルを直接寄付していた(3/11 POLITICO)。
これに対して、DeSantis州知事は「Disneyは"woke" companyになった」と批判している。それだけでは収まらず、州知事と州議会共和党は、議会日程を延長して、Disney Worldに対する優遇措置を全廃する法案を審議しようとしている。
Disney Worldを建設する際、当時の共和党知事と議会は、州法により特区("Reedy Creek Improvement District")を指定し、そのほぼ全域の管轄をDisneyに委託するとともに、州の規制をほぼ免除にした。例えば、不動産税やエレベーターの検査まで免除されている。
この州法案が可決、成立すれば、Disney Worldの入場料の引き上げ、従業員の解雇は必須だろう。一方、来場者の方は、入場料の値上げで減る部分もあろうが、"Don't Say Gay"法に反対する企業として応援する意味で増える部分もあるかもしれない。
いずれにしても、Disneyにとっては政治リスクが現実化して、一時的にせよ経営に不透明感が出てくることは避けられない。
※ 参考テーマ「LGBTQ」
Source : | Special Financial Assistance Applications (PBGC) |
4月19日、PBGCは3つの複数事業主年金プランに対してSFAを適用することを決定した(Press Release Number 22-11, 22-12, 22-13)。 SFAは、ARPのもとで定められた複数事業主プラン救済策で、昨年12月から適用が決定されている(「Topics2021年7月16日 複数事業主プランへの支援策」、「Topics2021年12月22日(2) 複数事業主プラン救済第1号」参照)。
上記sourceは、その申請状況をリスト化したものであり、数えてみると、上述の3つのプランを含めて全部で13のプランが救済対象として決定されている。救済策対象となる可能性のあるプランは約250あると言われているが、救済が決定したプランはわずかにその5%に過ぎない。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | Starbucks is weighing better benefits for employees but says they could exclude union workers (CNBC) |
Starbucks経営陣は、次のようなアンチ労組戦略を描いているどいう。労組との交渉に時間がかかるからということだろうが、組合員だけを除外することは差別と認定されるだろう。時間差だけの問題だとは思うが、従業員にとっては結構いやらしい提案だ。
- 労組結成を阻止するため、従業員の処遇を改善しようと考えている。
- その際、労組を結成した従業員は対象から除外する。
- 何故なら、労組を結成した従業員の処遇変更は、法令上、組合との交渉が必要になるからだ。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | Starbucks workers win streak of union elections, with no sign of slowing (NPR) |
Starbucksの労組結成の動きが止まらない。上記sourceによれば、既に20店舗で労組が結成され、4月14日には21店舗目が決まるかもしれない。さらに、全米200店舗以上で労組結成のための投票が検討されている。
Starbucksと言えば、逸早く最低賃金の引き上げに動いた(「Topics2020年12月17日 Starbucksの最低賃金」参照)、大学教育支援も手厚い(「Topics2014年6月19日 スターバックスの学士取得支援策」参照)など、従業員の待遇が充実しているという印象であった。加えて、Starbucksの先進的な企業文化が若者に受けていたと思われる。
それなのに、なぜこれほど急速に労組結成の動きが広がったのか。上記sourceは、その原因の一端を紹介している。従業員達は、何よりも自分たちの意見をもっと会社が聞いてくれ、と切望している。その結果が労組結成につながったようだ。
- コロナ禍に対応して、感染拡大防止策を従業員で話し合ったが、マネージャーはその対策案を採用せず、顧客が店舗内に入店できる状況を続けるよう命じた。また、マスクの着用を巡って顧客との間のトライブルが頻発した。病欠スタッフの補充が行なわれなかった。これらの影響で、従業員の企業に対する好感度が急速に低下した。
- 従業員には賄いが認められていたが、昨年秋から禁止となった。ところが、その後、Starbucksは空前の好業績を上げ、当時のCEOの報酬は40%増となった。
- 従業員達は、賃上げとともに、チップを受け取りやすいアプリの導入、シフトの合理化、店舗面積の拡大などを求めている。
- 店舗マネージャーによる反組合活動が、脅迫的であった。
※ 参考テーマ「労働組合」
Sources : |
Maryland Becomes Tenth State to Enact Paid Family Leave Law (Seyfarth Shaw LLP) Maryland Becomes the Tenth State to Pass a Paid Family Leave Law (Hunton Andrews Kurth LLP) |
4月9日、Maryland州(MD)議会で、有給FMLA法案 "Time to Care Act of 2022"(SB 275)が可決され、成立した。
同法案は、3月31日にMD州議会で可決され、州知事に送付されたが、4月8日、州知事が拒否権を発動した。そこで、4月9日に州議会上下両院で、賛成多数で州知事拒否権発動を覆し、法案は成立した。
今後のタイムラインは次の通り。休暇取得中の給付額は、平均週給の最大90%($1,000/Wが上限)で、2026年1月1日以降は、CPUで物価スライドを適用する。
- 2023年6月1日までに:"Family and Medical Leave Insurance Fund"を設立し、労働長官が運営規則を設定する。
- 2023年6月1日までに:労働長官が拠出率を設定
- 2023年10月1日:企業(従業員15人以上)、従業員、自営業者の拠出開始
- 2025年1月1日:加入者の受給開始
MD州は10番目の導入(+D.C.)となる(「Topics2022年1月22日(2) 州の有給FMLA」参照)。お隣のDelaware州も同様の法案審議中である。
※ 参考テーマ「FMLA」
Source : | New Jersey Legislation Requires Businesses to Offer State Mandated Retirement Plans (Withum) |
New Jersey州(NJ)の州立退職貯蓄プラン法は、既に2019年3月28日に成立した(「Topics2021年5月27日 州立退職貯蓄プランの現状」参照)。上記sourceやGeorgetown Universityの資料に、制度の概要はまとめられている。
ただし、上記sourceで伝えているのは、プランの実際の運営が始まっていないことである。法制上のタイムラインは次のようになっている。ところが、上記sourceは4月5日時点でプラン運営開始は確認できていないと述べている。4月13日時点で当websiteがSecure Choice Savings Programのサイトを確認したところ、やはり運営開始とはなっていない。プラン運営主体である運営委員会(Board)は、
- 2019年3月28日:New Jersey Secure Choice Savings Program Actに州知事が署名し、成立。
- 2021年3月28日:制度施行、プラン運営開始日。⇒ コロナ禍拡大で、1年間延期。
- 2022年3月28日:プラン運営開始日。
"The Board is presently working on implementation of the program, which is not yet operational. Please check back here for future updates."と記している。
仮にBoardが運営開始を決定した場合は、次のように流れていく。Boardが運営開始日を決められない理由について、上記sourceは「連邦議会で審議されている"SECURE 2.0"(H.R.2954)との関連性を精査している」ためとしている(「Topics2022年4月1日 SECURE 2.0下院可決」参照)。そうなると、連邦議会の審議により"SECURE 2.0"が成立するかどうかを見極めなければならないということになる。
- Boardが決定した運営開始日をウェブサイトに掲載する。
- 運営開始日から9ヵ月以内に、加入義務企業は加入手続きを終えなければならない。その際、大企業の方が早期加入を求められる。
運営開始にはまだ時間がかかりそうだ。
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「企業年金関連法制」、「DB/DCプラン」
Source : | How soaring inflation forces stark choices (NPR) |
4月12日、BLSは今年3月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前月比1.2%、前年同月比8.5%の上昇と、先月をさらに上回る大幅な上昇となった(「Topics2022年3月11日(1) CPI上昇率7.9%」参照)。上記sourceによれば、前年比の伸び率は、1981年12月以来最大で、40年振りの高水準が続いている。 エネルギー価格は依然として25%超を続けている。 食料品の価格上昇も、8.8%(前年同月比)と急上昇している。 エネルギー、食料品を除いた物価指数上昇率も6.5%と、先月を上回った。 ※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | U.S. citizens can now choose the gender 'X' on their passport applications (NPR) |
4月11日から、アメリカ国民のパスポートの性別の欄に、"F"、"M"に加えて、"X"が設けられた。昨年、国務省が公表した施策であり、連邦政府機関としては初めての措置となる。
Gender'X'は、"unspecified or another gender identity"と定義づけられており、以前発行したパスポート、身分証明書、医療証明書などの書類は不要となっている。自身の判断で"F"、"M"、"X"を選択すればよい。
ちなみに、パスポート申請書の当該部分は下のようになっている。 親の欄も同様だ。 上記sourceでは、アメリカ以外の国でもGender'X'(または類似制度)が採用されていることが紹介されており、アメリカはむしろこれら先例に倣ったと言える。日本もいつの日にかこうした制度を導入することになるのだろうか。
ところで、アメリカの身分証明書と言えば、運転免許証である。と思って、検索してみると、やはりありました。このサイト(Movement Advancement Project. "Equality Maps: Identity Document Laws and Policies." )の情報によれば、21州+D.C.で、運転免許証の性別欄が、"F"、"M"、"X"となっているそうだ。 ちなみに、わが故郷MD州の運転免許証でも"X"が採用されている。これは、もっと意識を変えていかねばなるまい。
※ 参考テーマ「LGBTQ」
Source : | Not just Florida. More than a dozen states propose so-called 'Don't Say Gay' bills (NPR) |
3月28日、FL州知事が'Don't Say Gay'法案(HB 1557: Parental Rights in Education)に署名した(NPR)(「Topics2022年3月11日(2) 'Don't Say Gay'法案」参照)。共和党が多数派を握る州を中心に、同様の法案提出が続いているという。加えて、TX州知事も、同様の法案を次期州議会において最優先で審議したいと表明している。
- Alabama advanced a measure prohibiting early classroom instruction on sexual and gender identity.
- An Arizona bill aims to change the state's sex-ed curriculum to focus on biological sex and "not gender identities."
- In neighboring Georgia, lawmakers targeted private schools ・which the state can regulate. But it failed to get any traction this year.
- In Iowa, a Senate proposal would require that parents opt in ・in writing ・to any instruction "relating to gender identity."
- In Louisiana, lawmakers introduced HB 837. It would limit discussion of sexual orientation or gender identity in some grades and prohibit it all together in others. A South Carolina bill is similar.
- A Missouri bill would ban "gender or sexual diversity training" in public schools. An Indiana bill does the same. As would a Kentucky bill.
- In Oklahoma, a senate bill would ban books from school libraries that focus on "the study of sex, sexual lifestyles, or sexual activity."
- Tennessee's HB 800 bans books and instructional materials "that promote, normalize, support, or address lesbian, gay, bi-sexual, or transgender issues or lifestyle."
- Ohio's HB616 has similar language used in the Florida bill.
ということは、各州で活動する企業は、従業員や顧客から、これらの法案に対する姿勢を鮮明にするよう、否、反対姿勢を明確に示すよう求められる可能性が出てくるということだ。「親の権利」という、企業にとって口出ししにくい課題であるが、若者はじっくりと経営陣の言動を観察することになるだろう。
※ 参考テーマ「LGBTQ」