9月7日 DACA段階的終了
Source :Trump Moves to End DACA and Calls on Congress to Act (New York Times)
9月5日、トランプ大統領は、DACAを段階的に終了するとの決断を下した(Staement of the President)。大統領声明による終了プロセス概要は次の通り。
  1. 連邦法を遵守するため、オバマ大統領が導入したDACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)を段階的に終了する(「Topics2012年6月17日 若い不法移民を保護」「Topics2014年11月25日 不法移民保護大統領令(2)」参照)。

  2. 新規の申請は受け付けない。

  3. 既に申請を受け付けて、手続きが進行中の場合にはそのまま手続きを進める。

  4. 既に与えられた労働許可は、有効期限まで認められる。ただし、本日(9月5日)から数えて、6ヵ月間は失効を猶予する。また、最長2年間までは有効と認める。

  5. 失効猶予期間に、連邦議会が総合的な移民法改革案を策定する。
段階的な終了とする代わりに、来年3月5日(失効猶予期間6か月間)をデッドラインとして、連邦議会に代替案を求めている。下駄を議会に預けた格好になるが、DACA対策だけを単独で認めるかどうかについては、態度を明らかにしていない。

DACAの継続については、政権内でも賛否が分かれていた(New York Times)。セッション司法長官は強硬に廃止を継続した。一方、大統領の娘夫婦は継続を主張していた。結果的には司法長官の主張を大統領が受け入れたことになる。

他方、下駄を預けられた連邦議会も妥協点を見出すことが難しい。オバマ政権下で、移民法改革法案について、共和党が常に反対して改正を認めなかった経緯がある。また、ライアン下院議長はDACAの延長を主張しており、不本意ながら難題を押し付けられた格好だ。

州政府も分裂状態である。10州がDACA廃止を主張して訴訟を起こしていた。一方、今回のトランプ大統領の決断は憲法違反だとして、16州が訴訟を起こすとしている。

まさに国を二分する形になっている。移民というアメリカ合衆国の成り立ちに関わる問題だけに、短期間での解決、打開策はなかなか見つからないだろう。

当websiteでは、立法によらずに不法移民の法的地位を賦与することに批判的な立場を取ってきた。期間限定という不安定な地位であり、大統領令によって簡単に無効にできるからである。それがまさに現実となり、今やDACAに基づいた申請者リストは、退去命令対象者リストに化してしまったのである(「Topics2012年9月14日 退去猶予承認始まる」参照)。

オバマ大統領もトランプ大統領も罪作りである。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

9月4日 NY有給病気休暇 
Source :New York Paid Family Leave Law: Details, Details and More Details (Corporate Synergies)
New York州の有給病気休暇(New York Paid Family Leave, NYPFL)が、いよいよ2018年1月から施行される(「Topics2016年4月7日(3) NY州:最長の有給病気休暇」参照)。これが結構複雑な制度設計になっているらしい。

上記sourceで紹介されている制度の骨格は次の通り。
  1. 企業は、従業員に次のような事情がある場合、職を確保したうえで有給休暇を与えなければならない。
    • 重い病気にかかった家族の面倒をみる
    • 新生児の面倒をみる
    • 軍隊に入る家族のための準備をする、等々

  2. 有給病気休暇の間、従業員の医療保険給付を従前通り継続しなければならない。

  3. 休暇期間中の支払いは、
    • 2018年:NY州の平均週給の50%を、最大8週間。その後、徐々に引き上げて、
    • 2021年:NY州の平均週給の67%を、最大12週間。

  4. 休暇取得資格は、
    • 週20時間以上勤務の場合:同じ企業で26週間勤務した後。
    • 週20時間未満勤務の場合:同じ企業で175日間勤務した後。

  5. NYFMLを取得しようとする場合、従業員は30日以上前に企業に通知しなければならない。

  6. 従業員は、特別な申請用紙(PFL-1 Form)に必要事項を記入して、保険者(self-insuredの場合は企業)に提出しなければならない。取得理由によっては、家族の診断書を提出しなければならない。

  7. 休暇期間中の支払いの原資となる保険料については、企業が従業員に全額拠出を求めてもよいし、全額企業が負担してもよい。

  8. 保険料の積み立ては、2017年7月1日から開始してよいことになっているが、2018年1月1日からは義務となる。

  9. 保険料は次のように決める。
    • min.{従業員の平均週給, 州全体の平均週給}×0.126%
    • 最大拠出額は、従業員一人当たり$1.65/W、または$85.56/Y。

  10. NYPFLと障がい者給付(New York State Disability Benefit, NYSDB)の併給

    1. 両者を同時に取得することはできるが、金銭的な給付を同時に受け取ることはできない。

    2. 両者の組み合わせで、1年間に26週の休暇を取得することができる。

    3. 病気有給休暇は、従業員本人の障がいのために利用することはできない。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

9月1日 ACOsの成果 
Source :Medicare shared-savings ACOs cut $1 billion in costs over three years (Modern Healthcare)
ACOsの当初3年間は、順調な滑り出しだったようだ。8月28日にHHSが公表したレポートでは、次のようになっている。 紆余曲折はありながらも、ACOsは定着しつつあるようだ。

※ 参考テーマ「ACOs